岸田政権、エネルギー政策で原発新増設へと変換

電力

岸田政権の「検討」を信用していいのか怪しいとは思っているが、コレまでより踏み込んできたことは間違いない。

早速メディアは叩いているが。

原発新増設へ転換、次世代型の建設検討 再稼働7基追加

2022年8月24日 15:37 (2022年8月24日 22:37更新)

岸田文雄首相は24日、次世代型の原子力発電所について開発・建設を検討するよう指示した。原発の新増設を想定しない東日本大震災以降の方針を転換し、年末までに具体策をまとめる。再稼働する原発は2023年夏以降に最大17基へ増やし、中長期的な電力確保をめざす。

「日本経済新聞」より

原発に関して様々な意見をお持ちの方があるとは思うが、僕自身はこのブログでは「再稼働は賛成」「新規建設は無理」という立場を示している。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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再稼働だけでは足りない

電力は足りている?足りない?

原発が「良い」とか「悪い」という話をする前に、基本的な部分を抑えておこう。先ずは、日本における電力消費の傾向についてだ。

実は、日本国内の一次エネルギー供給量のうち、電力の占める割合は、2005年をピークに減少傾向にある。

エネルギー消費のうち、家庭での消費量は全体の14%に過ぎないため、コレは日本の産業が萎んだ為に、エネルギー消費量が減ったというふうに理解することが出来る。

日本経済の製造部門が縮小傾向にあるというのが現実で、それはすなわち日本がその分野で稼げなくなっていることを意味する。実際、家電の殆どが外国勢力に食われているのだから、仕方がないのだが。

よって、「電力は足りている」わけではなく、製造業が力を落とした結果、電力消費量が減って、辻褄が合っているだけだとそういうわけだ。

尤も、見た目上足りているとはいえ、実際には老朽化した火力発電所を無理やり動かすような事をやっている。その結果、電力会社の採算割れなんてことに。

電力会社の決算

まあ、電力会社の決算がやばい話は、むしろ燃料費の上昇の影響が強いのだろうとは思う。だが、採算割れがハッキリしている火力発電を使わなければならない理由が、「電力不足」なのだからしかたがない。

電力大手4~6月決算 7社が最終赤字 燃料費上昇を転嫁できず

2022年8月2日 22時21分

ウクライナ侵攻の影響で燃料価格が高止まりする中、電力大手10社のことし4月から6月までの決算が出そろい、火力発電に使われる燃料費の上昇分を電気料金に転嫁できなかったことなどから、10社のうち7社で最終赤字となりました。

~~略~~

国の認可を受けて各社が設定している料金プランでは、10社のうち中部電力以外の9社で、燃料費の上昇分が電力料金に転嫁できる上限に達する、異例の事態になっています。

「NHKニュース」より

家計にも電気料金上昇の影響でかなり圧迫があるのだけれど、電力会社のほうは価格転嫁できる上限に達して赤字を垂れ流すしか無いという始末。

電力の安定供給にも不安があるけれど、会社として存続するためには赤字続きでは困る。なんとかしたいけれど燃料価格は下がらない。とまあ、そんな八方塞がりな状況なのだ。

冒頭に紹介した岸田氏の決断というのは、こんな事情も関係していると見るべきだろう。

記者会見で東京電力ホールディングスの山口裕之副社長は「経営状況は大変厳しい。今後も燃料価格の高騰が続く場合はさらなる収支の悪化が予想され、大変な危機感を持っている。このため顧客の電気料金の抑制にもつながる節電へのサポートをさらに充実すべく検討を進める」と述べて、グループ会社で実施している節電プログラムに力を入れる考えを示しました。

「NHKニュース」より

で、面白いことに東京電力の副社長は「節電してくれ!」と訴えている。電気を売れば売るほど赤字になるから仕方がないね。

度し難いのは、再生可能エネルギー発電を売る業者で、基本的には再エネ発電された電力を電力会社が買い取らねばならないシステムになっている。つまり、彼らは損をしないのだ。

再稼働へ

そんな話を抑えながら、再稼働→増新設という流れになっているというのが冒頭のニュースである。

具体的には ▽福井県にある関西電力高浜原発の1号機と2号機 ▽宮城県にある東北電力女川原発2号機 ▽島根県にある中国電力島根原発2号機については 安全確保のための工事を行ったうえで再稼働を進めるほか

▽新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発の6号機と7号機 ▽茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発については 再稼働に向けた地元の理解を得るため、国が前面に立って対応することにしています。

「NHKニュース」より

先ずは、再稼働の話だが、今回はしっかりと具体的な名前が出ているね。えーと、前回もちょっと解説したけれど、稼働している原発のリストには今回のリストに載っていないね。

<現在運転中の原発>

1.大飯原発3号機:2021/7/30~
2.大飯原発4号機(調整運転中):2022/7/17~
3.伊方原発3号機:2022/1/24~
4.玄海原発4号機(調整運転中):2022/7/10~
5.川内原発1号機:2022/7/17~
6.川内原発2号機:2022/7/11~

<現在再稼働後、定期点検中の原発>

1.美浜原発3号機:2021/10/23~
2.高浜原発3号機:2022/3/1~
3.高浜原発4号機:2022/6/8~
4.玄海原発3号機:2022/1/21~

https://annex2.site/20220715-1/

んでもって、新基準に合格しながら再稼働していないのがこちら。

1.柏崎刈羽原発6号機
2.柏崎刈羽原発7号機
3.女川原発2号機
4.東海第2原発1号機(40年超え)
5.高浜原発1号機(40年超え)
6.高浜原発2号機(40年超え)
7.島根原発2号機

https://annex2.site/20220715-1/

つまり、新基準に合格しながら再稼働には至っていない7基を頑張って動かすよという話なんだよね。

再稼働をズルズルと後ろに引き伸ばしても良いことはないのだ。実は安全面でも、放置して老朽化するという現実は看過できないし、それ以上に、原子炉の運転員の経験という意味でも劣化が問題視されている。

東電柏崎刈羽原発 停止長期化 運転員の3分の1運転経験なし|NHK 首都圏のニュース
新潟県中越沖地震から16日で15年です。 この地震や福島第一原子力発電所の事故のあと、長期間にわたり運転を停止している東京電力・柏崎刈羽原…

安全に運転するためには、止めていてはダメなのである。

再稼働だけでは足りない

で、再稼働予定の原子炉は最大で17基ということなんだけれど、これは「同時に17基動かせるという意味ではない」のだ。

原子炉は、概ね1年稼働したら半年程度の点検期間を必要とする。したがって、同時に動かせるのは半数くらいだろうと思う。

そのうえで、中長期的には2050年のカーボンニュートラルの実現などに向けて、既存の原発を最大限活用するとしていて、現在、最長60年まで可能な原発の運転期間の延長のほか、今より安全性や経済性が高い次世代の原子炉の開発や建設を検討することを明らかにしました。

「NHKニュース」より

とまあ、そんな訳で、次世代炉の開発や建設に向けて舵を切ったという事らしいのだが、これだけで電力不足は解消しない。

残念なことに、次世代炉建設についてはまだまだ技術的課題が幾つも残されている状況である。

そんな訳で、原子炉建設と言っても、次世代炉は直ぐには建設できないし、現行型の原子炉だって、今建設途中の2~3基を再開して建設するにしても数年は時間を要する。一から新たに作るなんて話をすれば数十年単位の時間がかかる。次世代炉の話はもっと時間がかかるのである。

今まさに電力が足りない上、老朽化した火力発電所を動かしている関係で、いつ止まるかわからないという悲惨な話なのである。

つまり、何年も先の話が決まったが、喫緊の課題は何も決まっていない状況なのだ。

新サハリン2の話

話は変わるが、サハリン2関連のニュースがあった。

新サハリン2参画、悩みに悩んだ日本2商社 不透明な情勢なお続く

8/25(木) 20:53配信

三井物産と三菱商事は25日、ロシア極東サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」について、ロシア側が設立した新たな運営会社に参画する方針を決めたと明らかにした。液化天然ガス(LNG)の調達先確保に向けた政府の要請もあり、両社は戦争を続ける国を相手に一定のリスクを受け入れて権益を維持する。ロシア側との条件交渉がまだ残っており、国内への安定供給の見通しは不透明なままだ。

「Yahoo!ニュース」より

なかなかふざけた話で、ちょっと前にサハリン2の権益が取り上げられたばかりなのに、また新会社の方に金を出すという。

しかしこの話、三井物産や三菱商事を責められない事情もある。前回は「何度騙される機なんだ」と呆れたが、日本のエネルギー安定供給という意味では、1割程度であってもロシアから供給されるLNGの存在は魅力的なのだ。

それは国防の観点からも、無視できないレベルの話。

ヤバいところに手を出しても、エネルギーの安定供給を確保しなければならないというのが、残念な日本の実情だということだね。日本に独自のエネルギー資源があればまた別なんだけど。

今回の岸田政権の決断は、「止むに止まれぬ」という側面があるのだけれども、それでも少なくとも再稼働について政府が前に出ると決めたことは重要なことであったと思う。ただ、決めるべきことはまだ他にもあって、そろそろSDGsとかアホな話をするのは止めて、石炭火力発電所を刷新できるような動きとか、積極的に電力確保、安い電力の供給ができるような体制が構築できるように動くべきなのだと思う。

コメント

  1. こんにちは。

    欧州が手のひらクルックル返している最中、本邦のマスゴミと放射脳の方々はどんだけ狭くて不快、じゃない深い井戸の中の蛙なのでしょうね。

    即時、全ての原発を全開にしても良い位なのに。

    そして、こんなリポートも。
    https://motor-fan.jp/mf/article/64541/

    そうだろうとは思ってましたが、マスゴミはこういう事も言わないですよね。

    • 欧州のガス価格や電力価格は狂気を感じる状況ですね。
      夏でこれですから冬にどうなることやら。
      日本の岸田政権が焦って原子力発電所の再稼働に舵を切るのは、ある意味正常な判断なんですよね。判断は遅いですが。