インドネシアの高速鉄道、いよいよ開通か

インドネシア

ほー。時間がかかったねぇ。

ジャカルタ・バンドン高速鉄道に輸出する列車が輸送開始 中国

2022年8月27日 10:18

中国からインドネシアの首都ジャカルタと観光都市バンドンを結ぶ高速鉄道に輸出する高速鉄道列車1編成と総合検査列車1編成は21日、山東省(「AFP」より

3月頃のニュースでは、国費投入するほど資金繰りに困っているという話もあったんだけど。

<記事の概要>

・2024年頃までには完成予定(予定より7年遅れ)で、費用は+19億ドル

・資金調達に問題あり

・まだ計画変更する可能性があるので、工期の遅れは懸念される

・車両は問題なく完成する模様

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完成は2024年頃か?

膨らむ建設費

先ずは過去のニュースから。今年の3月時点でのニュースだ。

インドネシア高速鉄道、一転「国費投入」の理由

2022/03/24 4:30

インドネシア政府が今年2022年内の「ソフト開業」を掲げ、急ピッチで工事を進めるジャカルタ―バンドン高速鉄道。ジョコ・ウィドド大統領は、政府負担なしを掲げたそれまでの高速鉄道建設スキームの前提を反故にし、2021年11月に約4.3兆ルピア(約357億円)の国家予算を投じることを決定した。

「東洋経済」より

とっくに開通していなければならなかったはずのインドネシア高速鉄道だが、未だ開通していないらしい。支那の見積もりでは工期3年で、2015年着工で2018年に運行開始できるハズだったんだけどね。

2022年になっても開通していないんだけれど、どうなっているのやら。

ちなみに、工期が伸びれば建設費も嵩む。

ジャカルタ―バンドン高速鉄道を中国が受注した当初は、総工費約60.7億ドル(約88兆ルピア=約7312億円)と謳われていた。ちなみに、日本案も金額だけを見ればほぼ互角か、若干安いくらいであった。結局、工事遅れによる物価の上昇、土地収用の問題等々で工費は膨れており、最終的に約79億ドル(約113兆ルピア=約9390億円)程度になると見積もられている。

「東洋経済”インドネシア高速鉄道、一転「国費投入」の理由”」より

7212億円 → 9390億円と、既に3割ほどコストが余計にかかっているのだとか。4年近く工期が伸びて3割しか増えていないのはある意味驚異的だが、本当にそれだけ増えただけでおさまっているのかは不明。

恐らくだが、日本が受注していたとしても原材料費高騰の影響は避けられなかったと思われる。その時、コストがどれだけ増えたのかは算定するのが難しいが、工期はさほど送れなかったのではないかと思う。想像だけどね。

とはいえ、2021年7月時点での記事で「19億ドルコスト増」「工期は2024年まで延長」という予想が出ていたが、コストの方はここから膨らんでいないし、工期も2024年は守れそうな感じである。

賄えない建設費

ところで、国費投入する話になった理由は、記事によればこうしたコストが膨らんだことに起因した話ではないようだ。

そもそも、もともと払える見込みは薄かったらしく、そこへ武漢ウイルス騒ぎに巻き込まれて収益が悪化して、更に窮地に立たされたという事のようだ。

インドネシア国営企業コンソーシアムはKAIのほか、建設工事を請け負う国営建設ウィジャヤカルヤ(WIKA)、国営高速道路会社ジャサマルガ(Jasa Marga)、それに第8国営農園(PN Ⅷ)の4社からなる。

不足額の内訳は、WIKAが約2400億ルピア(約19億9400万円)、KAIが約4400億ルピア(約36億5600万円)、PN Ⅷが約3.14兆ルピア(約260億9300万円)、Jasa Margaが約5400億ルピア(約44億8700万円)と報じられている。KAIをはじめ、各社はコロナ禍で大幅な減収となっていることを出資遅延の理由としているが、その中でもPN Ⅷからの不足額が突出している。当初予算の55億ドルから逆算してゆくと、PN ⅧからKCICへの出資はゼロの可能性が高い。

「東洋経済」より

いやー話にならない。

この東洋経済の記事には、詳細に解説があるが、ザックリ言うと第8国営農園会社(PN Ⅷ)という出資会社の支払いは最初から絶望的であり、加えて当初予定された開発計画がキャンセルになったせいで、PN Ⅷが参加する意義がなくなって離脱しそうな状況らしい。

こうした背景があるから、東洋経済は国費が投入されることになったという分析をしているのだが、残念ながらインドネシア政府の介入があってなお、この資金ショートの問題は解消しそうにないようだ。

ラオス鉄道は開通

なお、東洋経済は、同時期に建設の始まったラオスの鉄道は、支那主導で行われたが無事に開業したと報じている。だから、素直にお金を払っていれば既に完成していた可能性があると分析している。

ジャカルタ―バンドン高速鉄道の開業予定時期が二転三転する間に、東南アジアではラオスに最高時速160kmの準高速鉄道といえる中国ラオス鉄道(総延長422km)が開業した。同鉄道は2016年に着工し、総工費はおよそ70億ドル(約8345億円)、うち約7割が中国政府及び銀行融資によって賄われ、金利は2%と、規模、スキーム共にジャカルタ―バンドン高速鉄道と極似している。

「東洋経済」より
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開通は2021年12月3日で、工期5年の突貫工事が行われたようだ。

ここの鉄道は順調に営業成績を伸ばし、貨物輸送でも優秀な成績を収めている模様。

中国ラオス鉄道、貨物輸送量が累計で100万トンに到達

2022年08月15日

中国政府は8月9日、2021年12月3日に開通した中国ラオス鉄道(注1)の国際貨物輸送量が8月7日までに累計で102万1,000トンに達したと発表した。金額ベースでは91億4,000万元(約1,828億円、1元=約20円)。

これまで同鉄道では、中国からラオスへ日用品や化学肥料、電子製品、ソーラー発電製品、衣料品など、ラオスから中国へは天然ゴムやハトムギ、タピオカ粉などの農産品、鉄鉱石や亜鉛などの鉱物資源などが輸送されている(「雲南網」6月22日)。

「JETRO」より

建設コストは70億米ドルで、費用負担はラオスが3割負担。ただし、その殆どを支那からの借り入れで資金調達しているため、実質的には支那から100%出資で建設された格好となっている。

そして、そのおかげもあってラオスの対支那債務はGDPの64.8%にまで膨れ上がっており、債務不履行になる可能性が極めて高いと分析されている。

とまあそんな訳で、インドネシが一帯一路構想に協力するという姿勢を見せているとは言え、その主要ラインから外れているインドネシアに支那が本気を出すとも思えないし、全部お任せしたら債務の罠待ったなしである。

インドネシアの現状は残念だが、支那に全部出してもらうことが幸せだったかというと、そうは思わない。

この期に及んで計画変更?

なお、高速鉄道建設計画の遅れに関しては、全てが支那のせいというわけではないようだ。

実はこれを匂わす動きは昨年4月にあった。KCIC社長がワリニ駅の建設計画を白紙に戻し、代わりに在来線に接続するパダララン駅を設置すると発表したことだ。

テガルアール駅からバンドン市内までのアクセスは非常に悪く、距離の割に車で1時間弱を要する。国産AGT(新交通システム)を建設して市内中心部と結ぶ案も存在したが、国産化計画が頓挫したため、この問題は解決していなかった。

そこで、KAI在来線のパダララン駅に隣接して高速鉄道の駅を設置して市内へのアクセスを確保することにした。在来線にいわゆる「新幹線リレー号」を運行し、KAIバンドン駅との間を20分ほどで結ぶ。KAIはすでに、このリレー号用の気動車を用意している。

「東洋経済」より

コレがいつの時点の話なのかは不明だが、記事を読む限りでは2018年以降の話だったようだ。駅を1つ作るという話だけでも大幅な計画変更だったと思うのだが、更に、高速鉄道の必要性が減じたという話もでていて、東洋経済では準高速鉄道に変更される(運行速度を落とす)可能性もあるという。

工期が長くなると、都市計画などの影響も出てくる。仕方のない側面はあるとは言え、高速鉄道から準高速鉄道に格下げともなると、果たして巨額の投資をして高速鉄道を作った意味があるのか?ということにもなりかねない。

これ以上の計画変更はどうなのかと、呆れるばかりである。

車両は順調に輸送される

なお、支那国内は製造能力に余剰があるようで、順調に鉄道が建造されている模様。

今回青島港から海運で輸送される最初の列車は、8月末にインドネシアのジャカルタ港に到着し、その後は道路輸送でバンドン・トゥガルアル区間に運ばれる予定です。残りの車両は2023年初頭までに順次インドネシアに輸送されるということです。

「AFP」より

路線が完成するのはいつになるのかはよくわからないのだけれど、「予定通り」ということらしい。

中国とインドネシア首脳会談 高速鉄道整備など経済協力で一致

2022年7月27日 6時57分

中国の習近平国家主席と、インドネシアのジョコ大統領は26日に北京で会談し、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の主要プロジェクトとなっているインドネシアの高速鉄道の整備などを通じて経済協力を深めていくことで一致しました。

~~略~~

インドネシア外務省によりますと、これに対しジョコ大統領は「一帯一路」で両国の主要プロジェクトとなっている高速鉄道について、予定どおり完成させたい考えを伝えたということです。

「NHKニュース」より

習近平氏とジョコウィ氏の首脳会談は7月に行われていて、ジョコウィ氏側から「予定通り建設完了するんでしょうねぇ?ああん?」(約意)と迫って、その返答はなかったようだ。

インド高速鉄道の建設急ピッチ…強まる「反中」感情、日本の技術導入
インドで、日本の技術を導入した初の高速鉄道の建設が進んでいる。中国に対抗してインフラの海外輸出に力を入れる日本にとって、インドは「有望市場」だ。ただ、用地収用に対する市民の反発は強く、完成の遅れを指摘する声が出ている。(

実際に、6月頃の報道では未だに用地取得が完了していないのだとか。いやー、用地問題はどんな民主主義国家でも結構大変なのだが、支那ではこういった問題は起こり得ない。何しろ、支那の土地は支那共産党のもので、立ち退きは命令だけで済むからだ。このあたりの問題点は当初から心配されていて、インドネシア国家主導で行われなかったことの弊害でもあるのだが……。ここは、自業自得かなぁ。

車両の方の準備はできても、完成までにはまだ時間を要する感じらしい。

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