ロシア製と思われるミサイルがポーランドに着弾して2名死亡

ウクライナニュース

朝からメディアを賑わしているニュースがコレ。

ポーランド政府「ミサイルはロシア製」声明発表 爆発で2人死亡

2022/11/16 08:33(最終更新 11/16 09:36)

ポーランド外務省は15日夜(日本時間16日朝)、ウクライナとの国境に近い東部プシェボドフにロシア製ミサイルが着弾し、ポーランド人2人が死亡したとの声明を発表した。

毎日新聞より

ロシア軍のウクライナ侵攻に関わるニュースとしては、かなり大きなものだ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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世界を巻き込んだ戦いになるのか

ポーランドで何が起きたのか

事件は今朝未明に起こり、ロイターが写真を公開しているが、ポーランドにおいてミサイルによる被害が確認された。

ポーランドの消防隊は、ウクライナとの国境から約12キロメートルの東部プシェボドゥフで爆発があり、2人が死亡したと明らかにした。国内のラジオ局ZETは、爆発は2発の流れ弾によるものだとしているが、詳細は伝えていない。

ロイター「ロシアのミサイル、ポーランドに着弾との報道 ロ国防省は否定」より

確認された事実は、ウクライナとの国境から約12kmの町にミサイルが2発着弾し、死者が2名出たことと、そのミサイルがロシア製であることだ。

ミサイルは建物の壁を破壊して火災を引き起こしており、ここに住人がいたとすれば死者の他にも負傷者が多数出ていた可能性はあるだろう。が、その詳細については報じられていない。

ほかの情報を見ると、ミサイルが落ちたのは農場だったようだが、その辺りもはっきりしない。

位置的にはウクライナとの国境にほど近い場所なので、誤ってミサイルが飛んできたとしても不思議はないのだが、ウクライナ軍とロシア軍との戦線からは離れている。

ウクライナ戦線

実際に現状がどんな感じかもお伝えしておこう。

ISWの11/14時点での情報はこんな状況であり、現在の戦線はウクライナ東部に集中している。ロシア軍の侵攻は、ウクライナ西部に対しても行われたが、それは3月頃の話。

ロシア軍、ウクライナ西部リビウを空爆 原発近くの都市制圧―停戦交渉「トルコで再開」

2022年03月28日00時40分

ロシア国防省は27日、ウクライナ軍が使用していた西部リビウ一帯の燃料施設や修理工場を高精度ミサイルで26日に攻撃したと発表した。ウクライナ側によるとこの攻撃で5人が負傷した。また、ロシア軍は26日、北部のチェルノブイリ原発近くの都市スラブチッチを制圧した。ロシアの軍事作戦はウクライナ側の根強い抵抗で縮小を余儀なくされたという見方が出る中、なお各地で攻撃を続ける姿勢が示された形だ。

「時事通信」より

ただし、空からの攻撃は散発的に行われている様だ。

ロシア、ウクライナ主要都市にミサイル100発 撤退加速の兆しも

2022年11月16日3:20 午前

ロシア軍は15日、ウクライナ南部ドニエプル川からの撤退加速の兆候を見せる一方、ウクライナの各都市にミサイル攻撃を行った。

今回のミサイル攻撃は約9カ月間におよぶウクライナ侵攻で最も激しいもので、主要な約10都市で空襲警報が鳴り響き、爆発が発生。ウクライナ空軍の報道官によると、ロシア軍は夕方までにウクライナに約100発のミサイルを発射したという。

~~略~~

このほか、西部のリビウやジトーミル、南部のクリブイリフ、東部のハリコフなどで攻撃や爆発が報告された。地元当局は攻撃により電力供給が停止したと発表した。

「ロイター」より

15日には、ウクライナの各都市にミサイル攻撃を行い、西部のリビウやジトーミルが標的になったと報じられている。

ポーランドのプシェボドゥフからリビウまでの直線距離は概ね100km。情報が錯綜していて、プシェボドゥフに着弾したのがミサイルなのかロケット弾なのかが分かっていないが、何れにしてもロシア製であることはどうやら確定情報のようだ。

ポーランドは慎重だが

そして、現状で未だ物証が示されてはいない。「プシェボドゥフに着弾したミサイルは空中発射型巡航ミサイルのKH-101だ」という分析もあるようだが、この分析には根拠がないんだよね。

着弾したロケット弾を誰が発射したか決定的な証拠ない=ポーランド大統領

2022年11月16日9:10 午前

ポーランドのドゥダ大統領は16日、ウクライナとの国境付近に着弾したロケット弾を誰が発射したか決定的な証拠ないと述べた。

ロシア製ミサイルの可能性があるが、現時点でまだ調査中だと説明した。

「ロイター」より

ポーランド大統領は、「ロシア製ミサイルであるかは、現時点で調査中」という慎重な発表をしていて、確実な物証を示す姿勢を崩していない。ポーランドの外務省レベルでは「ロシア製ミサイルだ」と断定しているので、物証が出れば大統領としても立場を示さねばならないだろう。

それにしても「誰が発射したか決定的な証拠がない」とは、持って回った言い回しだな。

大統領が慎重になる理由は分かる。ポーランドはウクライナと違ってNATOの一員であるからだ。

米、NATOへの責任確認 ポーランドに支援伝達

2022年11月16日08時40分

バイデン米大統領は16日、ポーランドのドゥダ大統領に電話し、同国領内へのロシアのミサイル着弾に関する調査を全面支援すると伝えた。さらに北大西洋条約機構(NATO)に対する米国の責任を確認した。ホワイトハウスが発表した。

時事通信より

アメリカが具体的に動く事案であり、既にG7の緊急会合が決定されて開始されたとの速報が流れている状況である。

ウクライナ全土に向けてロシアが発射したミサイルのうち2発がポーランドを攻撃してしまったというのが、状況的には最も有り得そうだが、そうであった場合にはロシアに対して何らかの行動をNATOが要求されることになる。

一方、ロシア国防省は声明を発表し「状況をエスカレートさせるための意図的な挑発行為だ。ロシアはウクライナとポーランドの国境付近の目標に対して、攻撃を行っていない」としています。

NHKニュース「ロシアのミサイル ポーランドに着弾2人死亡 ポーランド外務省」より

北大西洋条約の第5条には、「加盟国が1国でも攻撃を受けた場合、これを加盟国全体への攻撃とみなして反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使」が規定されていて、コレが覆されるとNATOそのものが崩壊してしまう。

実際に、9.11同時多発テロ(2001年)がアメリカで発生した時、NATOはアメリカへの攻撃と見做してテロとの戦いを始めた。アメリカに適用された以上は、その他のNATO加盟国に対しても適用されるべきであり、死者が出てしまった事実をポーランド国民が如何なる感情で受け止めるかは分からないが、ロシアが「ゴメンなさい」したところで許されるかどうかが焦点となる。

が、攻撃された場合には反撃すると定められている以上は、「攻撃された」と見做すかどうかが問題で、ロシアからの攻撃だと特定されれば、NATOからの何らかの反撃は避けられない。

事故で済ますことが出来れば、穏当にロシア側の賠償で済ます可能性はあるが……、現時点ではロシア側は否定しているし、謝罪をするとも思えない。「2発だけなら誤射かもしれない」と、朝日新聞なら擁護する可能性はあるが、国際社会はそれでは済まないからなぁ。

ウクライナ軍関与の可能性

一つ可能性として考慮しなければならないのが、ウクライナ軍の関与である。

こちらのソースでは農場に落ちたと報じているが、ロイターが報じている写真とちょっと印象が違うんだよね。

こちらは動画だ。

一説に、ウクライナ軍がロシア軍発射のミサイルを迎撃した際に発生したトラブルで、ウクライナ軍が使う迎撃弾(S-300防空システムの5V55ミサイル)が着弾した可能性もある。こちらも「ロシア製ミサイル」になるからね。

こうなってくると、やっぱりポーランドが出す物証待ちをする段階だろう。

ロシア軍が意図的に攻撃したという結論になれば、即NATO軍招集という流れになるが、ミスである場合はロシア政府の謝罪が無ければやっぱり武力衝突は避けられない可能性が高い。

一方で、ウクライナ軍が使う迎撃ミサイルによる被害となると、ウクライナ側の早期謝罪が必要になるわけだが……。

ゼレンスキー大統領 露のミサイル「NATOへの攻撃」

2022/11/16 09:13

ウクライナのゼレンスキー大統領は15日夜に配信されたビデオ演説で、ロシア軍が同日行ったウクライナ全土へのミサイル攻撃で、ポーランド領内にミサイルが着弾して2人が死亡したと報じられている問題をめぐり、「(ロシアの)脅威はウクライナだけに向けられたものではない。これは、かねて警告してきたことだ」と述べて露軍を糾弾した。

産経新聞より

現時点ではその気は無いようだよ。これ、ウクライナ軍が関与していて、その証拠が出てきているにもかかわらずウクライナ側が認めないという展開になると、国際社会では極めて不味い立場に追いやられる可能性はある。状況次第では、ウクライナへの武器供与等が止まってしまうかもしれない。

いずれにしても戦局を大きく変える事件になりそうである。

追記

む、こ、これは。

確定情報ではないけれども、ウクライナ側の反応を見ておくべきかな。

なお、北大西洋条約の第4条は、「締約国は、いずれかの締約国の領土保全、政治的独立、または安全が脅かされていると認めたときは、いつでも協議を行う」というもので、既に今年2月に開かれている。5条の発動があるかどうかがポイントなんだけど、実行は1度だけ。先に紹介した9.11絡みで、多数の死者が出ているテロ事件だった。

前例から考えると、今回、ロシアが意図的な攻撃ということがハッキリしたとしても、今回のコレだけでは動きはないかもという話も聞いた。

追記2

もういっちょ。

着弾はウクライナの迎撃ミサイルか 米

2022年11月16日15時15分

米メディアによると、米政府当局者は16日、ポーランドに着弾したミサイルについて、ロシアから発射されたミサイルを迎撃するため、ウクライナ軍が発射したものとみられるとの見方を示した。

バイデン米大統領はミサイル着弾を巡り、ロシアから発射された可能性は低いと述べていた。

時事通信より

はーい、アメリカの見立てはウクライナ軍の不始末と言うことですな。ただ、迎撃ミサイルを発射するにあたって、何故ポーランド方面に向かって撃ったかはイマイチよく分からないな。

うーん、カリーニングラードからミサイルぶち込まれたコースってことかな。後述するけれど戦闘機からの爆撃ということらしい。

迎撃失敗してポーランドにミサイルをぶち込んでしまったか、迎撃に成功して欠片が落ちたのか。もうちょっと詳細が出てくるまで待つことにしたい。

追記3

もうちょっと詳しいのがあったので追記。

元陸自幹部分析、「露空対地ミサイル迎撃に失敗か」

2022/11/16 16:05

ウクライナに隣接するポーランド東部に着弾したロシア製ミサイルについて、渡部悦和元陸上自衛隊東部方面総監に話を聞いた。詳細は次の通り。

ポーランド東部に着弾したミサイルはウクライナ軍が発射した迎撃ミサイルだという米当局者の見方が正しいとすれば、ロシア製の地対空ミサイルS300であろう。ロシア本土ではなく、ウクライナ北方のベラルーシから飛んだ露軍機が撃ったKh101空対地ミサイルの迎撃に失敗したと考えられる。

着弾したミサイルの破片を分析すれば、S300なのか、Kh101なのかは見分けられる。現地に入った米軍関係者が確かめ、米当局者の情報として伝わったのではないか。

産経新聞より

状況を確定をした意見ではないけれども、アメリカがS300から発射された5V55ミサイルだった事を確認したことは示唆していて、恐らく、それが事実かどうかは分からないけれども、今後はそうした論調でアメリカが事態を収拾していくだろう事が予想される。

追記2でカリーニングラードからのミサイル攻撃を示唆してしまったのだけれど、Kh101は航空機から投下するタイプの巡航ミサイルなので、ベラルーシから発進したと考える方が妥当らしい。

これを迎撃するのに失敗して、ポーランドに5V55ミサイルが着弾してしまったというのが今回のシナリオっぽい。

ウクライナがポーランドに謝罪し、賠償を約束するところで手打ちという感じかな。一番平和的な解決ではあるが……。

ポーランド領に着弾したのはウクライナ軍が発射したS-300の迎撃弾か
AP通信は米国当局者の話を引用して「ポーランド領プシェボドゥフに着弾したミサイルはウクライナ軍がロシアのミサイルを迎撃するため発射した迎撃弾だ」と報じており、ポーランドが「どこから発射されたものか分からない」と誤魔化すのも限界だ。

こちらも参考になるのでどうぞ。

追記4

うーん、ウクライナは否定か。

ゼレンスキー氏「我々のミサイルではない」 ポーランドへの着弾

11/17(木) 5:27配信

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ポーランド東部プシェボドフに着弾したミサイルについて「我々のミサイルではないと確信している」と記者団に述べた。インタファクス・ウクライナ通信が伝えた。

~~略~~

ゼレンスキー氏は、ウクライナ軍の情報に基づいて結論付けたと主張した。ダニロフ国家安全保障国防会議書記も16日、ロシア側が撃ったことを示す「証拠」があると述べ、欧米諸国に対し「ウクライナのミサイルであることを示す情報を提供してほしい」と訴えた。また、ミサイルが着弾した現場にウクライナ側が入ることを許可するように求めた。

yahooニュースより

ゼレンスキー氏は否定か。

ウクライナ軍に情報確認をして、「違う」と確信したようだ。確かに状況的には黒よりの灰色ではあるが、心当たりを確認して情報が出てこなければ、ベタ下りで謝罪するのは違うだろう。

そして、調査を要求したのも、まあ正当な主張ではあるだろう。

個人的に、ロシア軍もウクライナ軍も否定し、どちらが嘘をついているかと言えばロシアが怪しいという心証は持っている。だが、状況的に「黒寄りの灰色」と評価した理由は、ロシアがポーランドにミサイルを意図的にぶち込むメリットがないためである。NATOを敵に回すと、継戦能力が落ちている状況でかつロシアの経済がヤバい状況なので、「保たない」だろうと言われている。ここでポーランドを敵に回すか?という疑念は生じる。

ただし、だ。そもそもロシアが開戦すると、殆どの人は信じてはいなかった。その理由は、「ロシアにとってメリットがないだろう」と、民主主義陣営の常識で測っていたからだ。しかしロシアにとっては、プーチン氏にとってはウクライナ侵攻は「正義」だった。だから決断した。今回もそういう観点でみるべきなんだが……、そうだとしても農村に2発だけぶち込むというのは警告にもならないんだな。

とはいえ、今回の件、バイデン氏も言及しているが、仮にウクライナ軍のミサイルであったとしても、ロシア軍の責任が全く無いという展開には、恐らくならない。何故ならば、ウクライナ軍はミサイルの迎撃を行っていて、ベラルーシ方面から飛来し、迎撃しにくい角度(ポーランド国境を背に侵入)からの攻撃した可能性が高い。ロシア軍の未必の故意があった事はほぼ確実なのだ。

追記5

ポーランド、この期に及んで明言せずか。

着弾ミサイルの映像「どこから発射か100%示しておらず」…ポーランド首相

2022/11/21 12:41

ポーランド通信は20日、同国のウクライナとの国境付近へのミサイル着弾に関して、米国との合同現場調査が終了したと報じた。現場では、ミサイルの破片の回収などが行われてきた。

同通信によると、ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は20日、訪問先のフィンランドで記者団に対し、「国境警備のカメラ映像という証拠はあるが、どこから発射されたかを100%示しているわけではない」と述べ、証拠収集の継続などで調査にはまだ時間がかかるとの認識を示した。

「讀賣新聞」より

「大体分かったけど、慎重に発言したい」というのがポーランドの立場か。

恐らくウクライナからの攻撃なんだけど、ミサイルの破片や国境警備のカメラ映像などから断定が難しいというのが現状で、既にウクライナ内にロシア軍が侵入していることを考えれば、ロシア軍がウクライナ軍が発射したという風に偽装することも可能であるのは事実。

ウクライナ軍の犯行だったとして、ウクライナ軍が自白し、大統領が謝罪するという形で、この事件の手打ちとするのでは、西側諸国にとって都合が宜しく無いのだろうか?そこが分からない。

コメント

  1. こんばんわ、

    ポーランドに落ちたミサイルは、どうやらウクライナ軍のものらしいです。
    https://twitter.com/UAWeapons/status/1592629251161075712

    米国もそう言っているようなので、たぶん間違いないでしょう。

    S-300ミサイルといえば、過去に何度か、ロシア軍が後方へ飛ばしたり、
    自国の街に墜落させたりといったことがありましたね。

    これでエスカレーションは避けられそうです。このオチでよかったというべきでしょう。

    • そうですね、どうやらその方向で決着が付きそうです。
      気になるのは、現状の報道では5V55ミサイル1発での被害だという点で、当初の2発のミサイルという話は一体何処にいってしまったのか。
      ポーランド側が「1発だった」と修正し、ウクライナ側が「誤射だった」と謝罪すれば、手打ちになりそうですね。
      2発目が本当にあったかどうかは、注視しておきたいですね。