インボイス制度反対の不思議

報道

NHKニュースでもバカバカしい記事を書いているが、何だってインボイスに反対するのかがよく分からない。

「インボイス制度」反対する市民グループが都内で大規模集会

2022年10月27日 4時57分

来年10月に導入される消費税の「インボイス制度」は、消費税が免税されてきた小規模事業者にとっては実質的な増税に当たるとして、制度に反対する市民グループが26日夜、都内で大規模な集会を開きました。

「NHKニュース」より

インボイスの話は、過去にも何処かで触れた気がするのだけれど、多分、前のブログだな。この時にもコメントでお叱りを受けた記憶がある。

ただ、このNHKニュースがそうであるように、メディアは折りにつけ「正確な情報」を流すべきタイミングで、その機会を意図的に無視している。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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何に反対しているのか理解していない人が多い

そもそも消費税とは何か

そもそも消費税にインボイス制度を導入って、特別な話ではないと思う。何故なら、消費税と同じ仕組みを取り入れている国の殆どは、インボイス制度を採用しているからである。

と、先ずは消費税とインボイスの関係について少し整理しておこう。

「インボイス」は消費税の控除や還付を受けるために必要な請求書やレシートのことで、来年10月の制度導入後、事業者は取引先からインボイスの発行を求められるケースが想定されます。

「NHKニュース”「インボイス制度」反対する市民グループが都内で大規模集会”」より

消費税は、物品の購入やサービスの提供などの取引に対して課税される税であり、消費者が負担をする税品である。事業者が負担する税制ではないのだ。

僕の文章で説得力がなければ、国税局のサイトから引用しておこう。

税の負担者と納税者

・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。

・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みが採られています。

・商品などの価格に上乗せされた消費税と地方消費税分は、最終的に消費者が負担し、納税義務者である事業者が納めます。

・消費税が課税される取引には、併せて地方消費税も課税されます。

「国税庁」

「広く公平に」という部分に引っかかりを覚える人もいるかも知れないが、これの理屈は消費税の逆進性という発想故だろう。

逆進性とは、所得の低い人ほど税負担が重くなる現象のことを指し、確かに所得における税の割合が増えることは事実ではある。ただ、個人的な感覚としては、だから問題があるとは感じない。消費税制に問題があるというより、別の制度でこの負担を軽減すれば良いからだ。何も1つの制度でアレもコレもバランスを採る必要は無い。

さておき、消費税は消費者が負担する税であるというところがポイントである。

しかし、消費者が直接納税するわけではなく、間接的に受け取った事業者が納税するというのが実態である。それ故、「間接税」と言われる。

では、インボイスとは?

で、事業者が代理で納税するにあたって、「何がどれだけ課税されて、どういう金額なのか」という明細を付ける必要がある、これがインボイス制度である。

確かに、明細を作らねばならないという点で面倒な感じはするのだろうが、納税者の税金を事業者が代わりに納めると言うことなので、必要な措置ではある。

集会に参加したアニメーターの40代の女性は、「制度の理解のために参加しました。現実はとても厳しく、このままでは若い人たちが生活できなくなる」と話していました。

「NHKニュース”「インボイス制度」反対する市民グループが都内で大規模集会”」より

ところが、NHKは何故かアニメーターに話を聞いて「苦しくなるー」と、言わせているのである。

確か、声優も声を上げていた気がする。

インボイス制度導入で声優たちが悲鳴「2割強が廃業するかも」 #私がSTOPインボイスの声をあげる理由

2022年10月26日 06時00分

2023年10月から事業者を対象に始まる消費税の新ルール「インボイス制度」。これが導入されると「声優の2割強が廃業するかもしれない」というアンケートの結果が、東京新聞「ニュースあなた発」に届いた。調査した声優の有志団体「VOICTION」は導入中止を強く求めている。なぜ声を上げたのか。

「東京新聞」より

いやー、引用するかどうか迷ったのだが、東京新聞からの引用である。

しかし、これ、NHKは分かっていて、詳細について殆ど書いていないのだが、東京新聞は愚かにも詳しい内容について言及している。

仕入れ税額控除を受けるには、仕入れ先からインボイスを発行してもらう必要がある。だが、発行できるのは消費税を納めている課税事業者のみ。免税事業者はインボイスを発行できないため、仕事を発注する所属事務所などは税負担が増すことになる。

「東京新聞”インボイス制度導入で声優たちが悲鳴「2割強が廃業するかも」”」より

何言っているんだ、コイツ。

消費税の免税業者

そもそも、「消費税の免税業者」という言葉の意味を理解していない気がする。

1.事業者免税点制度の概要

個人事業者または法人の基準期間(注1)における課税売上高(注2)が1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除されます(事業者免税点制度)。

基準期間における課税売上高がゼロの場合はもちろん、新たに開業した個人事業者、または新たに設立された法人のように基準期間がない場合も、原則として納税義務が免除されます(その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人の場合などのいくつかの例外はあります)。

「J-NET21」より

そもそも、「免税業者」という表現があるけれども、これは消費税をずーっと納めなくて良いという意味ではない。

消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除される。

つまり、特定の期間だけは免税されますよと言う意味に過ぎないのだ。消費税納税にあたって、基準期間と呼ばれる期間が設定されるのだけれど、通常は1年で、締め日が決まっている為に、期間が1年未満になる時には免除しますよということになる。ただし、課税売上高が1,000万円超えになるまでは免除するという特例がある。

ロジック的には、個人事業主である声優やアニメーターは課税対象にならないが、仕事を発注する所属事務所は課税対象になる。そこにサービスが発生するならば、そのサービスに対して課税されるのである。つまり、声優やアニメーターには直接的には関係しない。

業界の怠慢

では、声優やアニメーターが何故そんな声を上げたかと言えば、端的に言えばそれは業界の怠慢である。

声優だけではなく、フリーランスのアニメーターなど多くの個人事業主らがインボイス発行の選択を迫られているが、免税事業者のままなら収入は10%減、課税事業者でも5%は減ると見込まれる。ベテラン声優の咲野さくや俊介さん(57)は「課税事業者になっても控除手続きの事務作業にかなりの時間がかかり、若い人は税理士を雇えない。映画を見たりして仕事の糧にすることができず、結果的に業界の衰退につながる」と懸念する。

「東京新聞”インボイス制度導入で声優たちが悲鳴「2割強が廃業するかも」”」より

そもそもテレビが斜陽業界であるため、アニメーションを発注する側の懐が寂しくなりつつある。製作側もそのあおりを受ける流れだ。しかし、アニメーションは作画を人手に頼る部分が大きく、製作費を圧縮することは難しい。それどころか、CGの割合を増やすことでコストがかかる部分も出てきている。

つまるところ、テレビ業界から発注されてアニメーションを作るという業態そのものが破綻しかかっているのである。とはいえ、ネットフリックスなど豊富な資金力を持つところからの発注もあるので、その辺りを考えながら収益構造を改革していくしかないのだけれど。

そして、前述したように、アニメーション製作会社としては声優やアニメーターから「サービスを購入」しているワケだから、その段階で消費税を支払う必要がある。この話は、単にアニメーション製作会社がこれを「支払いたくない」と言っているに過ぎない。

こちらのサイトでは、「インボイス制度が声優に与える影響を解説」などと書いて説明をしている。詳しくはこちらのサイトを読んで頂けば分かると思う。

インボイス制度が声優に与える影響を解説 | 会計ソフト マネーフォワード クラウド
個人事業主の声優として仕事をしている方は、インボイス制度が始まることで領収書に記載する内容が変わるだけでなく、

で、ここにも「取引先が消費税の計算が面倒だから報酬の減額交渉や、取引が取り止めになる可能性が想定」って書かれていて、そこは要注意だ。だって、それ、これまでも必要だったんですが?

それと、消費税の計算と、報酬の減額は別次元の話に思えるのは僕だけだろうか。どう考えても言いがかりなのだ。いや、減額交渉は言いがかりで行われる事が多いためそういう事例があっても不思議はないが。

なお、このサイトには声優に対してこんな事が書かれている。「簡易課税制度もあるよ」って。

No.6505 簡易課税制度

簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。

「国税庁のサイト」より

この制度を使うことで、サービス業である声優は50%を見なし仕入れ率とすることができる。消費税簡易課税制度選択届出書を提出する必要があるが、書類1つで計算が楽になるよ!やったね!おそらく、アニメーターもこれに該当すると思われる。

というわけで、税制上の手当てはそれなりにやってあって、声優やアニメーターが「喰えなくなる」とか、そういう話とは別次元の問題である。

現実はとても厳しく、このままでは若い人たちが生活できなくなる」と話していました。

「NHKニュース”「インボイス制度」反対する市民グループが都内で大規模集会”」より

「生活できなくなる」のは、そもそもアニメ業界の業態の問題であって、インボイス精度とは全く無関係なのだ。それを混同させるような報道の仕方が、本当に嫌らしい。恐らくNHKは狙ってやっていて、東京新聞の方は……、理解していないのかもね。

サヨク芸人のおかしな主張

とまあ、こんな感じの話で、確かに手間が増えるという点に些か問題はあるが、そもそもどんぶり勘定をやって、客から受け取った消費税を自分の懐に入れるような業者の在り方に問題がある。

それがバレてきたから、サービス業の方を引っ張ってきておかしなコメントをさせているのだが、サヨク芸人が騒ぐように、その内容は極めて荒唐無稽だ。

インボイス制度に物申す! まるで農民の年貢だけは厳しく取り立てた時代とそっくり(ラサール石井)

11/3(木) 9:06配信

インボイス制度がわからない。いやほんとに調べてもよくわからない。どうやらフリーランスで働く人が直接影響を受けるみたいだが、その人たちの中で一体何%の人が理解しているだろうか。

「yahooニュース」より

「調べて見たけど分からない」というのであれば、分かるまでコメントしてもらっては困る。

もちろん、分からない方の文章なので、これ以下は読む価値がなく、嫌々読んでみると中身は事実誤認も甚だしい感じになっていてため息しか出ない。

更に、最後の方に書かれた「江戸時代の話」に関しては、それは一体何処の時空の話ですか?というレベルの内容になっていて苦笑を禁じ得ない。

インボイス制度導入は必要

消費税の引き下げというのは歓迎するが、インボイス制度はそれでも必要な事だと思う。それをしっかり説明しないのはマスコミの怠惰でもある。困った事だな。

寧ろ、インボイスをしっかり導入して、商品毎に設定される課税について軽減できる方向に動いた方が良いというようなロジックで、政治家に働きかけてはどうだろうか?

ここまで騒ぎになる理由が、「書類が面倒」という事以外ないのであれば、いっその事、マイナンバーカードと口座を紐付けて、支払いするときに全ての消費動向が分かるようにデータ収集をし、税金分だけ直接口座から引き落とすような仕組みにすれば良いのである。まあ、そんな時代はまだ来ないのだろうけれど。

……そういえば、お隣の大陸では似たような感じになっているようだよ?

コメント

  1. いつもの無理筋宇宙馬鹿理論を捏ねるマスゴミですね。
    新聞に対しての現在の税制優遇措置を撤廃して新聞に114514%の税金を二重取りしてあげた方が彼らの知性の向上に寄与しそうですね。
    電波の使用料に対しては1919810364364893931円を毎年追加徴収するべきでしょう。

    • えーと、114514%……。
      !!
      ああ、野獣先輩ですか。
      電波使用料の方も(以下略)

      知性向上より、痴性が向上しそうですな。

  2. こんにちは。

    >「調べて見たけど分からない」というのであれば、分かるまでコメントしてもらっては困る。

    ほんこれ。

    インボイスは、半年くらい前、お気に入りの作家さん達が一斉に文句を呟いてらっしゃいました。
    源泉徴収の当方には分からない苦労なので、大変だなぁ、くらいの感想でした。

    余計な手間(≒コスト)が発生する、と言う意味で、文句の一つも言いたくなる気持ちは理解出来ます。が。

    >税負担が増すことになる。
    これは違うよな、と。
    課税負担が変わるなら、それは法律書き換える話で、もっと大事だと。

    これも、「原因も状況もいっぱいあるのに、十把一絡げにして○×だけで話をしようとするマスゴミの怠慢と無理解と無知と煽動」の結果なのだと理解してます。
    そして、それを求める我々「愚民」の、愚民たる最大の象徴でもあると。

    ※物事は往々にして○×で答えは出ない、そんな簡単でもないし、なんなら複合的にいくつもの事態が並行している、と思ってます。

    • 作家さん達にとっても、何処から何処までが経費扱いなのか。それに対してどういった税金がかかり、一体何が報告の対象になるのかが分かりにくいことが問題であると思うんですよね。
      https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220802/se1/00m/020/016000c
      で、実際に調べて見ると、出版業界との関係で形式的に反対しているわけで、これはアニメーターや声優と同じ構図なんですよ。
      そして対策も一緒。第五種事業の区分で簡易課税制度を使えば、煩わしい計算をする必要は無くなります。
      結局のところ、これまでどんぶり勘定でやってきたところを、簡易課税制度に切り替えるだけなのですから、大きく手間が増えると言う事はありません。細かい人は本則にしたがって計算するだけですが、これもまめに資料を作ってあれば問題無いでしょう。
      結局、作家もさほど大きな影響があるとは言えません。

      この制度のマズいところは、細目などを含めて判断を納税者に任せる形になっているのに、間接税故の複雑さに理解が追いついて居ない方が多い事が問題なのですよね。