支那でまた、邦人にスパイ法違反で実刑判決

支那

「スパイ防止法は日本に必要だ」というのが、僕の持論ではあるのだが、こういったリスクは当然に考慮する必要がある。

中国、50代日本人男性に懲役12年の実刑判決 反スパイ法違反で

2023/2/23 19:48

中国湖南省長沙市で2019年に拘束された50代の日本人男性が、今月8日に反スパイ法に違反したとして懲役12年の実刑判決を受けていたことが23日、分かった。関係者によると、どのような行為が罪に問われたのかは明らかになっていない。中国では、スパイ行為に関わったとして日本人を拘束するケースがたびたび表面化している。

産経新聞より

ただ、支那の場合は、どんな行動がスパイとして判断されたかは、教えてくれないんだけどね。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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支那での反スパイ法の運用

反スパイ法違反で捕まると反論すら許されない

カントリーリスク、そう言って差し支えないだろう。

中国が「スパイ容疑」で拘束、日本人男性に懲役12年…起訴された10人全員に実刑判決

2023/02/23 17:20

中国湖南省長沙市で2019年7月、地元の国家安全当局に拘束され、反スパイ法違反の罪に問われていた50歳代の日本人男性に対し、長沙市の中級人民法院(地裁)が今月8日、懲役12年の実刑判決を言い渡していたことが、日本外務省への取材でわかった。

讀賣新聞より

この「反スパイ法」だが、支那では2014年に制定されたようだ。正式には反間諜法と言うらしく、それまで運用されてきた国家安全法よりも厳しい取り締まりが行われているようだ。

  1. 国家の安全を害する活動
  2. スパイ組織への参加またはスパイ組織・その代理人の任務の引き受け
  3. 国家機密の窃取、探索、買収または不法な提供
  4. 国家業務に従事する人員の反旗の扇動、勧誘、買収
  5. 攻撃目標の指示。
  6. その他スパイ活動を行なうもの
Wikipediaより

これが、いわゆるスパイ行為と認定される6項目らしいのだが、見て分かる通り、「何でもあり」だ。

当局が「国家の安全を害する活動」と認定すれば、反論は難しいだろう。何しろ、何を以て「安全を害する」と認定されるかその基準が示されていないのだから。

中国で「スパイ行為」の定義拡大、摘発機関の権限・罰則強化へ…改正法案公表

2023/01/02 04:17

中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は30日、スパイ行為の摘発強化に向けた「反スパイ法」改正案を公表した。スパイ行為の定義を現行法よりも拡大し、摘発機関である国家安全当局の権限や罰則を強化する。今年前半にも可決されるとみられる。

改正法案ではスパイ行為の定義として、現行法にある国家機密の提供に加え、「その他の国家の安全や利益にかかわる文献やデータ、資料」の提供や窃取を盛り込んだ。

讀賣新聞より

そして、その反スパイ法は更に強化される運びになるのだとか。

写真を撮っただけなのに

この法律は、成立当初から「恣意的に運用される」として、かなり危険視されてきた。

中国の「反スパイ法」と中国指導部が恐れるもの

2015年10月9日(金)17時59分

中国国内で、複数の邦人男性がスパイ行為にかかわったとして中国の治安当局に拘束され、日本でも、中国の「反スパイ法」に注目が集まっている。今回の邦人拘束について、「『反スパイ法』を適用された可能性がある」との報道もあるが、「軍事施設周辺で大量の写真を撮影していた」のが本当だとすると、「反スパイ法」より適用が相応しい法律がある。「軍事施設保護法」だ。

1990年に公布された「軍事施設保護法」は、軍の司令部、軍用飛行場/港湾、訓練施設等、保護の対象となる軍事施設を具体的に列記し、軍事施設において、侵入、撮影、録画、録音、観察、描画等の行為を行ってはならないとしている。2000年代前半には、「中国国防報」といった新聞が、質問に対する回答の形式で、「軍事施設周辺で写真撮影をしていた者のカメラを没収するのは、『軍事施設保護法』に照らして合法である」といった報道をしている。スパイ行為に対する、各部隊の意識が低かったことを伺わせる記事だ。

Newsweekより

まあ、支那に限らず軍事施設周辺で大量の写真を撮影していれば、怪しまれること請け合いである。下手に「写ってはならないもの」が撮影されようものなら、それこそ罪に問われる。

だが、支那の場合はこの基準は更に厳しい。観察や描画などをするのもNGなので、「それと知らず、軍事施設に近づいた」というだけでも危うい。

だからこそ、中国指導部は、共産党統治に対抗する動きがつながることに敏感に反応するのだ。2014年6月には、中共中央規律検査委員会の社会科学院に駐在する規律検査組が、「社会科学院は、外国勢力の点対点の浸透を受けている」と批判した。「点」とは、個人のことをいう。外国人との個人的なつながりを批判されたのである。

Newsweekより

そして、反スパイ法は、外国人の何気ない行動が、支那共産党の支配を揺るがすような切っ掛けになることを許さない。

つまり、何が何だか分からないままに拘束され、罪に問われるということがあり得るのだ。

中国で「スパイ行為」 拘束相次ぎ注意呼びかけ

2017年6月13日 20:20

政府が中国に滞在して仕事をしている日本人や観光客などが「スパイ行為」で疑われないよう注意喚起している。中国政府は2014年に反スパイ法を制定。北京市も今年4月にスパイ行為にかかわる情報を当局に通報すると奨励金を出す規則を施行した。港や空港、軍事施設の近くでは写真撮影をしないなどの自己防衛策が必要になる。

中国国内でスパイ行為などで拘束される日本人が相次いでおり、現在12人にのぼる。

日本経済新聞より

何をやって自分が逮捕されたか分からない状態で長期間、非人道的な取り調べをされるというのだから恐ろしい。

ただ、傾向としては近年は逮捕される人は少なくなっていたらしい。冒頭のケースは、2019年に拘束された人の話だしね。

今後、取り締まりは増える

2019年に拘束され、取り調べを受けて、裁判を受けて2023年2月8日に懲役12年の実刑判決が言い渡された。

そうすると、2035年までは日本に帰国できる見込みはなさそうである。そして、容疑はさっぱり不明と。

中国で邦人拘束 官房長官「早期解放求める」

2022年2月17日 15:35 (2022年2月17日 17:54更新)

松野博一官房長官は17日の記者会見で、中国・上海市で50代の日本人男性が中国当局に拘束されたと明らかにした。「中国当局から国内法違反があり拘束したと通報があった。早期解放を強く求めている」と述べた。

松野氏によると2021年12月に中国当局から在上海総領事館に通報があった。「男性の健康状態に問題があるとの連絡は受けていない」と説明した。

在上海総領事館を通じて中国側に面会を求めている。「邦人保護の観点から家族との連絡などできる限り支援する」と述べた。

日本経済新聞より

日本政府も何もしなかった訳ではないのだろうが、去年のこの時期に拘束された男性も、その後の消息は不明。

外部との接触によって情報漏洩を懸念していると捉えれば、まあ、そう言った対応も不思議はないのかも知れないが、拘束された人にとっては悲惨な話だ。孤立無援の状態で不当な扱いを受け続け、判決を待たねばならないのだから。

取り締まりに対抗するために

さて、では、こうした問題があるにも関わらず、支那と付き合いを続ける方針の日本政府に、一体どのような選択肢があるのだろうか。

中国で拘束のカナダ人2人帰国も、加中関係回復には疑問視

2021年09月28日

中国においてスパイ容疑で拘束されていたカナダ人、マイケル・コブリグ氏とマイケル・スパバー氏が9月25日に釈放され、約3年ぶりに帰国した。カナダのジャスティン・トルドー首相とマーク・ガルノー外務相は、2人をカルガリー空港で出迎え、難局と思われた事態の解決にカナダ国内の各種メディアが沸いた。

中国政府は、2人のカナダ人拘束について、2人が逮捕された2019年から一貫して、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)のカナダでの拘束とは無関係と主張し、今回の釈放も両人の健康上の理由によるものだとしているが、カナダでは報復的行為との見方が大勢だ。そして、同事件の解決がカナダと中国の早急な関係修復につながるとみる声は少ない。

JETROより

この件は、ファーウェイのCFOだった孟晩舟氏がカナダで拘束されたことを切っ掛けに、支那に滞在していたカナダ人2名がスパイ容疑で拘束された件で、報復的な拘束であるとされていた。

支那は、孟晩舟氏の拘束とは無関係だとしていたが、客観的に見て大いに関係があるとみて良い。

そうすると、逆も又真なりと言うことになる。つまり、日本でスパイ容疑で拘束された支那人との交換だ。司法取引というのは、日本においてマイナーだが、政治的駆け引きにおいては有効な手段である。

それだけの為にスパイ防止法を作れとは言わないが、スパイ防止法の利用方法の1つとしては有効だろう。

いや、支那のように恣意的な運用とシロというわけではないのだ。しかし、そうした法律を持っているだけでも、相手に対する抑止力となり得る。そうでなくても日本はスパイ天国で、あっちこっちの怪しい勢力に入り込まれているのだから。法律の運用は、もちろん法と正義に基づいて行われるべきだが。

追記

直接関係がある話ではないのだが、由々しきニュースである。

ジブチで陸自幹部2人異例の拘束 中国側を撮影、大使が抗議し釈放

2023/02/25

自衛隊が海賊対処活動などのため初の海外拠点を設置しているアフリカのジブチで2021年10月ごろ、陸上自衛隊部隊の幹部2人が、ジブチ軍に十数時間にわたり拘束されていたことが25日、複数の政府関係者への取材で分かった。中国軍人を撮影したとの疑いだった。現地の日本大使館がジブチの国防省などに抗議し釈放された。

共同通信より

ジプチ政府が支那の意向を受けて勝手に自衛隊員を拘束したというニュースなのだが、これ、国際問題になりかねない。

騒がないメディアは、一体何なのだろうか。

チャイナリスクは、外国にも及んでいるということなんだが、恐ろしい話である。

コメント

  1. 「支那あるある」だが、現地に進出している日本企業はこれを機によく考えるべき。紛争危機が迫るとき、日本人は家族ごと“人質”にされるだろう。そのとき、政府も野党も2Fもコウノも助けてくれない。

    支那排除のグローバルサプライチェーン再編が進行中で、かつ経済がクランチしている支那は賞味期限が切れている。

    ダイキンが支那での生産を打ち切り国内回帰するかもしれないという。
    https://www.sankei.com/article/20221108-HQGBEMLD25JMJB7SLBXRO5FP6E/ 
    これは朗報。トヨタやホンダらも早期決断が必要。

    • 実際には支那でのカントリーリスクを理解して撤退する国も増えているという話なんですが、決断できない企業もそこそこいるようで。
      自動車関連企業も苦しい選択を迫られそうですね。

  2. こんにちは。

    朝令暮改、さっきの警官はOKと言っても、次の警官がOKするかはその警官次第、というのがこういった国々ですから、そういう国である事を、平和ボケした日本国民はもっと知るべき。
    まあ、マスコミがその役目を果たさないどころか、大陸に尻尾振ってる有様ですからね……

    この件がどれくらい報道されるかで、それが実証されますね。

    • そもそも日本は他国と異なり、警察官の信頼が極めて高い(注:個人的には比較的マシという認識だが、他国が酷い)ので、警官が率先して法を破るとは思わないんですよね。
      ですが、支那の場合は更に事情が違う。
      まあ、中央が強大な独裁権を持っていますから仕方が無いのですが、その力が外国にも及んでいる事例を追記にあげましたが、放置できない話ですよね。

      • アフリカなんか、金に尻尾振る官憲ばかりでしょうからね。

        ※先日他界された漫画家、御厨さと美氏の著作「裂けたパスポート」は、時代背景は’70年代ですが、当方のバイブル的存在です、そう言う意味で。フランス中心ですが、欧州事情に非常に知った気になれました。

      • 「裂けた旅券」ですか、記憶にないな、と思って調べてみたら、……読んだことありますね、これ。
        しかし、どこかのお店で読んだだけだったのか、全編は読んでなかったと思い、粗筋を読んでみました。……粗筋だけだとラノベ展開ですね、これ(失礼)。
        粗筋はともかく、色々な要素を詰め込んだ読み応えがある作品だったと記憶しているので、探して読んでみたいと思います。