グリーンウォッシュとNHK

報道

問題提起は面白かったんだけど、自爆しているぞNHK。

「そのエコ、本当ですか?」企業に正面から聞いてみると……

2022年10月24日 午後1:01 公開

“エコ”なバッグに“サステイナブル”なTシャツ、そして“SDGs”……

暮らしの中で目にしない日はないエコな商品やサービス。環境問題への意識がさほど高くない私たちは、「これって本当はどれぐらいエコなんだろう」というモヤモヤを抱えながら生活していました。

取材してみるといま世界では環境に良いものなどに積極的に投資を行おうという「ESG投資」が拡大、本質的なエコを目指す機運が高まっていると知りました。特に欧米では“見せかけのエコ”に対して、環境を意味するグリーンとごまかしを意味するホワイトウォッシュを掛け合わせた造語で「グリーンウォッシュ」と呼ばれ、そうした製品やサービスを国が罰する例もあるというのです。

私たちはグリーンウォッシュを指摘された海外企業などに取材を申し込みましたが言葉を出すと態度が硬化したり返信がなかったりしました。欧米に本社を置く企業にとってグリーンウォッシュという言葉は私たちの思った以上にセンシティブなのだと実感しました。

そんな中、2つの日本企業が取材に応じてくれることに。「本当のエコを客観的事実で追求する難しさ」と、「企業の責務」について考えさせられる取材になりました。

「NHKニュース」より

問題提起は面白かったし、取材もしていると感じはしたんだけど、NHKさんも分かっているんでしょ?

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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見方によってエコは変わる

パーム油を使った食器用洗剤

この記事では2つの事例を取り上げたということなので、取り敢えずはそれぞれについて見ていこう。

まず訪ねたのは大阪の老舗洗剤メーカー。パーム油を使った自然由来の食器用洗剤は発売開始から50年以上がたち、使ったことがあるという人も多いのではないでしょうか。

「NHKニュース”「そのエコ、本当ですか?」企業に正面から聞いてみると……”」より

パーム油を使った洗剤と言われて、ちょっと年齢の言った方なら思い出すのが「ナテラ」である。最初はこの洗剤のことかと思ったんだけど、「ナテラ」はライオンの製品で既に生産終了している。

他にも大手メーカーさんのパーム油系の洗剤を調べて見ると、有名ドコロではこちら。

何れも「植物由来の成分」を使っていて「手に優しい」というような謳い文句であったと思う。まあ、何れも合成洗剤なんだけれども。

では何処の製品かといえば、社長の名前で気が付くべきだった。更家悠介社長……、サラヤだった!

ただまあ、この話は面白い方向に展開する。

相次ぐ消費者からクレームの電話。このままでは「地球にやさしい」という商品のブランドイメージが崩れてしまう……危機感を抱いた更家さんは、まずは現地の状況を把握しようと、国際協力の経験のある人物を現地調査員として契約。ボルネオ島に3か月派遣することにしました。

「NHKニュース”「そのエコ、本当ですか?」企業に正面から聞いてみると……”」より

現地調査して、企業を挙げて現地の保全活動をすることに決めたという。ただ、この活動が実ってパーム油の産地の自然が守られたのか?というと、そんな幸せな話ではない。

日本の約2倍の大きさとなるインドネシアのボルネオ島も、沿岸部から内陸部に向かって急速にアブラヤシ農園が広がり、島の面積の約1/3にあたる森がすでに失われている。

これはボルネオ島の自然が失われ、油ヤシ農園が広がっている事を示す図だが、確かに自然が損なわれつつある。

尤も、僕にはサラヤを攻撃する意図はない。やらない偽善よりもやる偽善の方が貴いと思うし、ボルネオ島の環境保全活動は今も積極的に行っているようだ。

ボルネオ環境保全プロジェクト | サラヤ株式会社・東京サラヤ株式会社
世界の衛生・環境・健康に関わる革新的なサービスをお客様にご提供致します。健康で豊かな生活のために、ひとにも地球にもやさしい商品づくりに努めています。
ボルネオとパーム油について | サラヤ株式会社・東京サラヤ株式会社
世界の衛生・環境・健康に関わる革新的なサービスをお客様にご提供致します。健康で豊かな生活のために、ひとにも地球にもやさしい商品づくりに努めています。

そして、ボルネオ島よりも深刻なのが、スマトラ島の方だ。

スマトラ島は日本よりも1.25倍大きな島。30年前と比較すると、森は半分以下に減少、低地の森はほぼなくなっている。

もともと、油ヤシの生産拠点としてはインドネシアのスマトラ島も有名であり、その開発スピードは凄まじいものがある。

もちろん、輸入量としてはインドネシアよりもマレーシアからの方が多いのが日本の実態である。

SDGs│世界第2位パーム油生産国マレーシアの未来へのチャレンジ | エスエムアイトラベルジャパン
ナツメヤシから採れる「パーム油」は世界で一番多く使われている植物油脂です。私たちが手にする食品や化粧品、医薬品、洗剤など多くの商品に幅広く利用される一方で、その生産に伴う開発は熱帯林破壊にもつながりました。今マレーシアをはじめとし多くの国や企業・団体が持続可能なパーム油について取り組んでいます。

油ヤシは金になり、これで生計を立てている方も大勢いること考えると、無闇に自然保護を叫ぶのも違うとは思う。僕の嫌いな言葉「SDGs」的には、単純に油ヤシを使わないものに切り替えることよりも、現地の生産体制の見直しが必要なのだと思う。

NHKは掘り下げが甘かった気がするねぇ。まあ、番組の枠内でやる必要があるから、情報量的に妥協した部分はあると思うけれども。

ステンレス製のリユースカップはエコか?

次のネタはこちら。

ディレクターの私は、毎日会社近くのコンビニでカフェオレを買うのが日課。そこで最近使われ始めたのがステンレス製のリユースカップです。客はカップを持ち帰ることができ、後日指定の店舗に返却する仕組みです。容器ゴミを減らすことで二酸化炭素=CO2を削減し、環境負荷を下げようと開発されたサービスで、大手コーヒーチェーンやコンビニで実証実験が行われています。

「NHKニュース”「そのエコ、本当ですか?」企業に正面から聞いてみると……”」より

何やら、コップをステンレス製のものに切り替えることで、エコを意識しようと言うことらしい。

ステンレス製のリユースカップがコンビニで使われているなんてことすら知らなかった僕にしてみたら、面白い取り組みだとは感じる。

ただ、見て頂いたら分かると思うが、中身の液体が見えないステンレスカップが、果たして何処まで流行るのか?と言う点も含めてちょっとおかしな感じはする。

この会社では現在、リユースカップの使用がどれほどCO2削減に効果があるのか実証実験を行っています。実験では、使い捨てプラスチックカップとリユースカップについて、1回の利用あたりに排出されるCO2を計算して比較。その結果、リユースカップを100回使っても、使い捨てプラスチックカップと比べて1回の利用当たりのCO2排出量が多い場合があると分かったのです。

「NHKニュース”「そのエコ、本当ですか?」企業に正面から聞いてみると……”」より

あぁ、ハイ。

このステンレスカップの問題点は、コンビニや飲食店などがステンレスカップを業者と提携してレンタルし、洗浄してもらうようなサービスを受けているところにある。

使い捨てプラスチックカップが生産されて1回使用~廃棄されるまでのCO2排出量より、リユースカップ1個が生産されて100回使用~廃棄されるまでのCO2排出量÷100の方が多い場合があるという結果になりました(※トラックの積載量は3分の2程度と仮定した場合)。

「NHKニュース”「そのエコ、本当ですか?」企業に正面から聞いてみると……”」より

言われればその通りなんだけど、これは客にマイコップを持たせればそれで済む話なのでは?

ちょっと問題提起のし方が間違っている気がするんだけど、気のせいだろうか。もちろん、マイコップの利用を否定する気はないし、マイコップを持ち歩くのが面倒な方に、商業的に用意されたステンレスカップの利用を勧めることも悪くはないと思う。

所詮、エコはファッションなのだ。

だったら、使い捨てのコップを攻撃することがそもそもおかしいのではないだろうか?そんな事を言ったら身も蓋もないが。

プラスチックから「紙」への代替は、実は環境負荷が高い?紙の使い捨てを考えよう。 - 国際環境NGOグリーンピース
近年、プラスチックが環境に与える影響への関心の高まりと共に企業に急速な対応が求められています。多くの企業がプラスチックを廃止・削減し、紙や他の素材での使い捨てを続けていますが、これは本当に環境に優しいのでしょうか?紙カップを例に紙の環境負荷を考えてみましょう。

まあ、こんな話もあるので一概にどちらが優れているとは言えない。なお、このサイトの比較もデータがしっかりしていない時点であんまり信用が出来ない。

エコじゃないエコバッグ

次は別の記事になるのだが、同じシリーズの記事だね。

身の回りのエコグッズ 本当にエコな使い方をまとめました

2022年10月24日 午後1:01 公開

~~略~~

今や買い物に欠かせない存在となったエコバッグ。

でも、このエコバッグも私たちが手にするまでの間にCO2を排出しています。

プラスチックのレジ袋の代わりに何回エコバッグを使えば、ようやく“エコ”と言えるのか?

中谷さんの答えは「50~150回」。

取材班は「思ったより多く使わないとエコとは言えないんだな」と感じましたが、いかがでしょうか。また、数字にも幅があります。

「NHKニュース」より

知っていた情報だと思うが、エコバックを50回以上使うとなると、結構劣化が目立つような状況になると思う。そして、結構汚れも目立つようになる。コストの面から考えると、1000回以上の使用が必要となることもある。エコバッグは結構高いからね。

正直、アレはエコじゃないと思うよ。結局、ファッションなのである。個人的な話で申し訳ないが、最近はコンビニでレジ袋を毎回のように買うようになっている。ゴミを捨てるときには、袋があった方が都合が良いからだ。

店側としても、商品を持って歩く人が、会計が終わったものを持っているのか、そうではないのか区別が付きにくくなるデメリットがあると感じている様で、デメリットも結構あったのかなぁと。

あれは政府の政策的に進めたことなんだけど、愚策だったとつくづく思う。

紙ストロー

そして、紙製のストロー問題。

紙ストローとプラスチックストロー、どっちがエコ?

次に、近年普及が進む紙製のストロー。

ドリンクの味がこれまでと違うように感じる、形が崩れてしまうなどの声も聞かれますが、実際どれくらいCO2の削減に効果があるのか。

中谷さんの答えは「約2分の1」。

紙製のストローはプラスチックストローに比べてCO2の排出量が半分ほどになるというデータがあるといいます。

「NHKニュース”身の回りのエコグッズ 本当にエコな使い方をまとめました”」より

この話は嘘だな。出典はTetraPakという民間企業のサイトらしいのだが、調べてみるとこの会社は紙ストローの推進する企業らしい。

利権塗れの臭いがするけれど、例えば紙製ストローの重量は1.2~1.5g程度のものが多い様だが、プラ製ストローは0.6g~0.9gなので、1.5倍から2倍程度の重量がある。単純に輸送にかかるコストも似たような感じの負荷になるはずだ。これでCO2削減効果と言われてもぴんと来ない。

プラスチック禁止が「環境破壊につながる恐れ」 英シンクタンク

2020年1月11日

様々な企業は近年、環境への配慮から、プラスチック製包装を減らし、他の素材を使う包装へと移行している。ところが、イギリスのシンクタンク「グリーン・アライアンス」は、新しい素材の一部が、プラスチック製よりも環境に悪影響を及ぼすかもしれないと警告している。

例えば、ガラス瓶の場合、プラスチックよりもずっと重量があるため、輸送の環境負荷が高い。

紙製の袋は、プラスチック製の袋よりも炭素排出量が多くなりがちで、再利用も難しい。

「BBC」より

こんな警鐘を鳴らすシンクタンクもあったんだけど、どうなったんだろうか?その後は。

詐欺師は数字を使って人を欺すと言うけれど、データも切り取り方1つで見える景色は随分と変わる。そもそも物事の指標が二酸化炭素排出量であるという事自身に疑念を覚える。

「弁当容器を水で洗って捨てているけど、そもそも水を使うのがもったいないのでは?」

「洗ってまでリサイクルするほど、効果があるのか?」

中谷さんの答えは、

そのまま捨てて燃やした場合のCO2排出量を「1」とすると

①水で洗うことによるCO2排出量は「40分の1」

②お湯で洗うことによるCO2排出量は「8分の3」

中谷隼さん

「確かに、水で洗うことは環境負荷がゼロなわけではありません。水を使うときに浄水施設でエネルギーを使ったり、下水処理施設でエネルギーを使ったりしています。ただ、それでも可燃ごみに捨てて燃やしてしまった場合の環境影響のほうが重いというのが我々の計算です。多少の環境負荷があっても、リサイクルのために水で洗うのは問題ないかと思います。一方でお湯を使うことは、環境影響が結構大きいんです。より多くのエネルギーを使うので、私たちの試算だと水で洗うときと比べて影響が約15倍とでています」

中谷さんによると、油汚れなどがひどいとき、小さい容器であればリサイクルの効果もそれほど大きくないため、洗わず捨てるほうがエコなときもあるということでした。

「NHKニュース”身の回りのエコグッズ 本当にエコな使い方をまとめました”」より

紙製品はそもそも水で洗うことは不可能である。使い捨てを前提とする時に、紙製が良いのかプラ製が良いのかは、輸送に必要な二酸化炭素排出量で比較するのであれば、重量が大きくなりがちな紙製品の方が排出量は多きことになる。

製造にあたって水を大量に使う紙製品の方が問題では?という話にも一定の説得力があるとすれば、環境負荷は評価の方法で随分と変わってくるように思う。

ふーん、そうだとすると報道の仕方1つでエコの在り方も変わってくるという事になる。どちらがより水を使うのか?とか、エネルギーを使うのか?とか、そういう観点を追加していくと、何がSDGsなのかという話になる。つまり、メディアにとっては随分と都合の良い傾向なのではないだろうか。

脱炭素とかSDGsとか

正直なところ、様々な「エコ」活動が商業目的でやられることに関して、今更とやかく言う積もりは無いのだ。

ただ、何事も行きすぎは宜しく無い。誰も幸せになれないと思う。

例えばレジ袋の話だが、あれで「環境負荷が軽減出来た」とか「二酸化炭素排出量の削減が出来た」という話にはならなかったし、今後もならないだろう。

レジ袋、有料化で半減 プラごみ抑制へ効果―環境省

2022年03月27日20時33分

2021年に国内で流通したプラスチック製レジ袋の量が2年前に比べて半減したことが分かった。20年7月から始まった有料化の影響でスーパーやコンビニでレジ袋を受け取る人が減ったためとみられ、環境省は「無駄なプラスチックの使用抑制につながった」と分析。新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済活動の停滞で、21年のプラ製ごみ袋の流通量も2年前を下回った。

「時事通信」より

環境省は苦し紛れに「意識付けに効果があった」などと、誰も立証できないような説明に終始している。

武漢ウイルス感染症の拡大によって、経済活動が停滞してプラ製品の流通量が減るのは当たり前の話で、それはレジ袋廃止の効果とは言えない。

辞退率80.26% レジ袋の有料化2年で見えたもの
«買物袋持参率80・4%»。7月のある日、取材の合間に立ち寄った神戸市内のスーパーで、1枚の張り紙に目がとまった。政府がレジ袋の有料化を全国の小売店に義務づけ…

産経新聞もアホな記事を書いているが、所詮報道などこの程度である。

過剰包装を止めようとか、無駄遣いをしないようにしようとか、そういうレベルで良かったんじゃ無いだろうか。NHKさんは、意図的にグリーンウォッシュしていませんか?

コメント

  1. 流行り廃りのいつもの環境ファッション欧州仕草に毎度真面目に付き合うのも馬鹿馬鹿しいですし、テキトーにやってます感だけ出しとくのが正解じゃないかな。程度に思ってます。紙の原材料は木であって森林伐採反対アンチ紙。な、時代に義務教育受けてた身としましては。

    • いや、まさにその通りで、欧米でやっているのは所詮ファッション程度の話。
      日本では真面目に追及しすぎておかしな事になっているわけで。
      政府がこんな事に肩入れせずに、民間に任せておけば良いのに、と思っています。メディアに政治家が煽られすぎなんですよ。

  2. 木霊さんみなさん こんばんは

     まったく、SDGs利権の中で最も滑稽なのが「カーボンニュートラル」

    なんでも「PEFC森林認証プログラム」を通過した森林から取れた木材を使えばエコと言うことらしい。が、この認証制度は「エネルギー変換効率」の項目がない、と言う噴飯ものの制度(個人的には燃料電池と同じ略号を当てていることには怒りさえ感じる)

     植物の太陽エネルギー変換効率は一般的には1〜2%以下、特別なバイオテクノロジー藻類でやっと2〜3%と、ソーラーセルの約1/10の効率しかありません。ですから植物を用いてカーボンニュートラルを達成するには①今まで燃やして捨てていたモノを燃料に変換する②バイオ藻類で細々と行う。 しか ありません。

    PEFC森林をOKとするような拡大解釈は、乱暴に解釈するならば「石炭」は古代の植物由来の炭素なので、これを燃やしてもカーボンニュートラル、と主張することと大差はない。

     この間まで、割りばしを批判したり、ペーパーレスを叫んでいた連中が、プラスチックの代わりに紙(木材)を使えとか、「なめとんのか!」

  3. こんにちは。

    結局のところ、人類の、快適を求める生活スタイルそのものが環境破壊行為に他ならないのですから、「正解のない問題」の周囲をぐるぐる回って、その都度その都度トピックスに飛びついているだけ、なんだと思ってます。
    ※パーム油の石鹸、「お魚さ~ん!これで安心ですよ~」ってCMして大炎上したのを当方は忘れてません。バカのインパクトが強すぎた。
    そもそもが、リサイクルリユース優等生の日本が、そのあたりガバガバの欧州基準に遅れて乗っかろうとして、さらにそこに目を付けた小泉の小せがれが……って話し始めると苫奈落なるのでこの辺で。

    ※「我々の計算」ってのも、うさんくさいですよね。パラメータ次第で多分、どんな結果でも出せる。