岸田氏、原発再稼働に向けて指示?

電力

あー、とうとう岸田覚醒したか?!とか思ったが、若干盛っている感じがするな。

首相、原発最大9基稼働を経産相に指示

2022/7/14 18:57

岸田文雄首相は14日の記者会見で、エネルギーの安定供給をめぐり、萩生田光一経済産業相に対し、今冬に向けて原発を最大9基稼働させ、火力発電10基を目指して確保するよう指示したと言及した上で、「将来にわたって電力の安定供給が確保できるよう全力で取り組む」と述べた。

「産経新聞」より

やったぜ、岸田くん!頑張ったね!とか思うのは少々早計かも。

スポンサーリンク
同カテゴリーの人気記事

この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

<同カテゴリーの人気記事>

スポンサーリンク

何基再稼働できるのか

再稼働なのか、稼働なのか

実は、この記事に国民民主の玉木氏がリプをつけていた。

なるほど?「これでは電力危機の回避は期待できない」ってのは、どうなのかな。

や、報道内容は不安なので、一応、首相官邸のサイトから該当部分を引用してこよう。

しかしながら、この冬については再度需給逼迫(ひっぱく)が起こることが懸念されています。何としてもそうした事態を防いでいかなければなりません。私から経済産業大臣に対し、できる限り多くの原発、この冬で言えば、最大9基の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保するとともに、ピーク時に余裕を持って安定供給を実現できる水準を目指し、火力発電の供給能力を追加的に10基を目指して確保するよう指示をいたしました。

「首相官邸」より

ほう、原発最大9基稼働というのは、日本全体の電力消費量の約1割という点まで加味する必要はありそうだ。

2020年の状況で原発は3.9%しか担当できていない。

2021年の状況だと5.9%である。これを10%まで積み増すためには、恐らく5基ほど追加で動かす必要があると思う。

現状はどうなのか

では、5.9%稼働でどれだけの原発が動いているのだろうか。

これは今年3月の時点の記事に説明図として載せられたものである。

なかなか分かり易いが、玉木氏が指摘しているのは水色に色分けされた「停止中」のものが動かせるか?を問題にしたいという趣旨なのだと思う。ただ、玉木氏の発言も正確ではないし、恐らくそこが問題ではない。

岸田氏が主張したのは電力消費量の1割を原発に任せるということだ。

原子力発電所の現在の運転状況は原子力規制委員会のサイトに一覧があるが、折角なので現在運転中の原子炉をピックアップしてみよう。

<現在運転中の原発>

  1. 大飯原発3号機:2021/7/30~
  2. 大飯原発4号機(調整運転中):2022/7/17~
  3. 伊方原発3号機:2022/1/24~
  4. 玄海原発4号機(調整運転中):2022/7/10~
  5. 川内原発1号機:2022/7/17~
  6. 川内原発2号機:2022/7/11~

ハイダウトー。実は、現在運転中の原発は4基(加えて調整運転中が2基)である。では、定期点検中は?というとこんな感じ。

<現在再稼働後、定期点検中の原発>

  1. 美浜原発3号機:2021/10/23~
  2. 高浜原発3号機:2022/3/1~
  3. 高浜原発4号機:2022/6/8~
  4. 玄海原発3号機:2022/1/21~

こちらは4基だ。つまり玉木氏のいう10基中9基というのは、この再稼働後定期点検に入った4基のうち3基までを動かすつもりだという意味なのだろう。確かに、既に再稼働を果たして停止中のヤツを動かすだけなら「たいしたことはない」ようにも思えるな。

原発の稼働サイクル

しかし、玉木氏の発言は正しいとは言い難い部分もある。

岸田氏は「最大9基」という言い方をしているため、確かに10基は稼働していい状態になっているのだから、「増えるわけではない」という主張は通るように思われる。だが、原発は稼働サイクルというものがあり、日本では13ヶ月運転して90日の定期点検を行うサイクルをになっている。現在このサイクルの変更も含めて検討はされているが、特に変更されたという話を聞かない。

よって、13ヶ月動いて3ヶ月点検停止をして、再び再稼働ということになるのだろう。そのサイクルを見ると、いま再稼働後に定期点検に入った原発はいずれも冬には再稼働が可能な時期を迎えるので、問題なく動く。調整運転中の2基もコレに加わるだろう。

一方で、運転中の4基のうち、大飯原発3号機は時期的に定期点検に入って、再び稼働できるかどうかというタイミングになりそうだ。伊方原発3号機も冬期に定期点検に入る予定となっているね。

なるほど、最大9基という言葉通りではある。ただ、再稼働後に定期点検に入った4基も高浜原発4号機以外は既に動いていても不思議はないのだ。

ただ、現状5.9%の割合を10%に引き上げるのであれば、同時に動いているのが9基以上必要という計算になるだろうから、そう簡単でも無さそうだし、玉木氏のいう「たいしたことはない」というのはやや的ハズレと言えそうだ。

再稼働を決断すべき

そして、既に新基準に合格しながらも、再稼働していない原発も7基ある。

  1. 柏崎刈羽原発6号機
  2. 柏崎刈羽原発7号機
  3. 女川原発2号機
  4. 東海第2原発1号機(40年超え)
  5. 高浜原発1号機(40年超え)
  6. 高浜原発2号機(40年超え)
  7. 島根原発2号機

40年を超えたものを除くと4基だが、こうした原発の再稼働を急ぐべきだと思う。また、泊原発の3基は比較的新しいのだから、おかしな裁判に振り回されずに動かせばいいと思うのだ。

泊原発が動けば、北海道の電力事情はかなり改善される見込みがある。

ただ、原発事情を見ると、再稼働を果たしている原発は南方に集中して、北方のはあまり動いていない。また、建設中の原発も存在するのだ。

  1. 大間原発1号機(審査中):2008年着工~2014年11月の運転開始予定だったが工事休止
  2. 東通原発1号機:2011年着工~2012年本体建設工事休止
  3. 島根原発3号機(審査中):2006年着工~2012年3月運転開始予定だったが休止

着工が遅かった東通原発1号機に関しては、炉の計画を変更することも考えられるけれども、他2基に関しては作ってしまうべきだろう。

使えるものは使うべきだ。岸田氏には、そこまで踏み込んで欲しかったなぁ。

火力発電所について

10基の火力発電所

火力発電所は国内に結構な数あるので、ピックアップするのは難しいのだけれど、休止中のものを再稼働するということ自体は良いことだと思う。

ただ、こんなニュースもあるだけにLNG火力はちょっとマテという感じだろう。

初の「節ガス」3段階で

2022年7月12日 2:00

経済産業省は11日、都市ガスの節約を呼びかける初の「節ガス」について制度設計の議論に入った。家庭や企業に広く自主的な節ガスを求め、不十分なら大口企業に個別に需要抑制を要請する。より強い措置として大口企業への使用制限令も検討し、逼迫の度合いに応じて3段階で対策を用意する。ウクライナ情勢を受けたロシア産ガスの輸入途絶などのリスクに備える。

「日本経済新聞」より

正直、国内で天然ガスの採掘ができればこんな事に悩まずとも済むし、多少の希望はあるのだが、現状ではそれも適わない。となると、再稼働するのは比較的新しい石炭火力発電所という事になる。

国内にはその他、石油火力発電所も存在するのだが……、1970年代に経験した2度のオイルショック以降は作られていない。つまり、相当老朽化しているということである。

残念な事に、最新式のIGCCは国内で1基稼働中、1基実証運転中という状況である。それよりももうちょっと古いがUSCという方式もあるので、この辺りを選んで稼働させるのが理解が得られやすいだろう。

こっちも基本は使えるヤツを使うしか無いのである。

国内の火力発電所 廃止や休止相次ぎ 5年で供給力540万世帯分減

2022年6月13日 15時44分

この夏、7年ぶりに節電要請が行われるなど、国内の電力需給が厳しくなる中、この5年間で火力発電所の供給力がおよそ1600万キロワット540万世帯分、減ったことがわかりました。再生可能エネルギーの普及で採算が悪化したことを背景に、火力発電所の廃止や休止が相次いでいて、専門家は、安定供給に向けて国が、より強く関与すべきだと指摘しています。

「NHKニュース」より

ただ、採算が悪化している事もあるので、この辺りに補助金を出して動かすという事に為りそうである。そういえば、再エネ割賦金という碌でもない制度でお金を取っているのだから、再エネの分をこちらに回すくらいの事をすべきなんではないかと。

追記

余談となるので追記という形にさせてもらうが、こんな記事を発掘した。

日本の原発は戦争「想定していない」 ミサイル攻撃受ければ「放射性物質まき散らされる」 原子力規制委の更田委員長

2022年3月9日 19時26分

原子力規制委員会の更田ふけた豊志委員長は9日の衆院経済産業委員会で、日本国内の原発がミサイル攻撃を受けた場合、「放射性物質がまき散らされることが懸念される。現在の設備で避けられるとは考えていない」との見解を示した。ウクライナを侵攻したロシア軍が原発を攻撃したことを受けて質問した立憲民主党の山崎誠氏に対する答弁。

~~略~~

鬼木誠防衛副大臣はミサイル技術の向上により迎撃が難しくなっているとして「敵基地攻撃能力を含めてあらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討していく」と答弁。山崎氏は「地震やテロ、そして今回のような戦争における攻撃のリスクを考えた時、やはり原発を閉じていかなければいけない」と主張した。

「東京新聞」より

いやー、スゴイ。

何故この記事を引用したのかというと、原発再稼働に反対する方が「戦争で狙われたらどうするのか」などと呟いていたからである。

確かに、ウクライナにあるザポロジエ原発がロシア軍に占拠されて、危機的状況を迎えたと伝えられたこともあった。戦争において原発はリスクになり得る。

だけれども、稼働中、停止中に関わらずリスクになるのが現実である。もちろん、廃炉が決定して廃炉待ちの状況であっても、炉内の燃料を取り出すまでは稼働中のものと同様のリスクがある。

ミサイル攻撃を受けた時点で様々なリスクがあるので、迎撃や敵基地攻撃能力を手に入れるような事まで視野に入れるべきだが、原発に関しては直ぐに廃炉にできるわけでもなし。考慮すべきリスクとは言い難い。

コメント

  1.  以下全て311の時、読んだ何冊かの本の記憶です

     日本の原発は全て停止していない、稼働している。
     原発停止は全電源OFF、即ちブラックアウトでありメルトダウン・爆発する。
     停止していると言われている原発は、発電していないだけで大金と貴重な人材を投入して爆発しないようにメルトダウンしないように稼働させ燃料棒冷却している、外部電力を引き込んで。
     発電は原子炉の冷却でもある。発電しないことで、原子炉冷却の方法が一つ減じた。
     

    • ご指摘の通りでありまして、原子力発電所が「停止」しているのはあくまで表向きであります。
      冷却機構はそのまま動かさねばならず、そのために電力が必要であります。
      そのための電力を何処から得るかというと、外部からという事になるわけで、貴重な電力と人材を無駄に使っている状況なんですよね。
      再稼働する気が無いのであれば、さっさと廃炉にするしかありません。
      しかし、廃炉にしたら電力を使わないかというと、実はそれも違います。使用済み核燃料も、燃やす前のペレットもセットしてあるならば冷却を続けなければなりません。電力が不要になるのは、廃炉処理をし、放射性廃棄物が「適切な処理」をなされた後の話。
      「安全のために再稼働反対」というのは実に愚かな主張なのですが、その辺りを何故説明しないのかが理解できません。

  2. 原発は、すぐに再稼働出来ないものがあります。地震学者風政治活動家(悪夢の民主党が任命した規制委員)がつけた言いがかりに対する調査に数年単位で時間がかかるものがあるから。
    人災です。

    • 一応、検査合格という判定を貰っているヤツは、再稼働が可能であるとされています。
      とはいえ、それでも再稼働までには半年近くかかるわけで、簡単ではないのですが。

      また、検査に合格できないもののうち、安全面を高める為の工事を必要とするものがありますが、原子力発電相が動いていても工事できる種類の所もあります。泊原発などはソレでして、準備が終わっていないという事になっていますが、実際には堤防工事が残っているだけで、危険性としては稼働していても停止していてもさほど変わりません。
      動かしながら工事すれば良いんですがね。