佐渡金山の世界遺産登録、推薦書に再提出へ

報道

不備があった、と報じられたが、本当に不備だったかはちょっと怪しい。

佐渡金山の政府対応、自民からも批判「あり得ないミス」「本当に驚がく」

2022/07/29 06:43

「 佐渡島さど の金山」(新潟県佐渡市)の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を巡り、政府の推薦書に不備があったとして来年中の登録が困難な見通しとなった。これを受けて、与野党からは28日、政府の対応を批判する声が相次いだ。

「讀賣新聞」より

与野党から批判の声が挙がったとは言うが、果たしてどんなミスだったのだろうか。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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ロビー活動の差が出てしまった事案

見解の相違

佐渡金山の世界遺産登録に関しては、このブログで反対を表明している。

ただし、今回の登録に至る経緯として、韓国から横槍が入って、一時的に日本側が断念をするというような流れになり、「それではいけない」ということでもう一度登録へ傾いたという事がある。

しかし、蓋を開けてみると「政府推薦書に不備」という事になってしまった。

ただ、新聞に開示される情報を拾ってみると、本当に不備だったかはちょっと怪しい。

末松文部科学相は28日、首相官邸で岸田首相と面会し、登録に向けた状況を報告した。この後、記者団に「遺憾であるが、推薦書を改めて提出するほかない」と述べた。首相からは、登録に向けて新潟県と連携して全力で取り組むよう指示を受けたという。

佐渡市の渡辺竜五市長は「早期の登録の実現を目指し、取り組みを進めていただけに、大変残念でなりません」とコメントした。

文化庁によると、日本の推薦書を巡って、ユネスコ側から不備を指摘されたのは初めて。砂金を採取する導水路跡の説明部分に関して指摘があった。現場では、導水路が一部途切れており、ユネスコは途切れた部分について「記載が不十分」と判断したという。

「讀賣新聞”世界遺産目指す「佐渡金山」、来年の登録困難に…ユネスコが推薦書の不備指摘”」より

推薦書の中身を覗くことが出来ないので、詳細は不明だ。が、推薦書のサーマリーに関しては開示されているので、ちょっと該当部分っぽいところを探してみよう。

僕の勝手な認定ではあるが、確かに水路と思われる部分が途切れているといえば途切れている。だが、恐らくコレ、地下を通っているという意味だと思うんだ。ただ、「説明が不十分」といえば、そうかもしれない

砂金採掘の記録は平安時代に遡るが、産金量が増大した中世末期には砂金採掘の中心地であった西三川川中流域の山間地に集落が形成され、近世に入っても、徳川幕府の財政を支えた佐渡金銀山の1つとして栄えた。江戸時代中期以降は次第に産金量が減少し、明治5年(1872)に西三川砂金山は閉山となった。閉山後は砂金採掘跡や堤跡の田畑への転換、砂金流し用水路の農業用水路への転用といった農地開発が行われ、明治末期には現在の農山村へと産業構造の転換がほぼ完成した。こうした田畑や水路は現在も機能しており、近世の鉱山跡地や鉱山技術を応用した農地開発などの土地利用の変遷を確認することができる。

「佐渡市のサイト」より

水路は現在も使われていることから、途切れていることとの不整合があるといわれれば、その様にも理解は出来るんだが……。これ、別に良くないか?何とも判断に迷うところだが、確かに「地下通過部分は破線で示している」と記述があればその方が親切ではある。

今後の審査員には韓国が

で、登録が見通せないというのは、今回の審査を通過できないと、次回以降はかなり厳しい状況になるからである。

政府は今回、推薦書の再提出を決めたが、「登録そのものが見通せない状況になった」(外務省幹部)という。今後、世界遺産の登録の可否を審査するユネスコ世界遺産委員会の委員に韓国が選ばれ、登録に反対する可能性があるためだ。

「讀賣新聞”世界遺産目指す「佐渡金山」、来年の登録困難に…ユネスコが推薦書の不備指摘”」より

恐らくだが、今回日本政府が提出した推薦書について、細かく注文を付ける勢力が今の委員にも紛れていたのだと思われる。

そして、今回の審査通過が出来なければ、次回以降はもっと厳しくなるということに為るのだろう。

一度提出した推薦書は修正が認められないため、日本側は十分に説明が尽くされていると訴え、末松氏がアズレ事務局長に書簡を送って判断の再考を求めた。本部があるパリに文科省の義本博司事務次官を派遣して議論も重ねさせたが、27日夜に判断を覆せないことが確認されたという。

登録審査は通常、推薦書提出期限前年の9月末までに暫定版を任意で提出。ユネスコから不備などの指摘があれば修正した上で、2月1日までに正式な推薦書を出す流れとなっている。

「産経新聞”佐渡金山、来年の世界遺産登録断念 推薦書に不備、再提出へ”」より

まあ、推薦書の説明が通らなかったことは残念ではあるが、そもそも去年9月までに暫定版をだして修正、正式版を今年2月に提出するという手続きが出来なかったことが敗因ともいえる。ぶっつけ本番で正式版を提出せざるを得なかったからね。

そして、今回の推薦書提出は、韓国からの横槍があったにも関わらず、それを突っぱねて日本政府側が提出したという所に意味があったと思うので、不備があると指摘されたとしてもまあ、そこは問題ではないと思う。そして、今後登録されないとしても、それも特には問題あるまい。

登録されることの意味は、佐渡金山への海外からの観光客の呼び込みに影響するということなのだが、もはや世界遺産登録の価値はそこまで高くは無いのである。

日本政府が登録申請した観光地だということが大切であって、世界がどう認識するのかはまた別。特に、政治的な争いがあってドロドロとした組織に成り果てたユネスコなど、今後は適当に付き合っていくので良いと思う。

岸田政権の失点ではない

ところが、である。

与党内からも今回の事態を十分に理解せず、野党からは「ここぞ」とばかりに攻撃が強まっていて、その一翼を担っているのが報道である。上で引用した讀賣新聞の記事も十分に度し難い内容であり、「本当に驚愕」とか「有り得ないミス」とかバカバカしい批判を繰り広げている。

それ以上に酷いのが時事通信だ。時事通信はいつも酷いが。

岸田首相、保守派反発を懸念 佐渡金山、「失地回復」に全力―世界遺産推薦書

2022年07月29日07時05分

新潟県の「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録に向けた審査が推薦書の「不備」で遅れる見通しとなったのを受け、岸田文雄首相は推薦書の再提出を急ぐなど、「失地回復」に全力を挙げる方針だ。登録は故安倍晋三元首相が推し進めてきた経緯があり、対応を誤れば、自民党保守派の反発が自身に向かいかねないとの懸念があるようだ。

「時事通信」より

いやいや、判断を誤ったのは外務省だろう。

そもそも、韓国からの圧力によって世界文化遺産登録を取り止める判断をしたのは外務省である。これを岸田政権の判断で「やっぱり登録する」という決断をしたのである。この辺りの話は時事通信の記事にも書かれていて、安倍氏の意向を汲んだという流れで説明されている。

「誠に遺憾だが、やむを得ない。登録実現に向けて全力で取り組んでもらいたい」。首相は28日、末松信介文部科学相から推薦書再提出について首相官邸で報告を受けると、こう指示した。

「時事通信”岸田首相、保守派反発を懸念 佐渡金山、「失地回復」に全力―世界遺産推薦書”」より

そもそも、文部科学省が資料を作って前年9月に暫定版を出していれば、こういったおかしな事にはならなかった。だが、役人達(恐らく、外務省の指示だったと思われる)がいつまで経っても暫定版を作らず、暫定版提出をすることは無かった。その上で、外務省から「米韓の批判を受けると」意味不明の説明をしていたと言うのだから驚くしか無い。

岸田氏は、経緯を理解した上で「再提出」の指示をしたのだろうが、それを「失地回復」というのは違う。

これに対し、文科省などは「記載は十分だ」と主張。推薦書をそのまま審査に回すよう文科相名の書簡を送ったり、義本博司文科事務次官が今月27日にパリで協議したりして再考を促したが、ユネスコが折れなかった。

「時事通信”岸田首相、保守派反発を懸念 佐渡金山、「失地回復」に全力―世界遺産推薦書”」より

要は、日本側のロビー活動の敗北であり、これも外務省マターである。

閣議了解が遅れたのは、首相がぎりぎりまで判断を遅らせたからだった。党保守派から推薦を強く求められる一方、外務省は推薦すれば「金山は強制労働の現場」と批判する韓国との関係が一段とこじれかねないと懸念。米国からも不興を買う恐れがあった。

首相の背中を押したのが安倍氏だった。安倍氏は1月20日の安倍派総会で「(韓国と)論戦を避ける形で登録を申請しないのは間違っている」と公言。水面下でも首相に決断を促した。金山登録への動きを緩めれば、保守派から「安倍氏の遺志に反する」と批判されることを、首相は危惧しているとみられる。政府関係者は「韓国に配慮して手を緩めることはない」と語った。

「時事通信”岸田首相、保守派反発を懸念 佐渡金山、「失地回復」に全力―世界遺産推薦書”」より

そもそも閣議了承が遅くなった背景にも外務省の影響があったのであり、その辺りは時事通信にも報じられている。

菅義偉政権から岸田政権に切り替わる時点での暫定版提出見送りは非常に残念なことであったが、そこは自民党だけの問題と言うより、役人の怠慢に関する問題である。岸田氏はその尻ぬぐいをするという構図なのだから、岸田政権の失地というのは明らかに誤解なのだが、その様に読めるような記事構成になっている。

酷い話だが、これが日本のメディアのやり方でもある。

追記

あー、コレを引用するのは気が引けるのだが、自民党の青山氏のブログで僕の勝手な推論のうち1つが裏付けができるのかな。

▼文化庁を含む文科省の説明は、噴飯ものです。
「ミスは無かった。書類に問題は無い。しかしユネスコが分かってくれないので、ことしは諦めて来年、出し直します」

 議員から、納得する声はもちろんゼロ。
 役所が実質的にこれまで隠蔽していたこと、一部の報道によって出るまで黙っていたことも含め、怒号が溢れる会議となりました。

 わたしは「書類に問題は無かったと政府が言っているということは、ロシア ( 世界遺産委員国のなんと議長国 ) 、中国、韓国のいつもの政治工作に負けた、それしか考えられないではないか」と指摘しました。

「青山繁晴の道すがらエッセイ」より

何が不備だったのかについて明らかにはされていないが、ロビー活動に負けたことと、役人の失敗ということの裏付けにはなりそうである。

だから自民党に非が無かったという話にはならないが、役人がかなり外国勢力に絡め取られているというような部分は見てとれる話でもある。

霞が関の役人は優秀だが、汚染されている部分も少なからずあるのだと言うことを改めて突き付けられた気がする。

追記2

あちゃー、髭の隊長もかなりお怒りだな。

本件は、まさしく〝役所の大チョンボ〟と言うべき大失態である。

ユネスコから指摘を受けた外務省、文化庁から「佐渡島の金山」がある新潟県佐渡市への情報共有・提供が全くなされていなかったことも明らかになり、会議では猛省を求める声も上がった。

今年の2月1日にユネスコへ「佐渡島の金山」の正式な推薦書を提出後、ユネスコから推薦書の不備を指摘されたのは2月28日であったようだ。
しかし、発表は昨日7月28日であり、五ヶ月間も情報が共有されなかったことになる。

「守るべき人がいる」より

役人側からの言い訳はもちろんあるのだろう。

しかし、情報共有・提供がなされておらず、議員も知らなかったと。岸田政権の肝いり案件だったのに、随分と舐められたものだね。そりゃ非難の声は上がるのだろうが、お役所仕事も困ったものだな。

そして、こういった役人の特性を理解して使いこなせていない議員側にも責任はありそうである。

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