岸田政権の留学生増加計画の愚

政策

何言っているだ、この人。

岸田首相「留学生30万人」見直し さらに増やす計画策定を指示

2022年8月29日 18時32分

岸田総理大臣は永岡文部科学大臣に対し、年間30万人の外国人留学生の受け入れを目指す政府の目標を抜本的に見直し、さらに留学生を増やすための新たな計画を策定するよう指示しました。

「NHKニュース」より

先日は野党への文句を書いたが、与党自民党にも文句はある。これは岸田政権だからと言うわけではなく、安倍政権にも菅義偉政権にもあった。が、岸田政権の場合は褒めるところが極めて少ないんだよね、何もやっていないから。

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狙いがよく分からない留学生30万人計画

留学生を何故増やす?

さておき、繰り返しになるが「岸田政権だから」ではなくて、政策毎に評価をしていくべきなので、やっぱり「留学生30万人計画」の話から見ていきたい。

「留学生30万人計画」骨子の策定について

平成20年7月29日

「留学生30万人計画」は、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界の間のヒト・モノ・カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指すものです。

「文部科学省のサイト」より

これが文部科学省の「留学生30万人計画」の骨子に関する文章なのだが、一通り読んでもイマイチ伝わってこないほどふわっとした文章である。

「大学等のグローバル化」という言葉も踊っているが、意味がよく分からない。教育研究の国際競争力を高めて、優れた留学生を戦略的に獲得って、更に意味が分からない。

頑張って理屈を考えてみたが、お手上げである。仕方が無いので文科省のサイトをもっと探してみると、「意義」としてこんな説明がなされていた。

1.我が国や我が国の大学等にとっての留学生交流の意義

1)我が国にとっての留学生交流の意義

・我が国の科学技術、産業等の国際競争力の維持・向上

・我が国の経済活動の担い手として、労働市場に(優秀な)人材を確保

・発展途上国出身の学生を受入れ、高等教育を受ける機会を提供し、人材育成を通じた国際貢献を実施

・我が国と留学生の出身国・地域との国際親善の強化

・我が国と諸外国との間の人的ネットワークの形成により、相互理解と友好関係が深化し、世界の安定と平和に資する

・留学生を通じた日本語、日本文化等「日本」の魅力の普及、海外における我が国の理解者、支援者の育成

・留学生という若者の活力が少子高齢化を迎えた我が国又は地域を活性化

2)我が国の大学等における留学生交流の意義

・大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校)の国際的な通用性・共通性を向上し、国際競争力を強化

・大学等の教育研究や国際的評価の向上

・知的国際貢献の実現

・国際的学術ネットワークの確立・進展

・少子化に対応した経営安定化

・日本人学生の国際理解増進や異文化体験、語学力向上

・キャンパスの国際的な環境の創出

「文部科学省のサイト」より

ビックリするほどお花畑だな。英語を喋る留学生が大学にいれば、日本の国際競争力が上がるのか?意味が分からない。

日本に留学してくると言うことは、日本の大学が留学生にとって「学ぶべき事のある場所だ」と認識されることである。相互主義的考え方で、外国に日本からの留学生を受け入れて貰う為に、日本側も窓口を広げるという発想自体は解らないではないが、それだって日本の大学のレベルが低ければ話にならない。

もう、日本の文部科学省、こんなアホな事を言っているのであれば解体したら良いんじゃないかな。

論文数の低落

これに関連して、こんな報道がある。

中国、最上位論文数も世界一 日本の低落傾向続く―文科省

2022年08月09日21時11分

自然科学系の学術論文のうち、注目度が最も高い上位1%の論文数で、中国が米国を抜き世界1位になったことが9日、文部科学省科学技術・学術政策研究所が公表した報告書「科学技術指標」で明らかになった。中国は昨年、全論文数や上位10%の論文数でも1位になっており、担当者は「中国は論文の責任著者数でも1位で、研究をリードする面でも存在感がある」と述べた。

~~略~~

22年版によると、国・地域別の上位1%論文数(18~20年の平均)で中国は27.2%を占め、米国の24.9%を抜いて初の1位となった。全論文数、上位10%の論文数も1位だった。

日本は全論文数が5位、上位10%が12位、上位1%が10位で、昨年(17~19年の平均)よりいずれも順位を下げ、低落傾向が続いている。

「時事通信」より

ザックリ説明すると学術論文の本数が減っていて、質も低下しているという記事である。確かに数字上、論文数の減少は「劣化」だと見て良い。参照数が減っているのも問題だろう。

他の論文に多く引用される「注目度の高い論文」の「Top10パーセント補正論文数」でみると、1位は中国の約4万200本で、シェア24.8%。昨年1位だった米国の約3万7100本、22.9%を抜いて初めてトップに立った。米中両国で半分近いシェアを占めているのが目立つ。日本は約3800本、2.3%で、インドに抜かれて昨年の9位から10位に後退した。

「Science Portal」より

こうした「数字で見える国際競争力の低下」を問題視するのは分かる。ただ、日本の論文が日本語で書かれていれば、国際競争力の低下は当然である。日本語は日本人しか読めないのだから。英語論文の本数の減少が非常に大きな問題となる。

このこと1つとっても、国際競争力を高めるという発想はとても大切である。

何故、国際競争力が低下しているのか

だが、その原因の分析はしっかりすべきでは無いのか。

先ずはこのグラフを見て欲しい。

img

簡単な話なんだけど、研究をするためには研究開発費が必要である。アメリカや支那の研究開発費は急激の伸びていることが分かるが、日本の研究開発費は殆ど伸びていない。研究の量、質と共に低下するのも無理はないのだ。

これまで、日本の大学は研究費のない中で、企業と一緒に民間が出資する研究費を活用しながらの研究開発が行われ、世界に大きな影響力を示していたわけだが、日本企業の競争力が落ちてきたことで本当に研究に使えるお金が減っている。

それを、留学生を呼ぶだぁ?ふざけているのか?!

研究者数の比較では、日本は68.2万人(2020年)で、1位の中国、2位の米国に次いで昨年同様3位だった。研究開発費同様、研究者数でも210.9万人(2019年)の中国、155.5万人(2018年)の米国に大きく差を付けられている。

「Science Portal」より

研究者数が減っているのを補う為に、能力のある留学生を!というアホな話になっているのかもしれないが、いや、研究費がないのが問題なのよ。人の数を増やして研究が捗るという話ではないのだ。

大学からの要請

しかし、そうした問題とは別に、大学自身が抱えている問題もある。

大幅定員割れの大学、規制強化へ

2022年8月16日 16時30分

文部科学省は15日、定員の5割以下しか学生がいない学部を持つ大学に対して、学部の新設や定員増を認めない認可基準の改正案をまとめた。これまでは定員を上回る入学者を集めた大学に対して同様の規制を設けていたが、18歳人口の減少を見込み、定員を大幅に満たさない大学への規制を初めて盛り込んだ。

「朝日新聞」より

少子化の影響をガッツリ受けているのである。

そして驚くことに、今現在、大学の新設や定員増について定員制限はない。定員割れしているのに定員増という判断があるかは分からないが、もはや「やたらと定員を増やすな」という方向にはなっているものの、大学存続のためには授業料獲得は死活問題である。

何処からお金を貰うのか?といえば、留学生を誘致しておいて補助金を貰うというビジネスモデルになっているらしい。でもそれ、研究の質が上がることに繋がるの?

文科省入試汚職事件 元局長らにきょう午後判決

2022年7月20日 7時50分

国の事業の選定で便宜を図る見返りに東京医科大学に息子を不正に合格させてもらったとして受託収賄の罪に問われている文部科学省の元局長に20日、東京地方裁判所で判決が言い渡されます。元局長は「息子を合格させるために職権を乱用したことはない」と無罪を主張していて、便宜供与があったのか、そして大学側の対応が賄賂にあたるかどうかが焦点です。

「NHKニュース」より

繰り返された不祥事 学校現場にも不信感 文科省幹部処分

8/26(金) 20:50配信

文部科学省は26日、全国の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」(東京)の業務上横領事件に絡んで逮捕、起訴された前会長の香川敬被告(70)らから飲食接待を受ける服務規律違反があったとして、矢野和彦官房長や、幼児教育担当の前官房審議官で官房付の淵上(ふちがみ)孝氏ら計6人を、同日付で減給の懲戒処分にしたと発表した。

「yahooニュース」より

文科省がかなりメチャクチャなことをやっていて、大学などは天下り先になっていると言う困った実態がある。そして、これを文科省は問題だと思っていないところかなり国益を損なう話になっている。

大学という研究機関が国家の屋台骨を支えている部分はあるのだ。それを喰いものにしているのが日本学術会議というアホ組織である。

大学をどう使っていくのか

大学という組織には、日本国内では割と多くの人が関わる場所になっているのだが、個人的な感想を言わせて貰えば碌でもない機関である。

「博士離れ」浮き彫り、学生2年連続減 就職状況厳しく

2022年8月24日 17:00

2022年度に大学院博士課程に在籍する学生数は7万5267人で、2年連続で減少したことが24日、文部科学省が公表した学校基本調査(速報値)で分かった。大学の学部生数が8年連続で増加するなか、大学院の人気薄が続いている。博士課程修了者の就職状況は厳しく、将来不安が「博士離れ」につながっている懸念がある。

「日本経済新聞」より

学部生は増えているのだが、修士課程、博士課程に進む人は殆ど伸びていない。大学自身に受け皿が小さいので増やす余地が少ないという根本的な問題はあるのだが、博士課程修了後に就職できる場所がないという問題もある。

使用者側から見ると、博士課程や修士課程を出た人間など使いにくくてしょうがない。企業としては欲しくはない人材なのだ。夢も希望も無い話だが、頑張って勉強した結果、就職できる場所を失うという始末。

また、外国人留学生や海外の大学などを卒業した日本人留学生が、卒業後に日本で活躍するための環境整備や、教育の国際化を促進するための方策についても検討を求めました。

「NHKニュース」より

それどころか、外国留学した後に日本で活躍する場が乏しいことも問題である。これについては課題として検討することになっているようだが、お粗末な話である。

外国人留学生の数

そんなわけで何が言いたいかというと、外国人留学生を増やしている場合ではないという事なんだな。

「Studay Japan」より

確かに30万人計画に従って順調に留学生の数を増やしていたのだが、武漢ウイルスの影響を受けて人数が減った。

現状でこの目標数を達成するためには、色々な方策が必要なのだろう。ここまで留学生が減ると、大学にとっても大打撃だったとは思う。

しかし、そもそもなんのために留学生を受け入れているのか?という話を見つめ直す時期ではないのだろうか。これから少子化が進んで日本人の学生は減っていく。そうなった時に「誰でも入れる大学」「留学生だらけの大学」で良いのか?という事を考えるべきだ。

大学教育そのものの位置づけや、不要な大学は潰していくくらいの覚悟を持っていくべきだ。大学の整理縮小によって、競争力の維持をしなければ教育の質など上がらない。今の大学、酷いところだと学生が中学校レベルの計算問題すら出来ないことがあるという。そういう方は、中学生からやり直して貰うべきであって、大学で教育するなんてコスパの悪いことをやって貰っては困る。

岸田政権は何を目指してこんなアホな事を言い始めたのか。

追記

えーと、折角なので、留学生の国籍について少々言及しておこう。

国地域別留学生数上位5か国

国(地域)名留学生数(人)前年度比増減
令和2年度令和元年度人数(人)増減率(%)
中国121,845(43.6%)124,436-2,591-2.1%
ベトナム62,233(22.3%)73,389-11,156-15.2%
ネパール24,002(8.6%)26,308-2,306-8.8%
韓国15,785(5.6%)18,338-2,553-13.9%
台湾7,088(2.5%)9,584-2,496-26.0%

留学生を増やせ!と怪気炎を上げる方々が、一体何処と仲良くしたいと思っているのかがよく分かるデータだと思う。

コメントにも頂いたが、この留学生は長時間のアルバイトが許されているのだが……、週28時間の労働が認められているそうな。長期休暇の場合は1日最長8時間が認められているのだけれど、そうでなけば4時間までということらしい。……1日4時間もアルバイトしていたら勉強する時間がかなり減ってしまうんだが、随分と甘いねぇ。

しかし、留学生のアルバイトを完全に禁止すると問題はあるのかもしれないが、基本はお金のある外国人の方に来ていただくのが当たり前。国として優秀な人材を送り出すことが国益に資するのであれば、国費を投入するだろう。

なんというか、「留学生の数を増やせ」というのは本当にバカバカしい話である。

コメント

  1. 留学生の「数」を増やそうとする前に「質」を調査したほうがいいと思いますけどね。
    現在、留学生がアルバイトできるのは週に(確か)20時間以内とか。
    これは、実際に大学生が間近にいる身としては「勉強時間を確保」するためには妥当な上限と思えます。
    日本人でもそうなんだから、日本人よりもっと勉強するはずの留学生なら20時間でも多いぐらい。
    なのに、先日、中国人留学生は年に130万以上稼いでも税金を取られないと話題になっていました。
    130万以上稼ぐとすると、普通のバイトなら勉強をしている暇はないはずなので、そういう留学生がいるというのは、
    「留学」が「出稼ぎ」の隠れ蓑になっているということでしょう。
    「留学生を増やす」が「脱法外国人出稼ぎ者を増やす」だけになるなら意味がありません。
    まさか、ひょっとして、こちらが目的なんでしょうか?

    • 関連事項を追記させていただきました。
      お金を出して「留学してきて下さい」って、何の為なのかという。
      アルバイトが出稼ぎになって、失踪というパターンは何とも。

  2. 今日本の学術が危機なのは事実ですよね。 しかしこの回答として「留学生増」は何にもならない。
     ちゅうか既に個人的に知る限りNIMS等の国立研究開発法人のポスドクは都市圏コンビニ状態。主流を支那人とする留学生が大半で日本人が珍しい。彼らの場合は話題のバイトとは違って祖国から奨学金も貰ってますからポスドクの貧弱な給与でも何とかなる。

     なので個人的思いとしては
    「人」ならば、
     ポスドク奨学金、、、借金じゃないホントウの奨学金、制度の充実と、より大事なのは「指導者補助」「研究費補助」すなわち日本版の千人計画ぐらいのことが必要。 また自衛隊奨学金制度、何かもあるとウレシイですね。

    次に「分野」
    半導体・航空宇宙。ですかね。TSMC誘致、今のままでは従業員の大半は台湾人か韓国人ですよ。あとあれだけの実績があり、国防にも直結するJAXAがビンボーと言うのも、、、、

    すなわち、絞って贅沢に投資するべき。30万人もいらない。   ほんとは次に必要なのは少子化対策だけど話題から外れすぎなので自粛

    • 大学が沢山ありすぎるというのが、「人」の問題も「金」の問題も引き起こしているのだと思います。
      留学生を招くのは経験則から言っても否定しませんが、30万人も必要でしょうかねぇ。切磋琢磨という意味でなら、大学間交流を密にするとか、他にやり方はあるでしょうに。
      日本国内の学会に引き籠もっているから、英語論文も増えないし、国際交流も進みません。大学教育の在り方がそもそもおかしいのですよね。

      分野の話はなかなか難しいところですね。どの分野が当たるのか?というのは事前に分かるわけもありません。
      広く薄くばらまくしかないのですが、大学が多すぎると対応が難しい。旧帝大くらいに絞って手厚くお金を投入するとか、整理する必要があると思います。