アジア半導体戦争

経済危機

アメリカは本気で支那の半導体事業の締め上げをするようだ。そのためには日本も製造装置・製造機器を支那に売らないようにするべきなんだけど。

半導体製造装置KLA、中国向け提供中止へ 米規制対応=関係者

2022年10月12日9:13 午前

米半導体製造装置メーカーのKLAは、中国に拠点を置く顧客向けに最先端の製品やサービスの提供を12日から中止する。米政府が公表した最新の輸出規制に対応した措置だ。事情に詳しい関係者が11日明らかにした。

「ロイター」より

KLAコーポレーションは、カリフォルニア州に拠点を置く半導体産業向けの管理システムを提供する会社である。半導体の検査装置を中心に事業をしているので、ここが支那との取引を止めると言うことは、支那にとって大きなダメージになるだろうと思われる。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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支那の技術は周回遅れのままになる?

世界シェアトップ

半導体産業は、今は台湾、韓国、支那の参加国でシェア争いをしているけれども、圧倒的に安い支那製のチップはよく売れているようだ。ただし、技術的には台湾のTMSCがトップを走っているという感じのようだね。尤も、微妙にカバーする範囲が違うので、一概に比較しにくいのが半導体業界の面倒臭いところだ。どこがトップだとはちょっと表現しにくいのである。

ともあれ、チップの製造においてはアメリカも第一線ではないし、日本は遙か後方にいる状況になっている。KIOXIA(旧東芝メモリ)はそれなりの技術力はあるのだけれど、メモリ事業で戦うのは分が悪そうだ。

では、日本やアメリカの強みは?というと製造装置、検査装置である。

「半導体製造装置」で日本が韓台中に勝る理由

2022年7月29日

強みは、各工程が繰り返し行われるため、隣接する工程間の相互依存性が高く、各工程用装置のトップメーカー同士で連携が行われやすいことだ。

世界の半導体製造装置業界は、今なお日米欧の企業が中心であり、韓国・台湾・中国勢の台頭が著しいデバイス業界と異なる。製造装置は、前工程と後工程に分かれ、市場競争も様相が違っている。

前工程では、多くの工程の装置で高いシェアを持つ米アプライドマテリアルズ(AMAT)と東京エレクトロン(TEL)の2強と、個々の工程に強い企業群で市場を形成している。後者は、米ラムリサーチ(LAM、エッチング)、米KLAテンコール(検査)、SCREENホールディングス(洗浄)、アルバック(成膜)、KOKUSAI ELECTRIC(旧日立国際電気から分離、拡散)、日新電機(イオン注入)、オランダASML(露光)などが該当する。

「毎日新聞」より

この記事が結構纏まっていて読みやすかったのだが、有料記事なので引用は途中までにしてある。言及したいところは、日米の企業が製造工程の機械の製造や検査に特化して、高いシェアを維持している事だ。

そして、ここに出てくるのがKLAテンコール社で、検査装置を担当している。大げさに言えば、KLAテンコール社と取引できないと、まともな半導体チップを作れるようにはならない。

アメリカ政府の方針によって、KLA社は支那との取引を止めるとは、「そういう意味」なのである。

利益は3割減だが

もちろん、KLA社にとっては、これはかなり深刻なダメージとなり得る。

KLAにとって中国は国・地域別で最大の市場。同社の財務報告によると、6月に終わった昨年度の売上高は26億6000万ドルで、全収入の30%近くを占めた。

「ロイター”半導体製造装置KLA、中国向け提供中止へ 米規制対応=関係者”」より

全体収入の3割減って、倒産しかねない話なのだけれど、よく読むと全ての取引を止めるという話ではなさそうである。

ただ米政府は7日、中国の半導体メーカーに最先端の製造装置を供給しようとする企業は最初に商務省のライセンスを取得することを義務付け、厳格な審査を通じて事実上輸出を制限する方針を示した。

関係者の話では、KLAの中国に駐在する従業員が法務部門から電子メールで指示を受け取り、128層以上のNANDフラッシュメモリーや18nm未満のDRAMなどを製造する中国の半導体工場に対して、製品販売とサービス提供を取りやめることが決まった。

「ロイター”半導体製造装置KLA、中国向け提供中止へ 米規制対応=関係者”」より

ちょっとよく分からない単語が出てきたので、まずはこちら「128層以上のNANDフラッシュメモリー」について。簡単に説明すると、層が増えるほど記憶容量が増える。2019年の技術で128層のNANDフラッシュメモリの高層化が実現されたのだけれど、2021年には176層、2022年には200層を超える予想が出ている。つまり、KLA社は支那には3年前の技術の提供が出来なくなると言う意味になる。

「18nm未満のDRAM」は2018年頃の技術で、2022年の技術は13nm未満という状況になる。ちなみに台湾のTSMCは既に5nmの技術を手に入れているようだ。

つまり、支那には数年前の周回遅れ技術しか提供しないよという意味のことを言っているわけだね。

取引中止先には、インテルやメモリー生産で世界第2位のSKハイニックスが中国に所有する半導体工場も含まれるという。

中国企業では長江存儲科技(YMTC)や長鑫存儲技術(CXMT)、受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)などが影響を受けるとみられる。

「ロイター”半導体製造装置KLA、中国向け提供中止へ 米規制対応=関係者”」より

あ、SKハイニクスも巻き込まれるんだ。お疲れ様ー。インテルも苦しみそうだけど、SKハイニクスはインテルのフラッシュメモリ事業を2020年に買収する話が出ていたので、ガッカリするのはSKハイニクスかもしれない。支那の四川省に新工場を建てたのは2019年で9500億ウォン以上投資したらしいしね。

ともあれ、支那企業に向けた対策なので、巻き込まれる韓国はご愁傷様ではあるけれども、仕方ないね!

支那から避難

と、そんな事があったので、流石に見切りを付けたメーカーも。

米半導体サプライヤー、中国YMTCから従業員を引き揚げ-関係者

2022年10月13日 3:06 JST

米国の複数の半導体メーカーが、中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)に送り込んでいた従業員の引き揚げを始めている。米半導体技術への中国のアクセス制限を目的としたバイデン政権の措置に対応する動きで、国内ハイテク産業の活性化を目指す中国政府には痛手となる。

非公開情報であることを理由に匿名で話した関係者によると、アプライド・マテリアルズやKLA、ラムリサーチはYMTCから人員を撤収し始めたか、撤収の準備をしている。米商務省は製品の最終的な使用場所が不明なことを意味する「未証明」企業のリストに31社を追加。YMTCもこの中に含まれる。

「Bloomberg」より

そりゃそうだよね。

株価が思ったよりも下がっていないので、当面は安心できると思っているのか、別の予測があるのかは分からないが、このままの状況が続けば支那の半導体産業や家電も含めて苦しい戦いを強いられることになるはずだ。それでなくとも支那経済は失速しているので、カントリーリスクを考えたら日本の民間企業にとって脱チャイナは喫緊の課題なんだけどね。

アメリカの仕掛けた戦いとはいえ、半導体関係では台湾、支那、韓国は無関係ではいられないし、日本もそうなのだ。いつまでも知らない振りはできないよねぇ。

……そう言えばこのブログの読者には、半導体関係に詳しい方もいたような。

追記

JETORに簡潔に纏められた情報がでていたので紹介しておきたい。

米商務省、中国を念頭に半導体関連の輸出管理を強化

2022年10月11日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月7日、中国を念頭に半導体関連製品(物品・技術・ソフトウエア)の輸出管理規則(EAR)を強化する暫定最終規則(IFR)を公表した。正式には、10月13日付の官報で公示される。

BISは今回のIFRの目的について、米国政府内で、先端集積回路、スーパーコンピュータおよび半導体製造装置が、大量破壊兵器(WMD)の開発を含む軍の現代化および人権侵害に寄与する影響を検証した結果としている。また、中国政府は軍民融合戦略の実施を含め、米国の安全保障と外交的利益に反するかたちで、防衛力の現代化に莫大な資源を投入していると指摘している。

「JETRO」より

スーパーコンピューターにも影響があるのね。そりゃそうか。

追記2

ちょっと哀れな記事を見つけてしまった。そういえばSKハイニクスってちょっと前から経営がヤバかったような。

「SKハイニックス、来年の赤字展望」

入力2022. 10. 13. 12:25

メモリ半導体取引価格が急激な需要鈍化で下落傾向を重ね、業界に「赤字」恐怖が大きくなっている。メーカーは生産速度を調節するなど需要鈍化による供給過剰事態を解決することに注力しているが、少なくとも来年までメモリ半導体市場の低迷が続く可能性があるという市場の懸念が大きい状況だ。

13日、業界によると、イベスト投資証券はメモリ半導体業界2位SKハイニックスの来年の営業利益を2470億赤字と見通した。SKハイニックスが赤字転換すれば2012年(2273億ウォン赤字)以後11年ぶりだ。

「DAUM」より

この記事の哀れなところは、アメリカの発表を加味していないという点である。つまり、SKハイニクス社の赤字幅はさらに拡大する公算が高い。

韓国政府はこれ、救うのかなぁ?SKハイニクスの社長の息子がムン君の娘と結婚するみたいな話があったように思うので、現政権はSKハイニクス社は嫌いだと思うんだ。そして、韓国では好き嫌いで生き残りが決定することを考えると、キビシイんじゃないかなぁ。

追記3

コメントでNVIDIAの話が出たので、こちらも追記しておきたい。

NVIDIAとAMDに高性能GPU対中輸出規制。BATのクラウド事業大打撃か

2022年9月11日

米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)とAMDは8月31日、米政府から一部の高性能GPUの対中輸出を停止するよう通達を受けたことを相次いで明らかにした。対象となるのはNVIDIAの「A100」「H100」およびこの2種類のチップを使用するシステム、さらにAMDの「MI250」だ。

GPUとは画像処理装置のことで、主に画像処理や汎用計算に用いられる。画像処理はもともとCPUが担っていたが、NVIDIAとAMDの2社が画像処理に特化したGPUを開発し、巨大市場に成長した。GPUはAI産業に欠かせないチップであり、データセンターやスーパーコンピューター、エッジコンピューティングなどの分野で活用されている。

国家間の技術競争の裏では、利害が渦巻いている。輸出規制の報道後、NVIDIAとAMDの株価はいずれも下落した。中国のスーパーコンピューター業界やIT御三家BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)は緊急に代替品を手配する必要に迫られ、長期的なサプライチェーンの安全性に対して警鐘が鳴らされる事態となった。

~~略~~

視点を変えると、中国のGPUスタートアップにとっては絶好のチャンスといえる。中国GPU企業の関係者によると、これまでBATを含む企業は国産GPUの導入にそれほど前向きではなかったが、今回の件でGPUサプライチェーンのリスク管理に注目が集まり、国産GPU受け入れに対する市場の認識が高まったという。

「36kr.jp」より

NVIDIAもAMDもGPUのトップメーカーなので、支那としてはこのチップを手に入れられないのはかなりの痛手となる。

支那で作られているスーパーコンピューターは、日本のデッドコピーだった時代があったが、現在ではNVIDIAやAMDのチップを利用して世界でもトップと争えるだけの性能を誇るスーパーコンピューターを作り上げている。

……まあ、本当かどうかは知らないが。

ともかく、チップの供給がないと支那のデータセンターやクラウド事業、スーパーコンピューターなどがかなり困るということに。尤も、記事にもあるように代替製品はあるので、時間をかけて作れば問題無いだろうけれど、支那はその大切な「時間」を奪われることになる。

コメント

  1. 私も浅学で海外ニュースでしか知らないですけど、AI用の半導体やスーパーコンピュータ用半導体の輸出制限もNDIVA?だったかで国務省が規制を掛けていたような記憶があります。
    徹底的に産業を殺すのではなく、最新の部材と装置へのアクセスを禁止して一生低品質安価製品組み立て工場になれ。という圧力に見えますね。
    日本の製造装置や中間部材もアメリカの技術特許が使われている部分があるから政府がどうこう動く前にアメリカが規制を法整備化したらそもそも売れないなんていう話を見た気がします。

    一か月ほど前に支那の半導体企業(業界全体で10兆単位の補助金がじゃぶじゃぶ注ぎ込まれた)も補助金詐欺だったかな?の容疑でまとめて粛清されて行ってましたから、結果は現状出ているとは思えませんね。
    あったあった。
    https://www.sangyo-times.jp/article.aspx?ID=7619
    合計15兆円の補助金+法人税減免でしたが、結果はご覧の有様ですね。
    https://www.technologyreview.jp/s/282652/corruption-is-sending-shock-waves-through-chinas-chipmaking-industry/

    • 追記させていただきましたが、Nvidiaのことでしょうね。
      AMDとNvidiaはGPUを作るメーカーとしては一流で、ほぼシェアを2分しています。他に替わるメーカーがいないのがネックですね。
      intelはCPUメーカーですがGPUはこの2社がほぼ独占していますから。
      製造装置や中間部材はアメリカや日本で特許はガッチガチに固められていて、特許で出さない部分のノウハウも山盛りですから、簡単に真似できる話ではないようです。形だけ真似てもコピーできない技術というのは厄介ですね。

      補助金の話は知りませんでしたが、如何にも支那らしいオチでした。眼福であります。

      • 木霊さん ガバ穴民さん みなさん おはようございます。

         米国の支那半導体兵糧攻め情勢まとめアップデートありがとうございます。

        兵糧攻め、アップルやテスラも支那依存企業だし、支那半導体を徹底的に潰したらSDGs利権もパーになりかねないのだから米国どこまで本気か?と思っていましたが

        >アプライド・マテリアルズやKLA、ラムリサーチはYMTCから人員を撤収し始めたか、撤収の準備をしている
        が、本当なら
        >徹底的に産業を殺すのではなく
        いや、殺しにかかっているでしょう。

        最先端産業機械ってまあF1マシンや戦闘機と一緒でメンテ膨大、、AMAT、KLA,RAMなんかに人員撤退された日には、既存の工場稼働さえ怪しい。

        思うに米国は腹くくった? 理由は

        >支那の、、、補助金詐欺、、、結果は現状出ているとは思えませんね。
        といった惨状の一方、
        支那SMICがEUV無しで7nmプロセスを成功させていたり、
        https://hardware.srad.jp/story/22/07/26/1513247/

        中途半端では牽制無理、徹底的に産業潰すしかない。てな判断でしょうかね?
        しかし本当なら米国・西側の痛みもバカにできない「肉を切らせる」判断とも言えますが
        、、、いくら米国でもそこまで体力持つのか?
        、、、支那のあまりにも見事は、初期コロナロックダウンと、あまりにも無様な今のゼロコロナの対比から、
           今ならまだ兵糧攻め間に合う、(今をのがすと間に合わない) 判断でしょうか?

        ?だらけになってしまいましたが、ますます「台湾(TSMC)」動向がきなくさくなりますね。

      • 支那に対する半導体分野での兵糧攻めというのが、アメリカの方針のようです。
        従って、「殺しにかかっている」という表現も正しいと思います。

        そして、「いくら米国でもそこまで体力持つのか」というご指摘ですが、そこはおそらくアメリカ自身も懸念しているでしょう。
        結局コレ、チキンレースですからねぇ。支那に利する判断は許せないのが、アメリカのスタンダードになりつつあります。締め上げた結果、アメリカが苦しくなる展開は当然あると思いますよ。ただ、それでも野放しにして支那が覇権をとるよりはマシだとの判断だと思います。

  2. こんにちわ、

    しばらく半導体から離れていたので、今回の記事で自己アップデートさせていただきました。大変助かりました。ありがとうございます😊

    • 多少なりとも参考になれば幸いです。

  3. BOOKさん お疲れ様です。
    情報ありがとうございます。
    知らない情報が出てくるのは本当に助かりました。

    現状の設備で出来る最高製品を生産したというみたいですが、そこから一歩先へ踏み出せるかが正念場になりそうですね。
    製造装置関連が多国籍間で分業のような形で分かれているのはやっぱり開発費用が莫大だったりそれぞれの根幹技術が違うからなんだろうか。
    そうだとしたら全部自前で自給しようとしている支那ってどれだけ金と時間ぶち込むんでしょうね。
    今の彼らにお金はともかく時間があるかは共産党幹部にすら分からないでしょうけど。(主に粉飾しすぎた統計で)