ダイキン工業の英断、支那部品を使わずにエアコン生産可能な態勢を構築

政策

一応触れておきたいニュースなので、紹介的な意味で短く記事にしておきたい。

ダイキン、中国部品無しでもエアコン生産 有事に備え

2022年9月20日 18:00 (2022年9月21日 5:25更新)

ダイキン工業は2023年度中に有事に中国製部品が無くてもエアコンを生産できるサプライチェーン(供給網)を構築する。省エネルギーなど中核機能にかかわる部品を日本国内で内製化するほか、取引先に中国外での生産を要請する。ゼロコロナ政策を受けたロックダウン(都市封鎖)や米中対立による供給途絶リスク、地政学リスクも抱える中国への依存度を減らす動きが日本の製造業で広がってきた。

「日本経済新聞」より

実に真っ当な判断なのだが、この動きは広がって欲しいね。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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チャイナリスクを回避

ダイキン工業は防衛産業の一翼も担っている

ダイキン工業といえばエアコンのイメージが強いし、主力製品として空調事業に多く製品を出しているのは事実だ。この他に化学事業やフィルタ事業、油圧事業や電気システム事業なども展開している会社である。

事業展開 | ダイキンについて | ダイキン工業株式会社
ダイキン工業の事業展開をお伝えするページ...

大体、エアコン派生技術を展開しているように見えるが、沿革を見て頂くと分かるように、実は兵器産業にも従事していた。

沿革 | ダイキンについて | ダイキン工業株式会社
ダイキン工業の沿革をお伝えするページです...

実際、今も特機事業として防衛関連製品を扱っている。

たとえば、ダイキン工業 の一般的なイメージといえば、エアコンを中心とする「総合空調メーカー」というものではないだろうか。ところが、防衛省「平成23年度装備施設本部調達実績概況」によると、「00式120mm戦車砲用演習弾」「00式105mm戦車砲用演習弾」「81mmM、JM41A1りゅう弾 」「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」などを納入しており、その規模は計158億円となっている。

「Economic News」より

火砲の弾を作っているというのは意外に有名な話ではあるが、防衛産業の裾野を支える企業は日本に多数在るのである。殆どが赤字ギリギリで受けているような状態らしいが。

防衛産業から撤退する企業

実際に、以前も記事を取り扱った気がするが、防衛産業から撤退する企業もポロポロと出始めている。

「防衛品は稼げない」払拭なるか 相次ぐ国内メーカー撤退→装備運用に懸念 国は新機軸の対策

2022.07.12

油圧機器大手のカヤバ株式会社(KYB)が航空機器事業からの撤退を決定したことで、航空自衛隊のC-2輸送機の運用に懸念が生じているようです。2022年6月3日付の時事通信が報じました。

カヤバは戦前に日本海軍の零式艦上戦闘機の着陸脚にも採用された「オレオ」と呼ばれる緩衝装置や、日本で唯一実用化されたオートジャイロの「カ号観測機」などを生産、戦後も航空機事業ではC-2のブレーキや、ボーイング777旅客機のアクチュエータなどの製造を手がけてきた企業です。

しかし近年では、オレオの技術を活用した四輪車や二輪車の緩衝装置、建設用油圧機器などを事業の柱としており、2022年2月8日に開催された取締役会で、経営資本を柱となる事業に集中して競争力を強化するため、航空機事業からの段階的な撤退を決定していました。

「乗り物ニュース」より

国防を支える上ではこういった産業も大切にしなければならないのだが、防衛産業といえば汚職がどうとかいって叩かれることも少なくない。かなり神経を使う産業であるにもかかわらず、利幅は極めて少ないという分野になってしまっている。

こういった事態は日本学術会議などが悪影響を及ぼしていて、長らく日陰の状況が続いている。何しろ、研究開発に大学を巻き込む事ができないのだ。民間企業が儲けが殆ど出ない分野に研究開発費を注ぎ込むわけがない。

チャイナリスクをしっかり見極める

というわけで、ダイキン工業には防衛産業も頑張って欲しいと思っているのだが、今回の話は、何もダイキン工業が特殊な考えだと言っているわけではない。

サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金 (METI/経済産業省)

実は既に経済産業省も補助金を付けて、サプライチェーンの再構築の流れを後押しし始めているのだ。未だ弱い動きではあるが。

これ、本日の人民元と円のチャートである。近年、人民元がドルに対して追従するような政策をとっているために、ドル円チャートと似た動きをするようになっている。

ドルに対して円安が進行すると、人民元に対しても円安になってしまう。実は支那にとってこれはかなり困った事態であるが、そこはさておき、日本企業にとっては支那で製品を生産するメリットが失われつつある。

更に、支那での賃金の高騰と、武漢ウイルス感染症に対するロックダウン政策を推進しているため、頻繁に供給網が寸断されてしまう。

中国・深センなどがコロナ規制強化、大連では数百万人が封鎖下に

2022年8月30日3:47 午後

中国の複数の大都市が30日、新型コロナウイルス規制を強化した。深センではさらに多くの施設が閉鎖され、大連では数百万人がロックダウン(封鎖)の対象となった。

「ロイター」より

八月末になっても、深圳や大連でロックダウンが行われていて、チャイナリスクはあらゆる面で日本企業にとって頭の痛い問題となっている。

「黒物家電」8月出荷額11・3%増、1年2か月ぶりプラス…上海ロックダウン解除で回復

2022/09/21 17:51

電子情報技術産業協会(JEITA)が21日発表した薄型テレビやオーディオ製品など「黒物家電」の8月の国内出荷額は、前年同月比11・3%増の939億円と1年2か月ぶりにプラスに転じた。中国・上海のロックダウン(都市封鎖)が解除され、生産や供給が回復したほか、物流費や原材料価格の高騰を背景に「価格に転嫁している動きが見られる」(JEITA広報)ためという。

「讀賣新聞」より

最近はあまりニュースにも取り上げられなくなったが、先日ようやく上海のロックダウンが解除されて物流が動き出した模様。が、日本でも第7波がピークアウトしたとはいえ、第8波がこれば再び似たような状況に陥る。そして、その損失を日本企業が被ることになるワケだ。

この流れはアメリカの金利政策が一服しても当面は続くだろうと予想されているため、企業利益を考えれば支那から撤退する流れは更に加速すると思われる。ダイキン工業の判断は当然なのである。

支那との商売を諦めたわけではない

ただし、支那での商売を止めるというわけではないとアナウンスはしている。

ダイキンは中国でも知名度が高い。2021年度の空調事業の売上はグローバル全体で約2兆8285億円だったが、中国はおよそ15%にあたる約4247億円を占めていた。広報担当者は「中国での製造を取りやめるということはなく、あくまで有事の際にも安定供給ができるようにするものだ」と話している。

「ハフィントンポスト」より

この話は、実際に最近、ダイキン工業が支那に孫会社を作る決定をしたことからも伺える。

中国における孫会社の設立に関するお知らせ | ニュースリリース | ダイキン工業株式会社
当社は、2022年8月30日開催の取締役会において、&...

ただし、「業績に与える影響」のところで「当該孫会社設立による2023年3月期の連結業績に与える影響は軽微です。」と説明するように、アリバイ作りの側面は強い様だ。「資本関係…当該孫会社は、当社100%子会社である大金(中国)投資有限公司が、100%出資することにより設立する会社です。」と説明するように、支那での事業も「まだ撤退はしない」というアナウンスをする目的が伺える。

よく知られるように、支那からの撤退は容易ではないのだ。

台湾有事に関する舌戦

日本企業の動きが出始めた背景には、台湾有事が現実のリスクとして捉えられている点も大きいと思う。

中国侵攻なら台湾防衛、バイデン米大統領が明言 中国は反発

2022年9月19日12:15 午後

バイデン米大統領は18日に放映されたCBSの番組のインタビューで、中国が侵攻した場合、米軍は台湾を防衛すると言明した。台湾有事の際の対応に関してこれまでで最も明確な発言で、中国は米国に対し「厳重な抗議」を行ったと表明した。

「ロイター」より

台湾について、「まーた余計なことをいっちゃった」という印象の強いバイデン氏だが、アメリカ大統領の立場として台湾の取扱いは一貫している印象はある。

おそらく、アメリカ政府内でも議会内でもそうした雰囲気は強いのだろう。アメリカの経済政策的にも台湾を外せないと考えているからこそ、チップ4(実質チップ3)の戦略を進めているのだし、こうした発言をだせば、ビビリの習近平氏としても手は出しにくい。

しかし、こうした応酬があるお陰で、日本企業は影響を受ける可能性は高く、有事が始まらずとも不安定要因担っているのは事実だ。いつぞやのように官制デモで日本叩きが始まることもあるし、唐突に社員が逮捕されるリスクもある。

世界の流れは確実に支那を重要な戦略から除外する方向に動きつつあるのだ。いや、逆にいえばこれまで日本企業は支那に依存しすぎた為に、もはやハシゴを外されると立ちゆかないレベルにまで侵食されてしまっている。ソレに気がつけた企業がようやく動き始めたという段階なのだ。ダメージコントロールに失敗した企業は完全に取り込まれる流れだけれど。

コメント

  1. ダイキンが言うとやっぱ違う重みがあるのですよね。ともあれ、製造業の国内回帰の動きは、喜ばしいところで。
    機械や工場は生き物そのもの。ですが、中国は、機械設備は不死とでも本気で思ってたらしいどっかの旧東側宗主サマと違って、貰ったモノをちゃんと生かし続けて身に付けて、更にはその先を自力で目指す風土はあるようなので、侮れはしませんが…

    • 民間企業は利益を追求していますから、ダイキンとしても「その方が利益になる」と言う判断をしたに過ぎないのでしょう。
      しかしそれでも、国内回帰は歓迎したいと思います。
      複数の企業が国内回帰を目指していると聞きますから、日本の製造業が建て直せるように、教育の方も充実させたいところですね。

  2. 木霊さん みなさん こんばんは

    ダイキンは、輸出管理迂回のためフッ酸をK酷生産しようとしてて、
    https://news.mynavi.jp/techplus/article/20210126-1674121/

    ソースが少し怪しいですが、現地反対等で頓挫したようで
    https://jp24h.com/post/128377.html

    理由は戦犯企業だとか何だとか、これも学びになって
    カントリーリスクを考慮にいれた経営判断をするようになったのなら幸いですね。

    • ダイキンも利益を追求する民間企業ですから、外国に工場を作ろうなんて流れになるのは当然なんですが、リスクが高くなれば国内回帰という真っ当な判断も出来ると。
      あまり持ち上げるのも違う気がしますが、それでも国内回帰してくれるのであれば歓迎したいですね。