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広島で開催のG7サミットにウクライナ大統領のゼレンスキー氏登場

外交
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正直、まさか来るとは、という人物の登場に、世界中が驚いただろう。

【速報中】G7サミット閉幕 ゼレンスキー大統領が記者会見

2023年5月21日 20時23分

G7広島サミットの閉幕にあたり、議長を務めた岸田総理大臣は、広島市の平和公園で記者会見を行い、ウクライナのゼレンスキー大統領の対面での参加を得て、連帯を示せたことは意義深いなどと成果を強調しました。

NHKニュースより

広島開催のサミットということで、「核廃絶が焦点」などとピンボケの報道が多かったが、普通に考えればロシアと支那への対応について話し合う場になるのは必然である。

平和を目指すG7サミット

アメリカ大統領は来日した

アメリカ議会が紛糾していて、債務上限問題について話し合う必要があるため、バイデン氏が欠席する可能性について、事前に指摘されていたが、結果から言えば、来日はした。

バイデン大統領 米軍岩国基地に到着 広島で日米首脳会談へ

2023年5月18日 16時43分

G7広島サミットに出席するアメリカのバイデン大統領は18日午後4時ごろ、山口県のアメリカ軍岩国基地に到着しました。このあと広島で岸田総理大臣との日米首脳会談に臨みます。

NHKニュースより

良くも悪くも、G7サミットでアメリカが欠席すれば、会合をする意味をなさない。何故なら、多くのことはアメリカ抜きで決まることはないからだ。

とはいえ、債務上限問題は実際に存在するので、20日午前の会議は欠席したりと、忙しかったようだ。

バイデン大統領がG7の会議を異例の欠席 難航する債務上限協議への対応で G7広島サミット

2023年5月20日(土) 17:29

アメリカ・ホワイトハウスによりますと、バイデン大統領は債務上限問題に対応するため、G7のきょう午前の会議を欠席したということです。サミット開催中に首脳が会議を欠席するのは異例のことです。

TBS NEWSより

しかし、バイデン氏にとっても来日しないという選択肢はなかったようだ。

G7とは何なのか

そもそも、G7って何?という話なのだが、「Group of Seven」の略であり、世界経済、地域情勢、様々な地球規模課題を始めとするその時々の国際社会における重要な課題について、自由、民主主義、人権などの基本的価値を共有するG7各国の首脳が自由闊達な意見交換を行い、その成果を文書にまとめ公表するのが主な目的である。

そのメンバーは、フランス、米国、英国、ドイツ、日本(議長国)、イタリア、カナダで、その他にもEUが参加してG7となるのだが、さらに招待国として数カ国が参加するのが通例となっている。

というわけで、献花台の前に立ったのは9人。

  1. 欧州理事会議長、シャルル・ミシェル
  2. イタリア首相、ジョルジャ・メローニ
  3. カナダ首相、ジャスティン・トルドー
  4. フランス大統領、エマニュエル・マクロン
  5. 日本内閣総理大臣、岸田文雄
  6. アメリカ合衆国大統領、ジョー・バイデン
  7. ドイツ首相、オラフ・ショルツ
  8. イギリス首相、リシ・スナク
  9. 欧州委員会委員長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン

という並び順になっているらしい。なお、過去にこの並び順についてメディアが文句をつけていたことがあった(安倍氏の時だったか、端の方に並ばされて、注目されていないとかいう報道をしたアホがいた)が、中央が議長国で、その両脇に国家元首が並ぶ。その外側に在任期間の長い順に議長に近くなるように配置される。絶対そうなるというわけではないようだが、概ねそのようなルールで立ち位置が決まるようだ。

で、これだけ豪華な顔ぶれが集まるので、警備は極めて厳重に行われる。きっと、日本の警察は大忙しだったと思う。

重要な局面を迎えた

ゼレンスキー氏が来た

警察が忙しかった理由は他にもある。

なんと、ロシア軍に進行されているウクライナ大統領のゼレンスキー氏が緊急来日したからだ。

もちろん、G7のテーマがそうであるように、ゼレンスキー氏来日もちょっと前から決定していた。

ゼレンスキー氏が米軍機で訪日か、G7に出席 欧米メディアが報道

2023年5月19日 17時32分

ウクライナのゼレンスキー大統領が広島を訪れ、21日に主要7カ国(G7)サミットに対面で出席する見通しだと、欧米メディアが19日昼、相次いで報じた。実現すれば、ロシアがウクライナに侵攻を始めた昨年2月以降、アジアへの訪問は初めてとなる。

朝日新聞より

直前になって、アメリカ空軍の軍用機で来日するなどという話も報じられたが、結局は、フランス機で来日することになった。

訪日はこれまで明らかになっておらず、どのようなルートで日本に来るのかは現時点ではわかっていない。G7サミットではウクライナ情勢が焦点の一つで、岸田文雄首相は3月にウクライナを訪問した際、ゼレンスキー氏にオンラインでのG7への出席を要請していた。

ゼレンスキー氏は今月3、4日にフィンランドとオランダを訪ね、13~15日にはG7メンバーのイタリア、ドイツ、フランス、英国も相次いで訪問した。

朝日新聞より

朝日新聞はとぼけたことを書いているが、この情報はブラフで、実際にはフランス機を利用して来日した。

G7へフランス機利用 ゼレンスキー氏が要請

2023/5/20 15:14

ウクライナのゼレンスキー大統領が広島サミットまでの行程でフランス機を使ったことについて、仏紙ルモンド(電子版)は、マクロン仏大統領がゼレンスキー氏と会談した際、同氏から要請を受けたと報じた。ゼレンスキー氏は14日、欧州歴訪中にパリを訪れ、マクロン氏と会談している。

産経新聞より

5月14日にはゼレンスキー氏はフランスに赴いており、この時点で要請をしたことを明らかにしているように、今回の話は前々から綿密な計画が立てられていた。

最大の目玉はモディ氏に会うこと

そして、ウクライナ大統領が何故今回のG7サミットに顔を出したのかといえば、一番の目的はG7諸国を味方につけたというアピールだとは思うが、もう1つ大切な仕事があった。

それが、インド首相、モディ氏に会うことである。

ゼレンスキー大統領、広島でモディ印首相と会談

2023/5/20 20:08

先進7カ国首脳会談(G7広島サミット)の拡大会合に出席したインドのモディ首相は20日夜、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。首相官邸のツイッターは、両首脳が握手を交わす写真を投稿した。ゼレンスキー氏はフェイスブックに「ウクライナの平和構想を説明し、インドに参加を呼び掛けた」と投稿した。

産経新聞より

自身のフェイスブックに「ウクライナの平和構想を説明し、インドに参加を呼び掛けた」と投稿する程の力の入れようである。

パワーバランス的に、中立を守っていたインドだが、インドとしては支那と対立する部分があるためにロシアとの長い付き合いがあったのだが、ここへ来て、ロシアも支那も国際社会の敵となってきたため、もはや、中立を守る意味はないと判断したのだろう。

バイデン&ゼレンスキー大統領を来日させた岸田首相の猛プレッシャー「これができなきゃ外務省はいらねえ」担当者は生きた心地せず

5/19(金) 20:01配信

5月21日まで、広島市で開催されている「G7広島サミット」。19日には各国首脳が揃って原爆資料館を訪問し、平和記念公園で献花をおこなった。

21日にはクアッド(日米豪印4カ国)首脳会談も、広島市でおこなわれる。これはもともと24日にオーストラリアで開かれる予定だったが、米バイデン大統領が豪州訪問を取りやめたため、急遽、変更になった。

「日本での開催は、岸田総理の鶴の一声で決まりました。アメリカも中止の意向でしたが、日本からの猛プッシュで実現したのです」

Yahoo!ニュースより

この記事では岸田氏に批判的に書いているが、今回のG7サミットを実現させたのは岸田氏の外交的手腕として誇っていいと思う。

色々なパズルが、奇跡的なタイミングで上手く噛み合った。特に、クアッドの会合を広島で行うように調整できたことも、非常に大きかったと思う。

劣勢のロシア

ウクライナでの戦況ははっきりしない部分も多いが、激戦地バフムトではウクライナ側の苦境が伝えられている。先日には、ついにロシア軍がバフムトの制圧を果たしたとの報道が出たが、ゼレンスキー氏はそのことは否定している。

ゼレンスキー大統領 ロシアによるバフムトの掌握を否定

2023年5月21日 18時43分

ロシア大統領府は、プーチン大統領が、ウクライナ東部の激戦地バフムトを完全に掌握したことを祝福したと発表し、戦果をアピールしました。一方、G7広島サミットに参加しているウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるバフムトの掌握を否定しています。

NHKニュースより

このニュースは前日にロシアの民間軍事会社「ワグネル」のトップが、「バフムトを制圧した」と主張したためだ。

ワグネルトップ「バフムト制圧」 ウクライナは否定

2023/5/20 23:12

ロシアによるウクライナ侵略に露軍側で参戦している露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は20日、最激戦地の東部ドネツク州バフムトを「完全に制圧した」とする声明を交流サイト(SNS)上で発表した。バフムトでは昨年夏以来、半年以上にわたり激戦が続いてきた。プリゴジン氏の主張が事実であれば、露軍にとって久々の目立った「戦果」となる。

~~略~~

プリゴジン氏は声明で「25日からワグネル部隊をバフムトから撤退させ、休息させる」と指摘。プーチン露大統領やスロビキン露軍副司令官らに支援への謝意を述べた一方、プリゴジン氏との確執が指摘されてきたショイグ露国防相とゲラシモフ参謀総長を「戦争を個人の娯楽にしている」などと名指しで非難した。

産経新聞より

ワグネルのトップ、プリゴジン氏は嘘つきなので、バフムト制圧の話が本当かどうかははっきりしないが、25日から撤退するというのは本気だろう。

少なくともワグネルは、バフムトより先に進むつもりはないのだ。

6月にナワリヌイ氏支持デモ ウクライナ侵攻下で異例―ロシア

2023年05月19日06時56分

ロシアのプーチン政権を批判し、収監中の反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の陣営は18日、本人が47歳を迎える6月4日、釈放を求めて国内外各地で街頭行動に出るよう支持者に訴えた。ウクライナ侵攻を続けるロシアでのデモ呼び掛けは異例。

時事通信より

そして、不可思議な動きも出てきている。

どうにも、ロシア大統領のプーチン氏の求心力が落ちてきており、ロシア国内で反プーチンの動きが活発化してきているようなのだ。

ロシアの国内基盤も揺らぎ始めている。前線維持もだんだん困難になりつつある。プーチン氏にとってこの1年は全く思い通りにならない年だったのだろう。

非難を強める2カ国

そんなプーチン氏、前回も岸田氏にしてやられたが、今回もまたかなりご立腹のようだ。

プーチン大統領「極めて強力な反ロシアプロパガンダ」欧米非難 G7首脳 対ロ制裁強化表明するなか

2023年5月20日(土) 00:13

G7広島サミットで対ロシア制裁の強化が示される中、プーチン大統領は「極めて強力な反ロシアプロパガンダが繰り広げられている」と述べ、欧米を非難しました。

TBSニュースより

似たような反応をしたのが支那だ。

中国 G7首脳宣言は「中国を中傷し攻撃するもの」と強く反発

2023年5月21日 0時57分

G7広島サミットで首脳宣言が発表されたことなどについて、中国外務省は「中国を中傷し攻撃するもので、強烈な不満を表明するとともに断固反対する」と強く反発し、日本などに厳正な申し入れを行ったとしています。

NHKニュースより

まあ、両国にとっては面白くはないだろう。

何故ならば、ウクライナをG7各国が支持をするという共同声明を出してしまったからだ。まさに、ウクライナとしてはありがたい共同声明ではあったとは思うが、逆に言えばG7としても打算があったのだと予想できる。

ロシア劣勢の状況が鮮明化しはじめたので、更に強力な後押しをして事態を進めようというのが、彼らの思惑なのだと思う。

G7は対決姿勢を

実際に、発表された声明では、ロシアも支那も名指しで非難されたからだ。

ウクライナ支援、「必要な限り」 G7首脳が共同声明

2023.05.20 Sat posted at 23:00 JST

主要7カ国(G7)の首脳は20日、共同声明を発表し、ウクライナに対して、ロシアによる不法な侵略戦争に直面する中で必要な限りの支援を行うことで合意した。

具体的には外交、財政、人道、そして軍事面でウクライナへの支援を強化し、ロシア及び同国の戦争を支持する側に一段の代償を支払わせることを約束した。またウクライナに対しては揺るぎない支援を必要な限り行うと確認。広範囲にわたる正当かつ永続的な平和を同国にもたらすとの方針を示した。

首脳らはこの他、中国に対してロシアに圧力をかけるよう要求。自軍を即刻ウクライナから完全かつ無条件で撤退させ、侵略を止めるよう迫ることを求めた。

共同声明には「我々は中国が広範囲にわたる正当かつ永続的な平和を支持するよう促す。そうした平和は領土の一体性及び国連憲章の原則と意義に基づくものであり、その過程にはウクライナとの直接の対話も含まれる」とある。

CNNより

なかなか素晴らしいG7の共同声明であったと思う。

被爆地だった広島で開催され、広島平和記念資料館に各国首脳を招待できたことも、意義はあったと思う。長崎で開催する手もあったとは思うが、核兵器が使われたらどうなるのか、ということを各国首脳に印象づけられただけでも意味があったのではないか。

こうした国際的な会議を成功させた岸田氏は、おそらく解散総選挙という手に打って出ると思うが、内政はどうにも不安要素が多いんだよね。次の政権を作り上げるなら、林氏や茂木氏は遠ざけたほうが無難だぞ。

そして、日本は世界平和について重要な局面を迎えた段階で、大きな会議を実現させたのだから、日本としての責任を果たす必要について、再認識する必要があると思う。

コメント

  1. アバター ken より:

    岸田首相は、さすが外務大臣の経験があり外交は上手いし外務省の使い方も上手いのでしょうね。まさか林さんが裏で汗かいてまとめ上げているようにも思えませんがw時の首相に全てを求められないのは分かっていますが内政で不満が多いですが、内政と外交は全然違うのでしょうかね。まあ内政はシガラミを持つ議員だらけでしょうから。
     話は変って、ゼレンスキー大統領と韓国大統領が会談し、相応の援助を約束したとか。国内世論はロシアに睨まれる、絶対中立、絶対コウモリが韓国の生きる道だとの世論が噴出。コレでG8が近いなんて寝ぼけた事を今でも言っているようでw

  2. アバター 砂漠の男 より:

    今回のG7サミットは、岸田氏には出来過ぎな気がする。外交面ではかなりの高得点を挙げたと言えるだろう。(逆に、盟友”林外相”はまったく目立たない。支那への体面を気にしているのか?)

    ただ、地元広島でのアピールであるから、岸田氏が核廃絶を唱えるのは結構だが、本気で言ってもらっても困る。なぜなら、核保有国のロードマップに核廃絶は”ない”のだから。

    今回のG7サミットの核心は、露西亜と支那、北鮮に対する協調的な「核抑止」、追加制裁、そして露西亜への抜け道になっている印度の自由主義陣営側への取り込みだろう。
    このあたりを、しっかり国民に説明してほしい。今はヘラヘラしている場合ではない。

    さて、韓国のユンユン氏も今回G7に招待されたが…..
    韓国マスコミは、G7サミットに先立ち、こぞって”G8構想(韓国のG7入り)”のウワサを実しやかに流していたのだが、米国にアッサリ拒絶された。
    https://v.daum.net/v/20230516162700542

    韓国マスコミは「日本が韓国のG7入りを邪魔している」と言いたいらしいのだが。
    他方で、韓国与党報道官は「大韓民国は心理的G8国家の階級に上がった」とか。
    将来的には、印度のほうが余程その可能性は高そうだが..。
    こちらの理解が追い付かないが、いつもの韓国らしさが出ていて微笑ましい。

    さらに、日本が各国首脳らを原爆資料館に案内したことに対しても、「原爆資料館は日本の戦争責任に触れていない」と、この反応もいつもの韓国でブレていない。
    https://v.daum.net/v/20230520062044995
    ユンユン氏は、韓国大統領として初めて、在日韓国人被爆者に面会したが、韓国内では原爆を巡っても保革が対立しているようだ。

  3. アバター 匿名 より:

    ブラジルのシルヴァ大統領はゼレンスキー大統領から逃げた

  4. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    実際問題として、サミットが開催され成功裏に終わったからといって、世界がその瞬間から激変するというものでもないわけで。
    でも、未来の教科書には、「この日を境に」とか書かれても問題ない出来事ではあったと思います。
    「我が代表堂々退場す」
    ではなく、
    「我が代表堂々主役に登場す」
    でしょうかね。
    最低でもその程度には、世界史にインパクト与えたと思います。