厚顔無恥にも、岸田氏はトヨタ自動車を訪問へ

政策

よくもまあ、おめおめとトヨタ自動車に顔を出せるものだな。

岸田首相、トヨタ自動車を異例の訪問へ 参院選に向けアピール狙いか

2022年6月9日 18時32分

岸田文雄首相が来週末にも、愛知県豊田市のトヨタ自動車を訪問する方向で調整していることがわかった。複数の関係者が明らかにした。自民党の首相が豊田市の同社を訪問するのは異例。今夏の参院選を前に、賃上げに向けた政府の取り組みなどをアピールする狙いもあるとみられる。

「朝日新聞」より

このニュースを見て僕はひっくり返りそうになった。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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自民党は国益を追求できる政党だろうか?

トヨタ自動車と国益

トヨタ自動車と言えば、世界的なメーカーに昇りつめた日本有数の自動車会社であることは、僕が説明するまでもなく誰もが知っている話。

ただ、「だから偉い」のかと言えば、そういう訳ではないのだが、愛知県を中心として巨大な雇用を作っていることには違いない。日本の経済にも甚大な影響を与える企業なんだな。そして、世界ともそれなりに太いパイプで繋がっている。しかし一方で、現在のトヨタには極めて強い危機感がある。このままではアメリカや支那に喰われる。だから、政治的な決断をして欲しいというのがトヨタ自動車の願いであり、企業として儲けを出したいという単純な願いでもある。

が、トヨタ自動車は、もともと自民党に期待をしていたわけではなく、実は民主党系の支持母体と繋がっている。いや、いた。

トヨタ労組、組織内候補断念 自民と対立前提「終わりに」

2021年10月15日 05時00分 (10月20日 16時16分更新)

トヨタ自動車労働組合出身で愛知11区選出の古本伸一郎前衆院議員(56)=無所属、六期=は十四日、愛知県豊田市内で記者会見し、衆院選に出馬しない意向を表明した。トヨタ系労組は後継候補を出さない方針で、これまで労組の組織内候補と自民党候補が争ってきた構図が一変する。

「中日新聞」より

実は、トヨタ労組は民主党系と、というか連合との袂を分かつ決断をしたのである。

まあ、連合としてもいまの民主党系野党とつるんだところで何のメリットもないことくらいは理解しているわけで、政治を変えるために自治労が活動していると思ったら、何の影響力もないという為体である。

トヨタ労組も、「勝手に応援するぜ」という事になった。連合と手を組むのをやめたという事ではないのかもしれない、が。

「トヨタショック」直撃、進む一体化 /3

 2022/4/30 10:30(最終更新 5/24 14:41)

政権交代を目指してきたはずの連合がおかしい。夏の参院選が迫る中、立憲民主、国民民主両党への支援に力が入らず、むしろ自民党への接近が目立つ。約700万人を擁する労働組合のナショナルセンターは、どこに向かうのか。

「毎日新聞」より

とにかく、お陰で政界は大騒ぎである。

民主王国愛知の終わり

もともと、連合が応援するからこそ民主党の、或いはそこから派生した民主党系の政党を甘やかした。ろくな政策を出さないのにコレだ。

古本氏は、旧民主党政権下で財務政務官を務めるなど「民主王国愛知」の重鎮だったが、20年の新・立憲民主結党に参加せず、当時は無所属だった。愛知11区は、古本氏を含むトヨタ労組の組織内候補が約半世紀にわたり議席を守り続け、工場などで働く人の声を代弁してきた。古本氏の不出馬で野党は有力候補を失い、自民党が圧勝した。

「毎日新聞”「トヨタショック」直撃、進む一体化 /3”」より

で、挙句の果てに民主党系の政党を見限ったわけだ。

いや、正確に言えば「見限った」のではなく連合として組織的な応援をすることをやめたということなんだが、しかし、自民党を応援する層が組織内に増えたのは事実である。

連合、加速する「立憲・国民離れ」 組織率低下…意識に変化も

2022/2/17 19:50(最終更新 2/17 21:39)

連合は17日の中央執行委員会で、夏の参院選の基本方針を決定した。立憲民主党や国民民主党といった支援政党を明示せず、選挙区では全47都道府県にある地方連合会ごとに候補者を推薦する方針に転換した。組織率や組合員の動員力の低下など連合の弱体化が進む中、傘下の民間労組などでは組合員の「自民党支持」が広がる。連合の「体質」は変わりつつある。

「毎日新聞」より

というか、連合としても立憲民主党などを支持していては、組織を維持できないのだ。ただでさえ組織率は低下しているし、「政治運動を組織でやる」という時代ではなくなってきている。

結果、古い体質が残ったままの連合、いや労働組織そのものが労働者から支持されなくなってしまった。本末転倒な話だね。

王国を看取りに?或いは危機感の現れか

とまあ、こうした流れを説明すれば、岸田氏の狙いと言うのはなんとなく見えてくるのではないだろうか。

1999年以降の首相動静では、自民党の首相の同社訪問は、2018年に中国の李克強首相が来日した際、当時の安倍晋三首相がトヨタ自動車北海道(北海道苫小牧市)を同行視察したことがあるだけだ。関係者によると、岸田首相は「公務」で豊田市内の同社工場を視察するという。

「朝日新聞”岸田首相、トヨタ自動車を異例の訪問へ 参院選に向けアピール狙いか”」より

今までは歯牙にもかけられなかった自民党だが、トヨタ労組にアピールできるチャンスが到来したという側面はある。

一方で、岸田氏としても危機感はあるのだろう。

自民党の支持層であった「岩盤層」として右派は総崩れで、半分も残っていない。安倍氏・菅義偉氏の時代には、「何かを変えてくれるんじゃないか」という期待感があって支持していた保守系の人々は、岸田政権を見限っている。

結果から見れば、外交面は悪くはないのだが……。国内政治はもう「全く何も手を付けていない」という情けない状況である。

豊田章男氏はおそらく岸田政権を支持しない

おそらく、ではあるが、トヨタ自動車の社長、豊田章男氏は岸田政権を支持しないだろう。そう考える理由はこちらの記事にある通りだ。

トヨタEV戦略:豊田章男社長が「各国エネルギー事情の違い」に言及した理由…「日本のエネルギー失策」が招いた「後ろ向き」批判

Dec. 16, 2021, 05:30 PM 

「カーボンニュートラルの達成には、各国のエネルギー事情が大きな影響を及ぼしていることも事実。それは、トヨタにはどうしようもないということをご理解いただきたい」

12月14日、電気自動車(EV)の2030年の新車販売を従来の200万台から 350万台に拡大するというトヨタ自動車の発表は、世界中を駆けめぐった。

このEV戦略説明会の記者会見で、豊田章男社長が口にしたのが冒頭の言葉だ。

「Business Insider」より

こちらの記事、2021年時点でトヨタ自動車として明確なメッセージを出している。菅義偉政権時代から、脱炭素路線に大きくかじを切った自民党だが、トヨタ自動車の社長としては豊田章男氏は不満を感じていた。

そりゃそうだろう。日本のエネルギー戦略はめちゃくちゃだからだ。

先日はこんなアホくさいことを言い放ったばかりだ。これ、企業に死ねと言っているのと同じなのである。

自工会豊田会長、原発は「安全目線で議論の進行を」

2022年5月19日 15:38

日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は19日に開いたオンライン記者会見で、原子力発電について「安全目線で議論を進行いただきたい」と述べた。全産業で脱炭素が求められるなか、化石燃料に頼らないエネルギー源の確保が急務となっている。再生可能エネルギーに原子力を含めるかどうかの議論も合わせて、前向きな議論を進めるように求めた。

「日本経済新聞」より

先月にはこんな注文もつけている。

が、その結果出た方針がこちら。

公明党に日和った「骨太の方針」というやつだ。もうアホかと。

自工会・豊田会長「日本の自動車税は世界一高い」、ネットでは減税への期待が高まる

2022年05月29日 06:00

豊田会長は次のように述べ、自工会として自動車税の減税を政府に強く求めていく方針を示した。

「自工会は今まで一貫して、複雑・過重な税制を簡素化してくださいと(自動車ユーザーの)負担軽減を要望してきた。一部要望は実現したものの、財源の埋め合わせとして別税目に付け替えなど抜本的な見直しは実現できていない。2019年には自動車税創設以来初の恒久減税をしたものの、日本はいまだ世界一高い税率であることに変わりはない。日本の成長に向けた大きな設計図を書き直す時期にきている」

自工会によると、日本では「自動車重量税」と「自動車税種別割」を合わせて、車を保有しているだけで13年間に62.8万円かかるという。自動車が基幹産業である各国と比べてみると、イギリスは29.2万円、ドイツは12.7万円、アメリカに至っては2.1万円しかかからない。日本は、アメリカの実に30倍もの重い税金がかけられているのだ。

「SAKISIRU」より

自動車税制の改革についても、多分、豊田氏と岸田氏の意見は合わない。岸田氏は死んでも減税とは言わないだろうからだ。

企業経営者として、政治のことを理解しているとはいえ、しかしどこかで折り合いが付けられなければとても応援などできない、それが豊田氏の考えだと思う。

他に支持できる政党が見当たらなくとも、自民党がコレではトヨタ自動車としても応援する気はないだろう。

日本国民はどちらの意見に耳を貸すか

では、現在の自民党の政策と、豊田氏の主張のいずれが合理的だと日本国民が考えるか?といえば、日本経済を背負って立つ側の主張の方に理があると考えるだろうと思う。少なくとも僕には「電気をもっと安く安定的に供給してくれ」「自動車の税金をもっと下げてくれ」というのには説得力はあると思う。

経済を回していく上でも、どちらも有効だと思うわけだ。

ハッキリ言って、今の日本は「何もしないで変えられる」ような状況には無い。悪くなるばかりである。

岸田氏にトヨタ自動車にヘコヘコ頭を下げろなどと言うつもりはないが、せめて少しでも納得させられるような政策をぶちあげられる程度には胆力を見せていただきたい。どうせ訪問をするのであれば、だが。

コメント

  1. こんにちは。

    モリゾー、多分に「こっち寄り」な車を作ってくれるので、凄く持ち上げてます。

    業界では本田宗一郎を神とあがめる風潮がありますが、七面鳥は、スズキの会長こそ「庶民の味方の神」、モリゾーはそれとは違う「荒ぶる神」なのでは、と思ってます。

    EV関連の発言なんか、よほど為政者より分かってる&現実味があるのですが、「決められない」岸田政権にどこまで響くか。

    ※泣いて教えを請う、くらいあってもおかしくないんですが。状況的には。

    • コストカッターの鈴木修氏に、現役ドライバーでもある豊田章男氏。
      なかなかの傑物ではありますが、バイクはスズキ、自動車はスバルを愛している僕としては、スバルと組んでおかしな車を作る決断をした豊田章男氏に対してもかなり評価が高いです。ええ、個人的な感想ですとも。

      とはいえ、その部分を差し置いて考えても、豊田氏の言い分は正しいのだと思います。
      脱炭素への流れはトヨタ自動車としても抗いようがない。だからこそ、色々な分野で本気の車を投入するという考えは、なかなかスゴイ覚悟だと思う訳です。そして、現実的な判断をしている様に思えますが……、政府のエネルギー政策にはウンザリしているんでしょうね。「どうしてくれるんだ」というわけで。

  2. 個人的には、トヨタには今後も「ローテク」こそを極め続けていて欲しいと願うばかりです。ハイテクなんてどうせ放っておいても短命な有象無象が湧き続けるのですし(暴言)。トヨタブランドに求められてるのは兎にも角にも、電気になろうが水素になろうが、「ご長寿なクルマであること」こそが第一というのは、見失って欲しくないところであります。

    • トヨタ自動車の中の人と色々話す機会はあるのですが、かなり危機感を持っているようですね。
      自動車がデカいスマホになる時代はすぐそこまで来ています。
      家電産業はソコでやられてしまいましたが、自動車産業はインフラを含めての業種なので、ローテク部分は疎かにせずに頑張って欲しいです。
      ……企業文化としては、割とローテク部分は疎かにしがちな会社なんですけどね。