沖縄駐留の海兵沿岸連隊配備へ

防衛政策

「台湾有事」というものが現実のものとなりつつある。

沖縄駐留の米海兵隊を改編 離島拠点の「海兵沿岸連隊」配備へ

2023年1月10日 15時44分

海洋進出を強める中国への抑止力を高めるため、アメリカ政府が沖縄に駐留するアメリカ海兵隊を改編して、離島を拠点に機動的に展開する新たな部隊を配備することになりました。日本時間の12日開かれる日米の閣僚協議で配備方針などを確認する見通しです。

NHKニュースより

アメリカは、沖縄に海兵隊を配備するだけでは「足りない」と判断したようだ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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寧ろ沖縄が危ない

地政学的なリスク

逆さ日本地図

僕が改めて説明する必要はないようにも感じるが、話を整理するために基本的なところから簡単に指摘していきたい。

「支那脅威論」に言及すると、色々な方面から突き上げを喰らうことがあるのだが、支那の指導者は実際に「太平洋の半分を手に入れたい」という野望を口にしている。

河野太郎外相、習近平主席の「米中で太平洋二分」発言に不快感「中国は太平洋と接していない」 

2017/11/10 22:17

河野太郎外相は10日、中国の習近平国家主席が9日のトランプ米大統領との共同記者発表で「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と発言したことについて「中国は太平洋と接していない」と不快感を示した。BS朝日の番組収録で述べた。

習氏の発言は、太平洋の東を米国、西を中国が管理し、太平洋を米中で二分しようとする中国側の膨張政策を念頭に置いたものとみられる。

産経新聞より

直接的なソースではないが、当時外務大臣だった河野太郎氏が習近平氏の発言について「けしからん」という文脈で批判している記事である。

この話は、支那皇帝となった習近平氏が唐突に言い始めたことではなく、2007年にも支那高官が米国司令官に太平洋分割案を提示したことがあるし、実は鄧小平の時代から第一列島線、第二列島線という表現で、支那海軍が太平洋に出て行く意思が示されていた事実がある。

つまり、かねてから支那は太平洋に勢力を伸ばしたいという意思があった「事実」がある。

さて、そこで邪魔になるのが日本の存在である。

これは有名な逆さ地図なのだが、富山県が作成したのが始まりらしい。

分かり易さがウケて、割と便利に用いられるのだが、「支那の海岸線はもっと長い」「だから、日本侵略の意図は曲解だ」などと主張される方もいる様だ。第一列島線、第二列島線の話まで含めて考えると、確かに恣意的な用い方がなされることはあるが、一定の説得力はあると思う。

つまり、支那が太平洋に出るためには日本列島が邪魔なのである。

引用したのは米国防総省資料を基に作られた第一列島線、第二列島線の図であり、このブログでは逆さ日本地図に併せて回転させてある。

沖縄は最前線

さて、この2つの図を見て頂ければ、支那が太平洋に出て行こうとした時に「何が必要か」ということは良く分かると思う。

支那が太平洋に自国権益を伸ばすためには、任意のタイミングで太平洋側に出る事ができる必要がある。しかし、実際には九州と沖縄の間や、沖縄と台湾の間、そして台湾とフィリピンの間辺りを通過していかねばならない。それも、戦力を太平洋に持ち出すのであれば、空母レベルのデカい船を持ち出す必要がある。

これは日本の新聞社が作った図だが、支那の空母が太平洋に出る場合に、使った通路が示されている。実のところ、空母が使える海峡はさほど多くは無いのだ。

日本近海で言えば、図に出ている宮古海峡(日本最大級の海峡)や鹿児島県の鼻先にある大隅海峡などが挙げられる。

これは朝日新聞が作った図で、「逆さ地図で見る 米中最前線の中の沖縄」という記事の中の図で、支那の艦船が通過する場所を示している。逆に言えばココ(2番、3番、5番、7番)が太平洋に出るには都合が良く、九段線(第1列島線の延長線上にある)等という荒唐無稽な主張をしているのも太平洋に出るのに都合が良い場所だからと言う理由に他ならない。

支那は、沖縄を自分のものにしてしまえば自由に太平洋に出られるという利益が享受できるのである。もちろん、その中には台湾侵略の話も含まれている。

支那の戦略において沖縄・台湾の入手は必須

というわけで、地政学的な観点から見て、支那の野望を実現する為には沖縄と台湾を手に入れるのは必須なのである。これは、直接的な侵略があるという意味ではなく、支那が自由に太平洋に出られる状態にするという意味であるため、沖縄や台湾が支那の船が通過していくことに「文句を言わない」状態であれば、恐らく目的を達する。

しかし、沖縄は日本であるし、台湾だって独立した国家である。領海侵犯されればそれに対抗する必要があることは言うまでもない。

日本や台湾にとって、支那の野望は極めて迷惑な話なのである。

基本的なことはこの程度にしておくが、ココまでは推測などを交えない厳然たる事実である。

こうした話は、メディアも報じていて、「よく分かる」と感じたのが讀賣新聞のこの記事であるので、紹介しておきたい。

【基礎からわかる】沖縄の安保上の意味合いは?
【読売新聞】中国が軍事力を背景に台湾への圧力を強め、北朝鮮が核・ミサイル開発を進めるなど、東アジアの安全保障環境は近年、激しく変化している。沖縄県那覇市は台北まで約620キロ・メートル、ソウルまで約1260キロ・メートル、北京まで約

上述の論旨とほぼ同じなので、中身の説明はココでは割愛させて頂くが。

アメリカ軍の思惑

さて、こうしたことを踏まえた上で、アメリカとしては支那に対してどのような思惑を持っているのか?ということだが、恐らくはアメリカの国益を損なわないのであれば、日本や台湾のことなど「知ったことか」と言うことになるはずだ。

ただ、アメリカの利益として、シーレーンの確保という面があって、アメリカのシーレーンにおいて「自由で開かれたインド太平洋」の重要性は未だに高い。つまり、日本や台湾が支那の手に堕ちると、アメリカにとっては甚だ都合が悪いのだ。

それはトランプ政権の時代からそうなのだが、バイデン政権になった後も、形を変えようとも依然として続くアメリカの方針である。支那はアメリカの利益を喰おうとしているのだから、当然の結論なのだが。

こちらの記事に書いたように、バイデン氏はIPEFという経済的な枠組みを作ろうとして、日本でその協議開始発表をおこなった。

この事が何を意味するかというと、IPEF立ち上げ、推進に日本は欠かすことが出来ないという判断がアメリカにはあるという事である。

故に、アメリカとしても沖縄や台湾を失う訳には行かない。その延長線上にある話が、冒頭のニュースであり、昨日の記事と関係がある話となる。

そして、沖縄にも即応部隊を置くという話になって、それがこれまでは海兵隊の役割だった。ただ、コレまでの方針では、アメリカは支那の後手に回る可能性が高い。

海兵隊の改変

で、冒頭のニュースでは在日米軍の海兵隊改変計画があるということになっている。

中国が東シナ海や南シナ海への進出を強める中、アメリカ政府は抑止力を強化するため、2025年度までに沖縄に駐留するアメリカ海兵隊を改編し、離島を拠点に機動的に対応する新たな部隊として「海兵沿岸連隊」を配備することになりました。

「海兵沿岸連隊」は対艦ミサイルなどを備え、離島での有事の際にミサイルによる交戦が想定される域内で小規模の部隊に分散して展開し、敵の艦艇などの進出を防ぐ部隊で、アメリカ軍が去年3月にハワイに初めて発足させています。

一方、アメリカは今後、沖縄に駐留する部隊のうち重火器の部隊は削減する方針で、沖縄全体で海兵隊を1万人程度とする在日アメリカ軍の再編計画に変更はない見通しです。

NHKニュース「沖縄駐留の米海兵隊を改編 離島拠点の「海兵沿岸連隊」配備へ」より

この改変では、現在の沖縄に駐留する海兵隊のうち重火器の部隊を削減するらしい。ここでいう「重火器」とは戦車や大砲を含む兵器のことであり、この話は既に報じられている。

アメリカ海兵隊 戦車全廃か M1戦車大隊廃止 変わる戦い方 自衛隊・日本への影響は?

2020.04.11

今回のアメリカ海兵隊の大胆な再編計画は、アメリカの軍事的優位性が相対的に低下しているという現状を踏まえて、2018年に策定された国防戦略で大きな脅威と位置づけられた中国とロシア、とりわけ中国と西太平洋で対抗していくために最適な戦力構成とすることを目的としたものです。戦車の全廃や部隊の削減などで浮いた費用を投じて、長射程精密誘導兵器と無人システムの導入の加速、高度な偵察能力の獲得などを進めていく方針が示されています。

~~略~~

第3海兵遠征軍の基幹となる第3海兵師団は、ほかの海兵師団に比べて歩兵連隊が1個少なく、また戦車大隊も配属されていません。今後は人数をさらに削減して機動性を高め、対艦巡航ミサイルである「NSM(Naval Strike Missile)」や地上発射型「トマホーク」巡航ミサイルなどを装備する、3個の「海兵沿岸連隊」を基幹とする部隊へと生まれ変わります。

乗り物ニュースより

よって、この話は昨日今日決まった話ではなく、日米首脳会談で「あの話は進めるんだよね」という確認をする程度の話だと言うことが分かる。

アメリカは、自国の権益を守るためには、沖縄にこそ駐留する戦力を増強させたいのである。

奪還作戦は主体ではない

上述の乗り物ニュースでも言及されているのだが、これまでの在日米軍(海兵隊)のドクトリンは離島奪還に重きを置いていた。

つまり、日本の離島の一部が支那に上陸され、占領された後に、取り返すことに主眼が置かれていた。だからこその重火器部隊の設置だった。

だが、それよりも支那の海洋進出の妨害に重きを置くという方針に転換された。

海兵沿岸連隊は有事の際、西太平洋上の島しょ部へ迅速に展開し、装備する対艦ミサイルや地対空ミサイルなどによって、中国軍の艦艇や航空機の西太平洋への進出を阻止することを目的としており、島しょなどが占領された際に奪還するための逆上陸作戦を想定していたこれまでの海兵隊の部隊とは、かなり性質の異なる部隊となることが予想されています。

乗り物ニュース「アメリカ海兵隊 戦車全廃か M1戦車大隊廃止 変わる戦い方 自衛隊・日本への影響は?」より

そうだとすると、離島奪還を行うのはアメリカ軍の役割では無く、日本の自衛隊の責任であると言う事になる。その点は乗り物ニュースにも言及されている。

そして、この方針は上でも言及した通り今変わったわけではないのだ。乗り物ニュースで報じられたのは2020年、つまりそれより以前の安倍政権時代の仕事である。

陸自「第1空挺団」 離島奪還を想定の訓練公開 英豪も初参加

2023年1月8日 16時38分

自衛隊で唯一のパラシュート降下部隊の「第1空挺団」が、離島の防衛を想定した訓練の様子を公開し、ことしはイギリス軍とオーストラリア軍も初めて参加しました。

NHKニュースより

実際に、離島防衛の訓練は日米だけではなくイギリス軍やオーストラリア軍まで巻き込んでの共同演習をやっている。

沖縄県の一部でオスプレイが忌み嫌われる理由もこの辺りにあって、離島防衛において速度の出るヘリコプターというのは極めて有用である。まあ、そういう事だよね。

遺憾を示す沖縄県知事

で、誰がこれに反対するのかというと、コレだ。

海兵隊オスプレイ飛行継続 沖縄に配備

2022年8月20日(土)

米空軍が特殊作戦機CV22オスプレイ全52機を地上待機させたことをめぐり、沖縄県の玉城デニー知事は18日、コメントを発表し、同県宜野湾市の米軍普天間基地に配備されている米海兵隊のMV22オスプレイについても、「地上待機させ、安全確認を行うべきだ」と求めました。

しんぶん赤旗より

<社説>沖縄に離島即応部隊 負担軽減の道理に反する

2023年1月11日 05:00

米政府が在沖米海兵隊を改編し、離島有事に即応する「海兵沿岸連隊(MLR)」を創設する方針だ。基地負担軽減の道理に反し、到底容認できない。

沖縄の負担軽減の名目で、海兵隊約9千人のグアムやハワイへの移転で日米が合意している。訓練についても国内の演習場への分散移転が進められてきた。

「台湾有事」を見据えて対処戦術を特化した部隊を創設するのは、機能強化にほかならない。負担軽減どころか強化一辺倒であり、県民を不安に陥れるものだ。

琉球新報より

沖縄県の知事は一体何処の国の人間か、という話なのだが。恐らく、魂は既に売ってしまったのだろう。

琉球新報も面白い社説を書いていて、いちいち突っ込みを入れる気にもなれないのだが、いつもの「国民に説明がない」というフレーズが使われている。全くアホらしい主張だね。この手の脅威が存在する事は政府から既に何度も何度も手を変え品を変えて日本国民に説明はされている。

また、上に説明した様にメディアにも目立たないまでもちょこちょことは出てきている。

従って、日本の国益を守る為に主張すべきことは、寧ろ「沖縄の防衛力を強化すべき」という話であり、そういう文脈で、海兵沿岸連隊の創設を「足りない」と批判するのならば理解出来るが、当事者である沖縄がその事を理解していない、理解しようとしない、県民に知らせようとしない姿勢を貫いているのは頂けない。

冒頭に書いた「台湾有事が現実のものとなりつつある」の言ではあるが、もう少し正確に書くと、攻めにくい台湾よりもより寧ろ沖縄県の無人島や先島諸島の島々の方が危ない。支那人民解放軍だって、兵士の損耗を嫌う。無抵抗な無人島を占領して、戦略拠点になるならそれに越した事は無いのだ。

もはや、他人事ではない。

だから、そこにアメリカが「やる気」を見せてくれるのであれば、日本は全力で乗っかっていくか、寧ろ主体となって引っ張っていくべきなのである。

コメント

  1. 木霊さん、みなさん、こんばんわ。

    いよいよ、米軍が海兵隊まで再編しての対支那シフトを公式に表明しました。
    数年前から、米太平洋軍の海兵隊や陸軍は、新しいコンセプトに基づいて、どちらも離島への前方配備と、離島が戦場になっても戦える攻撃部隊の無人化を進めているそうです。
    それは、輸送船も輸送機も輸送車輛もミサイル発射機も偵察機も必要なだけ無人化され、支那軍と狭い戦場で全力のド突き合いをしても、死傷者を最小限に抑える戦術体系だそうです。
    わが自衛隊も、米軍の再編に呼応して、部隊・兵器体系を改編していくそうです。これを奇貨として、日米関係が従来の主従関係から、ふつうの同盟関係(核以外はすべてOK)へ移行していくといいですね。
    日本は、これからの5年間が踏ん張りどころですし、そのための防衛予算はもっと必要になるでしょう。(岸田さん、お金が足りなければ国債でお願いします。)

    • 前から決まっていた方針ではありますが、このタイミングは狙っていたかのようですね。
      無人化が進むアメリカですが、日本もコレに追随できるように開発を進めてほしいものですね。

  2. こわばんわ。たぶん…キンペーくんがコロナ後始末でドタバタしている間、そして台湾&アメリカ大統領選挙が終わるまでは台湾武力侵略は無いのかも。
    だとすると、ここいらから1、2年が日本の防衛を固める時期で、防衛費の為の増税は嫌だけど仕方ないと想うてます。
    別に私が元自だから言うのでなく(出身の陸自は縮小方向だし)、そもそもシーレーンが中国の制海権になっちまうと、
    ホントに餓死者が出る未来が待ちますから。やむ得ないでしょうね。いい加減、平和は無料感覚は捨てるべきですし、困った時だけ米軍と自衛隊に頼り、その維持については頬カムリするの止めるべきと想うんですね。

    • 支那としても今のタイミングはなかなか難しい時期ですから、具体的な動きはしないでしょう。
      3月以降は分かりませんがね。
      しかし、それにしてもゼロコロナ政策の転換は唐突でしたね。噂によると、習近平氏自身が罹患し、大したことがなかったので「ああ、こんなものか」と実体験をしたからこそ、という判断に至ったとか。本当かどうかは知りませんが、迷惑な話ですね。

  3. こんにちは。

    「凍らぬ港がある限りロシアはいつでも狙ってる」
    などという歌詞の替え歌がありまして。
    中共にとっての沖縄は、ロシアにとっての「不凍港」と同じ意味合いですものね。
    ※ちなみにこれは三番の冒頭、一番は「もしも日本が弱ければロシアはたちまち攻めてくる」

    マスゴミや野党の「説明責任ガー」「疑惑は深まった!」も、こちらの言っている事を一つも理解するつもりがハナからない(そして、自分達の『国民に説明する義務』も果たさない)、というのもいいかげんバレている事ですし。

    北韓と南韓もキナ臭くなりそうですし、そちらでボヤを出して気を引いているうちに本丸に放火、なんて事を中共がしない事を祈るのみです。

    • 朝鮮半島情勢は怪しいデスねぇ。
      もはや一刻の猶予もない経済状況の韓国ですが、かなり思い切った政策を打たねばならず、波乱が予想されますね。そこを北朝鮮に突かれる可能性はあるでしょう。
      ぼや騒ぎで終わるレベルなら良いんですが、半島から火が付いて支那が参戦してきたりすると、面倒臭いですね。