弾頭交換型の巡航ミサイルの開発を発表して韓国に笑われる

防衛政策

実用性に欠ける結果になる可能性は、確かにあるね。

日本、弾頭交換型巡航ミサイル開発…「現場の状況を十分に考慮したのか疑問」

2023.01.17 14:27

「反撃能力」保有を宣言した日本が長距離ミサイルの開発方向を具体化して国産武器の導入を急いでいる。読売新聞は複数の日本政府関係者を引用して「(政府は)弾頭を交換可能な新型巡航ミサイルを開発する方針」と17日、伝えた。この新型ミサイルは射程距離が1000キロメートルを超えるという。今年中に試作品を出して早期実用化を目指す。

~~略~~

このため軍事専門家の間では「実用性に欠けるのでは」という観測もある。

中央日報より

兵器として成立するかどうかは、開発が完了して実際に運用してみないことには分からない。そして、確かに世界に余り例を見ないので、有効な兵器になるかは疑問を持たれても仕方が無いとは思う。

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開発可能なのかが焦点

何故、弾頭交換型を選んだのか

とはいえ、変態兵器をつくるメリットもあるとは思う。

先ずは、ソースとなった讀賣新聞の記事を引用していく。

弾頭交換型の新ミサイル開発へ、偵察・レーダー妨害・攻撃…世界的にも珍しく

2023/01/17 05:00

政府は、通常の攻撃用に加え、敵の偵察、防空妨害用の計3種の弾頭を交換可能な新型巡航ミサイルを開発する方針を固めた。それぞれを時間差で発射することで敵艦船などへの攻撃精度を高め、抑止力を向上させる狙いがある。新年度から試作品の製造を開始し、早期の実用化を目指す。

讀賣新聞より

コンセプトとしては、「敵の視察」「防空妨害」「攻撃」の3つを弾頭交換できるシステムで実現しようと言うことのようだ。

コレを弾頭交換式で実現しようというのだから、技術的なハードルはそれなりに高かろうと思う。

ミサイル攻撃は近年、敵の防空システムを突破しやすくするため、電磁波による妨害を事前に行うことが主流となっている。中国は電子戦機を東シナ海に頻繁に展開させており、有事には電磁波攻撃を仕掛けるとの見方がある。日本も同様の能力を確保し、対抗したい考えだ。

讀賣新聞「弾頭交換型の新ミサイル開発へ、偵察・レーダー妨害・攻撃」より

ただ、弾道ミサイルは弾頭を交換して、通常攻撃と核攻撃とで使い分ける感じになっているものもあるので、別に荒唐無稽な技術というわけではないのだ。ミサイルに偵察をやらせようと思った人は、今までいなかっただけで。

そして、エンジン部分が共通のアイテムを使うというのは、強ち悪い選択肢とも言えないものの、このコンセプトって、ネットワーク化を進めている現代の戦闘スタイルとは齟齬がある様な気もする。

恐らくは、コストダウンが目的なんだろうけど、これが上手く行くかどうかは、不安があるね。

偵察をミサイルにやらせるメリット

防衛省の開発コンセプトの1つに、「目標観測弾の開発」というものがある。

以前からあったようなのだけれど、実際のイメージとして提示されたのは去年の末のことである。

イメージとしては無人機と併用する感じらしい。こう言った技術は、詳しい人に解説して貰うのが良いよね、ということで、JSF氏の記事を参考にして貰おうと思う。

対艦索敵用の「目標観測弾」とは:自衛隊の新兵器(JSF) - 個人 - Yahoo!ニュース
目標観測弾という新兵器が登場しました。

目標観測弾を用いた索敵のメリットは、何と言っても速度と飛距離なのだと思う。

防衛省の令和5年度予算の概要にある「今後のスタンド・オフ防衛能力の運用(イメージ)」では、島嶼に上がって来た敵地上部隊に対する目標情報の収集は衛星コンステレーションで行い、敵艦艇に対しては衛星コンステレーションでの探知と追尾に加えて無人機(UAV)と目標観測弾で索敵と観測を行う構想です。

イメージ絵にある無人機(UAV)はグライダーのような長い主翼を持つ長時間滞空型で、速度は遅く、平時の警戒監視には向いていますが、戦時において敵艦隊への索敵に使おうとすると接近すら出来ずに撃墜されてしまう可能性が高いでしょう。

そこで用意されるのが目標観測弾となります。イメージ絵のシルエットを見る限り高速を発揮できる巡航ミサイルのような形状で、強行偵察を可能とします。ただし索敵用の航続距離を確保するために超音速までは発揮できそうにない形状ですが、それでも長時間滞空型無人機に比べれば優に3倍は高速の機体になる筈です。

yahooニュースより

先日紹介した小型の合成開口レーダー観測衛星である程度の位置把握をしておいて、実際の偵察を無人機に任せるか、偵察弾に任せるか、ということになると考えているのだろう。

超高速でリアルタイム通信が可能となっている昨今では、行き帰りの燃料を積んだ飛翔体を運用するよりも、片道だけの燃料を積んで飛ばす方が射程距離も伸ばせるし、運用も楽になる。コストダウンは難しいが、巡航ミサイルとのエンジン共通化が図れれば、ある程度のコストダウンには貢献できるだろう。

なお、JSF氏の記事にもあるのだけれど、滞空型ではない高速型の強行偵察用無人機自体は外国にも例がある。

地対艦ミサイル部隊の目となる「目標観測弾」(JSF) - 個人 - Yahoo!ニュース
地対艦ミサイル部隊の独自の対艦索敵手段となる目標観測弾。

こちらの記事で言及があるが、撃墜されることを前提に複数飛ばすことを考えれば、片道運用のほうが効果が高いと判断したのだろう。

自爆出来る程度の火薬を積んでおけば、情報を収集した上で、嫌がらせ目的にも使えそうではある。

地上から目標観測弾を発射するコンセプト

JSF氏の記事で目を引いたのは、陸上自衛隊では実際に目標観測弾を飛ばす様な運用を彷彿とさせる話が紹介されている。

実は従来の陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊は北海道に配備されて上陸し来るソ連軍を迎え撃つ想定でした。その運用は地対艦ミサイル部隊の運用としては世界的にも非常に特殊で、「内陸の山奥に発射機を隠し、沿岸に近寄って来た敵の揚陸艦隊を攻撃する」というコンセプトでした。

「88式地対艦誘導弾」はこの戦法の為にミサイルに国土地理院の地形データを入力して、山の稜線に沿って這うような低空飛行を可能としています。これは当時世界で唯一の発想でした。これにより発射機の生存性は飛躍的に向上し、ミサイルは探知が非常に困難で、発射前撃破も発射後の迎撃も難しいという非常に厄介な兵器となっています。

もう一つの利点としてはこの戦法は「沖合いの観測手段が必要ない」という点です。揚陸しようとする敵艦を撃つので、目標観測手段は地上からの目視でも可能です。基本的には車両に載せたレーダーで敵艦を捕捉しますが、極論を言えば歩兵でもヘリコプターでも構いません。逆に欠点として沿岸に接近して来る揚陸艦隊しか狙えません。

yahooニュースより

こう言った話の前提として、日本には敵地を観測するための手段が乏しいという現実がある。

これも最近取り上げたニュースではあるのだが、海上保安庁がシーガーディアンを導入し、更に機体を増やして海上自衛隊との情報共有をするというような話があった。

だが、事の本質から考えれば、情報の分析は寧ろ自衛隊の方が親和性が高いため、無人機の機体の整備などを含めて自衛隊にお任せする方向性の方がメリットが大きい。

別途、MQ-4「グローバルホーク」も3機体制で運用する予定ではあるが、高高度からの偵察よりも、撃墜上等で低空からの偵察が欲しい場合もある。高価なMQ-4やMQ-9Bが撃墜されては困るが、消耗品前提の巡航ミサイルベースの目標観測弾は、意外に理に叶っているのかもしれない。

いずれにせよ、長距離攻撃を行う為には必要なコンセプトになりそうなので、上手く開発出来れば運用メリットは大きいかも知れない。

韓国に笑われようとも、開発するメリットはあるのだと思うよ。好きに笑わせておけば良いんじゃないだろうか。

コメント

  1. こんにちは。
    技術開発に失敗を恐れてはダメですよね。
    韓国は失敗を恐れずに突き進んでいる点は称賛を禁じえないです。
    ただ本質は失敗から何を教訓として得ていくかですが・・・・・・

    • 韓国の失敗は、成功に繋がっていない気がするんですよね。
      キット気のせいなんでしょうが。

  2. そー言えば、ウクライナ軍がソ連時代の無人偵察機でロシア空軍爆撃機基地を攻撃していた。

    • そんな話もありましたね。
      無人機を使ったカミカゼアタックは、戦場ではそれなりに有効らしく、ロシア側もずいぶんとウクライナ側に嫌がらせをしているようですね。

  3. いいアイディアの兵器とおもうけれどなぁ。ナチスも日本も大戦末期に斬新的な兵器を産んでますよね。
    アサルトライフルの原型になったMP44、
    弾道ミサイルの原型V2、巡航ミサイルの原型V1、ジェット機に、ロケット迎撃機
    ソナー。失敗を恐れずやって欲しいです

    • エロ爆弾を思い出した、ウェーキ追尾魚雷も有った。

    • アイデアは悪くないと思いますし、是非とも開発して実現して欲しいところ。
      ただ、兵器として成立するかは、実際に開発してみないと分からないので何とも。
      国防費として、各方面にお金を回すことも難しいですから、民間の軍事研究が進められるように整備できると良いんですがね。

  4. 木霊さま  皆様 こんばんは 

     JFSさんの記事から推察するにベースは
       https://www.mod.go.jp/atla/research/dts2012/R3-5p.pdf
     ですか。(より、自衛隊 無人機研究システム でwikipedia で見たほうが情報みつけやすいけど、(笑)

    無人機研究システムのエンジンはテレダイン J402-CA-702、短射程型トマホークやハープーンミサイルに使われてるターボジェット・エンジンですね。

    で、今日本が導入しようとしている長射程型トマホークは、エンジンをウィリアムズ F107-WR-400 という燃費に優れるターボファンエンジンに乗せ換えて、さらに固体ロケットブースターと組み合わせた、言わば2段ロケット。

     同じトマホークに乗せてるのだから、エンジンもある程度互換性があって、ついでにブースターとの接続互換性をもたせれば
    、、、1年ですぐ試作品が出来ると言ってる根拠もここまでベースがあえるからなのでしょうね。

    • 無人機研究は途絶えたものと思っていましたが、姿、形を変えて実用化されるのであれば、無駄にはなりませんよね。
      無人機の研究に関しても、日本は後発で遅れる立場なのですが、続けて欲しいと思っています。小型の偵察ドローンとかのニュースもちらっと見かけましたが、あれもどうなったことやら。

  5. 木霊様、皆さま、おはようございます。

    いいのではないでしょうか。

    小型のトラックがあるとして、荷台部分をどのように使うかは必用な時に決める。兵員輸送とか小型の砲、対空ミサイルを積むとかレーダーを積むとか。移動のためのプラットフォームと、それで何を運ぶかを分けて考えるのは良いと思います。

    ロケット(H2など)と衛星を「一体のもの」として考えたりはしませんよね。

    • そうですね。
      ロケットは輸送手段ですから、その上の弾頭を組み替えるというのは、然程おかしな発想ではありませんよね。

      開発が上手いこと進んでくれれば良いのですが。

  6. おはようございます、

    さすがガラパゴス的発想のできる日本だと思いました。
    従来にない偵察・観測方法なので、「非対称戦」装備と言えるのでは?
    むしろ迅速な情報収集を可能にする秀作になりそうな予感がします。

    • JFS氏の記事にもありましたが、自衛隊にとっては観測手段として有用なのですよね、観測弾は。
      開発が成功することを祈りたいところ。

  7. こんにちは。

    笑いたいヤツは笑わせておけば良いんです。
    「偵察運用も出来る地対地/地対艦ミサイル」が、どれだけ技術ハードルが高いか、そしてそれを「出来る」と踏んでの宣言である事を知るが良い、ってところですか。

    キャニスターその他が一種類で済む、量産効果も期待出来るし運用部隊も……運用は弾頭の付け替えが要るからちょっと面倒か?まあ多分、弾頭&推進部のセットでキャニスターで納入、でしょうけれど。

    先頭のミサイルが偵察型、続くミサイル(複数)が本命で、チーミングして勝手に索敵して勝手にターゲッティングしてくれる、打つ方は「大体あっち」でぶっ放せば良い、撃ったら即移動、みたいな運用が出来ると最高ですね。

    つくづく、

    • 七面鳥さま  皆様 こんばんは 

      同感ですね。ブースター、キャニスター、発射装置、がトマホークと共用化されてる一つの武器とし使う。(現地付替えなんて合体ロボ好き層へのオマケ宣伝トークとしとけば(笑)

      なら、コスト・運用ともメリットもりもりの気が、

      >(複数)が本命で、チーミングして

      その通りで、第6世代戦闘機に向けたスウォーム戦術てのが本気ならドローンの大軍を展開しなきゃなわけで、長期戦なら輸送機や空母で運ぶのも手でしょうが、速攻反撃場面なら斥候・先鋒・部隊はブースター付き巡航ミサイル型となるのはシロート的にはすごく妥当な気がしますしね。

    • 記事にした段階で、ある程度、メーカーは開発の目処が立っているのが日本の常ですから。
      ただ、実際に現場に渡してから運用を見ない事には「使える」ということにならないのが難しいところだと思います。
      ご指摘の様に、現場で弾頭の付け替えが現実的なのか?という点も踏まえて工夫が必要ですよね。

  8. 航空機を無人化する方向性の機体ツリーとは別に、長距離巡航ミサイルツリーから発展させる無人偵察機の類も出てくるんだろうなとは思ってました。日本が初…ぽい?のは意外っちゃ意外ですが。
    …少なくとも、低速ドローンを突っ込ませて新時代だ!とか言ってる連中よりはマトモと思いますよ。只の極低速巡航ミサイル運用をゲームチェンジだとか逝ってる連中よりかは。

    • と、思ったらやっぱ先例もあるんですね。失礼しました…ともあれ、ロシア兵がスマホとかでやらかしてたようですが、電波発信源はそれがスマホであれレーダーであれ通信であれ何であれ、それらを「見る」べく造られておる機械たちの眼からすれば、発光体そのものなので滅茶苦茶目立つ(潜水艦がアクティブソナー打っちゃうようなモノ)。と、いうのが現代の戦場環境ならば、センサーもできるだけパッシブで高性能のが欲しいところで…味方との通信ラインの発信もも敵に見えないよう、味方機や衛星だけをピンポイントで狙い打てるレーザー通信か、ブルートゥースみたいな感じの弱出力の超短距離通信か…そんな中で、囮も兼ねて、偵察結果を撃墜覚悟の全方位高出力発信で送っても構わん機体というのは、意外とマッチするかもですな。

    • 低速ドローンを突っ込ませる話も有用ではあるのですが、高速で偵察機を飛ばしたいというのが本音でしょうね。
      偵察前に迎撃されると困りますから。
      まあ、イロイロとやってみるという意味でも、今回のチャレンジはやってみるべきでしょう。