【韓国】枯死はしなかったが、カタール100隻受注に危機

大韓民国

かつて、大量受注をホルホル喜んでいた韓国の造船業だったが、今になって青くなっている模様。

【コラム】安請け合いは、納期を守れるのかー韓国

2022年4月7日 06:00

2022年3月、韓国の造船会社が、アメリカ地域に住む船主から、運搬船2隻の発注を受けた。液化天然ガス=LNGの運搬船。約512億円の契約だ。2025年までに作られ、引き渡される予定だ。

「exciteニュース」より

これが4月段階のニュースなのだが、現状更に悪化しているようだ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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大量受注にカラクリが

100隻受注

そもそもこの話は2020年頃のニュースに端を発する。

カタールLNG船調達、100隻超・2兆円規模。日本造船は別枠商談。韓国造船3社に船台予約

2020年06月03日

カタール国営石油は1日、現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋の韓国造船3社とLNG(液化天然ガス)船の船台予約で合意したと発表した。隻数は計100隻以上で、2027年までに引き渡しを受ける。

「日本海事新聞」より

この頃の韓国は随分とホルホルと喜んでいた印象が強い。

韓国造船3社、カタールからLNG船受注 2兆円規模

2020年6月2日 21:00

韓国の造船大手3社が中東カタールから合計2兆円規模の液化天然ガス(LNG)運搬船を受注する。1日に初期契約を結び、今後数年で船の仕様や建造量を詰める。発注量は100隻超で、造船業界で過去最大規模の案件となる。現代重工業など3社の大型造船所の生産枠は2027年まで埋まることになる。国家主導で技術力を高める中国勢も一部を受注し、世界首位を争う韓中のせめぎ合いが一段と激しくなっている。

「日本経済新聞」より

韓国大好き日本経済新聞も、随分とこの受注について「喜びの声」をあげていた。

ただ、ここのニュースは、正確には100隻発注されましたー!ではなく、韓国の現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋の韓国造船3社で100隻作れる能力を確保しておくよ、という約束だった。

これは「スロット契約」と呼ばれる契約の種類らしく、当時から危機感を抱いたところもあったようだ。

韓経:韓国造船、「カタール100隻受注」に歓呼したが…その前に「枯死」危機

2020.07.08 09:33

今年上半期の世界の船舶発注量が過去最低となった。1997年の通貨危機、2008年のグローバル金融危機当時よりも少ない。造船業界では「カタール液化天然ガス(LNG)船100隻の発注がある前に枯死する」という声が出ている。

~~略~~

受注減少の理由は、新型コロナウイルスの感染拡大で船主が発注を先延ばししているからだ。現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業の「造船ビッグ3」はまだ今年の目標受注量の15%にすぎない。先月初め造船3社がカタールとLNG船23兆6000億ウォン(約20兆円)規模のスロット契約を締結したことが伝えられたが、今回の発表でまた雰囲気は冷え込んだ。業界関係者は「覚悟はしていたが、蓋を開けてみると予想よりはるかに深刻だった」とし「最悪の雇用寒波が襲った2016年と似た雰囲気」と伝えた。

「中央日報」より

実発注がないとお金が手に入らないので、お金を手に入れる前に枯死してしまう。「スロット契約」では生きていけない!というわけらしい。

材料からして手に入らない

そして、昨今の韓国の状況から、更にマズイ状況になりつつある。

しかし、今、いろんな部品が、世界中で足りない。コロナ禍でもあるし、また、ウクライナ問題もしかり。日本では、自動車メーカーも車を作れているとはいえず、新車がいつ手に入るかわからない。これに関しては、今所有している車を丁寧に乗り続け、納車の時期を待つしかない。

~~略~~

そんな状態の世の中で、韓国だけが、納期を守った仕事ができるとは到底思えない。小さな船ならともかく、この会社が大きな船を納品したのは、2018年の韓国軍の潜水艦が最後だ。2020年6月に、カタール国営石油株式会社のLNG運搬船を、100隻仮契約したものの、未だ本契約は締結されてはいない。

この会社の船舶の売り物は、高圧二重燃料推進エンジンと高度化された再液化設備の搭載。世界的な脱酸素基調に沿って、持続的は発注をと願ってはいるものの…LNG運搬船7隻、コンテナ船6隻、海洋プラント1基、メンテナンス1基の受注で、34億7000万ドルの見込み。年間目標89億ドルの約39%にしか過ぎない。それすらも、納品していないから絵に描いた餅状態だ。いくら契約できても、納品し、全額払ってもらってからでないと国益に貢献する会社とは言えない。

「exciteニュース”【コラム】安請け合いは、納期を守れるのかー韓国”」より

恐ろしい話だが、未だに100隻の仮契約は仮契約のままで本契約が締結されていないというのだ。しかしドッグは予約されていて開けてある。幸か不幸か製造能力に余力があるが、世界的に造船発注が冷え込んでいるので、そのまま製造能力は温存されているようだ。

だが、残念な事に、納品して代金を支払って貰えないので、赤字を垂れ流す状況である。

約束の時

でまあ、いい加減、世界経済も好転し始めたので、船の受注が増えるのか、という状況のハズなのだが。

韓国造船業界の業績好転、ロシアの砲声とともに消えるのか

5/30(月) 10:49配信

今年と来年は、造船業の投資家にとっては「約束の時間」だった。今年下半期から造船3社(韓国造船海洋・サムスン重工業・大宇造船海洋)の実績が可視的に改善され、来年からは営業黒字を出すという見通しが圧倒的だった。今年第4四半期に早めにターンアラウンドし、営業黒字を出す企業があるだろうと見通す専門家もいた。

~~略~~

最近になって造船業界の足を引っ張るイシューとしては、厚板(厚さ6ミリ以上の厚い鉄板)の値上がりとカタールプロジェクトの大規模な赤字の可能性がある。昨年、造船3社は計4兆4500億ウォンほどの営業損失を出した。上半期だけで3兆ウォンの営業赤字を記録したが、厚板の値上がりの影響が最も大きかった。

「yahooニュース」より

ロシア軍がウクライナへの侵攻をしたことで、世界的に天然ガスの需要が大きく変化したことと、材料費が高騰していることが問題視されている。

厚板価格の上昇が、今やカタールプロジェクトにまで影響を及ぼしている。2020年6月、カタール石油公社(QP)と韓国造船3社は協約を結び、2027年までにLNG船110隻の発注の本契約を結ぶことにした。ところが本格的な発注を控えて、カタール側が当時暫定合意した船舶価格に固執していると伝えられた。

「yahooニュース”韓国造船業界の業績好転、ロシアの砲声とともに消えるのか”」より

更に、カタールの100隻受注の話、材料費連動型の契約ではなく、契約時に合意した船舶価格での受注という約束になっていて、記事にあるような「最近の原材料価の上昇分を反映した価格に調整」は出来ない模様。

初期の物量では損失が発生する可能性はありうるが、同じ船を繰り返し製造するため、設計コストの削減効果などを通じて、プロジェクト全体では長期的に利益を上げることができるという説明だ。

「yahooニュース”韓国造船業界の業績好転、ロシアの砲声とともに消えるのか”」より

韓国にとっての約束の時は、巨大損失を産み出す恐怖の時間となる可能性が高いのである。「同じ船を繰り返し製造する」という量産効果の話を出しているところからも、メーカーはその契約の問題点を理解してはいるのだろう。

これ、受注しても地獄だが、受注が流れてしまっても地獄なのである。

支那が手を挙げている

実際にこんなニュースが。

中国造船業はLNG運搬船市場に注力 激増する注文に積極対応

2022.04.27

中国船舶集団等は、商船三井との間で17万4000立方メートルの液化天然ガス(LNG)運搬船4隻の建造契約を結んだと発表した。これは「カタール百船建造計画」の一部で、船舶集団傘下の滬東中華は今年、既に大型LNG運搬船11隻の建造を受注し、韓国の現代重工業とともに世界の造船会社のトップに並んだという。

「日経BP総合研究所」より

支那がカタール100隻建造計画のうち11隻を受注したというのだ。

いやー、スゴイネ。

韓国政府もこの問題の解決に乗りだしているようだが、韓国政府としてもLNG運搬船の値上げ交渉はちょっと難しい様だ。単純に船舶製造代金がLNG価格に反映されてしまうと、大幅にLNG価格は上昇するだろう。

韓国政府としてはカタールに船の代金を値上げ交渉した場合に、返す刀でLNG価格の値上げ交渉をされてしまうリスクがある。タダでさえ市場価格は6割も値上がりしているLNGである。下手に交渉できるハズも無い。

日本の造船業も他人事ではないのだが、韓国造船業は二重苦・三重苦を背負っているのである。

コメント

  1. 韓国造船各社は、雇用維持政策のために政府から様々な優遇措置を受けていますが、それでも各社が巨額赤字決算を繰り返し、直近では改善の見込みもないとなれば、金融機関の負担が増え、資産が目減りし、企業評価が落ちて、株価が下がり、人件費の削減が求められ、納税も出来なくなる。やがて、韓国も造船業という重厚長大産業の”縮小”に取り組むことになるでしょうね。

    • 韓国造船業は、船会社が多すぎるので、一本化するのが先決でしょう。
      しかし、その事を嫌ったせいで100隻を無理矢理受注した疑いがありまして。
      何しろスロット契約ですから、ソレを盾に「後から金が入るから、延命してね」と政府に迫りやすい。