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完工前に地下駐車場が崩落してしまった韓国マンション

ビルディング
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まあ、いつものアレだ。

完工5ヶ月控えて地下駐車場崩壊… 怒る入居予定者

入力2023.05.02 午後5時47分 修正2023.05.03 午後1時46分

完工を5カ月余り控えた仁川のマンション新築工事現場で駐車場構造物崩壊事故が発生し、入居予定者が真相究明を訴えた。

NAVERより

どうして韓国の建物は崩れてしまうのん?

いつもの

地下駐車場の屋根構造物が崩落

写真を見ても何が起こったかはさっぱり不明だ。

入居予定者たちは怒り心頭のようだ。

チョン・ヘミン入居予定者協議会会長は「最も安全が守られなければならない空間で崩壊事故が発生し、凄惨な心情を成し遂げることはできない」とし「原因把握と安全診断が最優先で行わなければならない」と主張した。

入居予定者のドンモ氏は「大型建設会社が事業管理と施工を引き受けて信じていたのにひどいことが起きた」とし「私たちはただ安全な家に住みたいだけ」と訴えた。

NAVERより

いっちゃあアレだが、韓国において「安全な家に住む」というのは結構高い要求なのかもしれないぞ?

外部衝撃なく崩れる

で、問題は何が起こったか、である。

ユ・ジョンボク仁川市場は「1年近くになったスラブが外部衝撃もなく崩れたのは深刻な工事欠陥があると見るしかない」とし「仁川市館内すべてのGS建設事業場に対して全面調査を進める」と強調した。

NAVERより

ちょっと翻訳の精度の問題なのか、該当箇所らしき部分を読んでもいまいち意味が分からないのだが、アパート新築現場の地下駐車場の天井が剥がれ落ちたっぽい。

「剥がれ落ちた」の意味が分からないのだが、鉄筋はしっかり入っているっぽいんだよな。

ただ、相変わらず結束されている様子が見受けられない。交差箇所の全部か、何カ所おきかで結束されるハズなんだが……。そして、本当に鉄骨がない。

いや、そもそも天井スラブに梁になる鉄骨が無いからこそ「無梁版構造」と呼ぶのだが、ここで言いたいことはそう言うことでは無いんだよね。上の写真では外周には梁が設けられている様子なので、内周部分に「無梁版構造」を採用しているってな話になると思う。そうすると、ある程度のスパンでは梁があっても不思議は無い。

橋の方はどう考えても鉄骨が必要だったところに、どこにも鉄骨が見当たらなかったわけなんだが。

どうやったらこうなるのか

屋根スラブが崩落したようだ

更に気になる部分はここかな。

当時事故で人命被害はなかったが、地下駐車場2階の屋根構造物の合計970㎡が破損した。屋根構造物はコンクリートを注ぎ、平らな形で作られたスラブで施工されたと把握された。

施工業者は事故当日午前、地下駐車場上部で土を注ぐ盛土作業がなされた事実を確認し、事故原因を調査中だ。

NAVERより

「平らな形で作られたスラブ」とは、いわゆる屋根スラブのことらしい。これが崩れたらしいのだが、「土を注ぐ盛土作業がなされた」と書かれている。

土を注ぐ??

確かに、土が落ちてきている。

そして、こちらの画像でも、目視できる範囲で結束線が1つも見つけられない。そして、鉄筋にコンクリート片がくっ付いていないように見受けられることだ。中央辺りを斜めに軽鉄のフレームらしきものも見えるのだが、形状からして天井を支えていたパイプのようにも見えるので、鉄骨とは断定し難い。

日本の建築物と比べてみる

こちらは日本において地震の影響で駐車場を支えるコンクリート柱の表面が剥離した様子の写真である。

これだけで何となく言いたいことは分かっていただけると思う。

柱と天井では比較が出来ないと言われる方のために、別件ではあるが韓国での事例を1つ紹介しておこう。

2017年11月に発生した浦項地震で崩れた柱

これも手抜き建築ではないか?と指摘された事例の1つだが、興味深いことに縦方向に配置される主筋のピッチはさほど変わらないが、横方向に配置される帯筋のピッチが大きく違う。更に柱の中に塩ビパイプが見えるのは目の錯覚か?!

土圧に耐えられる設計ではない

問題の現場は、屋根スラブの上に土を入れたら崩れ落ちたとも理解できる文章なので(外部衝撃なく落ちたと書かれてはいるが、土を注いだ後に壊れたとも書かれている)、土圧を考慮していなかったから崩れたと理解すべきだろう。

そして、崩れた部分に鉄骨が見当たらない。

これは現場の写真をパネルにしたモノっぽいのだが、これが崩れた時の上からの写真だとすると、かなりヤバイ感じだ。残った柱部分もそうだが、何より床部分というか、壁部分がごっそり落ちる形なのが異常である。

横方向に梁として鉄骨配置してないなんてことはあり得るのだろうか??

柱30本に鉄筋がなかった

この話、調べたらとんでもないことが分かったらしい。

マンション駐車場崩壊、柱30本に鉄筋なかった /仁川

記事入力 : 2023/05/10 10:03

仁川市の黔丹新都市のマンション建設現場で最近発生した駐車場崩壊事故で、施工を担当したGS建設が柱30本余りに本来必要な鉄筋を使用していなかったことが原因であることが9日までに判明した。問題の事故は4月29日、マンション建設現場で地下駐車場1-2階の天井と床が崩壊したものだ。深夜に発生したため、人命被害はなかったが、970平方メートルの構造物が壊れた。

朝鮮日報より

うーん、梁がないから問題だったと思ったら、柱に鉄筋が入っていなかったという、アホみたいな続報が。

GS建設によると、同社が超音波撮影で確認した結果、地下駐車場の柱約700本のうち、30本余りで設計図上に設置されていなければならない『せん断補強筋』が抜けていることが分かった。

朝鮮日報より

うーん、剪断補強筋が抜けていたのか。

この話は上の方でも触れているのだが、柱に縦方向に配置する主筋に対して、外周をぐるりと一周巻くのが剪断補強筋で、韓国ではどこの現場でも似たようなことが起きるようだ。

上で紹介した記事でも日本のソレに比べて剪断補強筋の数が少なかった様子を指摘した。韓国では恒常的にやる手抜きなんだろう。

そういえば、過去にも似たような話を書いた記憶が。

韓国では珍しくない

地下駐車場は手抜き工事が恒常化?

見栄と虚構の韓国ビル」の記事では、花亭アイパークマンション新築工事で上層部(23~38階)が崩落した記事を扱ったが、この話、続報があった。

崩壊した韓国新築マンション工事現場の作業員「昨年は地下階の手抜き工事疑惑」

登録:2022-01-15 09:03 修正:2022-01-15 09:21

先日の崩壊事故で6人の労働者が行方不明になった光州西区(クァンジュ・ソグ)の花亭(ファジョン)アイパークマンション新築工事について、地下階の壁面と柱の複数カ所でコンクリートがはがれ落ち、鉄筋がむき出しになるなど、工事の初期から手抜き工事だったという疑惑が提起された。

ハンギョレより

この崩落したマンション、上層部の作りが拙かっただけでなく、地下駐車場の作りも最悪だったという記事で、ちょっと理解が出来ない写真が添付されている。

地下の柱:コンクリート充填不足

こちら、コンクリートの充填不足もさることながら、こちらも剪断補強筋が見当たらない。

地下の壁面:コンクリート充填不足

こちらの壁面も、スカスカとかいう以前の写真なのだが、これで「完成」だったのかと思うと恐ろしい。崩落して居住できなくなったことは良かったのでは?とすら思う。

何しろ、これが施行途中の状態だという事はあり得ないし、後からコンクリートを補充するという事もあり得ない。硬化してしまうと、コンクリート同士はくっ付かないんだよね。

いずれのケースも人が入居する前で良かった、としか言いようがない。

追記

追加情報がもう少し出てきたね。

韓国技術士会「マンション駐車場の崩落、鉄筋・コンクリート施工不良の可能性」

2023.05.11 17:31

先月末に仁川の黔丹新都市のマンション建設現場で発生した地下駐車場の天井崩落事故の原因として、韓国技術士会は鉄筋・コンクリート工程の施工不良の可能性を提起した。このマンションはGS建設が建設している。

中央日報より

調査結果は色々書かれているが、まだ調査の途中の段階で以下のような話が出てきているようだ。

  • 鉄筋の配筋が不十分
  • 鉄筋の継ぎ目部分が集中しないように配列しなければならないが守られていなかった
  • 柱部分と連結するせん断補強筋が不足
  • コンクリート強度不足
  • 鉄筋とコンクリートの付着力が不十分
  • 「レミコン水増し」疑惑

日本ではあまり見ないが、無梁版構造(フラットスラブ構造)を採用していたようだ。どうりで梁が見当たらないわけである。其れが故にパンチング破壊が起こって、天井に使っていた床版が抜けたのだろう。

あと、気になったのは「レミコン水増し」の話。「レミコン」は確か商標だったはずなんだが、使っていいのか?という疑問はさておき、生コンとほぼ同義の言葉である。レディ・ミックスド・コンクリートの略語で、工場でセメント、骨材(砂・砂利)、水、混和剤などを配合し混ぜてから90分以内に現場で使うのが一般的なルールとなっている。

ところが、材料をケチって水増しして使っちゃう困ったケースもあるらしい。シャブコンとも言われるね。コンクリートは化学反応(水和反応)によって硬化するので、適切な配分で混成しないと強度が著しく落ちちゃうんだよね。日本でも問題になったことはあった。

ところが、シャブコンは流動性が高いので施工の手間が飛躍的にかからなくなるメリットがある。写真でコンクリートと鉄筋がくっついていないように見えたことからも、シャブコンを使っていた可能性は高そうだな。

コメント

  1. アバター ken より:

    不良工事でも、まだ日本はマトモでしょうか…札幌の大成建設の件では、建て直すと言っていますから…

  2. アバター 砂漠の男 より:

    こういう物件が本当に多い、韓国。
    関係者が意図的に手抜きをしているなら事件性アリだ。
    まともな建築士も施工業者もほとんどいないんじゃないの?

    • 木霊 木霊 より:

      今年になってもこの手のニュースがあっちこっちで見られるというのは、「さすが」としか。

  3. アバター name より:

    >いずれのケースも人が入居する前で良かった
    業者的には、金もらって会社を解散(バックレる)前にばれちゃって、ついてなかったといったところでしょうか。

    • 木霊 木霊 より:

      どうなんでしょうね。
      こうした案件は発覚しない話も相当あるということかもしれません。

  4. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    鉄筋もそうですが、ちょっと前に日本でも問題になった
    「海砂&シャブコン」
    問題も、報道されてませんが絶対にあると睨んでます。

    ※関西生コン「セメントいて~」

    • 木霊 木霊 より:

      海砂でシャブコンですか。間違いなくありそうです。
      日本でも海砂使う技術はあるんですが、なかなか使うには問題が多いので一般化するのは難しそうですね。

      韓国の建設業界では常態化している可能性はありそうです。