関西生コン支部の委員長に実刑判決が出る → 別件では無罪に

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せめんといて!

関西生コン支部の委員長、威力業務妨害で実刑判決 弁護団「正当な組合活動」

2023年3月2日 20:57

生コンクリートの調達を巡り、工事を妨害したとして威力業務妨害などの罪に問われた全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)執行委員長の男(50)ら6人の判決公判が2日、大津地裁であった。畑山靖裁判長は、執行委員長に懲役4年(求刑同8年)の実刑判決、執行委員ら5人に懲役3~1年の執行猶予付き判決(求刑懲役4年6月~同1年6月)を言い渡した。

京都新聞より

過去に取り扱ったニュースの続報だね。簡単に触れていこう。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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労働争議と活動家達

判決では威力業務妨害が認定された

関西生コンの問題は、構造的にわかりにくい。

弁護側は「正当な労働組合活動だった」と無罪を主張していた。判決を受け、執行委員長らは即日控訴した。

京都新聞より

被告の弁護士は、「正当な労働組合活動だった」と主張しているようだが、何が正当で何が正当でないのか?ということについて、一般人には理解し難いので、記事を読んでもいまいちわかりにくい。

判決によると、当時副執行委員長だった男は他の被告と共謀し、2017年2月、大津市の工事現場で住宅会社の現場責任者らに「ブルーシートがはみ出している」「ガードマンがいない。すぐに車をどけて作業を中断してください」などと言って、工事を中断させて業務を妨害した。

京都新聞より

状況を説明せずに、こんな内容を書くと、工事現場で正当な活動が行われたかのように感じるのだが、被告側の行った活動は威力業務妨害と認定された。

どういうことなのだろうか?

関西生コンとは何をする組織なのか

全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)という組織の執行委員長ら6人が、威力業務妨害と認定されたのだが、そもそも関生支部とは何をする組織なのか。

分類としては労働組合に含まれるのだが、労働者の代わりに労働争議をやってくれる組織、という理解で良いだろう。

そもそも、労働者の権利というのは、日本国憲法第28条で、「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」といった3つの権利が認められている。これが、「労働組合を作る権利」になるわけだ。

使用者側に対して労働者側は知識に乏しく、団体行動するには高いハードルがある。使用者側と対等な立場で話し合うためには、専門的な知識が必要となるため、労働組合には専門知識を有する人材が配置され、団体交渉をするのが彼らの仕事、という位置づけになっている。これも色々な形態があるようだが。

ところが、中小零細組織の従業員にとって、大きな組織を作ることはハードルが高い。大企業なら人を集められるんだろうけど、小規模なところは人材も限られるからね。

で、連合組織なるものが作られるわけだ。立ち位置的には労働者の利益団体として機能し、「組合員の雇用を維持し改善する」ということを目的として、企業をまたいで活動してくれる。

そうすると、必然的に権力を持つようになり、政治活動をするようにもなるんだな。関生支部はそういった組織なのだ。

労働争議

で、労働条件が改善されない時には、使用者との対立が起きるのだが、話し合いで解決しない場合には、ストライキやサボタージュ、ピケッティング、ボイコットなどといった具体的な行動にも及ぶことがある。

ただ、こうした行動は、労働者が行うことで法的にお目こぼしがあるが、第三者が使用者に対して行えば業務妨害に当たる。

その辺りはこちらでも言及している。

  • 労働組合法にて、保護される労働争議
  • 労働者で無い人がやったら、それは威力業務妨害

と、そういうことになる。

弁護士の言う「正当性」とは、「労働者がやっているんだら労働争議だろう」「合法だ」ということなのだ。

だが……、労働争議の実働部隊として関生支部幹部が動いたんだから、それは違法判定されても仕方がない。

何故、「生コン」なのか

そして、もう1つ重要な点は、「生コン」である点だ。

「生コン」は、建物を作るときに使うコンクリートで、工場で作られた固める前のコンクリートのことを指す。生コンは使う量に合わせて練られ、2時間以内くらいに使われる。材料であるセメントと水が化学反応を起こして固まるので、作られてから2~5時間が勝負なのだ。

それ故に、地産地消のアイテムだし、長距離輸送も困難である。

現場監督に因縁を付けて作業を妨害すると、作られた生コンはダメになってしまう。コンクリートミキサー車内で固まると車ごと使えなくなるため、時間を区切って廃棄せざるを得ない。

そうすると、巨額の損失が出るので、現場監督から泣きが入った使用者は、妥協せざるを得なくなる。そうならないために、早い段階で関生支部からの要求を飲むという結果になる。

建築現場では、生コンを使わないという選択肢はないし、邪魔されると様々な建設工程に影響が甚大である。関生支部としてはイージーな仕事になることは容易に想像ができるよね。

畑山裁判長は、組合活動について「生コン業界の過当競争を正常化させるため、関生支部にとって非加入業者対策は重大な課題だった」とした上で、「生コンの仕入れ先を変更させる目的で、現場監督らを呼び出して軽微な不備について繰り返し指摘し、業務の円滑な遂行を妨げた」と指摘した。「捜査機関による恣意(しい)的な逮捕・起訴により、重大な団結権侵害が引き起こされた」との弁護側の主張は「捜査の過程に職務違反があったとは認められない」として退けた。

京都新聞より

まあ、ちょっとやり過ぎたんだよね。

政治活動

そもそも、労働者のための団体が、労働組合なのだが、どうしてか彼らは政治運動をやりたがる。労働者のために動く団体のハズが、労働者を動員して政治活動をやるような事態になっている。今に始まったことではなくて、設立当初からそうなんだけどね。

森友学園に絡む左翼勢力は、反基地闘争や反日プロパガンダと1本の線でつながるのです

2017/4/2 01:00

「関西生コン」は正式名称を「連帯ユニオン関西地区生コン支部」と言い、関西を拠点にする労働組合です。もともと日本共産党の影響が強い全日本運輸一般労働組合(運輸一般、現・建交労)に加盟していましたが、闘争方式を巡り党と対立、運輸一般を脱退して独立し、現在は社民党や新社会党の支持団体となっています。 

~~略~~

東京MXテレビの番組「ニュース女子」の問題で、BPOに内容の審議を申し立てた辛淑玉氏が出演した大阪で開催されたシンポジウムの案内です。連帯労組関西生コン支部委員長がパネリストとして辛淑玉氏と名前を並べています。沖縄の基地反対運動と森友問題に絡んだ左翼勢力が一本の線でつながります。

産経新聞より

これは一例ではあるが、沖縄の基地反対運動にも参加しているし、森友学園問題にも絡んでいる。

関生支部の支持団体は、社民党、新社会党、緑の党、立憲民主党、れいわ新選組などだ。のりこえねっとやレイバーネットなどとの関係もあるし、原水爆禁止日本会議や平和フォーラムなどとの関連もある。

もはや、労働者の権利と一体何の関係があるのか意味不明だ。

なお、この判決は大津地裁が出したものなので、控訴(既に行われた)によって高裁で判断され、場合によっては最高裁まで行く可能性はある。有罪が確定するのは更に先の話だ。

労働争議を否定する気はないが、政治活動に紐付いており、場合によっては外国まで出かけて活動をする実態があるのは、是正されるべきだろう。変わるのは先になるのだろうが。

追記

別件ではあるが、高裁判決がでたね。

関西生コン幹部に逆転無罪 大阪高裁

2023/3/6 19:15

和歌山県海南市にある「和歌山県広域生コンクリート協同組合」の事務所で平成29年8月、実質的運営者を怒鳴り付け、街宣活動で謝罪を要求したとして、威力業務妨害と強要未遂の罪に問われた「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」書記次長の武谷新吾被告(58)の判決で、大阪高裁は6日、無罪を言い渡した。懲役1年4月、執行猶予3年とした1審和歌山地裁判決(昨年3月)を破棄した。

~~略~~

これに対抗する形となった武谷被告らの行為には「行き過ぎの部分はあるが暴力を伴わず、労働組合が団結権を守るための正当行為に当たる」と判断し、違法性が阻却されると結論付けた。

武谷被告と共謀したとして同じ罪に問われた関西地区生コン支部の執行役員2人についても1審の執行猶予付き有罪判決を破棄、無罪とした。

産経新聞より

合法でしたか、そうでしたか。

ある意味、想定される事態ではあったんだけど、実際に目にすると「ちょっとどうなの」とは思ってしまうな。

特に、和歌山地裁の判断した、強要未遂の罪の方はちょっと納得できない。威力業務妨害の方は、労働争議の範囲内だという判断であればある程度は予想されるんだけど、街宣活動で謝罪要求って、もはや労働争議とは別次元の話だと思う。

街宣活動だって、かなりグレーだとは思うのだが。

労働争議だったら何でもありというのは、やっぱり是正されていく流れだと思うぞ。

コメント

  1. こんにちは、

    再び関ナマへの有罪判決が出たことはたいへん喜ばしい。
    立件・辻元議員の”関西のオトウちゃん”が2年前に実刑(執行猶予付)受けて、
    関ナマは弱体化していたから、2度目の「有罪」には釈明も出来ないだろう。

    • 今回も有罪でしたからねぇ。
      未だ上告はするので、判決は確定しませんが、しっかり裁判して事実の洗い出しをして欲しいです。

  2. 労働者当人以外の人物の労働争議活動は記事に書かれている様にどう判断しても犯罪ですからね。
    労働組合全体がアカ塗れのゴミ屑集団なので犯罪者として連合は裁かれるべきでしょう。

    そしてそれと連帯している活動家や野盗は選挙により唯の人にして罪を裁いて刑務所と強制送還をするべきですね。

    • 「労働者当人以外の人物の労働争議活動」とならないように、かなり気を遣ってはいたようですけれども。
      結局のところ、労働者にとって労働争議活動って、負担にしかならないんですよね。
      だから、作業を肩代わりして貰う的なサービスが発生しても不思議はありません。そして、それで罪に問われたと、そんな流れなのでは。

  3. こんにちは。

    本当に不思議なんですが。
    なんでああいう人たちは「革命」したがるんでしょう?
    って、大体答えはわかってますけどね。
    「自分達の意見が通る世界」≠「現在の秩序」
    これにつきますが、だからこそ現状の否定、権力者や習慣、そういった「旧世界」の破壊にいそしむわけで、言っちゃえばLGBTとかもこの線上に乗っかってるとしか思えない。
    革命が起きた世界は、革命政権は内紛で瓦解する、ほとんどの場合で「元の濁りの田沼恋しき」が起きて結局元に戻る訳で……
    でも、自分達が被差別対象であるという「錦の大旗」を手に入れた(と思ってる)うちは、どんどん活動が過激化する、そしてある時限界に達して破滅を迎える(主に法的、社会的な意味で)、今日本はその緒に就いていると思えるし、欧米は経験則から10年遅れでそこに居たるでしょう。
    その10年が、取り返しのつかない10年にならない事を祈るのみです。

    • 彼ら、本気で革命を目指しているとは思いませんよ。
      革命を成し遂げて困るのは彼らですから。
      あくまでも破壊することだけしかできません。「そこから先は別の人が考えること」とでも考えているのではないでしょうか。

      • 恐らくですが。
        「踊る阿呆」と「踊らせる仕掛け人」が居て、仕掛け人は適当なところで逃げる、阿呆は踊らされてハシゴ外される、なのかなと。
        ※「踊る阿呆」の最末端が街宣車右翼、と言うのが皮肉ですが。
        ※真ん中辺の「踊る阿呆」は、狂信的に「革命でいい国作るんだ!」って思ってる節があるように感じてます。あくまで、狂信的に。そういうのが担ぐ神輿が一番良く走るから。