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【韓国】地下駐車場の崩落したマンションの建て替えを要求する住民たち

ビルディング
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まあ、当然の反応でしょうな。

韓国・マンション駐車場崩壊…入居者「マンションも再施工せよ」

2023年5月15日 10:00

韓国・仁川市西区黔丹で先月末に発生したマンション工事現場の駐車場崩壊事故に関連し、責任を一部認めている施工会社GS建設が入居予定者が求めるマンションの「全面再施工」に応じるか注目されている。

APFより

先日のニュースの続報なので、取り上げておきたい。大したネタではないんだけど。

腹の虫が治まらない入居予定者達

地下駐車場の屋根スラブが崩落

前回の記事で、ザックリと説明はしているのだが、簡単に要約しておこう。

  1. 韓国・仁川市西区黔丹のマンション工事現場で地下駐車場2階の屋根構造物が突如崩落
  2. 当日、地下駐車場上部に土を注ぐ盛土作業がなされていた
  3. パンチングせん断と呼ばれる破壊状況で、柱と屋根スラブの構造に問題があり、天井が抜けてしまった
  4. 後の調査で配筋されるべき鉄筋が少なかった
  5. コンクリートの強度不足が疑われる
  6. レミコン水増し疑惑があった

とまあ、こんなところだろうか。

img

普通はこんなことにはならない。

人的被害はなかったが

幸いなことに、大規模な崩落事故ではあったが人的被害はゼロ。

事故は先月29日午後11時30分ごろに発生。主要工程が終わった状態の地下駐車場(1・2階)の屋根層スラブ(970平方メートル)が崩壊した。人的被害は出ていない。

APFより

そのことは良かったんだけど、上に紹介したように明らかな施工ミスが幾つも見つかっていて、マンションに移住予定の住人は怒り心頭であるようだ。

韓国の場合、不動産開発バブルが弾け飛びそうになってはいるが、これまで不動産投資が加熱していて、マンションの部屋を手に入れるための権利を抽選で手にして購入に至る。そのマンションの部屋をまた転売するというのが、韓国のスタンダードであった。

すでにバブル崩壊の兆しにあるので、価格が下落している物件があるために、過去のやり方は成り立たないだろうが、安全面に不安があると一気に価格が下落してしまう。「冗談じゃない」と怒るのにも無理はない。

建て直せ!

という訳で、入居予定者協議会が立ち上げられて、全面再施工を要求しているのである。

入居予定者協議会は同4日に出した声明で「安全診断結果と関係なく全面再施工することを要求する」と声を上げた。

APFより

「安全診断結果とは関係なく、全面再施工をしろ」というのは、流石にちょっと暴論ではあるが、しかし、手抜き工事が地下駐車場だけの訳が無い。そういう意味では全面再施工というのは割と妥当な話。

もちろん、建設業者の方は、丸損になってしまうので建て替えはやりたくない。だから、検査をして「安全ですよ」と宣言をしたいのだが……。それをどこまで信用できるか?というのがマンションの価格に影響するわけで。資産価値が大幅に下落してしまうのは、居住予定の方々は避けたいというのが本音だろう。

まあ、資産価値が物理的に崩壊しちゃったし、売るに売れない物件になっちゃったのだから、気持ちは分かるけれどね。

マンションを建設したのはGS建設

マンションのコストが上がる

さて、一連の記事で言及していなかったが、件の物件の建設を行った会社は、GSグルーブ参加のGS建設という企業のようだ。

武漢ウイルス感染症拡大に伴って、韓国の不動産事業にも変化が現れた。既に価格高騰は頭打ちになりつつあって、マンションを持っていればどんどん価値が上がる時代ではなくなっている。

コロナ禍で「高級化」韓国マンション共同利用施設…映画館・プール・キャンプ場まで (上)

2023年2月8日 14:00

韓国の分譲マンションやアパート、団地のコミュニティー施設(共同利用施設)が進化している。ゴルフ練習場とサウナはすでに必須要素に位置づけられ、高級コミュニティー施設と入居者のライフスタイルに合わせたサービスを提供するなど業界の変化が激しくなっている。背景には新型コロナウイルス感染拡大に伴って入居者の行動半径が小さくなり、手近で楽しめる施設が求められていることがあるようだ。

AFPより

そこで、マンション建設業者は一斉にマンションに付加価値を付け始めたというのがこのニュース。

GS建設は2020年11月、韓国業界初のコミュニティー統合サービスブランド「ザジャイアンビー(XIAN vie)」を発売した。以後、CGV▽クムヨンエンターテインメント▽アワーホーム▽チャランダザラダ――と業務協約を結び、マンションコミュニティーを「ライフタイムプラットフォーム」に進化させている。

AFPより

その流れの中でGS建設も積極的にマンションに付加価値を付ける動きを見せていたわけだ。

海外展開がトレンド

しかし、そこまでやっても韓国国内でのマンション需要は頭打ち。

韓国の建設会社、国内分譲市場の悪化で海外進出を模索

登録 : 2023-03-03 10:39:33修正 : 2023-03-03 10:39:33

韓国の国内主要建設会社が海外市場の拡大で活路を模索している。国内分譲市場の悪化で住宅事業の不振に対する憂慮が高まっているうえ、高金利と原材料価格の上昇などの影響で建設景気の低迷が予想され、海外に目を向けているのだ。

~~略~~

昨年、約3兆4200億ウォン規模の海外工事を受注した現代建設は先月7日、世界最大の建設会社である中国建築工程総公司(CSCEC)とMOUを結び、東南アジア事業の拡大に乗り出した。

サムスン物産も昨年、海外プロジェクトの成果を基に好業績を記録するなど、海外建設の受注に力を入れている。サムスン物産は昨年、カタール太陽光発電所事業やベトナム複合火力発電プロジェクト、マレーシア半導体工場など大型契約を結んだ。GS建設も水処理子会社「GSイニマ」を前面に出してブラジルとベトナム、スペイン、中東など各国で大規模海水淡水化事業を受注している。

亜洲日報より

そこで、海外需要を当て込んで大規模な建設事業の受注に動いているというのが、実情である。GS建設も例に漏れず、そういう企業の1つだったようだ。

つまり、内需が萎んできたので海外に打って出た、という状況なんだよね。

ただまあ、GS建設のこの海外展開は、株価を見る限りは歓迎されていないようで。つまり、このマンション建設現場も、資金が潤沢にあったという訳ではないのだと言うことが示唆される。

衝撃の韓国新都市駐車場崩壊…「施工主が鉄筋を入れなかった」
中央日報 - 韓国の最新ニュースを日本語でサービスします

これが、「施工主が鉄筋を入れなかった」という話に繋がってくるのだと思う。

不動産プロジェクトファイナンス

で、こうした資金調達のために発行されているのが、不動産プロジェクトファイナンスなのだが……。

韓国・不動産市場が崩壊の兆候…建設会社の倒産続出に警戒、PFへの新規融資凍結

2023.03.03 06:00

韓国の建設業界に激震が走っている。資金調達難や不動産バブル崩壊で大量の建設会社や不動産会社が破たんに追い込まれるのではないかといわれているからだ。中小零細だけでなく、大手の建設会社にも飛び火し、韓国ロッテグループでは建設会社を支援するグループ会社の経営にも大きな波紋が広がっているという。

きっかけとなったのは江原道が推進していたレゴランド開発事業での債務不履行だ。

biz-journalより

地方自治体である江原道が展開していたレゴランド開発事業だが、当然ながら不動産プロジェクトファイナンスを発行して資金調達をしていた。江原道はとんでもない田舎で周囲に何もない。そんなところにレゴランド開発事業をやろうとするのだから、資金調達も簡単ではない。だから、行政が発行する不動産プロジェクトファイナンスを発行した。

ところが、これが転けてしまう。

レゴランドも不動産PFを活用して2050億ウォンのABCP(Asset-backed Commercial Paper、資産担保コマーシャルペーパー)を発行した。レゴランドのABCPは自治体の債務保証がついているということで短期社債としては最高のA1という格付けを獲得していたが、道が債務保証の履行を拒否し再生手続きの申請を行ったことで、A1からD(デフォルト)の評価に変わり、PF市場は大混乱に陥った。

biz-journalより

計画がそもそも無理があったのだが、行政が発行していたので債務保証付きで人気があったPFだったが、江原道が「もう無理」と手を挙げてしまったことで大混乱に陥る。韓国のPF全体に信用が無くなってしまったのだ。

こちらの記事にも書いたが、そんなときに韓国電力が大量の債権を発行しているのだから、モー大変。

韓国経済失速

ただでさえ韓国政府が政策金利をアメリカに付き合って引き上げるよう指示を出していたが、韓国銀行は今年1月の時点で3.5%にしてから据え置きにしている。アメリカは驚きの5.2%となっていて、こうなってくると韓国への海外からの投資は冷え込む。

一方で、韓国経済は物価上昇と景気後退が同時に進行するスタグフレーションに陥っている懸念があり、政策金利の引き上げは物価上昇の引き締めに寄与しないばかりか、債務の増幅を推し進めてしまう。既に韓国民の大半は借金で首が回らない。

では、マンションは誰が買うの?というと韓国民なのだから、もはや打つ手がないのが実情である。

そんな中でマンション投資に更に水を差しそうな話が、本件のマンションの地下駐車場崩落の話だ。

もう1つ。企業が資金調達のために社債を発行しようにも、高金利でも買って貰えない状況が続いているというのが韓国電力事案と関わっている。

つまり、GS建設がマンションの建て直しをやる可能性は限りなく低く、これも不良債権化する可能性は高いのだ。

追記

コメントを頂いたので、追記の形で補足しておく。いやー、GS建設はスゴイね!

[単独] GS建設「崩壊」事故、最近3年間でまたあった

入力2023.05.19 午後12時 修正2023.05.19 午後3時11分

GS建設が先月29日、仁川検団新都市アパート駐車場事故のほか、「崩壊」事故をさらに起こしたことが確認された。

JTBCが最近3年間で建設工事中に発生した「崩壊」事故を分析した結果です。

国土交通部傘下国土安全管理院の建設工事安全管理情報網によると、GS建設のあるアパート建設現場(ソウル江南区開浦洞)で2020年8月26日に崩壊事故が発生しました。

当時の報告によると、労働者はデッキプレート、すなわちコンクリート打設のための構造物の上で作業していた間に床が崩れ、3.3m以下に墜落した。この事故で労働者4人が怪我をしました。

建築構造技術士は、これに対して「構造設計を誤ったり、施工を設計通りにしなかったために発生した問題」と診断しました。続いて「当時事故が起きた時点は冬ではないので、コンクリート養生の問題でもない」と付け加えた。

NAVERより

GS建設がここ3年ほどで扱った物件の中で、幾つか崩落事故があったらしい。ここで指摘されているケースではデッキプレートが崩れたらしい。

えーと、デッキプレートとは、亜鉛メッキを施した長尺に作られた鉄板のことの事らしい。

事件のあった現場の写真

ん?デッキプレート?

デッキプレートというと、こんな感じの波板のことを指すハズなんだけど、現場の写真を見る限り、コンクリート打設をしているように見える。更に、黄色い枠の中はシャビコン(水分を過多に加えたコンクリート)とバラバラになっている鉄筋が見える気がする。

……あれ、ここでも鉄筋を縛ってないね。結束線は一体どこに??韓国は結束線使わないんだろうか。

1つ分かることは、韓国の建設現場では、度々こういうことが発生していると言うことだよね。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    建設会社を倒産して、責任者はトンズラというオチでお終い?
    当然、建築会社の資産は持ち逃げで。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    建て直しを求める入居予定者の気持ちはよくわかります、当たり前ですよね。

    でも、建て直したそれが大丈夫だとは、誰も保証してくれないんですよね……

    ※一応の保証というか建築許可とか検査合格とかあるだろうけど、そもそも潰れたこれも「合格」はしていたはずですよね?

    • 木霊 木霊 より:

      まー、次の工事の時にはしっかりと施工するというのが前提の、再施工ですからねぇ。
      しかし、GS建設の懐具合の事を考えると、より酷い施工になっても不思議はありません。
      恐ろしい話ですが、韓国の建築業界を見ていると、検査合格に果たして意味があるのかどうか。

      • アバター 七面鳥 より:

        >検査合格
        「それ、おいしいニカ?」

        必要なコスト的には、短期的には、おいしくないかもですね。
        これを積み重ねて、長期的に信頼されるとおいしくなるのですが……そういうの、あの国でみたことないですね。

        • 木霊 木霊 より:

          検査合格問題は、正月頃に歪んでしまった橋ですらトップレベルの安全性があるという判定でした。
          真っ当に検査をやっているとは思えません。

  3. アバター 七面鳥 より:

    連投失礼。

    同じ会社で、三軒目だそうで。

    https://rakukan.net/article/499442938.html

    • 木霊 木霊 より:

      ありがとうございます。
      別の記事にしようかと思いましたが、追記で済ませました。
      なかなか酷い話に見えるんですよねー。

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