人民元のプロキシカレンシー・ウォンと韓国の政策金利のジレンマ

大韓民国

ある意味衝撃の告白なのだが、納得できる部分も多い。

韓国ウォン相場6.8%下落、英国ポンド・日本円よりも落ちた

2022.10.14 07:09

下落する韓国ウォン価値が「マイウェイ」中だ。世界の他の通貨と比較しても下落が特に速い。米連邦準備制度理事会(FRB)の緊縮が呼び起こしたドル高に歩幅を合わせて下がっていたウォン価値が軌道を離脱した格好だ。先月には株式と債券ですべての外国人投資資金が回収されてウォン安をあおっている。さらなるウォン安で資本流出の懸念も高まった。

「中央日報」より

「何が」ということなのだが、ウォンが人民元の代理通貨(プロキシカレンシー)であるという点がだ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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苦しみに沈む韓国経済

代理通貨

そもそも代理通貨とは何かというと、「ウォン」は実質「人民元」という意味だ。即ち、人民元と連動して動くので、実質的に韓国の中央銀行(韓銀)の介入の余地は殆ど無いという意味になる。

韓銀総裁、韓国ウォンを人民元の「代理通貨」と認める
韓国ウォンは中国人民元の「代理通貨」だ――。韓国の中央銀行の李昌鏞(り・しょうよう)総裁が、こんな認識を示したのだそうです。なるほど、たしかに言いえて妙です。韓国経済は中国への依存度が高く、人民元の代わりに売られているという側面もあるかもしれないからです。ただし、やはり韓国ウォンの下落は、資産バブルや不良債権懸念といっ...

大筋の話は、新宿会計士さんのところで整理されているので、僕が改めて言及する必要は無いのだが、興味深いのは大本となった韓銀の研究員の発言である。

中国元安もウォン相場には負担要因だ。韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は12日、「9月に入ってウォン安がドル高よりも更に進んだのは事実」としながらも「ウォンは人民元のプロキシ(proxy・代理)通貨としてもみられており、中国が悪化すれば貿易でこのような問題が発生する」と説明した。

「中央日報”韓国ウォン相場6.8%下落、英国ポンド・日本円よりも落ちた”」より

なかなか思い切った表現だが、これの意味するところは韓国銀行による政策金利の決定は、ウォンの値動きに大した影響を与えられないという意味である。

まあ、随分と介入に外貨準備を溶かしたので、その徒労感からそんな発言をしたのだろうけれど、

  • 2022年9月末の韓国の外国為替保有額は4,167.7億ドルで前月末比196.6億ドル減少
  • 外国為替市場の変動性緩和措置、その他通貨外貨資産の米ドル換算額の減少、金融機関の外貨預金の減少などに起因
  • 022年8月末基準韓国の外国為替保有額の規模は世界8位

「韓国銀行のサイト」より

8月にも随分と外貨準備を溶かしていたけれど、9月も引き続き196.6億ドル溶かしている。

img

いやー、ダイナミックな動きですな。ここまでやって殆ど効果無しというのが哀しい。

ただ、ウォンの値動きは先月末にかけて活発だったのに、ここ2週間くらいは小康状態にある。正直、韓国経済にプラスの材料は無かったので、ウォンが下げ止まる理由も無いのだが、現実問題として低空飛行を続けている。

3ヶ月のスパンで見てみると、10月に入って一度、ウォン高方向に振れて、今は再びウォン安に戻っている。

これは何故ですか?と言えば、韓銀の嘆きが示す通りに、人民元の値動きに連動しているからなのだ。

人民元安

ちなみに、現状では人民元も人民元安の方向に動いている。

いやー、ウォンとよく似た値動きだな(棒)。

まあ、ここは人民元がウォンに似た値動きをしているのではなく、因果関係が逆なのだけれども。

で、これで何が問題になるかという話なのだけれど、韓銀の努力はほぼ効果無しという話が露わになってくると言う点だな。もちろん、無意味などではないし、そもそも中央銀行の単動介入にソレほど市場を動かす力があるわけでは無いのだけれど、韓国としては困る訳だ。

韓国中銀0.50%利上げ、委員2人が反対 引き締めペース鈍化示唆

2022年10月12日10:18 午前

韓国銀行(中央銀行)は12日、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.0%とした。50bpの利上げは7月以降2度目。米国の積極的な金融引き締めを背景としたドル高で輸入インフレが進行している状況を受けた。

ただ、今後は引き締めペースの鈍化が示唆された。金融通貨委員会メンバー7人のうち2人は今回25bpの利上げを求めた。

「ロイター」より

何しろ、韓銀はアメリカFRBの政策金利に負けないスピードで政策金利を上げている。ところがこれに効果がないとなるとやれることが無くなってしまうのである(違)。

金利を上げても地獄、上げなくても地獄

某大学経済学部の教授が嘆いているのが印象的だ。

延世(ヨンセ)大学経済学部のソン・テユン教授は「韓銀が金利をもうこれ以上は上げるのは難しいという信号を与え、韓米金利逆転に対する懸念がはるかに大きくなった」とし「金利逆転幅が大きくなり、外国人の資金流出が本格化する場合、衝撃が大きくなるかもしれない」と話した。

「ロイター”韓国中銀0.50%利上げ、委員2人が反対 引き締めペース鈍化示唆”」より

基本的に韓国がアメリカの政策金利を追いかけている理由は、アメリカの方が政策金利が高くなると韓国内に外資が流れ込みにくくなるという問題があるからだ。いわゆるキャピタルフライト(資本がある国から別の国に逃避することを意味する)と言うヤツで、外資に逃げられると韓国は本格的に立ちゆかなくなる。

故に、政策金利はアメリカに連動し、ウォンは人民元に連動というおかしな話になってしまうのである。そして、経済基盤の弱い韓国にとってはこの状態を続けることが極めてキビシイ。

img

こちらのデータは、IMFのサイトから引用したデータを加工したものであり、money1さんのサイトに掲載されたデータである。

簡単に表現すれば、「死神IMFが韓国に向かって鎌を振り上げた状態」とでも言うべきだろうか。経済成長の鈍化と物価の高騰を予測しているのである。

際限のない金利引き上げに20~30ローン債権者の悲鳴が大きくなる

入力2022. 10. 13. 05:03修正2022. 10. 13. 09:39

昨年6月の銀行でチャーター資金融資2億ウォンを受けた30代A氏は、今年に入って金利が急騰し、利子負担で夜寝をする。貸切資金貸付を受けた時は韓国銀行基準金利が年0.5%水準であり、コフィックス6ヶ月物(年2.69%)に連動する貸付金利は返済にならなかった。昨年融資を受ける当時、A氏が納付しなければならない月間利息は44万8千ウォン水準で年間538万ウォンを予想した。しかし今年10月基準でA氏が毎月納付しなければならない利子は72万ウォンで27万2千ウォンも増加し、年間利子納付額も864万ウォンに大きく増えた。

「Daum」より

金利が増えれば借金の利息も増える。

現在、銀行券貸切資金融資は170兆ウォンに迫るが、このうち94%が金利引き上げの影響をそっくり受ける変動金利融資だ。特に債務者10人のうち6人は急騰した利子負担にすぐに対応できない、いわゆる償還能力が相対的に落ちる20、30代青年層という点も問題だ。

「Daum」より

94%の債務者が変動金利融資なので、韓銀の利上げの影響をそっくりそのまま受ける事になる。割途絶墓的な数字だが、もっと悲惨な話も。

38万世帯 全資産売却しても借金返済不可能

Write: 2022-10-10 12:15:55/Update: 2022-10-10 12:31:18

韓国では、住宅などの資産をすべて売却しても借金を返済できないとみられる世帯が、38万世帯にのぼることがわかりました。

「KBS WORLD」より

ああ、ハイ。

韓国「不動産バブル崩壊」の現実味…住宅ローン金利上昇で“ハウスプア家庭”が激増し

10/7(金) 7:03配信

米中央銀行・連邦準備制度(FED)の急激な利上げの影響で、株式市場や為替市場など、韓国の金融市場が大きく動揺する中、住宅ローン金利の上昇が韓国経済の雷管として浮上している。

「yahooニュース」より

不動産バブルが崩壊すると、いよいよヤバい。

貿易赤字

そんな訳で、良い材料の無い韓国経済で、人民元に連動してしまう状況を何とかしたいところだが。

韓国、年間貿易赤字300億ドル超える…1日平均輸出額12%減少

2022.10.12 10:11

10月に入っても韓国貿易に「警告灯」が消えずにいる。1日平均輸出額が前年同期より約12%減り、貿易収支を支えた対米貿易までマイナスに転じる危機に陥った。38億ドルを超える貿易赤字が追加され年間累積赤字も300億ドルを超えた。

~~略~~

国別でも欧州連合(EU)向けが11.1%増えたのを除くと主要国向けの輸出がいずれも減った。特に輸出のドル箱である中国が23.4%減、米国が21.4%減と大幅に輸出額が減った。このため対中赤字が4億6000万ドル、対米赤字が1億ドルとなり貿易収支に打撃が大きかった。今月末まで対米貿易赤字が続くなら2011年8月から11年ぶりの月間赤字を記録することになる。対中貿易収支も1カ月ぶりに赤字に戻る危機だ。

「中央日報」より

まあ、先行きは暗いよね。

こちらの記事にも書いたのだけれど、半導体業界は先行きが暗い。ところが、韓国経済を支えているのは半導体なのだから、困った事だ。

更に引用部分に示したとおり、ドル箱である支那との貿易、アメリカとの貿易は何れも縮小している。そして、その理由が半導体の値段の下落だけではなく、支那でも半導体が作れるようになったので、そもそも買って貰えなくなってきているという根本的な話なのだ。

残念ながら、産業構造を改革しない限りは韓国経済は浮上する事が難しい。そこへ来て人民元の代替通貨発言であるから、まあ何というか諦めムードが漂っているということかも知れないね。

コメント

  1. おはようございます、

    日本では、K政権が今月末~来月初めまでに補正予算を組めないのでは?….
    という警戒警報が霞が関界隈に出ていて、組めないと100%政局と言われ始めているので、
    日本も実は厳しい状況です。

    一方の韓国は、今回の記事が指摘するように、どこの植民地なのかという体たらくなので、
    せめて安楽死させてやりたいなぁ…と少しばかり同情しています。
    とはいえ、すべては韓国が、テキトーな国家運営を続けて、本当の経済自由化を行わなかった結果だと思います。だから、この国はいま信用ないんだね。それが数字に顕れていると。

    中国では、明日から中共大会が始まりますが、習近平さんの続投が決まっても、市場はそれを経済の悪材料と捉えそうな気配が漂っています。中国経済はもう手の施しようがないし…

    20世紀の今頃もそうでしたが、21世紀も波乱の様相ですねぇ。

    • 岸田政権が補正予算を組めない可能性はかなり高くなってきています。
      補正予算なしは前代未聞で、今から予算を組むとか阿呆なことを言っているらしく、とても間に合わないでしょう。そうなると、岸田政権は年末まで保つかどうか、という状況になってしまうと思います。解散をうって仕切り直すということもありえますが、岸田氏にはその判断も難しいでしょう。

      まあ、韓国経済は絶望的なところに足を突っ込んでいますが、あそこから抜け出す方法があるのであれば、と興味深く見守っております。
      支那は、あそこも厳しいでしょうねぇ。