アメリカでテロ発生、変電所が銃撃されて4万戸が停電

北米ニュース

CNNが伝えて、「テロである」とは認定していない状況ではあるが……。

変電所銃撃で4万戸が停電、住民に夜間外出禁止令 米ノースカロライナ州

2022.12.05 Mon posted at 12:11 JST

米ノースカロライナ州中部のムーア郡で3日夜、2つの変電所が銃撃されて損傷する事件があり、約4万戸が停電に見舞われている。保安官は4日の記者会見で、午後9時~午前5時の夜間外出禁止令を同日から発令すると発表した。

CNNより

状況から判断すればテロであった可能性は極めて高い。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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狙いの分からない破壊工作

テロリストの狙いは分からないが

テロリズムとは、政治的目的を達成するために、暗殺、殺害、破壊、監禁や拉致による自由束縛など苛酷な手段で、敵対する当事者、さらには無関係な一般市民や建造物などを攻撃し、攻撃の物理的な成果よりもそこで生ずる心理的威圧や恐怖心を通して、譲歩や抑圧などを図るものと定義されている(諸説あり)。

成立要件が多岐にわたるが、共通する点は「政治的な目的」があることと、「暴力を伴う手段によって攻撃が行われる」ことが含まれ、「無差別に行われる」ことが多い。また、反体制側に立つ犯人による攻撃が多い。

さて、今回の変電所への攻撃が如何なる目的で行われたかは明らかにされてはいないが、暴力を伴う手段によって攻撃が行われたことは確実であるし、影響は無差別に与えられた。そして、無差別攻撃をした異常は政治的目的は推認される。

ムーア郡のロニー・フィールズ保安官は、2つの変電所で複数箇所が銃撃されたと述べ、無差別の銃撃ではなく変電所が狙われたとの見方を示した。容疑者は特定されておらず、テロかどうかも明らかにしていない。

CNN「変電所銃撃で4万戸が停電、住民に夜間外出禁止令 米ノースカロライナ州」より

随分と計画的に行われた様だしね。

一般人は変電所の内部構造など知っているわけがないし、銃撃によって停電するように破壊が出来た事を考えると、「計画的」であったことは確実だ。何処から入手したかは知らないが、内部構造に関する資料を手に入れていたか、変電所の関係者であった可能性は高いだろう。

保安官事務所によると、同郡の停電は3日午後7時ごろから発生。電力会社が調べたところ、複数の変電所で故意に破壊された形跡が見つかった。

CNN「変電所銃撃で4万戸が停電、住民に夜間外出禁止令 米ノースカロライナ州」より

変電所の関係者であったとすると、怨恨の線も考えられるのだが……。

米ノースカロライナ州の郡で停電続く、変電所銃撃犯いまだに不明

2022年12月6日11:55 午前

米ノースカロライナ州の変電所で3日に発生した銃撃事件を受け、ムーア郡のほぼ全域が2日間にわたって停電に見舞われている。地元保安官は5日、首謀者は変電所を無力化する方法を「正確に」知っていたと述べた。

~~略~~

当局は捜査を巡り、被害が銃器によるものであることのみ明らかにしている。しかし、ロニー・フィールズ保安官は、攻撃を指揮した人物が変電所の破壊方法を知っていたことを示唆。「(犯人は)自分たちが何をすればあのような被害や停電を引き起こせるかを正確に知っていた」と語った。

ロイターより

この寒さが厳しくなって行く時期に、敢えて変電所を破壊して多数の人々への影響を演出したとするならば、怨恨の線で事件捜査をしていくのには無理がある気がする。尤も、現段階では犯人の狙いや犯人像すら絞れていないらしいのだが。

地元出身の議員によると、事件についてはノースカロライナ州捜査局や米連邦捜査局(FBI)が捜査しているが、これまでのところ動機などは分かっていない。

CNN「変電所銃撃で4万戸が停電、住民に夜間外出禁止令 米ノースカロライナ州」より

FBIが動いている事を考えると、テロの線が濃厚であるという判断なのだろう。住民には夜間外出禁止令が出たとのことも、テロである可能性の高さを示している。

では、どんな狙いがあったのか?と言うとコレがニュースからはサッパリ分からない。

組織的な発砲事件

さて、CNNの記事が報じられてから2日経って、未だにハッキリした事は分かっていないようだが、事件は組織的に行われた可能性が高いと判断されているようだ。

米ノースカロライナ州の停電3日目に、当局「組織的な発砲事件」

2022年12月7日5:36 午前

米ノースカロライナ州の変電所で3日に発生した銃撃事件を受け、ムーア郡で数万世帯が停電を余儀なくされてから3日が経過した。当局は2カ所の変電所を狙った組織的な発砲事件として捜査を続けている。

この地域に電力を供給している電力大手デューク・エナジーによると、6日朝時点でも依然として3万5000世帯超が停電している。

ロイターより

停電が回復するまでにはあと2日程度の時間を要する(7日か8日には回復の予想)だろうと記事は指摘しているが、3日夜から続く停電が8日迄続くとなると、5日程度は電気が止まっていることになる。

似たような状況はウクライナで頻繁に起きているので、ウクライナ国民が聞いたら鼻で嗤いそうな話ではあるが、しかし、平時に1週間も停電してしまったら、普通の国だと色々な面でトラブルとなる。当然、アメリカもそうなる。

ところが犯人は、そう簡単に復旧出来ないようなやり方で破壊をした様なのだ。

米変電所に「意図的な」攻撃、一時は4.5万戸停電-FBIが捜査

2022年12月6日 2:16 JST

米ノースカロライナ州ムーア郡の変電所2カ所が何者かに銃撃され、一時は約4万5000戸に上る世帯や事業所が電力を失った。当局は「意図的」な攻撃とみて、捜査を進めている。

連邦捜査局(FBI)によれば、銃撃による損傷は「深刻」なレベルに達している。現地の保安官による4日の記者会見によれば、損傷は3日夜7時頃に発見。住民の安全を確保するため4日には夜間外出禁止令が出された。5日朝になっても3万3000戸を超える世帯や事業所が停電している。

Bloombergより

構造をよくよく知っていた人物により、簡単に復旧出来ないことを狙った犯行という可能性は高かろう。

ヨーロッパの冬は寒くなる

ところで話は逸れるのだが、こんなニュースがあった。

仏、電力不足で停電の危機

2022/12/5

フランスの今年の冬は、電力不足により突然のブラックアウト(突然の停電)になる可能性も出て来たため、電力が許容量を超える場合は計画停電を実施することが発表された。また、TF1で3日に行われたエマニュエル・マクロン大統領のインタヴューでは、電力が不足した場合は計画停電を行う必要があるとしたうえ、それでもあくまでも仮定の話であり、パニックにはならないで欲しいと説明された。

~~略~~

その後、他の原子炉にも同様の問題がないか調査することとなり、最終的に56基のうち、29基が保守点検のために停止されたのだ。この結果、電力の生産量としては過去30年間で最低の水準にまでおちることとなった。またさらに、この夏は干ばつも重なり、フランスは電力を輸出していた立場から電力を輸入する立場にもなっているのだ。

Japan-in-depthより

原子力発電依存の国フランスだが、原発に不具合が見つかったことで、大規模な保守点検を行う決断がなされたようだ。こう言ったリスク回避の判断は英断だとは思うが、しかし、この判断を何故、冬季に被らないように決断できなかったのか、と首を傾げたくなる。

もちろん、様々な事情を勘案した上で、現状の判断になったのだろうから、そこを批判しても仕方がないのだが、ヨーロッパ各地で電力網を作り上げて、国家間の電力融通が可能な事情があるとは言え、今まで電力輸出国だったフランスがこんな判断をすることで、他国も混乱は避けられない。

実際のところは、もし、電力に問題があるときはドイツなどの欧州から電力の輸入がすぐにできるようになっているうえ、現在はベルギーからの送電線が2倍となりさらに輸入可能な供給量も増加しているため、確実に危機がくると断言されているわけではなく、あくまでも仮定の話に対する計画だ。

Japan-in-depth「仏、電力不足で停電の危機」より

しかし、記事では「ドイツ等」と書かれているが、ドイツは電力が足りなくてヒーヒー言っている状況なのだが、大丈夫なのか?

エネルギー危機先進国・ドイツ 経済と自動車産業に立ちこめる暗雲

Oct. 17, 2022, 12:35 PM

2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、ヨーロッパはエネルギー危機に直面しているが、収束のめどは一向に立たない。それどころか、ロシアがヨーロッパへの天然ガスの供給を絞っているため、状況は厳しさを増す一方だ。そうした中で、ヨーロッパはこれから冬季を迎えることになる。

~~略~~

特に厳しい国はドイツだ。

これまでロシア産の天然ガスをパイプラインで受け取ってきたドイツには液化天然ガス(LNG)のターミナルがない。備蓄した分が枯渇すれば、エネルギー事情が一段と厳しくなる。

Business Insiderより

そして、ベルギーだが。

減税措置の延長などエネルギー価格高騰への対策を発表

2022年09月02日

ベルギー連邦政府は8月31日、エネルギー価格の急激な上昇が続く中、企業と家計に与える影響を緩和するための6つの政策を発表(プレスリリース)した。主な内容は以下のとおり。

  1. 消費電力の削減:企業、一般家庭、官公庁全体で省エネを推進し、ガスや電力の使用量を削減する。その一環として、連邦政府の建物の冷暖房の設定温度をそれぞれ27度と19度とし、照明を午後7時から午前6時まで消灯する。
  2. 国民向けの支援:既に実施されているガソリンと軽油に対する特別物品税の軽減措置や、電気・ガスにかかる付加価値税(基本税率:21%)税率を6%にする減税措置(2022年3月22日記事参照)を2023年3月31日まで延長する。

~~以下略~~

JETROより

いや、コレ本当に大丈夫なの??

ヨーロッパで似たような変電所への攻撃があったら、それこそ大変なことに。

日本でも電力不足は指摘されていて、政府や行政が協力を呼びかける展開になっているのだが、コレは完全に自業自得の状況である。ただ、世界各地で電力が足りない状況を迎えていて、エネルギーを自前で賄うことので切るアメリカが停電するというのは皮肉な話だ。

で、この記事で何が言いたいかというと、日本でもこういった破壊工作は起こりえるという事である。犯人やその動機が未だ不明なので、これ以上論じる事は難しいが、恐らく日本でも変電所がテロの対象になり得るという観点から警備しているとは思えない。

コメント

  1. こんにちは。

    工作の難しい、致命的な設備に銃弾を撃ち込んだのか、それとも、ハードではなくソフト(を動かす基幹システム)を蜂の巣にしたのか。
    どっちにしても、事情に明るい者の仕業なのでしょうね。
    発覚するまで地下に潜むテロを未然に防ぐのは困難ですから仕方ないとして、その目的が知れないのが歯痒いですよね。

    そして欧州。
    いいんじゃないですか?再生エネと自然エネがどれくらい冬将軍に無力か、思い知ってもらえば。
    その意味では、国家としての欧州にはこれっぽっちも同情しません。
    罪のない子供が凍え、飢えるのは看過しがたいですが。

    • これ、続報が出回っていないので、犯人がまだ特定されていないようですね。
      そろそろ電力復旧できそうですが、そういった話も見当たりません。
      なかなか生活インフラの破壊というのは影響力が大きいなと思った次第。どうなっていくかはもうちょっと追いかけていきたいと思います。

      欧州は、すでに冬が始まっていて混乱が加速しているようです。
      電気料金などが値上がりしているニュースは色々と見かけましたが、そもそも「足りない」という方はどうしようもありません。今年はかなり厳しいのではないでしょうか。