日本政府の市場介入と日銀の政策

報道

タイミング的には1ドル150円直前くらいかなとそんな風に思っていたのだけれど、思ったよりも早いタイミングで介入してきたな。

政府・日銀 市場介入 なぜこのタイミング?その効果は?

2022年9月22日 20時08分

政府・日銀は、急速な円安に歯止めをかけるためドルを売って円を買う市場介入に踏み切りました。

「NHKニュース」より

常々経済面には弱く、時々「違います」と突っ込まれる程度の知識しかないので、出来るだけ経済関係の記事は避けたいというのが僕の偽らざる本音である。でも、この話に触れる気になったのは、NHKの報道っぷりがあんまりだったから。

アレで公共放送を名乗っているのはどうかと思うよ。

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日銀の政策には正当性がある

危機感があった

で、引用したNHKニュースなのだが、介入のタイミングについてこんな感じに説明している。

このまま急激な円安が続けば、エネルギーや食品、原材料といった輸入品などが値上がりし、それが企業活動や暮らしに悪影響を及ぼしかねない。 こうした危機感があったとみられます。

きょう未明にアメリカのFRBが大幅な利上げを決めた一方、日中に日銀が大規模な金融緩和を維持したことで、日米の金利差の拡大が意識され、市場では円安が急速に進んでいました。

「NHKニュース”政府・日銀 市場介入 なぜこのタイミング?その効果は?”」より

間違いではないと思うんだけれど、最初に挙げた理由よりも、後半に挙げたアメリカのFRBの大幅利上げに対する牽制の意図が強かったんじゃないかなぁ。

そもそも介入の主体は誰かという話なんだけど、為替介入は財務大臣の権限において実施されるものなのだから、今回の介入は日本政府ということになる。

そして日中、日銀の黒田総裁が記者会見で当面は金利を上げないと強調すると、1ドル=145円を突破しました。

この1ドル=145円という水準ですが、これに近づいた今月14日には、鈴木財務大臣が、介入について、「やるときには間髪入れずに瞬時にやる」と発言するなど、“口先介入”のレベルを高めていました。

「NHKニュース”政府・日銀 市場介入 なぜこのタイミング?その効果は?”」より

確かに財務大臣の「やるときは間髪入れずに瞬時にやる」という発言通りに、「ドカン」とやった感じではあるんだけど、このまま円安が急激に進むのを嫌がったと言うのが本音なのだろう。

投機的な取引が続いていた事があって、何処か良いタイミングで牽制をしたいという意図があって、それがFRBの利上げだったんだろうなというのが正直な感想だ。

日銀の覚悟

んでまあ、NHKは日銀の政策について、チクリと牽制をして記事を締めている。

再び円安がさらに進んだ場合に、政府・日銀が再度、市場介入に踏み切るのか。 その規模はどこまでか。

「伝家の宝刀」ともいえる市場介入についに踏み切った政府・日銀が、円安の大きな流れを劇的に変えることは容易ではなく、今後長く市場と向き合うことになる可能性もあるため、その覚悟が問われることになります。

「NHKニュース”政府・日銀 市場介入 なぜこのタイミング?その効果は?”」より

この文脈で日銀批判しているのだが、何が問題かというとここだ。

ただ、円安ドル高を加速させてきた背景には、日米の金融政策の違いという大きな構図があります。

金融引き締めを急ぐアメリカと金融緩和を続ける日本という状況は、当面は変わらないため、円安に歯止めをかける効果は限定的だという指摘もあります。

「NHKニュース”政府・日銀 市場介入 なぜこのタイミング?その効果は?”」より

要は日銀にも政策金利を上げろという要求である。

……なんでそうなるかなぁ。

そもそも介入は日本政府で、後で触れるけど日銀の政策とは逆なんだよね。彼らの底意には、こんな話があるのだと思われる。

EDLキャピタルCIO エドゥアール・ドラングラード氏 「円安は170円まで行くかもしれません。そこで私は円売りを増やしました。これまで350億円分くらいの円をドルに換えてきましたが、今は490億円分の円をドルに換えました。(中略) もし日米の金利差が4%か5%になれば、日本人も皆、円を売ってドルを買うでしょう。そうすればドルは上昇を続け、円は下落し続けます。ここまで有利な取引は人生でも滅多にありません。(中略)日銀が長期金利を抑え続けていると、インフレは手が付けられなくなり、日本は一晩でハイパーインフレになる可能性があります。日本人はこの政策によって貧しくなるでしょう」

「TBS NEWS DIG」より

割と多くの自称経済評論家の方々が、「ハイパーインフレガー」と騒いでいるのだ。

確かに構造的には日銀が量的緩和政策を継続する一方で、アメリカのFRBは金利を上げ続けている。しかし、これにはちゃんとした理屈が存在してそうなっている。

分かり易いのはインフレ率で、アメリカのインフレ率は、消費者物価指数(CPI)で8.3%程度になっている。アメリカでは物価高に拍車がかかり、今なお根強いインフレ圧力があるので、ソレを抑えるために仕方なしに政策金利を上げているのである。インフレを抑える方法が他にあれば良いのだが、当面はこの状況に歯止めをかけることが難しいよいだ。

一方の日本は、コアCPIで2.8%である。確かにインフレ圧力はあるのだが、未だ弱い状況である。つまり、日銀が設定したインフレ目標2%を達成したものの、未だ安定していないのだ。もしここで量的緩和政策をやめると、一気に反動が来ることを恐れているので、もう少しこの状況を維持するだろうと思われる。

日本の事情とアメリカの事情は大きく異なるのだ。日銀総裁の黒田氏は覚悟をもって対応しているのだろう。

売り抜け?!

さて、世界屈指の額の外貨準備を用意している日本だが、それを上回る額の外貨準備を保有しているのが支那である。

コラム:現実味を帯びてきた中国と日本のドル売り介入

2022年9月12日9:11 午前

ドルの上昇は多くの国にとって、あまりに大幅かつ急速になっている。

~~略~~

中国人民銀行と日本銀行がそれぞれ保有する外貨準備は3兆0550億ドルと1兆2900億ドル。合計すれば、世界全体の外貨準備約12兆5000億ドルの3分の1を占める。

「ロイター」より

そして、両国とも円安、人民元安というのは非常に警戒していて、既に支那共産党は人民元安をコントロールするために外貨準備を使って市場介入している。

この手の介入は一国だけで対応しても市場を動かす事は難しいのだが、巨大な市場を持つ支那が介入をチョコチョコやっているし、お隣韓国も露骨にやっている。日本が介入すれば意図せずに協調介入ということになりそうである。

実際に、日本が外貨準備を増やしていた時代には、1ドルが110円とかそういう時代であった。したがって、今回の介入で幾ら使ったかは知らないが、100億ドル程度使ったとすれば4500億円程度利益が出た計算になる。あ、これはこちらのサイトの請け売りである。

ドル売り為替介入の会計的効果:日本政府に巨額の利益
これが本物の為替介入、といったところでしょうか。財務省が22日、24年ぶりに円買いの介入を実施し、1ドル=145円台だったドル円は、現時点で一気に1ドル=140円台にまで買われています。そして、会計学的に見れば、これは平均して1ドル=100円で購入したドル資金を1ドル=145円で売却したようなものであり、それだけ巨額の...

現状の円安は、悪いことばかりではないんだよね。庶民にとって、色々な製品の物価が上がることは財布に大きなダメージを感じるため、「円安は困る」という認識であり、ニュースがそれを助長しているのだけれど、現実はそんな話ばかりでもないのである。

日銀の方針は当面維持

円はハード・カレンシーで、世界中で取引されているので、「円と外貨の両替が拒絶される」、「日本から外貨資金が逃げていく」、「日本で通貨危機が発生する」といった心配は当面する必要がない。そして、日本で起こっている程度のインフレ圧力は、労働者の賃金を上げるためには必要である。そして、労働者の賃金が上がらねば日本経済の未来は暗いのだから、日銀としても心苦しい面はあれど当面は現状の政策を続けるだろうと思われる。

先ほどの記者会見で、鈴木財務大臣は、単独での介入かどうか明言は避けつつ、「関係各国とは常日ごろ、連絡を取りあっている」と述べ、事前にアメリカなどとすりあわせを行ったことを示唆しました。

「NHKニュース”政府・日銀 市場介入 なぜこのタイミング?その効果は?”」より

なお、何処かの国と違って、日常的に市場介入する訳では無いし、アメリカなどと摺り合わせも行っている。アメリカとしても円安が進行するのはあまり望ましくないだけに、今回の様に急激な変化に対して行う市場介入は黙認してくれるだろう。

トリガーはFRBだしね。

尤も、インフレの進むアメリカにとって過度な介入はやってくれるなという立場だろうから、何度も介入があると困るという話にはなろう。変動相場制を採用している日本にとって介入は禁じ手なんだけどさ。大体、日本政府がドルを売って円を買った(介入)ワケだから、市場から円が少なくなって引き締め効果になってしまう。一方の日銀は金融緩和政策を続けているのだから、この介入は良い面ばかりではなく矛盾した話しとなる。

NHKニュースは、「日本が勝手に介入した」「日銀の政策が悪い」「効果は限定的」というような流れで書かれているが、今回の市場介入、日銀側に問題があったとは思えない。日本政府はドル売りでしこたま儲けたんだから、それを使って減税してくれて良いのよ。

NHKの悪意が滲み出た報道であったと思う。

コメント

  1. >日本政府はドル売りでしこたま儲けたんだから、それを使って減税してくれて良い

    コレ。日本政府、というより財務省が為替差益で儲けたカネで景気対策を立案すべき。
    真水で30兆円くらいの景気対策をしないと、企業が元気を無くし税収が下がるだけ。
    政府が中途半端なカネのバラマキをすれば、景気が浮揚することなく貯蓄に回るだけ。
    岸田首相、最近顔色悪いね。

    • 仰ることはご尤もなのですが、その財務省がネックですからねぇ。
      経済対策をやるなら内閣が動くしか無いと思っています。岸田氏はいくら顔色が悪く、財務省に頭が上がらない状況だとしても、ソコを突破してもらわなければ日本の景気回復はおぼつきませんよ。先ずは減税じゃないでしょうか?財務省としては「せめて給付金にしてくれ」という立場でしょうが。

  2. 財務省は日本の景気を悪くすることで自己の権力を高めたい意図が透けて見える(骨太の方針の脚注に露骨に予算制限が毎年付けられている)
    日本の経済が沈めば軍事バランスが崩れている現状がもっとひどくなる。
    だから財務官僚は世界大戦リスクを誘発させる外観誘致の罪で絞首刑にする必要があるんですね。(メガトン構文)

    • 財務省解体、という意見は希に聞くのですが、解体までいかなくても、強大な権力を削ぐ必要はあるかも知れませんね。
      日本経済の足を引っ張っているのは、事実ですし。

  3. こんにちは。
    何事につけ、特に経済は功罪両面があるわけですが、円安に限って言えば、輸入品(工業原材料)価格が高騰する代わり、輸出品の利益が増える上に、(一般には報道が無視している)海外債券による利益が増えて戻って来るわけで、国民生活への影響を無視すれば、国家としては悪い話ではない。
    もちろん、それでは国民が黙ってないから、適宜手を打って国民が困窮しないように気を使わなければ為政者とは言えないわけでもありますが。
    そこのさじ加減はかなり難しく、担当者も手を抜いているわけはないと思いますが、報道は叩きたい時に叩きたいものを叩くだけ叩く、これしかしない。
    何より、報道がインタビュー取ってくる資本家達は、基本的には日本国民の心配など、これっぽっちもしていない。彼らが心配するのは自分の財布の中身が目減りする事だけ。
    逆張りまでは言わないですが、経済学者と資本家の言うことは、眉に唾付けて聞いておくのが吉かと。

    • 政府が利益を上げたのだから、それを国民に還元できるような政策をうてば良い。簡単な話です。
      匙加減が難しいのは事実ですが、何もやらないというのはちょっと酷いですよね。
      まあ、年末に欠けて予算編成が行われますから、そこに色々なモノが組み込まれることを期待したいところです。

      経済学者と資本家の言うことは~、という点は同感であります。経済学者の予測は当たった試しがありません。彼らの仕事は現象を見て理屈を付けることで、予測することではありませんからね。資本家は自らの利益しか追求しませんから、理屈はなんでも良いんでしょうね。