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マイナンバーと保険証、一体化でトラブル

政治
この記事は約18分で読めます。

まあ、この手のトラブルは初期に発生しがちなので、騒ぐほどのことじゃないと思うんだが。

マイナ保険証“別人情報ひも付け 37件” 医療従事者団体調査

2023年5月29日 17時19分

マイナンバーカードと一体化した健康保険証について、医療従事者でつくる団体が調査したところ、別の人の情報がひも付けられていたケースが少なくとも37件確認されたことが分かりました。

NHKニュースより

37件が多いとみるか少ないとみるか。

もちろん、調査期間がしっかり調査したわけではない中での発覚だから、氷山の一角だろう。37件発見されたら、少なくとも現時点でその100倍くらいはトラブルが潜んでいるだろう。何しろ、全国で1億枚以上発行することになるのだから。

トラブルはヒューマンエラーが原因

初期トラブルは避けられない

そもそも、この手のトラブルはヒューマンエラーが多い。そして、マイナンバーと保険証との紐付け作業をやっているのは誰か、というと、あの厚生労働省である。

厚生労働省も、武漢ウイルス感染症対策であっぷあっぷしている時に「余計な仕事を増やすな」とい状況で受けた話だろうから、杜撰になった面もあるかもしれないが。

低迷するマイナ保険証、厚労省が医療機関への「導入義務化」を打ち出したワケ

2022.05.25

厚生労働省は2022年5月25日に開催した社会保障審議会医療保険部会で、医療機関などに対し、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるシステムの導入を2023年4月から原則として義務化する方針を明らかにした。

日経XTECHより

これは2022年の記事で、利用が低迷していたので導入義務化を発表した時のものだ。

どこかのタイミングで導入する必要があったのは事実なので、既存のシステムを変えたくない層からの反対意見は仕方ない。でも、義務化してでも変えないといつまででも変革できない。

厚労省が原則義務化を打ち出したのにはワケがある。マイナンバーカードの健康保険証としての利用は当初予定から半年以上遅れて2021年10月に本格運用が始まったが、依然として利用できる医療機関の数が低迷しているためだ。

日経XTECHより

実際に、当初、思い切った改革をやらなかったために、2022年時点では随分と利用状態は低迷していて、特に、忙しい医療機関にとって押しつけは迷惑だったとは思う。

ただ、レセコンの改修やネットワーク整備は必須だったことを考えれば、武漢ウイルス感染症のお陰で暇をしていた病院にとっては良いタイミングだったかもしれない。

マイナンバーとカードに関する誤解

そして、紐付け作業をどうやっているか?というと、これが残念ながら手作業だから。つまり、ヒューマンエラーなのである。

流石にこのサイトに来てくれる方で、マイナンバーのことを勘違いしている人は少ないと思う。が、ちょっとだけ整理しておく。

まず、マイナンバー(個人番号)というものがあって、これは国民全員に背番号を付けた感じの話になる。つまり、一人に一つの固有の番号(12桁の番号)が付与されているということになる。

こうした番号付与は、多くの国でやられていて、先進国であれば必須の番号となっている。「個人を番号で管理するとは何事だ」と吹き上がる人がいるようだが、番号で管理するか名前で管理するかの違いで、管理の方法の違いでしかない。国家であればどこでもやっているし、むしろやっていない国は国家の体をなしていないといっても良いだろう。

では、マイナンバーカードは何か?というと、マイナンバーが付されたカードで、偽造がしにくいようにICチップが埋め込まれている。

マイナンバーカード、23年3月末日時点の交付率は67.0%で前月比3.5ポイント増[ニュース]

2023.4.17

総務省は、2023年3月末日時点のマイナンバーカード交付率を公表した。

公布枚数は、8,439万9,025枚で、2022年2月末日時点の人口に対する交付枚数率(交付率)は67.0%、前月の63.5%に対して3.5ポイント増加した。

~~略~~

なお、令和5年4月9日(日)時点での、有効申請受付数は累計で9,634万2,452枚で、人口(※)に対する割合は約76.5%となった。

デジタル行政のサイトより

大体国民の6割が保有しているのだが、これを紛失したら困るとかいうことを騒ぐ人が結構いてビックリだ。そりゃ、紛失することもあるだろうけれど、そんなことを言ったら、銀行のカードや保険証、運転免許証なども同じである。

で、批判の集まっているマイナンバーカードだが、このカード、発行してもらって持っていても、発行せずに持っていなくても、マイナンバーが消えて無くなるわけではない。

何故なら、マイナンバーに情報は紐付けられているのであって、マイナンバーカードはその番号が付されているだけなのだから。

トラブルの原因は?

では、そのトラブルの原因は?というと、紐付け作業の時に起こったヒューマンエラーが主な原因である。

2. 健康保険証の情報の紐付け誤りについて

Q2-1 健康保険証の情報の紐付け誤りについて詳細を教えてください。

A2-1

就職、転職、退職や扶養の範囲が変わった場合など保険証の切り替えが必要な時に、新たな医療保険の保険者が、被保険者(個人)の情報をシステム(オンライン資格確認システム)に登録します。

この際、保険者が、本来の事務処理とは異なる方法で事務処理を行ったために別の方のデータと紐付けられてしまったものが存在します。例えば、被保険者のマイナンバーがわからない場合に、本来は氏名・生年月日・性別・住所が一致することを確認する必要がありますが、一部情報のみが一致するだけで登録したり、複数の候補(同姓同名で生年月日・性別が同じ等)が提示された時にそれぞれの候補の内容をしっかりと確認せずに紐付けをしたりしてしまったものがあり、これが誤りにつながったものです。

デジタル庁のサイトより

で、その登録をするにあたって、申込者や支援者の作業が杜撰だったってことだよね。

3. マイナポイントの誤紐付けについて

Q3-1 マイナポイントの誤紐付けはなぜ発生したのか詳細を教えてください。

A3-1

各自治体においてマイナポイントの申込みに当たって手続支援を実施していますが、この支援窓口の端末操作において、申込者本人又は支援員が申込作業を中断した後に、ログアウトをし忘れたことによって、次に同じ端末でマイナポイントの申込を行った方が自身の決済サービスを登録してしまう状況が発生しました。これにより申込者本人のマイナンバーカードに別人のキャッシュレス決済サービスが紐付いてしまい、本人が将来受け取るべきポイントが別人に付与されてしまう事案が発生したものです。

デジタル庁のサイトより

処置なし。

4.コンビニ交付サービスについて

Q4-1 マイナンバーカードを用いたコンビニ証明書交付サービスの誤交付ついて教えてください。

A4-1

誤交付は、各自治体が事業者に委託して構築したシステムの不適切なプログラム処理等によるものであり、既に、プログラム修正等の対応を完了しています。現在、不具合のあった製品を採用している自治体において、徹底的に再点検を行っているところです。また、関連事業者においても同様の問題がないか総点検を実施しています。

デジタル庁のサイト

プログラムミスというのも、何とも情けないね。

とまあ、色々杜撰な面があったのは事実だが、何れもヒューマンエラーだし、初期トラブルの類いではある。そういえば、年金改革の時にも大騒ぎになったっけ。

保険証の原則廃止

今になって発覚

それよりも、だ。今になって騒ぎ始めたということの方が問題のように思う。

河野デジタル相「早い段階で情報共有を」

河野大臣は29日開かれた参議院の特別委員会で、こうしたミスについて、今月19日まで報告を受けておらず、把握していなかったと述べました。

NHKニュースより

河野太郎氏が「知らなかった」と白々しく説明をしたようだが、そんな訳はないのだ。混乱を恐れて内々に処理することにしていたけれども、騒ぎが大きくなったので、今更ながら情報を暴露したということだろう。

その理由は、現行の保険証の廃止をする方向に決定したからだ。義務化したら廃止へ。まあ、流れとしては分かる。

マイナ法案、混乱続くなか成立へ 現行の保険証は24年秋に廃止

2023年5月31日 18時26分

2024年秋に現行の健康保険証の原則廃止などを盛り込んだマイナンバー法など関連法改正案が31日、参院地方創生・デジタル社会形成特別委員会で、自民党などの賛成多数で可決された。立憲民主党と共産党は反対した。足元ではマイナ保険証に別人の情報がひもづけられたり、給付金などの公金受取口座で誤登録があったりとトラブルが相次ぐ。混乱が収まらぬなか、2日の本会議で成立する見通しとなった。

朝日新聞より

原則廃止という所に引っかかりを覚えるが、今の混乱に関しては時間が解決することだと思う。それが2024年秋までに解消できるかは分からところに不安を覚える人が多いのだろう。

ただ、別に保険証を廃止したからって困る人が増えるわけでもない。何故なら、保険証は2年に1度更新されるもので、それがマイナンバーカードに切り替わるだけの話だからだ。では何が問題かといえば、交付方法だろう。

マイナンバーカードの発行は、保険証の発行よりも手続きが煩雑で、ソレを嫌う人もいるようなのだが……、いや、偽造の保険証が氾濫しているから対策をしなければならず、ソレが多少不便なのは仕方がない。

偽造保険証

それよりも、偽造保険証が出回っていることの方が問題である。ちなみに、いくつかの弁護士事務所がサイトでこんな説明をしている。

保険証の偽造が発覚して逮捕されてしまった! どのような罪になる?
保険証の偽造はどのような罪に問われるのでしょうか。多額の借金でお金を借りることが難しくなった場合や、不正に入手したチケットの身分証確認対策で、保険証を偽造するというケースは少なくありません。本コラムでは、保険証偽造における刑罰や逮捕され場合...
偽造免許証はバレる!罪名と刑罰、行使したときの対処法も解説
「借金の審査を通すために別名義の身分証明書を作りたい…」、「免停中で車を運転したいけど、万が一呈示を求められた場合に備えて免許証を偽造したい…」などと考えて偽造免許証に手を出してしまう方がいるかもしれません。今回は「運転免許証を偽造・行使し...

こういった説明をネットに載せると言うことは、それなりの需要があるということで。さらに、携帯電話大手のドコモが身分証明として保険証の利用を中止する発表をした。

保険証では本人確認になりません!? ドコモが5月に取り扱い中止 その背景は… これからは何が必要?

2023年3月28日 12時00分

政府は来秋、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードにその機能を持たせようとしている。これに先駆けるように、保険証が「お役御免」となる分野がある。かねて本人確認で使われてきたが、携帯電話大手のNTTドコモは5月中旬にその取り扱いをやめ、契約時にはマイナカードなどを示すよう求めるという。早々と保険証を見切るのはなぜか。マイナカードを持たない人は困らないか。

~~略~~

保険証の方はといえば、政府は24年秋で廃止する方針を示した。ドコモの対応はこれに合わせた動きと思いきや、同社の担当者は「政府の方針などを踏まえた運用変更ではない。あくまで不正契約の実態を踏まえたもの」と強調する。

東京新聞より

東京新聞はこんな記事を書いて、政府と足並みを揃えたのでは?とドコモを批判しているのだが、業者にしてみれば偽造保険証が出回っていることの方を問題視しているのだ。

保険証の偽造は比較的簡単で、今後は身分証のチェックの際に保険証での確認は減っていくだろう。

デジタル化推進の弊害

買い物も、クリック1つで出来るという便利な世の中になっているが、しかし一方でソレを悪用する人も一定数はいる。

この世にいない人物、身分証偽造で誕生…口座、クレカも作って複数人が買い物 住所はマンション空き部屋

2023/01/19/00:00

不正な手段で作られたクレジットカードを使って買い物をしたとして、県警国際捜査課と組織犯罪対策課、熊谷署の合同捜査班は18日、詐欺の疑いで、群馬県太田市東別所町、トルコ籍で職業不詳の男(41)=詐欺罪で起訴=を再逮捕した。

埼玉新聞より

この手の犯罪は増えているようだが、残念なことにマイナンバーカードの偽造も出来るようなので、マイナンバーカードが普及したら偽造が減るということではないと思う。偽造が発覚しやすくなるとは思うが。

偽造マイナカード使用容疑でベトナム人摘発 SIMカード購入目的か

2023年3月3日 13時02分

偽造マイナンバーカードを使って携帯電話のSIMカードを不正に購入しようとしたとして、警視庁は、ベトナム国籍で無職の男(22)=東京都豊島区=を偽造有印公文書行使と詐欺未遂の疑いで逮捕し、3日発表した。偽造マイナンバーカードが使われた事件の摘発は例が少ないという。

亀有署によると、昨年11月、東京都葛飾区の携帯電話販売店に訪れたベトナム国籍の男2人が、偽造されたマイナンバーカードと健康保険証を身分証として店員に示した上で、他人名義のクレジットカードを使ってSIMカードを購入しようとしたとして逮捕された。

朝日新聞より

こうした身分証の偽造を行って悪用する手口は昔からあったのだが、デジタル化が進むと犯罪が発覚しにくくなる問題がある。

偽造しにくく、偽造が発覚しやすいシステムの導入は今後も模索される必要があり、そのシステムの入り口に、従来の保険証は適切ではないと判断された、というのが、一連の動きの根底にあるものなのだ。

反対派のロジック

恐ろしすぎる落とし穴?!

では、この動きに反対する人々は、どんなロジックで反対しているのだろうか。

「マイナ保険証」のせいで健康保険が「崩壊」するかもしれない…その決定的な問題点

2023.04.20

国による強引な「マイナンバーカード」普及の一環で、すべての国民が使っている健康保険証が2024年の秋に廃止されることになりました。

これは単に紙の保険証がマイナンバーカードに統合されるだけではありません。その先に待っているのは、日本が世界に誇る健康保険制度の崩壊の危機だと私は思っています。

日刊ゲンダイより

健康保険制度の崩壊の危機ねぇ。面白いことを書いていらっしゃるのは、萩原博子という経済ジャーナリストを名乗る方。寡聞にして知らないのだが、論調が如何にもの臭いがするので引用してみた。

8割の日本人が気づいていない「マイナ保険証」の恐ろしすぎる「落とし穴」(荻原 博子) @moneygendai
国による強引な「マイナンバーカード」普及の一環で、すべての国民が便利に使っている健康保険証が来年の秋に廃止されることになりました。これは単に紙の保険証がマイナンバーカードに統合されるだけではありません。その先に待っているのは、日本が世界に誇...

私だけが気がついた「落とし穴」があるようなのだが。

その結果、なにが起きるのかと言えば、「任意」であるはずの「マイナンバーカード」を作らなければ、保険証が持てなくなり、国民皆保険から弾き出され「膨大な医療費を支払うことになる」と脅しているようなものです。

日刊ゲンダイより

記事を読んでもその「落とし穴」らしきことは書かれていない。唯一、この「保険証が持てなくなり、国民皆保険から弾き出される」の部分かな、それらしいのは。

いや、そんなわけないじゃん。健康保険証はただの紙キレなので、それがマイナンバーカードに切り替わるだけ。保険証がなくても健康保険に加入していないことにはならないのは自明である。何言っているんだこの人。

細かいデマを紛れ込ませる

更にはここ。

そもそも、2021年4月から医療機関で「マイナ保険証」が使えるようになると国は大々的に宣伝していましたが、あまりに不具合が多く同年10月に延期されたという経緯があります。

日刊ゲンダイより

こんな嘘を……。不具合が多くて延期したのではなく、普及率が低くて延期せざるを得なかったんだけど。そして、トラブルはシステム導入初期には避けられない。ソレをいかに低くするのかは行政の腕の見せ所なんだけど、そこを失敗しているのは上に書いた通りである。

今の保険証は、月初めに一度だけ窓口で見せればいいという病院が多いのですが、「マイナ保険証」になったら、毎回窓口で提示しなくてはならないからです。

日刊ゲンダイより

そして、マイナ保険証になったら、毎回提示になるから問題だとしているのだけれど、この話の根底にあるのは保険証の偽造が横行して信頼性が低下している所だというのは既に書いた通り。月1回確認というのは手続きが煩雑だからで、それを機械で承認できるようになれば窓口負担は減る。

「紛失したら大変だから持ち歩くな」というアナウンスをしたがために、こんなことを書かれる始末なんだけど、紛失が困るのは保険証であっても本質は同じ。

いかがでしょうか。

現実と照らし合わせて見てみると、私たちにとって「マイナ保険証」は、現在の保険証を無くしてまで導入する価値があるもの、とはとても思えません。

日刊ゲンダイより

それを「いかがでしょう」といわれても、「それって、貴女の感想ですよね」としか。

個人情報の漏洩問題から反対だということも書き添えてあるけれど、それはマイナンバーカードの本質とはかけ離れた議論である。

彼女がどうかは知らないが、マイナ保険証に反対している層の多くは、「従来の保険証が使えなくなったら困る」という方々。ソレがどういうことかは説明するまでもないだろう。

文句もあるが

とはいえ、こういったマイナンバーカードに対する批判とは別に、個人的には不満もある。

そもそも、個人認証が出来るマイナンバーカードがあれば、本質的には通院するときに使う保険証だけでなく、診察券なども不要になるはずなのだ。元々はこれも一体化するという話だったし、図書館など、公共機関で利用しているカード類も一元化出来るという話だった。

しかし、それは未だに実現できていない。

最近は図書館の貸出券をスマホに登録するような動きもあるようだが、今や何をするにもカードが増えすぎなのである。それを名寄せできるカードが登場したというのに、それを利用できないというのは何とも情けない話ではないか。

こういった「便利になるはず」のサービスが徹底されていない背景には、行政の怠慢がある。上で引用したコンビニ交付サービスの話も、その行政サービスの一環だったのだが、プログラムミスで味噌が付いてしまった。

なお、カードを廃止してスマホのアプリとして登録して使える方向に動いている話もあるが、それも積極的には進んでいないようだ。

せっかくある仕組みなんだから、積極的に使えるようにして欲しいものである。

追記

ちょ、ちょっと待ってよぉ。記事を書いたらこんなニュースが……。

“新マイナンバーカード2026年中に導入目指す”重点計画改定案

2023年6月1日 5時11分

デジタル社会の実現に向けて、政府が取り組むべき重点計画の改定案をデジタル庁が取りまとめ、マイナンバーカードについては、2026年中にセキュリティーを高めた新しいカードの導入を目指すなどとしています。

政府は、デジタル社会の実現に向けて重点計画案の策定を進めていて、このほどデジタル庁が改定案をまとめました。

それによりますと、2016年から交付が始まったマイナンバーカードでは、当時、取得した人たちが更新時期を迎えることから、新しいマイナンバーカードの2026年中の導入を目指すとしています。

NHKニュースより

「新しいカード」ね。

記事を読むと、制度をやめるんじゃなくてカードのセキュリティを高めたものに更新する気のようだ。まあ、色々便利にする気があるのであれば反対しないんだけど、こんなニュース流すと、「じゃあ、2024年に健康保険証を廃止するのは拙速では」という意見が出てくるのでは?

もうちょっと、広報効果が上がるようなやり方はなかったのだろうか。

追記2

そういえば、Dr.コトーの劇場版が公開されたとかいうニュースが、2022年末くらいに話題になっていたっけ。僕は原作派だったけれど、おそらく買ったのは15巻くらいまで。どうやら25巻で完結するらしい。終わらせ方は賛否両論だけれども。

そして、医療マンガの中で一押しは僕の中では今でもブラックジャックだろうか。

ただまあ、どちらも医療マンガと言うよりはヒューマンドラマがメインで、内容的には割と「ソレはないだろう」というシーンも結構ある。

と、何故こんなことを追記で書き始めたのかというと、コメントを頂いたからである。

家庭にとけこむ医療を 氷見初 訪問診療専門医院8日開業

2023/05/05 05:00

氷見市では初めてとなる訪問診療専門クリニック「訪問診療さいとー内科」(伊勢大町)が8日に開業する。院長は内科医の斎藤淳史さん(52)で、金沢医科大氷見市民病院の腎臓内科長からの転身組。「地域の人に気軽に頼ってもらえる存在になりたい」と、希望に胸を膨らませている。

讀賣新聞より

医療の現実はなかなか厳しいわけで、地方や離島などでも都市部と同じような診療システムを期待されても、なかなか難しいのが現実である。

マイナンバーカードにマイナ保険証をくっつけるという話、視点を変えれば導入にかなりハードルが高い制度なのかもしれない。

政府がそういう面にまで気を配っているのか?というと、河野太郎氏にそれは期待できそうにない。とはいえ、引用記事の中で「健康保険証を”原則”廃止」とした理由も、おそらくはそういった対応出来ないケースを例外として扱うためだろう。

健康保険証廃止後「資格確認書」有効期限1年 手数料無料の方針

2023年2月16日 20時26分 

健康保険証を来年秋に廃止しマイナンバーカードと一体化させるのに向け、カードをなくした人なども保険診療を受けられるようにするための「資格確認書」について、政府は、有効期限を発行から1年以内とし、発行手数料を求めない方針を決めました。

NHKニュースより

おそらくそうした例外的適用の為に、資格確認書というものも用意するつもりのようだが、ここの制度設計はいまいち甘いように思える。

原則と例外を作った場合に、例外適用を優遇すると制度自体が破綻してしまうので、「使いにくい制度」にせざるを得ないのだが、僻地に住む方々が全てそれに該当してしまうと、全人口の13%がそれに該当するようで、それ以外にも高齢で手続きが難しい方なども含めていくと、全体の1/4程度はそこに該当してしまうのかという懸念はある(これは、マイナンバーカードの未発行枚数に等しい)。

そういう意味では、マイナンバカードのシステムの普及に賛成する立場ではあるが、認証システムの簡素化や確実性の担保は必須なのだろう。だが、そこを乗り越えても推進すべき話だと思う。

個人的に懸念し、解決すべきだと考えているのは、飛び込み診療で更にお金を支払わずに逃亡する層が一定数いることだ。これは仲良くなった大病院の医師の話の一端として聞きかじった程度の話だが、医療ツーリズムなどというアホな制度を推進していることもあって問題が深刻化しているらしい。実際に、医療費の未回収問題は医師にとって結構な負担になるようで。

【医療機関向け情報】訪日外国人受診者による医療費不払い防止のための支援資料の紹介及び不払い情報報告システムへの協力の御願いについて
【医療機関向け情報】訪日外国人受診者による医療費不払い防止のための支援資料の紹介及び不払い情報報告システムへの協力の御願いについて

捕捉性の高いマイナンバーカードの利用は、そうしたトラブルにある程度対応しうる話だと思う。

その辺りも論点として記事に盛り込むべきだったと、ちょっと反省しつつ、コメント頂いた方にはここで感謝を。

追記3

そういえば、武漢ウイルス感染症の拡大によって、随分二の足を踏んでいたこのシステムが導入されたんだっけ。

LINEドクター - LINEで使えるオンライン診療 | サービスについて
「LINEドクター」はLINEアプリ上で診療の予約、ビデオ通話での診療、決済を完結することのできるオンライン診療サービスです(一部医療機関は当日予約可能)。ご自宅等から医師の診療を受けることができます。

ええ、ええ、もちろん、コレは推奨しませんとも。

つまり、システム設計するにしても、セキュリティはしっかりやって欲しいと、そのように切に願うわけである。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    日夜、マイナンバーを腐しようとして、一心不乱にマスコミが視聴者の恐怖を煽ってますが。

    計算すると、発覚しているミス件数が7000件、国民が1億として、7000/100000000=0.007%

    ヒューマンエラーとしては、むしろ良い数字に思えます。

    そして、国民の不安を煽った挙げ句に対策は「国が使用を一時停止」とかバカ言ってますが、一番簡単で早いのは、マイナカードを使って住民票をコンビニで出してみること。
    そうすれば、自分のが正しいか間違ってるかすぐ分かる。
    いくら何でも、住民票上の名前と保険証上の名前が整合していない、位のチェックは自動で入力時にやったと思いますから(やってなかったら擁護のしようがない)、住民票が大丈夫ならまず大丈夫、なんなら医者で使ってみれば良い。

    正直、この程度のトラブルはあって当たり前で、対策をヘマした政府のバカさ加減は呆れるほどですが、マスコミは「だったらどうやって確認して、ミスがあったら誰に言えば良い」を教えるべきでしょう。

    少なくとも、ここで(人手で)全数チェックかけて二次被害出すより、カード持ちが全員一度は使って間違ってるカードを抽出する方が絶対に早くて確実だと、思う次第です。

    • アバター 河太郎 より:

      こんにちは。その健康保険との一体化(今はどこでも薄いカードで紙は無い想うけど)っすが、進まないんでないすか? いま大きな病院でも勤務医を減らして、開業医のバイトに回してる。んで、開業医はそれだけでは厳しいから、
      高額の病院バイトしてる。
      ってことは、開業医を沢山かかえる各地の医師会が反対しますよ。まぁコロナでワクチン協力した開業医は、そこそこ設備投資でお釣り来る稼ぎのはずですが。
      一体化すると、読み取り機材やら、データ処理やら面倒くさい。大きな…そう400床くらいの病院なら、今はクラークがパソコン使えるの当然だけれど。調剤から何からデータをまとめ、管理となると、
      小さな医院では厳しいかと。だいぶ影響力は薄まったといえ、まだまだ地方では医師会の政治力は強く、そうそう健康保険を一体化はできないかも。
      これがコロナが2類の時に、ワクチン接種と抱合せにすれば(波が引いてる時に)、うまく行ったのかもしれませんが。5類になって、その利権で医師会を釣る事もできないからなぁ……

      • 木霊 木霊 より:

        現場に近い意見を聞くと、町医者でも結構システム導入は大変そうですね。
        どうにも、政府の作るシステムって、使う人のことを考えていないような感じがして、もっと効率の良いやり方はありそうですが。

        インスピレーションを頂いて追記として言及しましたが、人口カバー率を考えると保険証のシステムの改善は結構大変だと思います。
        しかし一方で、診療費の踏み倒しが結構発生しているようなので、簡易システムを組んで政府の負担で普及させるのが宜しいかと思うんですがね。
        まだまだ、紆余曲折はありそうですね。

      • アバター 七面鳥 より:

        実際、医師会レベルでは反対しているようですね。
        そのあたりの根回しとか、読み取り機をどうするとかを含めて、行政側がお役所仕事で混乱と反感を招いたのは事実でしょう。

        脊髄反射で反対する連中だけでなく、獅子身中の虫(無視?)こそが問題の本丸、というのがなんともはや、でありますね。

    • 木霊 木霊 より:

      マスコミにとって、マイナンバー制度って何が都合が悪いんでしょうかね。
      どこかから指令が出ているとか、そういうことなんでしょうか。

      正直、政府主導のデジタル関連のシステムって、かなり筋が悪い気がするのであまり期待はしていないのですが、コンセプト自体は悪くないと思っています。
      情けないミスもあったようですが、1つ1つ潰して改善していくしかないですよね。
      そして、チェックは国民がやるというフローにしておけば問題なかったのに、その辺りもダメですよね。

      • アバター 河太郎 より:

        そうなんですよね。お二人の仰るように。とくに踏み倒しはマジで医療と健康保険の制度を破壊しかねない
        害虫寄生虫でして。それを撲滅するよい手だてなんですよね。
        だから「ダメ」じゃなくて、
        「使いやすいシステムにしてよ」
        ←何で役人は解らないのだろう?

        であり、また根回しも予算も出せや!なんです。人口縮小で異次元政策しようと、もう「戦略的に縮む」事は必要になってきていて、その為にも電子スリム化は必須でもある。
        正直、人口問題は毎年10万人単位の移民させても「まるで間に合わない」のであり、あらゆる分野でシステム化して、合理化してゆくしかないんてすよね。そこには古いインフラや限界集落を切り捨てるような非情さが必要ですが。もう感傷にふけってるだけのリソースも人口もありませんからねぇ。

      • アバター 七面鳥 より:

        遅レス失礼。

        マイナンバーは、「通名」が使えないのが最大のネックだと聞いたような……

        あくまで又聞きですが。

  2. アバター 河太郎 より:

    あ、説明が足らないかな。
    パソコンを使えるのは医療事務だけで良いと想う方も…。まぁ20年前から病棟の記録もヒヤリハットもパソコンですけどね。んで、調剤と保険の関係は窓口事務だけでないんです。
    だって入院患者さんは、現在進行形で、
    Dr.指示が出ますからね。いちいち事務方に降ろさず、病棟のクラークがチェックして事務局におろします。
    だからね、長期入院それも精神科とかだと病棟管理になるから、現場はとんでもなく面倒な事になる。病棟にクラークを置けないレベルの病院や医院、クリニックだと、結構に死活問題すからね。それで医療事故おきれば一発アウトだし。
    いかん!というのではなく、「このまま」だと、医師会は納得せんと想うのですよ。

  3. アバター 河太郎 より:

    兼業農民として医療機関で働いてますので、エラーを集めれば精度が上がるってのは解るんですが。ソフト開発のバグと違い、なんかあった時に死人でますからね医療は。個人情報が漏れても大事だし。ソフトウエアのバージョンアップと違って、そこに人が関わり、生老病死が関わる業界な事は御理解いただきたいですねぇ。私も実際に医師の指示といえ施術する身ですからトラブった時にタダでは済まない世界なんですよ。

  4. アバター みみこ より:

    個人的に上記の記事で最も気になったのは
    「スマホのアプリ」の箇所でした。
    まさか、これ、反日国でデータ見放題になっていた、
    現在の時点で改善したかどうか怪しい「例のアプリ」、
    なんてことにならないのを祈っています。
    最近、某医院で診察予約に「あれ」を使っていたので恐怖を覚えました。
    こうやって「医療情報」という「機微情報」取得に、
    あの国が励んでいるんじゃないでしょうね。

    あのアプリ、地方自治体で使用禁止にならない理由ってなんなんでしょうね。
    (自主的にやめた自治体はあるようですが。)

    • 木霊 木霊 より:

      例のアプリ、幅をきかせているようで、情報に疎い地方自治体では積極的に使っているようです。
      結局、普及率が高いところが問題なんですよね。
      既にインフラ的な役割を果たしているのですから、そっくりそのまま乗り換えられるような使い勝手の良いアプリが普及することを願ってやみません。
      なんなら、マイナンバーのシステムにSNSの機能まで搭載してしまえば宜しいのに。国民的に安全性の高いアプリという形で普及させて貰えれば……。
      まあ、政府主導だと碌な設計にならないんですけどね。

  5. アバター けん より:

    こんばんわ、

    自分はマイナカードの普及目的については理解しているつもりですが、それでもいま参加しようとは思いません。制度設計に不備が多く、それゆえにトラブルが生じているわけですが、あまりにも個人にとってハイ・リスクだからです。

    • 木霊 木霊 より:

      個人にとって、ハイリスクですか。
      僕自身は導入を渋るまではリスクを高く見積もっていません。
      が、国民に理解が得られやすい制度設計をし広報しなかったことが、一番の問題のような気がしますよ。

  6. アバター 団塊 より:

     日本の政府にはコンピューターを分かる議員がいないどころか理系がいないのではないか。
     それどころかコンピューターの『いろは』が分かる文系すらいないのではないか?。
     こちらは文系ですが、異なる会社のコンピューターシステムを両者生かしながら統一するのは難しいと直感してますよ、みずほ銀行を見ずとも。
     まして、一億人以上のデータそれも健康保険・共済保険・国民健康保険と3っつ別々のシステムをそのままにしてそれ以外の新たなマイナンバーカードのシステムに日本中の医療機関が対応して患者を管理せよという!

    • 木霊 木霊 より:

      理系の政治家といえば、菅直人が理系だったような。
      そう言ってしまうと、途端に理系政治家がダメな存在に感じるから不思議。
      理系でも文系でもあまり関係なく、システムを理解する気があるかどうかという話なんだと思います。

      ところで、「健康保険」と「国民健康保険」は同じなのでは?国民年金ということでしょうか。マイナンバーは名寄せの機能しかありませんから、これまでのシステムを統合するとか、そういう話でもないんですよね。

  7. アバター 団塊 より:

     マイナンバーは単なる国民総背番号に過ぎない。
     マイナンバーカードがあろうがなかろうが一人一人にマイナンバーが付けられた。そのことが大切!

     とりあえず保険証にマイナンバーを加筆して個人個人が正誤確認すれば良い。
     銀行口座にもマイナンバーを加筆して個人個人が正誤確認すれば良い。
     とりあえずこれだけでも一億二千万人以上ですから大仕事!

     保険証にマイナンバーを加筆しても3システム(健康保険・共済組合・国民健康保険)とマイナンバーカードシステムを関連付ける必要はない。というより難し過ぎると思います。
     まして最初からマイナンバーカードに3システムに分かれている保険証の役割を担わせるのは 無理!無理!無~理!
     しかし、マイナンバーが加筆してあれば必要に応じて3システムに参照できる、かつ、マイナンバーシステムに問い合わせできる。
     これだけで病院代踏み倒した者の本名・住所を即座に特定できて請求書を送付できるし
    『金払え』という訴訟もできる。
     最初は、この程度で良いんじゃありませんか?
     
      
     

    • アバター 団塊 杞憂 より:

       半世紀前パソコンのパの字もない時代、国民健康保険は都道府県別であって
       地方から出て東京に住む大学生が病院に行くと手続きが非常に面倒だと嫌な顔をされた。
       もし、今も都道府県別のシステムを引き摺っているなら国民健康保険だけで47システムと連携しなければならないマイナンバーカードシステムとなる。
       まあ、それはないか、21世紀の日本なのだから。

    • 木霊 木霊 より:

      個人で確認出来るシステムにすることは大切ですよね。
      少なくともトラブルがあった時に発覚は早くなると思います。

  8. アバター BOOK より:

    こんばんは

     個々評論してる意味なさそうなのでリンクを羅列

    ①事件1 ttps://security.srad.jp/story/23/05/09/1252204/
     ②対策になってないヒドイ対応 ttps://www.fujitsu.com/jp/group/fjj/about/resources/news/topics/2023/0330.html
      ③専門的解説 ttps://takagi-hiromitsu.jp/diary/20211006.html

    ④ヤバい事件2 ttps://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1441238596539727886
      ⑤        ttps://security.srad.jp/story/21/10/13/1918223/
       ⑥対策が嘘という解説 ttps://www.naka2656-b.site/archives/31048764.html

     「対策になってないヒドイ対応」「対策が嘘という解説」の後者だけ、、、これが対策だと言うならこのスマホアプリ会社は①技術力がシロートレベル ②確信犯の嘘つき のどちらかですが、さすがにITシステム屋・法人がUUID/GUID知らないとかありえないので②の嘘つきで、目的はミス隠しじゃなく個人情報裏流しでしょう。 

     と素人の私でもわかるのに、パートナー会社と連携自治体一覧が泣けてくる。

    団塊様
     >日本の政府にはコンピューターを分かる議員がいないどころか理系がいないのではないか

     それどころか、上のパートナー会社を見る限り古めのIT会社の意思決定層は、技術知識が1980年代頃でストップしてる。本業の勉強しなかった方の方が出世したのでしょう。
     また事例2を代表するようにまあ某バンク某線とかが先行成功事例のためか、国内ITって信用を大切にしないところが多いように感じます。

    けん様
     >制度設計に不備が多く、
      制度設計はそこそこマシです上記③④の方がかなり設計に関与。問題行為を違法とした。しかし

     >それゆえにトラブルが生じているわけですが
     つめが甘く、違反罰則が不明瞭or軽すぎ なため、制度の抜け道探すベンチャーが多い。様子です。

    まとめ
     数年前役所に何度もあしを運ぶ事案があった際感じたのですが、実は現時点でもマイナンバーカード結構強力・便利。だけど保険証とか積極的にスマホアプリにリンクする人柱になる必要なしと思います

  9. アバター BOOK より:

    木霊さま こんばんは

     こうした「統合的・名寄せ」システムはGAFAM は全て持ってますが どれも何とかうまく回るまでに長年を要し、今でも万全に回ってるとは言い難い まあ難しいシステムでは? 

    でマイナンバー しっかり機能させたければ最低限「トップ」に例えば台湾IT大臣オードリー・タン氏が有名ですが、、ITセンスに留まらない高い能力をもつ人物が要る。河野氏や既存の高権力者じゃ無理でしょう。タン氏みたいに一本釣りで、、、日本の若者にも高い才能の方いますよ、例えばこないだ芦屋市長になった方とか(背景思想は知りませんが) そういうとこから改革望みたいですねぇ。

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。
      理想を言うのは簡単ですが、現実はなかなか難しいのでしょうね、名寄のシステムは。
      それでも形にするのであれば、実行力のある大臣を任命する必要があるのですが、河野太郎氏はねぇ。

  10. アバター 匿名 より:

    本邦技術輸出規制、米国再輸出規制で、国籍確認がネックでしたが、マイナンバーなければ、外国籍者と判別できるようになるのでしょうか?

    • 木霊 木霊 より:

      マイナンバーを上手いこと使えば国籍の照会はできると思います。
      ただ、色々と整備されないとなかなか。
      当面は難しいでしょうねぇ。