韓国軍、北朝鮮のドローン戦略に苦慮

陸軍

韓国軍ネタではあるが、日本も無関係ではいられない話ではある。

北朝鮮ドローン侵入、ソウルに迫る 韓国軍は撃墜作戦と偵察活動

2022年12月26日4:30 午後

韓国軍は、北朝鮮のドローン(無人機)5機が26日、軍事境界線を越えて韓国空域に侵入したため、戦闘機や攻撃ヘリコプターが緊急発進させ、撃墜を試みたと発表した。

ロイターより

笑えない韓国軍の実情、という事になるのかな。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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ドローンからの防衛戦略

北朝鮮のドローン

過去、何度も韓国軍は北朝鮮から飛来する小型機への対応を迫られ、苦慮している様子。

当然ながら幾つか対策も考えられてはいるようだ。

今のところ報道されている中で僕が把握できているのは、以下の3つ。

  1. レーザー対空武器:2023年までに開発完了して体系化
  2. 対ドローン兵器:K-30「飛虎」+短距離赤外線誘導ミサイル「神弓」
  3. アイアンドーム・コピー:2033年までに開発完了を目指す

世界でもドローン対策には色々と手を焼いているし、ロシア軍のウクライナ侵攻においてもドローンを利用した嫌がらせを双方でやっているらしいので、今後の戦場に登場する事は恐らく間違いがない。当然、韓国も北朝鮮が積極的に運用して来ているので必死に対応している。

なお、アイアンドームに関しては、ドローン対策がメインで開発されているわけではないと思うのだが、「使えるんじゃないか」という報道を何処かで見かけたので、一応ラインナップに加えてあるという意味なので、ご了承願いたい。

今のところ有効な対応策はない

が、今のところ小型機やドローンに有効な対策がないらしく、今回は、戦闘機や攻撃ヘリコプターを出したらしい。

●参謀本部は会見で、ドローンを検知し、まず「警告射撃」を実施し、その後撃墜作戦を実行したと述べた。1機でも撃墜できたかは明らかにしなかった。聯合ニュースは、韓国軍が100発程度射撃したが撃墜に失敗したと伝えている。

参謀本部によると、ドローンは2メートル程度の小型。搭載装置など詳細は明らかにしていない。

ロイター「北朝鮮ドローン侵入、ソウルに迫る 韓国軍は撃墜作戦と偵察活動」より

記事にあるように、韓国の参謀本部がドローンの検知に成功したのは事実だろう。ただし、早期に発見できたのか?というと、そうではなかったようだ。

北朝鮮の無人機 ソウル付近まで接近か=韓国軍が撃墜へ

2022.12.26 17:19

韓国の領空を26日に侵犯した北朝鮮の無人機はソウル付近上空まで接近したようだ。韓国政府消息筋が伝えた。

無人機は京畿道・坡州の民間人居住地域の上空を飛行し、ソウル付近に接近したという。

韓国軍は戦闘機や攻撃ヘリコプターなども投入し、撃墜を試みている。

聯合ニュースより

首都のソウルにドローンの近接を許した時点で、検知成功とは言い難い。

ただ、ドローンの飛行速度が幾ら遅いとは言え、時速100~150km/h程度は出る(最高速度は民間機でも300km/hを超えている)ので、国境から最短40km程度しかないソウルにとって、ドローンの脅威は他人ごとではないだろうし、少しでも検知が遅れると近接を許してしまう。今回も、恐らく国境を越えたドローンの検知が10分、20分遅れた結果、ソウル付近に近接したということなんだろうね。

合同参謀本部によると、26日午前10時25分ごろからソウル郊外の京畿道で北朝鮮の無人機と推定される未詳の航跡が確認された。無人機は数機という。

聯合ニュース「北朝鮮の無人機 ソウル付近まで接近か=韓国軍が撃墜へ」より

で、「未詳の航跡が確認」されて、無人機が来た!という話になった模様。

2017年の侵入事件以来

事件としては、2017年に北朝鮮からの小型機飛来事件があって、今回はその時以来だということらしい。

北朝鮮の無人機が韓国領空を侵犯 約5年ぶり=民家まで南下

2022.12.26 17:06

韓国軍の合同参謀本部によると、26日午前10時25分ごろからソウル郊外の京畿道で北朝鮮の無人機と推定される未詳の航跡が確認された。無人機は数機という。北朝鮮の無人機が韓国の領空を侵犯するのは2017年以来となる。

聯合ニュースより

飛来した小型機はこんな感じの機体だったようだ。

今回も、これに似た機体が飛来したようだが、複数機が同時に飛来した(報道によれば5機)のは初めてなのではないだろうか。いや、検知されたのが初めてということなんだろう。

韓国軍は肉眼でも無人機を確認。大きさは14年に韓国で発見されたものと似ているという。

聯合ニュース「北朝鮮の無人機が韓国領空を侵犯 約5年ぶり=民家まで南下」より

大きさは5年前(2017年)の時のものと似ていると言うことらしいのだけれど、「大きさは」という表現は気になるなぁ。

100発撃っても撃墜できず

で、今回、韓国軍がこのドローンに対応したワケなんだけど。

やっちゃった話は別に書いたので、それはリンクを貼っておくことにしよう。

慌てて飛ばした軽攻撃機が墜落した話はさておき、その他の対応もガッカリだった

北の無人機 韓国領空を約5時間侵犯=100発撃っても撃墜できず

 2022.12.26 20:09

2017年以来、約5年ぶりに韓国の領空を侵犯した北朝鮮の無人機がソウルなどの上空を5時間以上飛行したことが分かった。韓国軍は無人機に向かって発砲したものの撃墜に失敗した。無人機の一部は北朝鮮に戻り、一部はレーダーから消失した。

聯合ニュースより

韓国軍は迎撃したにも関わらず撃墜できずに、ドローンは北朝鮮にお戻りになったようなのだ。情報収集をしっかりさせた上に、悠々と帰っていたというのは、韓国軍にとっては屈辱だったのでは。

北朝鮮の無人機はレーダー上で計5機確認された。最初に確認された1機は京畿道・金浦と坡州の間にある漢江河口の中立水域から侵入してソウル北部に向かい、その後北朝鮮に戻った。残りの4機は京畿道・江華島の西側から進入し、江華島周辺で活動する航跡を見せたが、韓国軍はこの4機については韓国側の監視を分散させる目的があったと判断した。4機は韓国軍のレーダーから消失し、その後航跡は現れていないという。

~~略~~

韓国軍は戦闘機や攻撃ヘリコプターを投入。喬桐島の西側で無人機を捕捉し、ヘリが20ミリ砲約100発を撃ったが、撃墜には失敗した。韓国軍関係者は「わが国民に被害が出ない範囲内で対応した」と説明した。

聯合ニュースより

飛来したドローンの機体の翼幅は2m程度で、5機がバラバラに飛来している様なのだけれど、韓国軍は戦闘機や攻撃ヘリコプターを投入して対応したのだとか。

そして、攻撃ヘリが20mm砲約100発を撃ったけれども撃墜に至らずなんだとか。

韓国軍が保有する攻撃ヘリは2種類。AH-1S、AH-1Zと、AH-64Eで、20mm砲を搭載しているのはAH-1系の攻撃ヘリである。そして、北朝鮮のドローンが韓国軍の攻撃を察知して回避行動を採ったとは考えにくい。つまり、攻撃ヘリでは小さな的を攻撃するのに適さなかったということなのだろう。

飛行高度の問題もあって、迎撃がそう簡単だったとは思えないしね。

日本が同じ事態を迎えたら

さて、今回の記事は韓国側の不手際について言及するだけの目的で書いたのではない。

実はウクライナ軍のニュースでこんな話があった。

ウクライナ軍がロシア領内深くに攻撃か、侵略開始後初…無人機で軍用飛行場襲う

2022/12/06 20:19

ロシア国防省は、西部リャザン州と南部サラトフ州にある露軍の軍用飛行場が5日、ウクライナ軍の無人機(ドローン)で攻撃されたと発表した。ウクライナ政府高官も5日、米紙ニューヨーク・タイムズにウクライナ軍による攻撃と述べた。ロシアのウクライナ侵略開始後、ウクライナ軍が露領内深くに攻撃した初めてのケースとみられる。

露国防省の発表によると、攻撃を受けたのは、モスクワの南東約200キロ・メートルにあるリャザン州のジャーギレボ軍用飛行場と、南部サラトフ州のエンゲルス軍用飛行場で、いずれも戦略爆撃機の拠点になっていた。

讀賣新聞より

このニュースはロシア軍の基地が、ウクライナ軍のドローンによって攻撃されたという衝撃なニュースで、ロシアの両空軍基地はウクライナ国境から400~500km程度離れているというから、ドローンを使った長距離爆撃が可能であることを世に知らしめてしまった。

ウクライナのスポークスマンによれば、「1000kmまでは対応出来る」と言うことらしい。

北朝鮮から東京までの距離は1200km程度、佐渡までなら700kmである。

つまり、北朝鮮がウクライナと同等の技術を保有していれば、今回の韓国軍の対応を見ても全く他人事ではないのだ。自衛隊内部では相当な衝撃が走ったと思う。当然、「可能だろう」という分析はなされていたはずだが、実際に出来てしまった事案を突き付けられれば、その焦りはレベルが違うだろう。日本国民としても、その事はしっかり考えねばならない。

韓国軍の対応を他山の石とすべきなのだ。

追記

あらあら。

韓国軍「北の無人機撃墜失敗に謝罪」…操縦士撮影の実際の姿公開

2022.12.28 07:55

韓国合同参謀本部は27日、前日に韓国領空を侵犯した北朝鮮の無人機を撃墜できなかったことに対し、公式に謝罪し無人機対応戦力を強化すると明らかにした。

~~略~~

合同参謀本部は前日、北朝鮮の無人機5機が軍事境界線(MDL)を越えて領空を侵犯すると、空軍のF15戦闘機とKF16戦闘機、KA1戦術航空統制機、陸軍のAH64、AH1攻撃ヘリなど20機余りの空中資産を投じた。しかし北朝鮮の無人機に向け100余以上の機関砲射撃を加えても5時間余り領空を飛び回った無人機が北朝鮮へと抜け出すのを防げなかった。

中央日報より

かなり豪勢なメンバーで対応したようだ。

北朝鮮の作った無人機5機のお値段を考えると、F-15、F-16を投入し、KA-1を出撃させて墜落させ、AH-1だけでなくAH-64まで投入したというから、韓国の持てる最大戦力を投入した恰好だ。

にもかかわらず、撃墜スコアはゼロ。本文で触れたように、無人機は敵影を見て行動を変更するような行動が採れたとも思えない。

深刻な事態には違いないようだ。

コメント

  1. 迎撃に向かった韓国軍戦闘機が墜落したという右斜め上展開に関してもコメント欲しいです🙋

    • それは別の記事にしました。
      アナウンスしておくべきでしたねぇ。少し、記事を修正しておきます。

  2. こんにちわ。自爆ドローンはたくさん飛ばされると、イージスシステムも効かないと聞きました。サウジの油田に置いたイージスシステムをドローンが突破みたい話を聞いた記憶あるような……戦争のやり方を根本的に変えるかと。
    それと関係してるのか解らないですが、
    ビジュアル処理の高度な半導体が入らなくなりましたね。また。
    一時期、ゲーム専用パソコンや、プレイステーション5が手に入らなかった理由に、あれらの映像用半導体は仮想通貨のマイニングで使われるのでシナが買い漁っていたせいなのですが。キンペー君の
    IT企業締め付けと、仮想通貨利用者の締め付けで、シナの備蓄が出るようになる。んで、やつとプレステ5買えるかと思うたら、ウクライナのドローンのせいなのか、シナが半導体を出さなくなって、また生産かズレ込んでるようで。
    戦闘シミュレーションのFPS好きのオタクの私には、いい迷惑です(笑)

    • そういえばドローン用の半導体が足らなくなり、ロシアが電子レンジなど家電から剥がして使うてるて噂ですが。
      そんな電子レンジの半導体でドローン飛ばせるのでせうか??

      • ドローンがどんな半導体を使っているかわからないので、電子レンジを分解してドローンが作れるのかは知りませんが、ロシアは支那からジャンク同然の半導体を大量に買い漁っているというニュースは見かけましたね。
        ずいぶんとジャンクを掴まされて怒っているというニュースでしたが、逆に言えばある程度の入手ルートは確保できているということでもあります。
        「足りない」けれど「作れない訳では無い」ということなのでしょう。いつまで続けられるのかは分かりませんが、半導体の品薄感が強いところを見ると、それなりに部品が集まっているのでしょうな。

    • 自爆ドローンの群れに対抗するには、恐らくCIWSの弾幕くらいしか有効ではないでしょう。其れも数分で打ち尽くすので、多数のドローンを用意されるとなかなか対抗は難しいでしょうね。
      半導体不足は何処がネックになっているかと言えば、支那なのでしょう。
      アメリカがスパコン用の部品を輸出しないように画策していますから、対抗手段として画像系の半導体を集めているんじゃないでしょうか。ご指摘どおりマイニングとかにも使われましたからね、一時期。

  3. 「北朝鮮の無人機を撃墜できず 韓国軍が謝罪(AFP 12/27)」
    https://www.afpbb.com/articles/-/3445156

    韓国軍の対北ドローン対策は深刻な状況ですね。
    今回の事件で、韓国(軍)へのドローン・スウォームが有効であると証明されてしまいました。
    今後北は、ミサイル発射や海への砲撃よりも遥かに低コストで、韓国をいじりそうです。

    • 続報も書きましたが、この問題は結構深刻な要素を含んでいるようです。
      韓国へのアプローチで、ドローン活用がこれ程有効とは。これ、2回、3回と、間を置かずに波状攻撃していけば、かなり有効ではないでしょうかね。
      警戒する方は、莫大なコストと労力が必要だが、仕掛ける方は最小限で良いという極めて有効性の高い手段です。

      • 木霊様 皆様 こんばんは

         せいぜい自転車バイクぐらいの小型・敵ドローンが、街ビルの谷間ぐらいの低空を・低速で飛び回る—対する味方は有人機。な今回の状況だと、狙いは、上空からの掃射。軍用機銃、バルカン砲だと100発/秒 街の被害が大きすぎて韓国軍ならずとも撃てないですよね。

         ウクライナではこういう状況だと地上から人間が鉄砲で狙うのが主流だとか、、、でも平時だとね。ソウルが38度線に近すぎるから? 

         しかし日本でも例えば東京湾の通関待ちコンテナーからだと政治中枢はもっと近い、、小型ドローンならあり得ますよね?
         やっぱ言われるように、街防衛用小型ドローンに拳銃レベルの低威力兵器を積んで追いかけ回して近接攻撃。のようなシステムでしか対抗できないのかも?

  4. 木霊様、皆さま、おはようございます。お久しぶりです。

    的が小さいから命中しにくい。ならば近接信管を使って適度に近づいた時に子弾を高密度にばらまくのが良さそうな気がしますが、どうでしょうね。

    • 今回の件で最も問題なのは、ドローンの発見が相当難しい事なんですよね。
      そして、迎撃に関してもご指摘の方法が有効なのは事実なのでしょうけれど、周囲への影響まで考慮せねばならないことを考えると、有効でも使いにくいというジレンマが。