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カナダ次期潜水艦候補で日韓対決?

安全保障
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このネタで盛り上がっている人もそこそこはいるのだが、ハッキリ言って勝負にならないと思う。

カナダ次期潜水艦候補で「日本vs韓国」の直接対決 防衛産業守る大型案件、政府は防衛装備移転三原則見直し検討

2023.5/25 11:00

カナダ海軍が次期潜水艦として、海上自衛隊の最新鋭「たいげい型」潜水艦と、韓国の「島山安昌浩級」潜水艦を候補に挙げているという。

ZakZakより

まあ、興味深い話ではあるんだけど。

潜水艦を建造できる国はそう多くはない

韓国製の3,000t級潜水艦

今更ながら説明するまでもないと思うが、韓国製の潜水艦は次々とでき上っている。

まあ、呆れるような話もちょいちょいと小耳には挟むが、しかしここまでの速度で新機軸の潜水艦を作り続けることが出来るのはある意味驚異的である。

現在登場しているのは、3,000t級潜水艦バッチ1の島山安昌浩級1番艦と2番艦。3番艦も製造中らしい。今後も、新しい潜水艦を次々造る計画が持ち上がっているしね。

そして、何より画期的なのは通常動力潜水艦でVLSを備えている点だ。韓国が設計から製造まで手掛けているのであれば、それなりに心配なのだが、どうやらこの3,000t級潜水艦は、イギリスのバブコック社が絡んでいるらしく、今の所はそこそこ順調なようだ。VLSの発射テストもやったらしいね。

日本製の潜水艦

一方で日本の方だが……。

たいげい型は現時点で、世界唯一のリチウムイオン蓄電池搭載の通常動力型潜水艦で、水中航行能力や探知性能、被探知防止性能などが極めて高いという。

ZakZakより

高性能という事にはなっているんだけどね。

海自向け最新潜水艦「はくげい」就役 リチウムイオン電池搭載で高性能! 川崎重工・神戸

2023.03.20

防衛省は2023年3月20日(月)、川崎重工神戸工場(神戸市中央区)において、潜水艦「はくげい」の引渡式および自衛艦旗授与式を実施しました。

「はくげい」は、たいげい型潜水艦の2番艦にあたり、乗員数は約70名、船体サイズは全長84.0m、幅9.1m、深さ10.4m、基準排水量は3000トンです。起工は2019年1月25日で、進水・命名式は2021年10月14日に実施されています。

乗り物ニュースより

日本の潜水艦建造の歴史は長いし、運用期間も長い。通常動力潜水艦であれば、他国の追随を許さない能力があるとは思っている。それは自衛官の努力の賜物でもあるし、潜水艦建造技術を継承し続けている企業努力に支えられてこそだとは思う。

でも正直言って、カナダが求める潜水艦のスペックに合わないような気がするんだよね。

カナダ海軍が保有している潜水艦は、イギリスで建造されたアップホルダー級潜水艦(現ヴィクトリア級潜水艦)で、排水量は2,400tとやや小型の通常動力型潜水艦である。

この艦、イギリス海軍から移籍されたもので、カナダ海軍としてはかなり手を焼いてきた感のある潜水艦である。

カナダ海軍 7年にわたり修理中の潜水艦ようやく海へ 2022年に現役復帰の予定

2021.06.17

カナダ海軍は2021年6月14日(月)、長らく修理のために陸揚げされたままであった潜水艦「コーナーブルック」が海に戻ったことを発表しました。

~~略~~

「コーナーブルック」は当初、イギリス海軍潜水艦「アーシュラ」として1992(平成4)年5月に就役し、カナダ海軍へは2003(平成15)年3月に再就役しています。同艦はその後、2011(平成23)年6月に座礁事故を起こし、船体を傷つけたことから2014年以降、大規模修理に入りました。

当初は2017(平成29)年頃には現役に復帰する予定であったものの、2019年4月に火災事故を起こしたほか、バラストタンクなどに不具合が見つかったため、修理期間は延長され、現役復帰は2022年初頭に修正されています。

乗り物ニュースより

そして今、カナダ海軍としては、4隻のヴィクトリア級潜水艦では任務継続が難しいことから、潜水艦の更新を考えているのだが、ではどこから買うか?という話になるのだが、海外への販売実績のない日本の潜水艦が選ばれるのか?というと、微妙な感じだ。

カナダ海軍は、これまでのような近海だけでなく北極圏をカバーできるほどの長距離航行能力を要求しているからである。

日本の潜水艦はこれまで待ち伏せ戦略が主体であったという事を考えても、カナダ海軍のニーズを満たすことが出来るかはちょっと怪しい。

リチウムイオン電池搭載型になってから、ずいぶんと長距離航行性能や潜水性能は改善されたとは聞くけどね。

輸出三原則は重くのしかかる

しかし恐らくは、一番ネックになるのが武器輸出三原則だろう。近年、見直しがかけられているとはいえ、日本がそう簡単に武器が輸出できるようになるとは思えない。

オーストラリア向けで潜水艦輸出が画策されてきた時期もあったが、結局見送られてしまった背景には、日本の潜水艦が高価であることも影響していると言われてはいるが、何より「輸出が難しい」という現状があったためだ。

【そもそも解説】防衛装備移転三原則の見直し 今なぜ武器輸出拡大?

2023年4月25日 18時30分

武器輸出を制限する「防衛装備移転三原則」の見直しに向けた議論が、政府・与党内で始まりました。第2次世界大戦後、日本は半世紀にわたり武器の輸出を原則禁止するなど、平和国家として歩んできました。なぜいま武器の輸出を増やそうとしているのでしょうか。

朝日新聞より

一応、2022年に少し緩められて安保に寄与できるのであれば輸出できるという事になっていて、今であればオーストラリアへの輸出の可能性はあるが、当時は特例扱いで輸出するという話が出ていたほどだ。

では、カナダ海軍ならどうか?というと、恐らくオーストラリアへ輸出するほど簡単な話ではないだろう。オーストラリアなら、クワッドに参加していることやAUKUSに日本が参加するなどの手法で潜水艦輸出への道筋は出来るだろうけれど、カナダはねぇ。

カナダ海軍は韓国製に魅力を感じているようだ

そして、カナダ海軍としても韓国製を入手するほうが現実的だろうと判断しているようだ。

「時間的な制約とカナダのニーズを考えると、韓国のような国から潜水艦を購入するのは理にかなっている」

カナダの大手紙「ザ・エディトリアル・ボード」(5月4日付)に、同国海軍のアンガス・トップシー副司令官はこう答えた。

カナダ海軍では、英国から中古で買った潜水艦「ヴィクトリア」級4隻がトラブルで修理期間が長くなり、ほとんど出港できないという。海軍はこの同級が退役する前に、新たに時間のかかる国内生産を避けて「最大12隻の新型潜水艦を調達したい」としている。

同紙によると、「カナダ海軍にとって最も重要なのは数カ月間の連続運用能力と北極圏をカバーできる長距離航行能力で、韓国のKSS―Ⅲ(島山安昌浩級潜水艦)は、われわれのニーズを満たしている可能性が高い。カナダ海軍は今月中に韓国と日本に視察団を派遣する予定だ」と報じている。

ZakZakより

正直、島山安昌浩級潜水艦をちょっと買いかぶり過ぎのような気はするが、それでも条件を揃えるのであれば、圧倒的に韓国の方が小回りが利くと思う。政治的にも潜水艦販売に圧力をかけてくるはずだ。

何より価格が安くなる可能性が高い。

また、使い勝手も韓国製の方が良いと思う。日本製は、良くも悪くも海外に売るようには作っていないから。

そして、12隻用意したいというのであれば、間違いなく韓国製がお得だろう。日本には現時点でそれだけの数の潜水艦建造能力の余裕は無い。恐らく、日本政府が売り込みを考えたところで、勝負にすらならないと思う。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    こんにちは、暑いね

    これもすんなりとは進みそうもない予感がするなぁ。
    8兆円以上の予算と25年以上の取得年月を見込むカナダ海軍の新規潜水艦調達は、
    オーストラリア並みかそれ以上にスッタモンダしそうな気がする。
    https://www.navalreview.ca/2023/04/new-submarines-for-canada/

    たとえば、候補として型落ちの「おやしお型」はダメなのかね。
    まだまだ海自の現役潜水艦だし、いまならかなりの性能改良が可能。
    日加合弁でカナダの造船所で建造したらいいんじゃないかなぁ。

    • 木霊 木霊 より:

      型落ちで満足していただければ良いのでしょうが、使い方を聞くと、ちょと無理なんじゃないかと。
      カナダはむしろ原子力潜水艦を手に入れるべきだと思いますよ。ただ、アメリカはもう手一杯みたいですから、アメリカから買えないのは辛いところですね。

  2. アバター 匿名 より:

    韓国潜水艦のライセンス元のドイツは、候補になっていないのですか?

    • 木霊 木霊 より:

      今のところは噂程度ですが、おそらくはドイツとフランスは名乗り出てくる可能性が高いようですね。