ここでいう「後遺症」というのは、純粋な意味での病気の後遺症ではない。対策、製作の後遺症である。
中国・武漢で高齢者ら大規模デモ 医療手当削減に抗議
2023年02月09日18時11分
中国湖北省武漢市で8日、医療手当の削減に反対する退職高齢者を中心とした大規模デモが行われた。香港メディアなどによると、1万人規模の人々が雨の中、市政府庁舎前に繰り出し抗議の声を上げた。
時事通信より
まずは、2月9日にニュースに載せられたこの話。
ゼロコロナ政策の深刻な影響
武漢発のデモ
1万人規模のデモだったらしいのだが、何に対する抗議なのか?といえば、市の医療保険制度の変更に対するデモだったようだ。
武漢市政府は先に、市の医療保険制度を変更。市民がメディアに明らかにしたところによると、毎月260元(約5000円)程度支給されていた医療補助が80元余りに引き下げられた。
対話アプリ「微信(ウィーチャット)」上には、市長が市民側の要求に8日までに回答しなければ「権利擁護のための集会を組織する」との情報が出回っていたという。インターネット上では、人民武装警察部隊(武警)のものとみられる車両の周囲に集まった高齢者らが、革命歌「インターナショナル」を歌う動画が流れている。
時事通信「中国・武漢で高齢者ら大規模デモ 医療手当削減に抗議」より
どうやら、医療補助が260元から80元までに引き下げられたようだ。実に1/3以下への引き下げである。
流石に、大規模なデモに対応するために武警を動員して、なんとか大騒ぎに発展する前に鎮圧したようだが、革命歌「インターナショナル」を歌う動画が流れていたというのが、皮肉である。
この「インターナショナル」という歌は、19世紀末のフランスで誕生したものらしいが、ロシア革命(1917年)の時にも歌われていたらしい。内容は、抑圧された人々に暴力を伴う革命を促すもので、「最終闘争 団結せよ 連帯こそは 普遍なれ」「皇帝、扇動者は去れ」などと高らかに歌われるもののようだね。
なかなかに皮肉な話ではある。
ただ、この流れ、白紙革命の延長線上にあるのではないか?という疑惑もあって、おそらく支那共産党もそれを恐れたとは思う。
とりあえずは、このデモの続報に関して報じられるものはないようだ。
財政悪化
さて、このような騒ぎが武漢で発生した背景には、疲弊した地方経済の実態が関係していると分析されている。
中国では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策を実施。恒常的なPCR検査やワクチン接種、都市封鎖(ロックダウン)の費用負担で地方政府の財政が悪化した。交流サイト(SNS)上では「PCR検査で金がなくなった」「(負担増が)全国に広がるのでは」と不安視する投稿が相次いだ。
東京新聞より
地方財政の困窮に関しては、様々伝えられているが、それが実際的な影響として吹き出してしまった武漢のデモは、執行部にはかなりの動揺を与えた可能性が高い。
中国政府がようやく深刻な財政問題を認め始める
2023.01.18
中国政府はようやく自国が抱える深刻な財政問題を認め始めた。1年以上も躊躇した末に数週間前、問題を抱えた不動産部門の規制を緩和する措置を取った。
直近では、中国人民銀行(中央銀行)副総裁の劉国強によると、リスクをコントロールすることを目的とした新しい金融安定化法を発表した。このような措置は一時的には救いとなるかもしれないが、中国経済のより深刻な経済問題と金融市場への反響に対処することはできない。
中国の債務問題の規模は本当に驚異的だ。最新の統計では官民問わずあらゆる経済部門の債務の合計額は51兆9000億ドル(約6660兆円)で、中国の国内総生産(GDP)のほぼ3倍に相当する。
Forbesより
よくもまあこんなに債務を積み上げたものだと感心する。PCR検査だけで年約1兆7000億元(約34兆円)とも言われる支那の武漢ウイルス対策費用を3年にわたって吐き出し続けたのである。これまでの負債も含めれば天文学的な額になっていたとしても不思議はない。
が、支那の経済構造は歪なので、これといって対策があるわけでもない。
中国全体の借金の泥沼の元凶は地方政府にあるようだ。地方政府が浪費の政策を取ってきたわけではない。地方政府は中央で計画を立てる者たちの道具になっている。政府の中枢部が最近のインフラ整備計画のような支出計画を打ち出すと、彼らはその資金を調達するために必要な公債の発行を地方政府に課す。
その結果、入手できる直近のデータでは債務は2022年半ばまでに11%増加し、経済の先行き不透明感から民間借入れの控えめな減少を補って余りある勢いだ。
~~略~~
さらに根本的なことをいえば、おそらく中国の債務は共産主義的な経済運営の本質を反映している。
多様な主体が多岐にわたる投資を行う主に市場原理のシステムとは異なり、国有企業に独占されている中央集権的な方向性に依存する中国は、経済資源を少数の壮大な計画に注ぐ傾向がある。そのため、これらの計画が成功すればすばらしい成果が得られるが、基本的な経済ニーズに応えられなかった場合には、損失とそれにともなう債務が膨大なものになる可能性がある。
Forbes「中国政府がようやく深刻な財政問題を認め始める」より
構造的な問題で、支那経済はいったん走り出してしまうとその方向性を容易に変更することが難しいのである。そのつけは地方政府に丸投げするというような状況であり、さらに少子高齢化が加速している。その歪みが市の医療保険制度に現れてきたとしても不思議はないね。
51兆9000億ドル(約6660兆円)相当の債務というのは、一般人にはその規模を容易に想像することすら難しい。アメリカの巨額債務が31兆4000億ドルに上ったというニュースが1月末に流れていたが、支那の債務はそれを軽く超えている。これの一部を地方政府に肩代わりされているのだから、驚きだね。
なお、表面的に見えている債務と、その実態は異なる。隠されている債務は遙かに多いとされているので、実際に積み上がった債務がどこまでなのかは誰も把握できていないのではないかな。
巨額の債務は返済できない
「誰も把握できない」ので、対策を打ちようがない。
また、より大きな問題は、アメリカの債務はアメリカがドルを発行している限りはそれほど大きな問題とはならないが、支那の債務は解消することが極めて困難である点だ。
一時期は、不動産開発だけでGDPの3割を超える規模であったとされているが、その実その中身はほぼ借金である。
いろいろ書いたが、要は「借金して乱開発したから、その歪みが出てきた」という事である。当然ながら、これまでのような不動産開発頼みの経済発展は無理。
さらに、今後の成長分野を潰されたこともあって、先行きは不透明だ。
支那製造2025などとぶち上げてはみたが、そのほとんどに半導体が関係していることを考えると、アメリカに圧力をかけられたことで達成はもはや絶望的だ。
中国製造2025とは 重点10分野と23品目に力
2018年12月7日 2:00
中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げる産業政策で、2015年5月に発表した。次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と23の品目を設定し、製造業の高度化を目指す。建国100年を迎える49年に「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指す長期戦略の根幹となる。
日本経済新聞より

そして、支那製造2035の予想はある程度なされているが、おそらくは自前で半導体を作って世界を席巻する的な目標を掲げるのだろう。
しかしそのための技術開発はなかなか難しい。支那にはお金も技術もある「ことになっている」が、そのお金も少々怪しくなってきたというのが現状である。
ワクチン後遺症
話は変わって「ワクチン後遺症」である。日本でも結構な数、騒いでいる人がいる。僕だって、ワクチンの後遺症というものが存在するか?と問われれば、「あるんじゃないかな」くらいの疑いは持っている。
当然、支那でも似たような疑いを持つ人は出てくるわけだ。
中国産ワクチン、1385人が後遺症訴え…集団訴訟を準備
2023/02/12 11:15
中国産ワクチンによる健康被害を訴える家族らが、国務院(内閣に相当)と中国政府の国家衛生健康委員会を相手取り、ワクチン接種後の後遺症などについて、科学的データに基づいた調査結果を公表するよう求める集団訴訟を準備していることが、関係者への取材でわかった。小児用ワクチンや新型コロナウイルスワクチンなど全てのワクチンが対象という。
読売新聞より
当然、こういった問題が出て来はしても、支那共産党がそれを認めるかといえば、認めることはないだろう。支那共産党の失敗であるからだ。
関係者によると、家族らが作成した名簿には、後遺症を訴える1385人が名を連ねる。代表者は「中国政府はワクチン接種による健康被害を認めないケースが多い。つらい生活を強いられる家族がいることをわかってほしい」と話した。
読売新聞「中国産ワクチン、1385人が後遺症訴え…集団訴訟を準備」より
正直な話、武漢ウイルスの後遺症かワクチンの後遺症か、あるいはそれ以外の要因による体調不良か?ということを判別することは極めて難しい。
従って、よほどの証拠が出てこなければ、この手の後遺症が認定されることはない。東側諸国でも似たような事情はあるだろう。
だが、経済的な「後遺症」に関していえば、武漢ウイルス感染症が支那全土に広がったことで、支那経済の「嘘」が表に出てくることを加速してしまった感は強い。やばいやばいといわれ続けた支那経済だが、支那共産党の手腕でなんとか乗り切ってきた。
では今回は?というと、かなり厳しそうだ。国際社会に敵を作りすぎたからねぇ。
コメント
こんにちわ。6660兆円……まさに悪魔の数字で。キリ良く666だし。
武漢デモは退役軍人に参加を呼びかけているのが気になりますねぇ。この保険給付の主な対象となるのが退職者らしい。
で、薬買えない、治療できない事になる訳で。もう江沢民時代からですが、解放軍は150万人とかの規模のリストラしてきてますからねぇ。キンペー君になってからも50万人くらい切ってるはず。
それがデモ参加すると、第一次世界大戦後に米国で起きた退役軍人デモみたくなるかと。(ノーマン・メイラー「夜の軍隊」がその詳細)そうはならない想うけれど、そうなると北京は動揺すね。
私は、ここ20年くらいチベットと新疆での弾圧が進んだのは、一つにはソレだと想うんです。香港デモの時にシンセンで集結していた武装警察あるでないすか。
アレ、元はリストラ軍人の再就職先なんですね。要するにリストラされた軍人が
大量に黒社会に流れて治安悪化して、就職させないと叛乱が起きる。そこでチベットや新疆の弾圧に就職先を用意したと。んで、その武装警察ももうポストが枠いっぱいで、公安で元軍人を吸収するのはムリになってきてる。
なもんで、事が退役軍人がデモに流入する事になると、北京的にかなりヤバい。
各地でもともと軍閥的な解放軍の権限を削ぐ為に、解放軍のビジネス(鉄道、港湾施設、ホテルなど)を禁止してきたんですけれど、それ党というか、北京政府は、かなり軍人の怨みを買ったと想うんですね。もともと社会福祉がロクにないシナですから、行き場のない退役軍人が加わる要素は0ではないかと。
それに……この医療負担が増える問題は、
どこの地方政府財政も似たりよったりなので、他でも連鎖すると想うんですよ。
つまり武漢で鎮圧しても終わらない!
かといって、今は0コロナ政策と、不動産バブル崩壊で、中国は不平不満の坩堝ですから、デモで政府が要求を聞く…て話になると、収拾がつかなくなる!
ですから鎮圧しか打てる手はないのですが、それは続発・連鎖の解決にはならないという事なのですよね。
そうでしたか。
武漢のデモ、退職高齢者のデモと聞いていましたが、退役軍人が含まれていたとなると大事ですね。
自宅で療養しろという方針なのに、何故か給付金を下げてしまうと。「何故か」って金がないからなんですがね。
随分と治安維持にお金を使っている支那ですが、これから更に予算を積み増さないとだめなんでしょうかね。
30年間の乱脈投資・開発の結果、積もりに積もった債務が6660兆円とは恐れ入る。でも、6660兆円ですべてとは到底思えないね。あの”嘘つき”支那だから。
これまでに少なく見積もって全土に1000か所以上のゴーストタウンを造り、そのうちの何割かはすでに打ち壊されているそう。河川、湖水、海洋の水質汚染は何も解決しておらず放置状態。数年前に、現地は悪臭漂う死地のようだとBBCのレポートがあった。加えて豚インフルで死んだ大量の豚も川に流れていたし。農地の重金属汚染もそのまま。解決しているなら、中国資本が沿海州や北海道で農地開発なんてするはずもない。大気汚染しかり。武漢ウィルス騒動はまだまだ続くだろうし、これまでの支那の感染死者数はとても百万単位では収まらないだろうと思う。
さて、これまでの経済活動から、いったい支那の懐には固定資産がいくら残っていて、流動資産がいくらあるのか是非知りたいところだ。それとも、ほとんどのカネは電子回路の中で”消滅”してしまったのだろうか。
別件だけど、武漢ウィルス騒動直前に、欧米の禿鷹どもがジャンク化した地方政府債を大量に買い漁っていて心底驚いたが、今ごろどうしているんだろうな…。知らんけど。支那に投資する連中の気が知れない。
こんにちは。
何度か書いてる気もしますが、「さっさと黄巾の乱を起こせ!」ですね。
巨大な債務を抱えた共産党≒習近平は、もしかしたら董卓の方がマシなレベルかも。
とはいえ、今の中華に、乱世の英雄は望むべくもないですね。