日独で初の政府間協議が3月に

外交

よりによってドイツと、か。

日独が初の政府間協議…3月に調整、経済安保協力を強化

2023/01/09 09:35

日独両政府は、両国の首脳と関係閣僚が参加する「政府間協議」の初会合を3月に日本で開く方向で調整に入った。定期的に開催することで、「自由で開かれたインド太平洋」などの実現に向けて協力関係を進展させたい考えだ。

讀賣新聞より

もちろん、ドイツとの関係を強化することは良いことなのだと思う。ただ、ドイツとサシで関係を持つことには、余り良い印象がないんだよね。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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G7の枠組みで付き合えるかどうか

プラスに出来るのか否か

今回のドイツとの政府間協議は以下の事を議題にしていく積もりのようだ。

3月に行われる日本との初会合は、経済安全保障を議題とし、岸田首相とショルツ首相に加え、外相などの関係閣僚が出席する予定だ。覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、サプライチェーン(供給網)の強化や、ロシアによるウクライナ侵略で深刻となっているエネルギーや食料危機などについて議論が交わされるとみられる。

ドイツは現在、外交・安全保障政策の基本方針や対中戦略を策定中で、それらの進行状況についてもドイツ側が説明する見通しだ。

讀賣新聞「日独が初の政府間協議」より

日本とドイツとサプライチェーンの強化とか、エネルギー供給での強力とか、食糧危機についての議論とは言いつつも、何れもドイツとの関係を強化するのは難しそうである。

何しろ、日本にはほぼ輸出出来る資源がない状況であるし、サプライチェーンに関しても日本もドイツも主力の自動車産業は自前の部品供給網を持っていて、余り協力態勢の構築に旨味がある様には思えない。食料に関しても日本側から輸出できるものは、高級品路線くらいだと思う。

議論をしたところで、「アメリカさんお願い!」とかいう流れになりそうではある。

まあ、恐らく、その辺りは日本もドイツも理解した上でお題目にしているだけで、実際にやりたいのは対支那戦略なのだろうと思う。そして、ドイツの説明を日本が聞き、ドイツが支那べったりに見えるんだけど、それをどうしていくのか、と言うことを詰めていくということなのだろう。尤も、ドイツにしてみれば、俺が正しいのだということを説明して、日本には「助力しろ」と言うことなんだろうと思うのだけれど。

ドイツの目指す方向は

さて、ドイツに関しては「日本との結び付きを強め」ることで、支那への牽制を考えているのだという分析がなされている。

ウクライナ問題などで国際秩序が揺らぐ中、ドイツは民主主義などの価値観を共有する日本との結び付きを強めている。日本もインド太平洋地域で米国に加え、英国やフランス、ドイツなどとの安保協力を重層的に推進し、中国の強引な海洋進出をけん制したい考えだ。

讀賣新聞「日独が初の政府間協議」より

日本側の狙いは支那包囲網の一員にドイツを加えたいということなのだと思うが、ドイツはその方向を向いてはいないと思う。

国内での極右活動家に対する懸念が持ち上がる中で、支那の影響からの脱却はなかなか出来ないでいる。

中国との貿易に慎重になる必要=ドイツ経済相

2022年11月24日1:12 午後

ドイツのハーベック経済相は23日、中国との貿易を停止することは不可能だが、中国による重要セクターへの投資は慎重に審査する必要があると述べた。

同相は南ドイツ新聞主催の会議で「中国との経済関係維持に反対する根拠はない。ドイツ経済が中国に直ちに別れを告げるのは完全に不可能だ。だが目をつぶってはならない根拠はある。状況が悪化しないと期待してはならない根拠はある」と発言。

「ドイツ経済の重要セクターでは、重要な投資の戦略的な影響を判断し、封じ込める必要がある」と述べた。

ロイターより

支那との関係を慎重に見極めるべきだという意見が出始めてはいるが、未だに「中国との経済関係維持に反対する根拠はない」「ドイツ経済が中国に直ちに別れを告げるのは完全に不可能だ」という分析が、ドイツでは一般的である。

ドイツの中国接近が止まらない…欧米諸国を尻目に「抜け駆け対中戦略」の実態

2022.11.25 4:20

ドイツのショルツ政権発足から間もなく1年がたつが、その対中戦略が注目されている。中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害、ゼロコロナ政策やサプライチェーンなど諸問題がありながらも、ドイツと中国の経済界は前メルケル政権にも劣らない密接な結び付きを示しているためだ。中国市場にのめり込むドイツの対中ビジネスを追った。

DIAMOND onlineより

国際社会の方向性としては、依然として支那との関係を強化して利益を高めようということを考える人が多く、支那包囲網を作ろうというスローガンを掲げるアメリカは実は少数派だ。ドイツは、アメリカが支那と距離を開けた隙間を狙って利益を得ようとしている。

中国商務部によれば、EUの中でもドイツの対中投資額は最多で、2021年末までに中国におけるドイツ企業は5000社以上、プロジェクト数は累計1万を超え、投資総額は900億ドル近くにも上る。中国のドイツ商工会議所がまとめた「ビジネス信頼度調査(2022年1月)」によると、当時「71%の企業がドイツへの投資を増やす意向で、中国から撤退を検討している企業はわずか4%」だという。

DIAMOND onlineより

実際に経済連携を強めようとする動きは鈍っていないようで。

つまり、日本との関係強化というのは、どちらかというと国際社会向けへのアピールである可能性が強いのだと思う。マーケットとして大きな支那と付き合う方が、日本と付き合うよりもメリットが大きいと考えているのだろう。

防衛的な連携

なお、日本とドイツの関係は、防衛協力的な側面も見られる。

日独関係は近年、安保分野を中心に動きが活発化している。2021年3月に情報保護協定を結び、独海軍のフリゲート艦が同11月、日本に寄港した。

昨年は9月に、独空軍の戦闘機ユーロファイターが初めて日本に派遣され、航空自衛隊との共同訓練を行った。

讀賣新聞「日独が初の政府間協議」より

これも、どちらかというと国際社会向けへのアピールの側面は強いが、それでもドイツ海軍のフリゲート艦が日本まで来たり、ユーロファイターもわざわざ日本の百里基地に飛んできている。

独戦闘機「ユーロファイター」が日本に初飛来 空自百里基地

2022/9/28 19:44

ドイツ空軍の戦闘機が28日、初めて日本に飛来した。戦闘機は「ユーロファイター」3機で、そのうちの1機は空軍トップのインゴ・ゲアハルツ総監が自ら操縦し、航空自衛隊百里基地に着陸。日本には30日まで滞在し、空自のF2戦闘機3機などと日本国内で初めて共同訓練をする。

~~略~~

今回の飛来は、8月から10月にかけてドイツ空軍が初めてアジア太平洋地域に戦力を展開する訓練を行っていることを象徴したもの。訓練にはユーロファイター6機、A400M輸送機4機、A330MRTT空中給油・輸送機3機が参加しており、日本にはユーロファイター3機、A400M輸送機1機、A330MRTT空中給油・輸送機1機が飛来した。A400Mも初来日だ。

産経新聞より

当然ながら、日本に飛来するためには戦闘機単独で飛んでこれるはずはなく、A330MRTT空中給油機まで随伴させている。もちろんお金が掛かる話なので、本気度をアピールする為にも意味のある行動なのだが、他方、ドイツ国内の軍事力はかなり疲弊しているため、実際に有事となった際に稼働出来る兵器はどれ程あるのか?という不安はある。

独、新型戦闘車両に不具合 NATO演習、旧式で参加へ

2022年12月20日05時07分

ドイツ政府報道官は19日、年明けから北大西洋条約機構(NATO)の演習に参加する予定だったドイツ軍の最新鋭のプーマ装甲歩兵戦闘車(IFV)に不具合が起きたため、一世代前の旧式車両で代替させると明らかにした。ロシアの軍事的な脅威にさらされる中、長年軍備拡張に消極的だったドイツの即応能力に疑問符が付いた形だ。

時事通信より

去年末のことだが、NATOの演習に参加する予定だったドイツ陸軍最新鋭のプーマ装甲歩兵戦闘車(IFV)が相次いで故障。参加予定の17両全てが故障して旧型で演習に参加するという恥を晒している。

旧型車両の数台が故障したと言う話ではなく、新型17両全てが故障したということなので、そのヤバさは理解頂けると思う。ただでさえ、潜水艦や戦闘機、戦車の稼働率が酷いというニュースが出ていて、ドイツ軍は何れも「誇張した表現だ」と否定しているが、メルケル政権が軍事費を絞っていた事実はあって恐らく良好な状況ではないだろうと予想される。

尤も、こうした話は日本の自衛隊も人ごとではなく、岸田政権が防衛費を増やすと約束したものの、今現在は予算が足りない状況なので、日本もドイツも似たような状況なのかも知れないが。

ショルツ政権は信用出来るのか

とまあ、そんな訳で、日本とドイツとが協力態勢を結ぶよと言うバイの交渉をしたからといって、支那にとっては特に何も感じないことだろうと思う。

一方で、ドイツはアメリカとの関係も深めており、ウクライナ侵攻に対してアメリカと一緒に軍事支援をしようという姿勢を見せている。

米独首脳会談 ウクライナに歩兵戦闘車を供与 支援強化へ

1/6(金) 9:55配信

アメリカとドイツがウクライナへの新たな軍事支援としてこれまで見合わせていた歩兵戦闘車を供与する方針を表明しました。

アメリカのバイデン大統領とドイツのショルツ首相が5日、電話会談し、ウクライナが必要とする軍事的な支援などを引き続き提供する決意を示しました。

yahoo!ニュースより

ドイツとしてはウクライナの状況は他人事ではない。実際に第二次世界大戦の時にもロシアに辛酸を舐めさせられていて、それ以前からロシアの脅威を常に受け続けている国の1つである。

アメリカはその事を理解した上で、ドイツと「一緒に軍事的な支援をやろうぜ」という話をしている。

恐らく、日本もG7という枠組みを利用してアメリカを軸にしてドイツとの関係を深めていこうと言う狙いがあるのだと思うのだが、日本はドイツと手を組んで酷い目に遭った歴史がある。大東亜戦争の際には明らかに組む相手を誤ったのだ。

故に多国間での強力という意味でドイツを巻き込んでいくのは賛成したいところだが、ドイツとの直接的な関係となると、少々心配な面が強い。

ドイツにとっては、「日本よりも支那」という位置づけは今も昔も然程大きく変わらない。そもそもドイツが日本や支那を「対等の相手」と考えているかどうかは怪しい。アメリカは直接戦った相手として認識されていて、格下扱いとは言え相手にして貰える感じだが、果たしてドイツはどうなんだろうな。個人的に余り信頼していない国の1つなんだよねドイツは。技術力は高く評価しているんだけど。

コメント

  1. 新春おめでとうございます。
    その新春からロクでもないニュースですが、岸田内閣はどこを向いているのでしょうか。

    >日本側の狙いは支那包囲網の一員にドイツを加えたいということなのだと思うが、ドイツはその方向を向いてはいないと思う。

    前半は、米国の指令には服従するという日本政治の不文律の結果であって、岸田内閣にはそのような積極さはないと思います。後半は、その通りかとw。

    問題は、どちらが日独協議を発起したかですが、自分は独逸が要望したのだとみています。
    独逸は、そもそも米国と衝突しても支那と別れるつもりはなく、むしろ支那に宥和的な岸田政権を巻き込みたいだけだろうと。

    独逸は、露西亜というお得意様を失いつつあるので、なおさらに稼げる商売相手である支那を繋ぎ止めておきたいのでしょう。

    • はい、あけましておめでとうございます。
      まあ、ロクでもないニュースではあるんですが、多国間連携を模索することそのものは悪い話ではありません。
      相手がドイツだというのが、ちょっと心配なだけで。

      そして、ご指摘通り、恐らくはドイツ側からの要請で日独協議という流れになったのだと思います。
      北欧の他の国からの来訪ということも以前にありましたが、安倍氏が残した「信頼」というものが大きな影響を与えているんだと思います。岸田氏はそこを上手いこと利用して欲しいですね。「彼奴は信用出来ない」ということにならない様に。「とらすと・みー」といって不興を買ったアホ首相も過去にはいましたが。

  2. こんにちは。

    ショルツ政権自体は、エネルギー問題と軍事面については(それ以外もですが)メルケル政権の尻拭いの色合いが強いので可哀想っちゃ可哀想ではありますが、本人に改善の意思が薄いのでは同情の余地はないですね。

    ドイツは、日華事変以降も、日独伊三国同盟とか言いながら中華に武器売ってた前科がある、というのはもっと知られて良いと思います。

    「次はイタリア抜きで」ってのはお約束の一言でしたが、歴史を知ったり、欧州政治を見たりすると、「次はドイツ抜きで」が正解だとしか思えないのですよね。
    ※その意味で、次期戦闘機は期待してます。絶対にFCASにイッチョ噛みさせるな!ジャガイモとカエル食いは仲よく沈んでいけ!

    未だに欧州出羽守、ドイツ出羽守が跳梁跋扈する本邦の意識高い系界隈ですが、既に得るもの何もないと言える状態なので、いいかげん目を醒ましてほしいものです。

    • ご指摘の様に、メルケル氏の尻ぬぐいをやらされているショルツ政権という構図ではあるんですが、ショルツ政権の様子を見ていると、僕も余り同情できません。
      そして、F3計画にドイツが乗ってきていないことも、個人的には嬉しいポイントですね。
      イギリスは、油断ならない相手ですが、日本が組む相手としては悪くありません。イタリアはいい加減な国ですが、技術力は高いですからねぇ。ドイツは……、信用してはならない国だと個人的には思っています。