ひでぇ話だ。
シリア・アサド政権軍、被災地空爆か 英外相ら批判「実に冷酷」
2023/2/8 09:35(最終更新 2/8 09:35)
英スカイニュースは7日、シリアのアサド政権軍が6日の地震発生直後、反体制派勢力が支配する地域を空爆したと報じた。攻撃されたのは地震で被害を受けたシリア北部アレッポ県マレアで、英下院外交委員長のカーンズ議員は「実に冷酷で凶悪な攻撃」と非難。クレバリー外相も、「まったく容認できない」とアサド政権を批判した。空爆による犠牲者の有無など詳細は不明。
毎日新聞より
アサド政権軍が、空爆をやるのは今に始まったことでは無いのだが、地震の被害のある地域に空爆をしたとして批判を受けている。
トルコ・シリアで地震
トルコで大規模地震発生
日本ではトルコ地震として扱われているニュースだが、正確にはトルコとシリアに跨がって大規模な影響を及ぼす地震が2023年2月6日に発生している。
先ずは、トルコ及びシリアの被災者の方に、一刻も早い救助の手が差し伸べられることを願い、そして、亡くなられた方には、安らかな眠りにつかれるようお祈りする。
さて、地震の話だ。

マグニチュード7.8という規模もかなりのものだが、2度にわたって大規模な地震が発生したことで被害を拡大させてしまったようだ。

1回目の地震はガジアンテプ付近で発生した事から、ガジアンテプ地震という風な名前が付けられていて、同日中にカフラマンマラシュでもM7.5の規模の地震が発生している。
断層の影響で
この地震は地形的に地震が発生しやすい断層がこの辺りに走っているから発生したと、そう呼ばれている。

東アナトリア断層があって、ここの断層が原因で発生した地震は、歴史を見ても結構あるようだ。
東アナトリア断層付近では98年以降、M6級の地震が4回起きている。2020年1月にはM6.7の地震が発生し、建物の倒壊などにより死者が出た。東アナトリア断層の南西端にはかつて、ローマ帝国屈指の都市アンティオキアがあったが、115年にM7.5の地震、また526年にはM7.0の地震でそれぞれ数十万人が犠牲になったとの説がある。
yahooニュースより
ローマ帝国時代にも、大規模な自身があって数十万人が犠牲になったとも言われている。ただ、なかなかロングスパンで地震が発生しているため、「地震対策」という概念はトルコやシリアにはなかったようで、これが被害を広げてしまったようである。
エルドアン政権、初動の失敗を批判される
当然というか、何というか。地震発生を想定していなかったエルドアン政権、初動の遅れがあったようで。
トルコ・シリア地震、死者1.2万人超 エルドアン氏「初動に問題」
2023年2月9日4:21 午前
トルコのエルドアン大統領は8日、南東部のシリア国境付近で6日に発生した大規模地震の被災地を初めて訪問し、初動対応に問題があったことを認めた。
トルコとシリアを合わせた死者数は1万2000人を超えた。トルコの死者数は9057人、シリアでは少なくとも2950人に上っている。
ロイターより
イロイロ記事を拾ってみると、空港や道路がかなりの被害を受けて、救出活動に入るのが遅れてしまったと言った事があったようだ。
更に、間を置かずに2度の地震があって、1度目の地震で被害にあった人を助けるために瓦礫の中に入った救助隊が2度目の地震によって被害者に変わってしまったというケースも散見されたようで、不幸が重なってしまった部分は否めない。
シリアでも被害が
こういった被害は隣国シリアでも発生していたようだ。
AFADによると、6日遅く時点でのトルコの死者は1600人余り、負傷者は1万1000人強。AP通信によると、シリアでは政権支配地域で約540人が死亡。反体制派が支配する北西部の勢力は死者が少なくとも380人に上ると説明した。
東洋経済より
これは2月7日の時点での記事で、現時点ではトルコ国内で1万2,391人、シリア国内で2,900人の死者が出ていることが確認されたと言うことだが、シリアの政治的な問題もあってこの数字に信憑性があるかどうかはハッキリしない。
そして、それ以上に問題なのが空爆をやっちゃったことだ。それが冒頭のニュースである。
トルコ南部で6日に起きた大地震では、内戦が続く隣国シリアも大きな被害を受けた。シリアには現在、アサド政権と、対立する反体制派勢力の支配地域があり、双方の地域とも被災地となっている。英国の中東ニュース専門サイト「ミドル・イースト・アイ」によると、今回の空爆は地震発生から2時間以内に起きたという。
毎日新聞より
いやー、地震発生で混乱が生じている最中に、「未だ、直ちに空爆をしろ」という命令を出せる司令官というのは、ある意味スゴイわ。
ただ、シリアにおいては、未だ内戦が続いていて、断続的に空爆が行われているのも事実だ。
米軍、イスラム国指導者ら殺害 シリア北部を空爆
2022年10月7日9:12 午前
米軍は、6日にシリア北部を空爆し、アブ・ハシュム・アル・ウマウィ指導者ら2人の過激派組織「イスラム国」構成員を殺害したと発表した。
この空爆の数時間前には、シリア北東部の政府支配下の村を米軍ヘリコプターが急襲し、別のイスラム国幹部も殺害した。
ロイターより
シリア軍、イスラエルの空爆で兵士2人負傷と発表
21 Dec 2022 03:12:33 GMT9
ダマスカス:イスラエルは20日朝、シリアの首都ダマスカスの近くを空爆した。この空爆で兵士2人が負傷した。シリア軍が発表した。1ヶ月以上ぶりの空爆だった。
シリア軍の声明には「今回の空爆で、いくつかの「物的損害」が生じた。シリアの防空システムがミサイル数発を迎撃・撃墜した」と書かれていた。
ARAB NEWSより
まあまあの頻度で色々な国の軍隊によってシリア国内で空爆が行われているので、今回の爆撃が予定されていて、中止されなかったという可能性はある。
ただ、地震の被害で混乱している地域に追い打ちをかけるような空爆というのは、恐らく迎撃されにくいタイミングだから有効だという判断以上に、卑劣な行為ではあると思う。
そして、シリアの地震被害者には、空爆の被害者が含まれてしまうような事になる気はするのだが、詳しい事は分からない。分からないが……、これで「地震被害を受けたから支援をして欲しい」という話は通らないだろう。
コメント
今は時代が時代だからというのもあるとは思いますが、天災に乗じるのもまた戦の常套手段で。日本だって他所事ではなく、阪神淡路大震災や東日本大震災においても、ソレに乗じて攻め込まれる懸念は当たり前にあったし、自衛隊も、支援に来てくれた米軍他各国も、そこはきっちり警戒していたとも聞き及ぶところで…
世界の目。に、バレなきゃ良いやで起こってることがどれ程あるのか。あまり想像もしたくない話ではありますが…
「勝った者が正義」になりますから、最大効果が得られる作戦を展開するのが正しいのでしょう。
火事場泥棒という言葉も存在するくらいですから、いろいろやっちゃう人、国はあるんでしょうね。