福島第一原発事故の健康被害に対する国連の評価

原子力発電

単なる健康被害ではなく、放射線被曝を原因とする健康被害のことだが。

国連科学委、福島第一原発事故での「放射線被曝を原因とする健康被害は認められない」

2022/07/19 20:25

「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」のメンバーらが19日、日本記者クラブで記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所事故について「放射線 被曝ひばく を原因とする健康被害は認められない」とする解析結果を紹介した。メンバーは、昨年3月に公表した事故影響に関する報告書を住民や科学者らに解説するため来日している。

「讀賣新聞」より

改めて説明するまでも無い事実ではあるが、この讀賣新聞の記事のポイントは、報告書や最新の知見やデータに基づいた判断であるという点だ。

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騒ぐ理由は何だったのか

科学的知見

記事に登場する「国連科学委員会」が何を調べたのか?なのだが、論文や調査結果を基づいての判断であるところがポイントである。

同委員会は世界の放射線医学などの専門家が参加しており、500本超の論文や調査を基に報告書をまとめた。報告書では、住民の避難経路などを精査した結果、被曝線量は高くないと推計し、「被曝によるがんなどの健康影響が増加する可能性は低い」と結論づけた。前議長のギリアン・ハース氏は「報告書は最新の知見やデータに基づいている。結論は堅固で将来も大きく変わるとは思われない」と強調した。

「讀賣新聞”国連科学委、福島第一原発事故での「放射線被曝を原因とする健康被害は認められない」”」より

反対派に言わせれば、おそらく論文や調査というのが「偏っているのだろう」とか、「政府の圧力」とか「作られたデータ」とか、そういう話になるのだろう。

もちろん、どんなデータに基づいて調査・研究されたのかという経緯を調べることは大切ではあるが、僕自身、事故の情報を色々調べた上での感触に合った結果であるし、さほど疑う必要のない結論だと思っている。

多数の専門家の出した結論が、「放射線被曝による健康被害の可能性は低い」「今後も増加することはないだろう」というものであるのならば、信用して良いのでは無いか。

52京ベクレルとは一体何だったのか

しかし、メディアを始め多くの専門家が「過去最悪の原発事故」として扱った。

激震・福島原発事故「レベル7」

危機的な状態が続く福島第1原発事故。その深刻度の評価が地震発生からほぼ1カ月たった4月12日、国際原子力事故評価尺度(INES)で最も深刻な事故に当たる「レベル7」に引き上げられた。

「時事通信」より

この「レベル7」というのが、世界にも大きな誤解を与えたのである。

この表はINESと呼ばれる国際原子力事象評価尺度の作り方の問題である。単純に放射性物質の外部放出量の閾値で区切ったらそうなっただけである。

実際に「レベル7」に分類されたのは、過去にチェルノブイリ原発事故(1986年4月26日事故発生:現在はウクライナ領内のチェルノービリという地名になっているが、事故当時の名前で説明をする)のみだ。そして、福島第一の事故とチェルノブイリ事故を比べてしまうことになる。何しろ同じカテゴリーに分けてあるからね。

ただ、炉心まで吹っ飛んでしまったチェルノブイリと同格に扱うというのは明らかに間違いである。

福島第一原発の事故では52京ベクレルとか77京ベクレル相当の放射性物質を放出してしまったといわれている。チェルノブイリは推定で520京ベクレル相当の放射性物質を放出したといわれているが。

原発事故の放射性物質、52京ベクレル放出…森林に残る[歳月]<4>

2021/03/04 05:00

東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質は、気体状のものを除いて52京(京は1兆の1万倍)ベクレルと推定されている。風で陸側へ飛んだ放射性物質の約7割は、福島周辺の森林に降り注いだ。森林は大部分が「除染」されていない。放射性物質は自然に「崩壊」しつつも一部は樹木や土、水、動植物の間を循環しており、住民の生活にも影響を残している。

「讀賣新聞」より

しかし、福島の事故によって撒き散らされた膨大な量の放射性物質がどうなったかというと、除染と呼ばれる作業によって居住できる場所が随分と広がった。

まあ、未だに帰宅困難な地域は残ってはいるのだが、これも徐々に範囲は狭まっていくだろう。比較的長い半減期のセシウム137は30年経過で影響が半減する。除染しきれない場所がどこまで居住できる場所になるのかは分からないが、ちょっとこれは過剰反応だったと思う。

実は、支那が核実験を盛んにしていた時期には、大量のセシウム137が日本にも降り注いでいた事実がある。何故、原発事故の時だけ騒ぐのかよく分からない。図表で見て分かるように、チェルノブイリ原発事故の時より遙かに多い量のセシウムが日本に降り注ぎ、食品中から検出されていた。これは地政学的な理由もあるので、事故の大きさとかは無関係だ。だが、こうした状況と比べても福島第1原発の事故の影響は少なかった。

なお、半減期が24000年と極端に長いプルトニウムの飛散はほぼ確認出来なかったため、こちらも心配する必要は無いようだ。

じゃあ何故あの時あそこまでマスコミは騒いだのだろうか?

確かに、原発事故はセンセーショナルな出来事ではあったが、必要以上に馬鹿騒ぎをした印象しか残っていない。

結局、被曝を原因とする健康被害は認められない

ウクライナに残っているチェルノブイリ原発は、事故を起こした当時、33名の死者を出し、多人数への健康被害を及ぼした(数百人規模といわれている)と報告されている。

その実態はしっかり把握されなかったのだが、それでも直接的な被爆被害よりも、間接的な被害の方が遙かに多かった事が分かってきている。

しかし一方で、福島第1原発ではそうした事例は確認されなかったと報告されたというのが冒頭のニュースなのである。

もちろん、あのような事故を再び起こしてはいけないというのは、殆どの日本人の共通した願いだろうしそうあるべきだ。日本経済への影響が大きすぎるからね。だけれども、もうちょっと事故原因やらその後の評価について賢明であるべきではないのか。何でもかんでも反対反対というのは、幼稚すぎる。

ヒステリックになって再稼働まで反対し、気が付いたら電力不足だったのでは情けない限りである。

追記

セシウム137についてちょいと追記しておく。

セシウム137の降下量について。都合の良いデータばっかり使ってという批判を頂きそうな気がしたので、公平の観点から、都合の悪いデータも載せておく。

東京に降下したセシウム137の経時変化をグラフにしたもので、1960年代の状況に比べ、チェルノブイリ原発事故の時には瞬間的に跳ね上がったデータが見られている。

しかし、定期的に大気圏内の核実験が行われていた時代と比べ、チェルノブイリ原発事故の影響は軽微であった。何しろ、1度だけ爆発した結果なのだから。

そして、福島第1原発事故の時はその何れよりも高い影響を受けていた。これは事実だ。片対数グラフであること考慮しても、如何に大きな影響を受けたかは一目瞭然だ。

ただし、こちらも図も見て欲しい。

これは、札幌市の降下物に関するデータだ。東京よりも遙かに降下量が少ないところを上手く説明できないのだけれど、注目すべきは、大気圏内の核実験よりチェルノブイリ原発事故の時の降下量が少なかったという事実は同じだが、福島第1原発事故の影響はチェルノブイリ原発事故の時より更に低い事をグラフは示している(注:同じ地点であってもサイトによってグラフの傾向は若干異なる)。

これは地域特性(偏西風の影響)もあると思うが、単純に札幌市が福島市と距離が離れている事も影響していると思う。

そして、残念な事に事故後のデータに関して言及はされていないが、チェルノブイリ原発事故の時と同様の傾向であることは疑い様が無い。

また、過去のデータのことを考慮しても、福島第1原発事故の影響を今後受ける可能性は薄いということも分かるだろう。

コメント

  1. 木霊さん、こんにちは

    言論識者の方々が指摘していたが、本件はほとんどまったくマスコミによる風評被害という結論でしょう。

    当時が民主党政権であったことが、今日の今日まで風評被害が続いてきた主因ではなく、原発事故を核兵器と絡めてその危険性を捏造し、放射線障害について知ったかぶりのガセ記事を詐りまくったマスコミの責任で間違いないね。

    • 二次的な風評被害は本当に度し難い。
      あえて煽っていた感じでしたから、困ったものですね。
      まあ、武漢ウイルス関連でもその傾向がありますから、体質は治らないのでしょうけれど。

      と、関係ありませんが、ハヤシライス、良いですね!
      先週末に作ってみましたが、我が家も好評でした。

  2. 爆発の瞬間が生で映っちゃった。のも、本件のヒステリーの原因でもあるのでしょうね。映像と言うか、視覚と言うか…は、言説よりも、かくも「強い」ものであるか、と。チェルノブイリがいくらヤバかったって言ったって、それを知る事は出来ても、観る事はできませんしね…事故後の写真くらいでしょうか。それも当初は隠し通せる気でいたようですしね、ソ連って。RBMK炉の爆発と言うのも、アレはアレで不幸な奇跡であったようですが。

    • 建物が吹っ飛んだ様子は確かに衝撃的でした。
      あのインパクトは凄いですよね。

      チェルノブイリの事故も、実験中のトラブルだったようですが、フェールセーフが効いていなかったというのは、何とも。
      不幸が重なるとあんな風になってしまうのでしょうね。