米韓で精密爆撃訓練を実施

北朝鮮

いつもであれば「お笑い韓国軍」要素を探すところなんだけれども、これはちょっと違いそうだね。

米韓、「精密爆撃訓練」を実施 北朝鮮のミサイル発射受け

2022年10月4日 20:45

韓国軍は4日、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射し日本の上空を通過した問題を受けて、米軍と共に精密爆撃訓練を実施したと発表した。

「AFP」より

このニュースの要旨は、北朝鮮への米韓共同訓練による威嚇、ということなのだろうけれど、政治的な背景を考えると色々考えさせられる。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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北朝鮮へのメッセージ

韓国軍は虎の子F-15Kを出した

このブログでは「お笑い韓国軍」というタグを用意して、韓国軍の面白い兵器ネタを扱っている。まあ、素人分析を披露する程度なので、軍事に詳しい方には物足りないのだろうが、それなりに人気なコンテンツである。

で、浅くではあるが韓国軍の実情を知る身ではあるが、韓国空軍がF-15Kを訓練に持ち出したことに、味わい深さを感じたのである。

韓国軍合同参謀本部は「韓国空軍の記事&category[]=ワールドカップ&category[]=五輪”>F16戦闘機4機が参加する訓練で、韓国のF15Kが西海(記事&category[]=ワールドカップ&category[]=五輪”>JDAM)2発を発射した」と明らかにした。西海は黄海(「AFP」より

韓国空軍に配備されている戦闘機は以下の5種類だ。

  • F-15K戦闘機(59機):主力戦闘機でF-15Eベースの対地攻撃可能なマルチロール機
  • KF-16戦闘機(169機):Block 52相当の割と近代化されたF-16戦闘機で、対地攻撃も可能
  • F-4E戦闘機(20機程度):老朽化して飛行能力に不安は残るものの、名機F-4は伊達ではない
  • F-5戦闘機(80機程度):老朽化して飛行時間に不安がでるものの、任務遂行可能
  • FA-50軽戦闘機(60機):世界に売れ始めたCOIN機、F-16ベースにダウングレードされた機体
  • F-35A戦闘機(40機):配備されてはいるが実戦が可能かどうかは不明

え?7種類あるって?いや、一応実戦投入に耐えられるのはおそらく上の5種なんだと思う。FA-50は訓練機の延長線上にある機体で、暴動鎮圧くらいには便利だが対空戦闘や爆撃任務には心許ない。F-35Aは、導入して2年程度経っているけど、パイロットの訓練を含めて運用面で十分とは言い難い状況だ。なお、開発中のKF-21はカウントするわけがない。

だから、アメリカとの軍事演習に耐えられるのは、F-15KとKF-16である。流石に、軍事演習に老朽化機を持ち出すのはちょっと困るだろう。

F-15KとKF-16であれば、単純比較は出来ないが、性能的には断然F-15Kの方が高い。もともと、F-15系戦闘機とF-16系戦闘機は、アメリカで「ハイローミックス」という構想の下に作られた機体である。高性能で高価なF-15と、機能は妥協しても安価なF-16。尤も、改良が進むうちに、単純にどちらが優れているとは言い難い状況になっていて、F-15KとKF-16でも近代改修後か否かで性能が異なる為、単純にどちらが強いと言えない。

が、一般的にはF-15K戦闘機の方が優れていると言える。つまり、韓国空軍は保有する中で最も優れたエース級を持ちだしたと言うことになる。

数年経って安定してこればF-35A戦闘機の方が優れているという話になる可能性もあるが、今はそれを言っても詮無きことである。

一方のアメリカ軍だが、F-16戦闘機を持ち出したようだ。

これまあ、当たり前と言えば当たり前なのである。何故ならば、在韓米軍の空軍部隊である第7空軍は、第51戦闘航空団と第8戦闘航空団。どちらも保有しているのはF-16戦闘機である。あ、A-10爆撃機もあるようだが、まあここでは関係ないね。

じゃあ、韓国空軍もアメリカ軍と同じ様にF-16Kを持ち出してこれば良いじゃないかと思うのだけれど、おそらく、F-15K戦闘機の方にエース級のパイロットが揃っているのだろうね。

JDAMで爆撃

JDAM(Joint Direct Attack Munition、ジェイダム、統合直接攻撃弾)で爆撃したようだが、これに関しては特に不思議ではない。

JDAMは精密誘導能力を被誘導弾に付加するキットの名前なので、おそらく爆撃に使われたと思われるのは、Mk.84爆弾にJDAMをくっつけたGBU-31と呼ばれるタイプだと思う。韓国空軍はGBU-31のストックが少ないので、嫌がったんじゃないかな?などとは思うが、訓練しないという選択肢はない。

それなりに高価な攻撃弾であるが、定期的に訓練しないと、狙ったところが爆撃出来ないというお粗末なことになるからね。

爆撃訓練の意味

さて、そろそろ本題に入ろう。

在韓米軍が韓国空軍を引っ張り出して、「爆撃訓練しようぜ!」と言った理由は、北朝鮮に対する挑発である。

玄武2を落っことして恥ずかしい思いをしたかも知れないが、軍隊は「やるときはやるんだ」という姿勢を見せなければならない。舐められることは、安全保障の機能を毀損しかねない。

ただ、いつものパターンであれば、アメリカ軍が爆撃機を持ち出すのだ。B1B「ランサー」とか格好いいよね。

米戦略爆撃機が朝鮮半島上空を飛行 北朝鮮に武力誇示

2017年12月6日

韓国軍は6日、米空軍の戦略爆撃機B1Bが4日に始まった米韓合同空軍演習に参加したと発表した。北朝鮮に対して武力を誇示する動きとみられる。

B1B「ランサー」は戦場の爆撃を想定した訓練を行ったという。

北朝鮮は先月29日、米国本土に到達可能だとする新たな弾道ミサイルの発射実験を行った。米軍は過去にも、北朝鮮のミサイルあるいは核の実験の後に爆撃機を飛ばし武力を誇示したことがある。

「BBC NEWS」より

この記事は、2017年11月29日に行われた北朝鮮の火星15発射に抗議して行われた爆撃機飛行の事を伝えている。

米韓空軍、12月4日から合同軍事演習 過去最大規模

2017年11月24日 17:41

米韓両空軍は24日、12月4日から8日まで、韓国で定例の合同軍事演習を開催すると発表した。米軍は約1万2000人が参加し、同訓練としては過去最大規模という。両軍で航空機230機強を投入する。韓国軍によると、米軍はステルス戦闘機のF22とF35を派遣する。

「日本経済新聞」より

事前に、米韓合同軍事演習が予定されていて、北朝鮮はこれに合わせて弾道ミサイルをぶっ放したわけだが、アメリカ軍は、予定通り合同軍事演習をした上で、B1Bランサーを派遣した。

この他にも2019年にはB-52「ストラトフォートレス」を持ちだしている。

米戦略爆撃機B-52 2機が東海で作戦

2019-10-28 06:35 修正:2019-10-28 08:01

核兵器を搭載できる米空軍のB-52戦略爆撃機2機が最近、東海(トンヘ)上空で作戦活動をしたという。

民間航空追跡サイト「エアクラフト・スポット(AircraftSpots)」は、米軍のB-52Hストラトフォートレス(B-52 Stratofortress)2機がグアムのアンダーソン空軍基地から出撃し、東海で任務を遂行したと27日に公開した。アンダーソン基地と日本沖縄の嘉手納空軍基地から出撃した空中給油機KC-135R3機がB-52の作戦を支援した。エアクラフト・スポットはB-52などの航跡を公開し、南シナ海でも任務を遂行したものと見られると分析した。

「ハンギョレ」より

この時は、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星-3型」を発射(2019年10月3日)しており、ソレに抗議する為の威嚇行動であったと思われる。

とまあ、こんな風に爆撃機を持ち出して、威圧するのがアメリカ軍スタイルだったのだが、今回は何故かF-15KとF-16を4機ずつ組んで爆撃訓練をしたという。

当然ながら、B1BやらB52を持ち出すと、威圧感がスゴイので脅しとしては効果があるのだが、準備をするのに時間がかかるのも事実だ。

おそらく今回は、即応性を求めたのだと思われる。バイデン氏の方針かどうかは分からないが、デカいのを態々持ち出すスタイルより、直ぐに出撃できる爆撃機を持ち出すスタイルを見せたのかもしれない。まあ、大型爆撃機は今後、出てくるカモしれないが。

韓国軍にも参加させる

そして、今までは米軍が威圧をするパターンが多かったのだが、今回は在韓米軍と韓国空軍が同じだけ戦闘機を出して爆撃をしてみせる訓練をしたというところが違う。

危機感のレベルがおそらく違うのだ。

「即応で精密爆撃をするぜ」という姿勢を示すのと、「北朝鮮全土を灰燼に帰すこともできるんだぜ」という姿勢を示すのでは、意味合いが大きく違う。

アメリカ軍としてもより危機感を高めたということなのかも知れないし、去年までは満足に韓国空軍と軍事演習が出来ていなかったのだが、韓国前大統領のムン君が辞めたので、「合同軍事演習が出来るんだぜ」ということを見せつける意図があったのかもしれない。

何れにしても、「ちょっとでもおかしな真似をしたら、精密爆撃やるよ」というメッセージとなるわけだ。

ただ、一方でJDAMを持ち出したというのは少々気になる点もある。ピンポイントで攻撃することを考えるのであれば、戦闘機による爆撃で良いと思う。が、北朝鮮の指導者、金正恩氏は何かあれば地下に建設された堅牢なシェルターに籠もることができ、少々の爆撃で弱気になるような話にはならない。バンカーバスターでなければ、シェルターに籠もるのは有効なんだよね。

つまり、見せかけだけという可能性もあるのだ。

イベント前で焦る国々

とまあ、蕩々と語ったものの、上で指摘したことは、結論的にはアメリカも韓国もいつもの対応とは違うね、と言う単純なことだ。

それよりもむしろ、こういう対応の変化が何から来ているのかと言うことが少し気になっている。

中間選挙迫るアメリカ。中絶問題、トランプ…民主党は「大苦戦予想」をどこまで跳ね返せるか

Oct. 05, 2022, 07:00 AM

11月8日のアメリカ中間選挙までほぼ1カ月。過去のほとんどの大統領にとって、1期目の中間選挙は鬼門だ。中間選挙をきっかけに自分の公約実現を諦めてしまった大統領も少なくない。なぜそうなるのか。中間選挙の特徴をまとめたうえで、今年の動向を展望する。

「BUSINESS INSIDER」より

バイデン氏は様々な要因があって、アメリカ中間選挙を迎えるというのに支持率が低調で、おそらく民主党はその勢力を減らし、その後の政治動向に大きく影響する。

米中間選挙に向け中ロの政府系組織が情報工作 FBIが会見

2022.10.04 Tue posted at 12:43 JST

ワシントン(CNN) 米連邦捜査局(FBI)は3日の記者会見で、中国やロシアの政府系組織が来月の米中間選挙を前に、米国の選挙制度に欠陥があるとする誤情報を拡散しているとの警告を発した。

FBIで外国からの干渉を調べるチームの幹部が会見で語ったところによると、ロシア発の工作では、米国人がSNSなどで繰り広げる論争の増幅を図る手口が目立っている。

さらに中国でも、米国の分断を狙った「ロシア式」の活動が増えているという。同幹部は例として、フェイスブックから最近削除された中国発のアカウントを挙げた。バイデン米大統領や野党・共和党のルビオ上院議員をからかう画像などが投稿されていた。

「CNN」より

そして、良くも悪くもアメリカの政治は世界に影響するので、選挙制度の穴に付け込んで工作活動を活発化させる国が蠢くのである。最近はSNSを使った工作が盛んで、大統領選挙の時にも随分と不自然な情報の流れがあった。

工作という点では、北朝鮮も当然ながら一枚噛んでいるだろうから、アメリカ政府としては北朝鮮のミサイル活動の活発化を見て苦々しい思いでいると思う。

中国共産党大会、党主席復活が焦点 習氏へ権力集中警戒

2022年10月3日 18:37

10月16日に開幕する中国共産党大会で、「党主席」の肩書が復活するかに内外が注目している。習近平党総書記(国家主席)が就けば、「終身制」につながる可能性がある。過度の権力集中への懸念から党内で慎重論が強く、議論は最後までもつれそうだ。

「日本経済新聞」より

そしてもう1つの大国支那で行われる共産党大会だ。今年は中華皇帝習近平氏が真中華皇帝になれるかどうか、3期目が出来るかどうかと言う節目の年であり、大切なイベントである。

習近平氏としても変な横槍はゴメンだと思っているだろうし、アメリカとしてもおそらく刺激したくはない。流石に大型爆撃機の投入は、その「刺激」に該当する可能性がある。

一方の韓国大統領のユンユンは、政権スタート5ヶ月で支持率が急落。既に死に体であるという風に囁かれる始末。

韓国大統領の支持率が過去最低の24%に “暴言疑惑”影響か

[2022/09/30 12:14]

バイデン大統領との歓談後の暴言疑惑が波紋を広げている韓国の尹錫悦大統領の支持率が過去最低の24%となりました。

「テレ朝news」より

JDAMを使って見せたというのは、あくまで北朝鮮をピンポイントで爆撃するのだ、という意思表示であり、支那上空を容易に侵犯できる能力を持つ爆撃機の投入を控えたという風に見ると、随分と弱腰対応だなとも見える。

北朝鮮に舐められるわけにはいかないが、このタイミングで支那を刺激したくはない。そんな判断があったのではないかと。

いや、準備に時間のかかる大型爆撃機は、そのうち登場する可能性はあるんだけど、今のバイデン政権の動向を眺めていると、そんな風に見えるんだよね。何しろ、在韓米軍のF-16戦闘機では、航続距離の関係で台湾にも行けないのである。過去やったように、F22とF35の派遣というようなこともやっていないんだよね。ステルス機もちょっと遠慮した可能性があるわけだ。

追記

讀賣新聞が、北朝鮮のミサイル発射に関する記事を書いていた。

北、「軍を壊滅的状況に追い込む」米空母に恐れ…近海展開時には全軍が警戒態勢

2022/10/07 06:52

北朝鮮が米空母の動きに神経をとがらせている。米海軍の空母打撃群には北朝鮮軍を壊滅的な状況に追い込む攻撃力があるとされ、 金正恩キムジョンウン 政権が恐れる米軍戦力の象徴と言える。

「讀賣新聞」より

空母におそれをなした、ねぇ。

そうなのかなぁ。

金正恩朝鮮労働党総書記は、有事が起きれば首都平壌の地下に建設した指揮所に滞在し、その深さは100メートル以上との見方もある。米韓両軍の事情に詳しい関係筋によれば、ロナルド・レーガンの一部の艦載機には、地下指揮所を破壊する「バンカーバスター」と呼ばれる地中貫通型爆弾を搭載できるという。正恩氏は、米空母が体制の存続を脅かすと恐れている可能性がある。

「讀賣新聞」より

正直、空母の艦載機F/A-18E/Fが投下できるバンカーバスターが「怖い」というのは説得力がないように思える。だって、在韓米軍のF-16でもほぼ同じ兵装が使えるから。

空母だから怖いと言うことはないと思う。SLBM発射可能な原子力潜水艦が近くに来ているから嫌だというのならばまだ分かるんだけど。

コメント

  1. 事実としてアメリカの選挙制度欠陥だらけだからな。
    死人やペットすら投票可能って行政舐めてんのかよ。
    おまけに開票作業に公平性が無いようにしか見えない。

    • アメリカの選挙制度は、結構設計が古くて、時代に合わなくなってきている部分もあるのでしょう。
      郵便投票とか、やっぱり無理がありますよ。国土が広いので、ニーズはあったのでしょうけれど。

  2. こんにちは。

    F-15Kによる精密爆撃の裏には、
    ・「有人の」韓国軍戦闘爆撃機による越境
    という、今までは絶対に越えてこなかった一線を越える覚悟があるぞ、というところを見せる意味があるんじゃ無いか、と考えています。
    破壊力とか命中精度とかそういうところでは無く、もっと政治的、戦略的な意味合いなのじゃ無いかと。
    うがって考えすぎですかね?

    • なるほど、そういう解釈もありですね。
      今回のこの記事は、あまり裏付けのある話ではないので、今後の動きを見ていく必要があると思いますが……、北朝鮮へのメッセージ性としては弱く感じたんですよね。