2年前の公務員射殺事件を蒸し返す韓国大統領

大韓民国

いつの話かと思ったら、2020年に韓国の公務員が殺害された事件の話か。

殺害された公務員が北朝鮮で逮捕された直後、韓国軍が最初にしたこと

2022.12.07 16:05

文在寅政権の軍は2020年9月23日、西海(ソヘ、黄海)で漂流していた韓国海洋水産部の公務員、故イ・デジュン氏が北朝鮮軍に逮捕された事実を把握した直後、イ氏が乗っていた漁業指導船にライフジャケットの全数調査を指示したことが確認された。

中央日報より

当初から不可解な事件ではあったが、大統領だったムン君の行動も随分と不可解だね。

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射殺事件を調査せよ

北朝鮮が韓国の公務員を射殺した事件

先ずは、どんな事件だったかを少し整理。

北朝鮮が韓国海洋水産省職員を射殺、「蛮行」非難も黙殺 問われる文政権の対北対応

2020/9/24 18:38

韓国国防省は24日、北朝鮮に近い北西部、延坪島周辺の海域で行方不明となった韓国海洋水産省所属の公務員の男性(40代)が北朝鮮により射殺され、焼却されたと発表した。同省は強い遺憾を表明し「蛮行だ」と北朝鮮を非難。韓国大統領府は国家安全保障会議(NSC)を開き、北朝鮮を「強く糾弾する」と非難した。緊張が高まる中、北朝鮮は韓国側の批判を黙殺している。

産経新聞より

産経新聞が報じた記事を引用しているが、産経新聞では事件を以下のように整理している。

  • 延坪島周辺の海域で違法操業取締りをしていた韓国海洋水産省所属の公務員男性が射殺(2020年9月22日)された
  • 男性は、違法操業取締りを行っていた船から行方不明(9月21日)に
  • 翌日、男性が救命胴衣を着けて北朝鮮側の海域で発見される(22日)
  • 北朝鮮軍が男性を射殺
  • 男性の遺体はその場で焼却される
  • 後に、男性が越境の意思があったと認定される

この事件、色々不可思議な点が指摘されているが、射殺された男性の動機が先ずよく分からない。

どうやらこの男性、海洋水産部傘下の西海漁業管理団に所属する公務員で、それまで勤務していた船から9月に異動となり、17日に事件が起きた船に乗りこんだばかりだったという。この異動は意図されたものだった可能性はある。つまり、スパイだった可能性があるという事だ。9月にもなると水温はかなり下がる。救命胴衣だけで夜通し泳ぐというのは、現実的では無い気がするのだ。

尤も、スパイだとしたら海上で射殺されるのも変な話ではあるが。

ともあれ、動機がよく分からないし、射殺された理由も、焼却された理由も不明だ。にもかかわらず、この事件はその後に展開もなく闇に葬り去られてしまったようだ。

捜査が始まったのは2022年10月

で、大統領がユンユンになってから、この事件の捜査が再び始まる。

北韓による韓国人射殺事件 監査院が検察に捜査要請

Write: 2022-10-14 14:17:41/Update: 2022-10-14 14:22:02

文在寅政権当時の2020年に韓半島西の海、西海で起きた北韓軍による韓国人男性公務員の射殺事件をめぐって、監査院は13日、前政権の高官ら20人について検察に捜査を要請しました。

捜査の要請が出されたのは、徐薫前国家安保室長や朴智元前国家情報院長、徐旭前国防部長官など、文前政権の情報・安全保障当局の高官を含めた20人で、職務放棄や職権乱用、虚偽公文書作成などの容疑が適用されました。

KBS WORLDより

これは「積弊清算」の一種で、前政権の影響を払拭する為に行う韓国特有(他国でも程度の差こそあれ多少はあるが)の儀式である。「積弊」は長い間に積もり重なった害悪を意味するのだが、韓国の場合は前政権の影響を払拭するのに使われるので、必ずしも良い結果になるとは限らないのが残念である。

当然、ユンユンもコレを実行しているのだが、まずその対象になったのが前国家保安室長や、前国家情報院長、円国防部長官など、ムン君が安全保障の分野で重用した人物達である。

ムン君は一貫して従北姿勢を貫いて来たことで、北朝鮮に対する外患誘致政策を推進していた疑いが強く、安全保障分野の人材は完全にムン君の息のかかった人物で纏められていた。

当然ながら、疑わしい話はゴロゴロ出てくるのだが、その延長線上に上がってきた事件がこの韓国人男性公務員射殺事件なのである。

で、再調査がなされた。

この事件は、韓国海洋水産部に所属する漁業指導船の乗組員が、おととし9月に、西海で北韓軍によって射殺されたもので、事件当初、海洋警察と国防部は、この乗組員が自らの意思で北韓側に渡ろうとしていたとする捜査結果を公表しましたが、ことし6月、根拠がないとして判断を覆しています。

これを受けて、監査院は7月中旬から、文在寅政権時代の大統領府国家安保室と国家情報院、国防部、海洋水産部と海洋警察など9つの機関を対象に、西海公務員殺害事件に対する監査を進め、男性が自ら北韓に渡ろうとしたとの判断に至った経緯を中心に調査していました。

KBS WORLD「北韓による韓国人射殺事件 監査院が検察に捜査要請」より

どうも流れ的に、被害者はスパイだったんじゃないのか?というような疑惑が持ち上がっているようだね。政府の連絡員だったという事を疑っているのではないかな。

監査院は、海洋警察について、事実確認がされていない証拠を使用したほか、見つかった証拠を隠ぺいし、実験の結果を歪曲したと指摘しました。

また、国防部と国家情報院については、関連の報告書数十件を削除するなど、組織的な隠ぺいをはかったと指摘しました。このうち国防部は当初、公務員の遺体は北韓軍によって焼却されたと判断したものの、あとになって「追加調査が必要」と立場を変えていますが、監査院は、立場を変えた背景には、当時の文大統領が「発表が断定的過ぎる」と指摘してことがあったとしています。

KBS WORLD「北韓による韓国人射殺事件 監査院が検察に捜査要請」より

どうやら、安全保障を担当する部署が尽く事件を隠蔽しようとして動いていたらしいというのだから、よっぽどこの事件の真相が都合が悪かったらしいね。

ただ、「北朝鮮軍によって焼却された」と発表されていた事実が覆ってしまうとすると、一体ソレはどんな事件だったのか?本当に射殺されたのか?という根本的なところにまで疑念は膨らんでしまう。

救命胴衣をカウントしろ!いいか、カウントしろ!

さて、で、冒頭のニュースなんだけれど。

軍情報筋は「軍は当日午後4時ごろ特殊情報(SI)を通じてイ氏が逮捕された事実を確認し、その過程で(イ氏が着用していた)ライフジャケットが確認されると(出どころを)把握するよう指示した」と伝えた。情報筋は「これを受け、海軍作戦司令部のある准将がイ氏が乗っていた漁業指導船にライフジャケット全数調査を要請した」と話した。「海軍作戦司令部にそのような指示をした上層部が誰か」という質問には口を閉じた。

中央日報「北朝鮮が韓国海洋水産省職員を射殺、「蛮行」非難も黙殺 問われる文政権の対北対応」より

事件発生後、ライフジャケット(救命胴衣)の数を数えさせたらしい。

いやまあ、失踪した男性が救命胴衣を着ていたという情報が出れば、「何処の救命胴衣を着ていたのか」を調べるのは分かる。

分かるが、記事で指摘されるように、軍上層部から民間船舶(漁業指導船)に救命胴衣の全数調査をするような指示を出すことがそもそも不自然(警察の仕事だよね)だし、執拗にそれをチェックさせたのも不自然だ。

イ氏は「船長に『作戦司令部の誰が電話をしたか』と尋ねると『ワンスター(准将)がした。午後5時50分まで3回電話をかけて調査を指示した』と答えた。電話がくる間隔を20-30分とみると、弟が逮捕された事実を把握した午後4時直後から3回も電話をし、ライフジャケット全数調査を3回も繰り返してさせたということ」と伝えた。

イ氏は「軍が救助活動でなくジャケット全数調査をさせたのは、ジャケットの数が1つ足りなければ弟が越北を目的にジャケットを着て水に飛び込んだことにしようという意図だったはず」と主張した。

中央日報「北朝鮮が韓国海洋水産省職員を射殺、「蛮行」非難も黙殺 問われる文政権の対北対応」より

そして、困った事にこの記事からは、被害者が着けていた救命胴衣が、船に用意されていたものでは無かったことが明らかになってしまった。

イ氏の兄イ・レジン氏は「当時、船長にライフジャケット全数調査の結果を尋ねると『船内にあるジャケットは法的必須備品が27枚、予備備品まで合わせれば70余枚だが、そのままある』と答えた。海警が公開した船員の陳述書にも『ジャケット現況に異常はなかった』と書かれていた」と話した。

また「弟がライフジャケットを着て船を離脱したのでないことが確認されると、文在寅政権は弟がジャケットを事前に準備していたと言って越北を強弁した。しかし尹錫悦政権に入ると、監査院は弟が死亡当時に漢字が書かれたライフジャケット姿だったことを発見し、『越北のためにライフジャケットを事前準備したとみることはできない』という結論を出した」と説明した。

中央日報「北朝鮮が韓国海洋水産省職員を射殺、「蛮行」非難も黙殺 問われる文政権の対北対応」より

救命胴衣に漢字が書かれていたらしく、救命胴衣の出所が一気に怪しくなった。韓国製の救命胴衣に漢字が書かれているわけはない。支那からの輸入品だった可能性はあるんだけど、そもそも船に救命胴衣を持ち込む意味がイマイチ分からない。だって、船に備え付けられているんだぜ。

軍上層部が救命胴衣を数えろとしつこく言った理由も含めて、どうにも怪しい事が多すぎである。

仁川海洋警察「北朝鮮に銃撃された公務員、自ら越北したと断定するに足る根拠なし」
1年8カ月経て判断変更 国防部「国民を混乱させ遺憾」 遺族「尹錫悦大統領に感謝」

越境の意思すら「怪しい」という結論になってしまったし、どうなのよこれ。

これは、最終的にムン君逮捕まで行きそうだね。

コメント

  1. こんにちは。

    ある程度真相(なり何なり)が出たところで、彼ら得意のプロパガンダ映画でも作って欲しいところですね。アクション巨編の。
    ※彼らの映画作りは、評価してます。邦画よりはるかにいい。
    国内での政策が、もとい制作が難しければ、脚本をハリウッドに売って……だめか、ハリウッドは中国資本のチャリウッド化してますから……

    • 韓国で映画を作ると、全てがファンタジーになってしまうんですよねぇ。
      娯楽映画なら良いのでしょうが、事実をいとも簡単に捻じ曲げて、あとから「アレこそが真実だ」とやるわけですから、救いようがありません。
      映画単体で見ると、映像の作り方とか随分と研究してあってセンスを感じるのは事実なんですけどね。