150機 → 40機 北朝鮮空軍の残念な実力?

北朝鮮

先にお断りしておくが、こちらの記事の情報がどこまで信用できるかは怪しい。が、納得感はそれなりにあった。

「150機出撃」と宣伝した北朝鮮…戦闘機はスクラップ同然、一部は墜落

記事入力 : 2022/10/15 10:22

北朝鮮が最近、戦闘機150機を動員して訓練を行ったと発表したが、実際は40機ほどにすぎず、一部は燃料不足などで正常な飛行ができなかったことが14日までに分かった。墜落した戦闘機まであったという。

「朝鮮日報」より

そして、気になっていたニュースなので、敢えて取り上げてみた。

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やはり老朽化は深刻?

150機出撃!

前回、こちらの記事で北朝鮮が150機の戦闘機を持ち出して大規模演習を行った事に触れた。

この時には、北朝鮮の発表だけで、どの程度その発表が信用できるかも不明としたうえで、「ちょっと怪しいよね」というようなことは書いた。

北朝鮮が「150機の戦闘機を使った演習らしきものをやった」とされるのは、10月8日のこと。そのことが報じられたのが10月12日である。

で、15日になってようやく「実はもっと少なかった」という報道が出てきたが、そんなのは誰でも知っているよ。

安全保障に詳しい消息筋はこの日、「北朝鮮の『150機訓練』報道には誇張が多い」とし、「旧型のミグ機や武装がない練習機までかき集めて40-50機ほどを飛ばし、4機は燃料不足で正常な飛行ができず、墜落したケースもあった」と語った。実戦訓練をひんぱんにはできないせいで、編隊飛行などで右往左往する様子も見られたという。

「朝鮮日報」より

にもかかわらず、情報の出どころは極めて怪しい「消息筋」で、伝聞調の記事となっている。おそらく、朝鮮日報自身があまり情報の確度は高くないと思っているのだろう。

実態の把握を韓国軍はできなかった

前の記事でも言及はしたが、F-35A戦闘機をアラート任務に駆り出した韓国だが、結局、正確な情報をつかんだかどうかすら報じられなかった。

そもそも、F-35A戦闘機はマルチロール機だとされているものの、空戦は余り得意ではない。複数で編隊を組んで情報の補完をしながら飛ぶ用途ならばともかく、偵察に出すような機体ではないのだ。

勝手な推測を述べれば、F-35A戦闘機の広範囲が探知できるレーダーの性能を期待してアラート任務に出したのだと思う。結果的に、思った以上に情報は集まらなかったのだろう。

今月10日に「労働新聞」が公開した戦闘機などの訓練写真を見ると、空を飛んでいる20機ほどの戦闘機のうち、一部はエンジンから黒煙を吹いている。韓国軍の専門家は「北朝鮮空軍の戦力はめちゃくちゃな状況で、練習機までかき集めて“見世物”訓練をやったので、老朽化した機体のエンジンに問題が生じた可能性がある」と語った。

「朝鮮日報」より

数日経っても、韓国側は北朝鮮の労働新聞が出した情報を基に分析している始末である。

もちろん可能性としては、F-35A戦闘機の能力を知られたくないがために、実際に取得できたデータを韓国空軍が隠している可能性もある。だが、過去の事例から鑑みて韓国軍なら結構容易にデータを漏らしそうなんだよね。でも情報は出てこない。……米韓GSOMIAは有効なはずだから、データを出せないのかもしれないけれど。

ともかく、驚くほど情報量が少ない。

実数は不明だが75機くらいは使えるのでは?

一応、引用記事の中にあったイギリスの情報筋についての内容を引用しておこう。

英国国際戦略研究所(IISS)は昨年、衛星写真の分析を通して、北朝鮮は75機程度の「現代式」攻撃機を動員できると発表した。

「朝鮮日報」より

北朝鮮空軍は800機以上の戦闘機を保有していると言われていたが、実際に使える戦闘機が数少ないのは周知の事実である。IISSも、75基程度の攻撃機が動員出来る程度の実力だと評価している。北朝鮮空軍は、もはや空軍の体をなしてはいないのだ。

そもそも、戦闘機のパイロットを育成するためには、年間で150時間は飛ばねばならないとされているが、残念な事にこの水準を守れる軍隊はそう多くはない。韓国空軍だと130時間を割り込むことがあるようだが、北朝鮮の空軍の場合は30時間以下しか確保できないと噂されている。

近年は、北朝鮮空軍が保有する機体の老朽化や部品の確保の困難化によって、更に飛行時間が減っていたとも言われていて、とてもではないが多数の戦闘機を同時に訓練飛行を出来る状況だとは思えない。

そういうことを考えると、40機程度でも飛ばせたことは十分に意味があるとは思う。それが戦略的に役に立つかはともかくとして。

労働新聞が出した情報らしいのだが、なんとも不自然な写真だ。素人目に見ても、違和感が強い。何より将軍様が何故麦わら帽子で見学している風なんだろうか。

まあ、飛んだというのであれば、それを否定しても仕方がないのだが。

朝鮮中央通信は「訓練では各空軍師団、連隊の戦闘飛行士の地上目標攻撃と空中戦遂行の能力を判定し、作戦対象物に応じた空襲規模、手順と方法、戦法を再確認し、飛行指揮の熟練と各部隊の協同作戦遂行能力を高めることを目的としており、新型空中兵器体系の試験発射を通じて信頼性を検証した」と報じた。

「ハンギョレ」より

北朝鮮政府管轄の国営放送である朝鮮中央通信はそれらしいことを言っていたようだが、この話にもちょっと無理がある。本来、空軍の訓練はこんなお祭り騒ぎになるようなやり方で報道されるものではないからだ。

空域管轄で混乱

そもそも、150機も戦闘機を出して同時に訓練すると言うことは、それなりに軍の司令部と連絡が必要となる。僚機との連携がとれない状態で飛行するのは危険だ。

軍当局の説明によると、150機の戦闘機を同時に一つの空域(空中の特定領域)に投入すれば、空域管理などに問題が生じるという。地に道があるように空中にも戦闘機、民間航空機の通る道があるが、空域管理とは空中の空間にある諸領域と道の管理を意味する。空域をきちんと管理しないと空中で航空機が衝突する。そのため韓国空軍は戦闘機を朝鮮半島の空域に一度に投入する訓練や作戦は行っておらず、順次出撃させて訓練する。昨年1月の韓米空軍による合同演習「ビジラントエース」には140機の両国の戦闘機が参加しているが、4日にわたる期間内に攻撃編隊群、緊急航空遮断、防御提供、近接航空支援などに分けて訓練を実施している。北朝鮮の150機の戦闘機の同時出撃訓練が、軍事的側面だけでなく、内部体制の結束と対外的な武力示威を誇示する効果の最大化を狙ったものと推定される理由だ。

「ハンギョレ」より

北朝鮮の説明では150機を動員・同時出撃したとしていて、同じ空域に同時に飛ばしたとは言っていないため、ハンギョレ新聞の分析が正しいとも言い切れないのだが、1つの空港に戦闘機150機を揃えて順次出撃させるというのも少し無理がある。

広い空域で多数の戦闘機を用いて訓練したという理解であれば、まあ、実現可能になるかもしれない。それでも、無線のチャンネルを混乱しないように確保するのは、デジタル化が進んでいない北朝鮮軍にとってはなかなか困難だと思う。

したがって、対外的に150機同時出撃と言ったとしても、その実態は異なる可能性は高く、40機程度で訓練したと言われた方がしっくり来るし、訓練自体は国内向けのアピールである可能性は高い。

気になるのは、「飛行させていた機体の一部が黒煙をあげていた」「飛び立てない機体が2~3機あった」という点で、これが本当であれば北朝鮮空軍の整備能力に、深刻な問題を抱えていると理解出来る。

ただ、そういった情報をしっかりキャッチできていない事は、韓国軍こそ情報分析能力において深刻な問題を抱えている可能性が高い。RQ-4「グローバルホーク」とか、そこそこ偵察機を揃えているハズなんだけど。

先日の溜め池からのミサイル発射の兆候を察知できていなかったことや、今回の航空演習の実態把握ができていなかったことなど、戦争継続中の相手を監視するという気がないのでは?と、懸念を抱かざるを得ない。

北朝鮮空軍のガッカリ具合は既に分かっていた話なので、寧ろ150機飛ばしたという報道に驚いたが、数日経過しても殆ど情報の整理が出来ていない可能性の高い韓国軍こそ、一度、態勢の見直しをすべきだと思うよ。

追記

と思っていたら、米韓合同軍事演習でも似た感じでやるらしい。「これが本当の大規模演習だ」と言うことだろうか。

韓米が今月末から大規模な合同空中訓練 米F35Bも参加

 2022.10.18 09:58

北朝鮮の度重なる挑発により朝鮮半島の緊張が高まる中、韓国と米国の両軍が31日から来月4日にかけ韓国上空で「戦闘準備態勢総合訓練」を実施することが18日、分かった。中国共産党の党大会が終了する今月下旬から来月8日の米中間選挙までの間に北朝鮮が7回目の核実験に踏み切るとの観測も強まっており、韓米は大規模な合同空中訓練を実施することで北朝鮮に警告のメッセージを送る考えとみられる。

韓国軍によると、今回の合同訓練には韓国軍から最新鋭ステルス戦闘機F35Aをはじめ、戦闘機F15KやKF16など約140機の軍用機、米軍からは最新鋭ステルス戦闘機F35BやF16など約100機が参加する。

「聯合ニュース」より

いやー、金正恩氏のメンツを潰す作戦ですね!大人げない。

しかしまあ、韓国空軍が140機出すって、10機足りないじゃないか!練習機で良いから出そうぜ!

コメント

  1. こんにちは。

    >偵察に出すような機体ではないのだ。

    早期警戒機は!虎の子の737 AEW&Cは!

    >練習機までかき集めて“見世物”訓練をやったので

    「……おいおい、動く戦争博物館かよ!」
    ガンダムUCのジオン残党は、それでも結構頑張ったんですけどねぇ……北は……

    まあ要するに「どっちもどっち」の「ポケットの中の戦争」なんですけどね……
    そのポケットに、タチの悪い爆竹が紛れ込んでるから始末が悪い。
    そのポケットに手を突っ込もうとしている大人(ターレン)がいるのもまた……

    • 情報攪乱も戦いにおいて大切なのですが、どうにも残念な部分が目立つところを笑って良いのか。
      ポケットの中の戦争というのはまさにその通りで、その上で支那がそのポケットに手を突っ込んでいるのが困りものですね。
      お笑いに精を出して頂けると僕は嬉しいのですが、変なタイミングで解体されても困るのですよね。
      噂によると、北朝鮮はロシアへの武器弾薬供与の見返りとして油を売って貰っているようですが、戦闘機の部品だとか戦車の部品だとかもロシアから供給を受けたいところだと思います。国際情勢的にはそのままお付き合いすると、地獄に引きずり込まれる可能性が高いので、ちょっと疎遠になりつつある噂も出ていますが。

  2. Su34の墜落が公になっちゃったりする昨今、露製機体全体の整備状況も気になるところではありますが。露本体があのザマでは、今後の備品供給や機体運用自体にも支障が出る。と、いう懸念の現れでもあるんでしょうかね。ポーランドとかの急速な西側切り替えは。とはいえ、骨董品もちゃんと使いこなせる手合いであれば、侮れはしないと言いますか。「だからこそ警戒しろ、俺たちにあれ程の執念は無い。」
    それはそれとして、こっそり敵の第五世代機ことSu57が混じってたりせんだろな。とも疑ってみたいところで…宇戦には出せてないっぽいですし。

    • ロシアからの兵器供給というのは、もはや期待することが出来ないレベルにまで深刻な状況になっていると思いますよ。
      西側からパーツを買えない状況はかなりきついんじゃないでしょうかね。
      戦闘機の墜落も1機や2機という状況ではなくなってきたみたいですし、自国内でも落ちて炎上していましたから、結構ヤバいのではないかと。