脱炭素社会の切り札と持ち上げられる洋上風力発電、本当に大丈夫ですか?

政策

お花畑臭全開のニュースだが、いつの間にか日本は洋上風力発電を推進する話になったのだろうか。

再生可能エネルギー普及に向けての主役へ

シンポジウムの冒頭では、パネラーたちが洋上風力に関するそれぞれの取り組みを説明した。

「朝日新聞」より

えーと、引用しているのは朝日新聞からなのだが、リンク先はクリックする必要は無い。頭が痛くなるだけだからね。普通のニュースではないので読む価値もないし。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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風力発電は日本を滅ぼす?

事業化は難しい

諸外国では洋上風力発電はモノになっているところもあるのだが……。

脱炭素社会へ、洋上風力発電は再生可能エネルギーの切り札になるか? 自治体の対応は積極派と慎重派で割れる 事業化への道見えず

2022/05/19 15:00

鹿児島県は、薩摩半島沖で取りざたされている三つの洋上風力発電計画を巡り、事業化に必要な手続きの第一歩となる「国への情報提供」を本年度も見送った。積極姿勢のいちき串木野をはじめ3市が事業化手続きに前向きな一方、日置、南さつま両市は慎重姿勢。沿岸5市の対応が割れている。共通するのは「判断材料不足」。計画する事業者や国、県に詳細な情報発信を求めている。

「南日本新聞」より

実は、日本では結構この洋上風力発電に関しては問題点が多い事が分かってきている。

この記事は、福島県沖に浮体式洋上浮力発電設備を設置して実証研究事業を行ったが、その結果「実用性ナシ」という事になって、商業化は断念されたという話である。

日本の風力発電に関する技術力が不足していたという分析もできるかも知れないが、僕が結果を分析する限り、日本周辺の海で安定的な発電をすることは困難であるという風な判断となる。

理由は、大規模な風車を利用するに適する風況を得られず、結果的に発電コストが高くなりすぎるという事が分かったからだ。実証ベースの発電単価は57.3円/kWhで、この結論を得るのに600億円を投じている。

菅義偉政権が推進した洋上風力発電

こうしたデータが得られたにもかかわらず、菅義偉政権の時代には積極的に洋上風力発電を増やそうという話になった。

ここで紹介した事例でも、イギリスが積極的に風力発電用の風車を陸上にも海上にも作り、発電コストは天然ガス火力発電の3倍以上という事になっているようだと。

つまり、日本に限らず風力発電はさほど上手くいっていないという意味だ。

イギリス周辺の海は、遠浅の海に比較的恵まれた海域である様で、洋上風力発電がそれなりに増やせたのもそういった事情があったからである。更に、穏やかな偏西風によって風況が良く、発電するのに適した環境であったことも良かったと分析されている。ヨーロッパには台風やハリケーンのような強風が吹き荒れる事が少ないというのもポイントのようだね。

だが、それでも発電コストは火力発電より遙かに高い水準にあって、トータルで考えるとイギリスでも風力発電は厳しいという結論になる。尤も、自前の発電手段を持っていると言うことの意味は大きいので、「だから無くせ」という話とは違う。掘削コストの高い北海油田を維持していることも、イギリスにとっての安全保障の一環であるので、バランスさえ考えれば風力発電にもそれなりの意義はあるのだとは思う。

日本には適した場所が少ない

ここまで書けば、凡そ日本では成功するビジョンが見えない、ということはお分かり頂けるのではないだろうか?

もちろん、それが分かった上で技術開発をするということに関して否定する積もりは無い。ただ、商用ベースでは凡そ成功の見込みが無いというのが現状の評価である。

更にこちらの図だが……、洋上風力発電をする上でその適性があるかを環境省が調べたものである。

img

環境省の試算なので、何処まであてになるかは分からない。

だが、経済性のある8.0m/s(平均7.0m/sあれば発電可能とされている)以上というと、一部に限られるのが実情である。

洋上風力発電の事業者公募/早期運転開始を重視/評価見直し案を提示/エネ庁、国交省

2022-05-24

資源エネルギー庁と国土交通省は23日、総合資源エネルギー調査会と交通政策審議会の合同会合を開き、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者公募の評価見直し案を提示した。洋上風力の導入を早める観点から、早期の運転開始を高く評価できる仕組みにするとともに、計画より遅れた場合にはペナルティーを課す。委員からは見直し案に賛成する声があった一方、「早期実現のウェートが大きすぎる」など問題点を指摘する意見が上がった。

「建設通信新聞」より

にもかかわらず、行政は導入に随分と前のめりなんだとか。

ちなみに、問題は他にもあって、支那が随分と風力発電に力を入れていて、今や世界トップレベルの技術力を手に入れつつあるという評価になっている。

だが、支那の風力発電が本当に優れたものなのか、という点については未だによく分からない。経済性についても耐久性についても、支那は明らかにしていないのだ。あそこは、国策で洋上風力発電を推進して、それなりの技術を手に入れた、と、そういう事である。

これがヨーロッパの風力発電にも影響していて、支那から部品が手に入らないと、風力発電用風車の修理が出来ないとかそういう事案がチラホラ聞かれるようだ。

ああ、経済性という意味では、風が弱くてもダメなのだけれど、台風の進路になりやすい場所というのもマズイし、波が高くなりやすいというところもマズイ。陸上風力発電で北海道に多数風車がある理由も、風況が良い上に台風の通り道になりにくいという事情が大きいようだ。

淡路島での失敗事例だ。

もちろん、そんな事は分かっていて、台風にも耐えるIEC(国際電気標準会議)が2019年に新設した「クラスT」という規格の風車も出始めているようだが、その規格でも複数回の台風に耐えられるのかは分からない。コストに見合う発電が出来るのか、というところも重要である。

富山沖で3基

そんな訳で、日本が洋上風力発電に前のめりになった結果、どうなっていくかというとこちら。

中国洋上風力、日本に進出 富山沖で3基受注へ

2022年2月3日 20:00

中国の風力発電機大手、明陽智慧能源集団(明陽智能)が日本市場に参入する。富山県沖で計画する洋上風力発電事業について、清水建設から受注することで合意した。中国メーカーが日本で洋上風力発電機を納入するのは初めて。安価な製品は日本国内の洋上風力発電の普及を後押しする一方で、中国製の導入に慎重な声もある。

「日本経済新聞」より

支那の風力発電機大手が日本の発電機を受注したそうだ。

中国企業が洋上風力発電に触手 日本を丸裸に

2022/5/6 17:52

太陽光や風力を利用した再生可能エネルギー事業が拡大する中、今年に入り中国企業が日本の洋上風力発電事業を受注したことが報じられ、関係者に波紋を広げている。中国資本が太陽光発電事業でわが国に手広く進出していることは、昨年11月22日付本紙で報告したが、洋上風力発電にも手が伸びてきたのか。日本の沿岸で何が起きようとしているのか、検証する。

「産経新聞」より

この記事は会員限定記事なのでちょっと残念ではあるが、この件で想定される問題は2つ。

  1. 外国資本の風力発電所が出来上がってしまうこと
  2. 風車を建てる海域の詳細なデータが盗られてしまうこと

太陽光発電の時にも同じ失敗をしているにも関わらず、風力発電でも同じ事を繰り返すのかと思うと頭が痛くなる。

前にも書いたが、外国メーカーの技術を使うとイニシャルコストを下げられてもランニングコストは寧ろ上がってしまい、実際に北海道をはじめとする陸上の風力発電所のいくつもが、故障した部品の修理がままならず放置される事案がある。

実例があるのに無視して進めるのは、行政の責任として如何なものだろうか。

経済安全保障、エネルギー安全保障

支那企業は失敗しても責任はとらない。幸運にも成功したとして、部品供給が続けられるかは不明。更に、国家的な圧力をかけて発電所を停止させてしまえば、日本の電力供給網に穴を開けることが可能となる。これは日本の国政にとって極めてマズイ事態を迎えることを意味するのである。

更に、周辺海域の詳細なデータは風車を建てる上で必要なのだろうが、日本に侵略するときに使えるデータでもある。「何を荒唐無稽な」と笑われるかも知れないが、安全保障上必要なデータを敵国に渡してどうしようというのか。

尤も、この話は「絶対にダメだ!」という積もりは無い。そういうリスクがあるから懸念すべきだというそういうレベルの話なのである。少なくともそういったリスクを踏まえた上での評価は本当に出来ているのか?という事である。

経済安保強化へ内閣府に調整部署・重要物資の安定供給を支援…「骨太の方針」原案

2022/05/25 05:00

政府が6月上旬にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案がわかった。経済安全保障の強化に向け、内閣府に「経済安全保障推進室」(仮称)を設置することなどを盛り込んだ。31日の経済財政諮問会議(議長・岸田首相)で示す。

「讀賣新聞」より

経済安全保障などと勇ましい事をいったものの、足下は大丈夫なんだろうか?と、そういう話でもある。

今、IPEFやQuadなどとはしゃいだところで、エネルギーインフラを握られてしまえば、日本政府は支那の圧力に屈しざるを得ない。改めて安全保障に関しての考え方を問われる時代なのだと、その様に思うからこそ、「洋上風力発電は大丈夫ですか」と、そう問いたい。

コメント

  1. IPEFは、チンコムの現代版のカバーではないかと見てます。
    今後、中共経済圏に依存しなくする。ドイツの二の舞は避けるいみでも。
    再生可能エネルギー機器の自由主義経済圏での内製がクローズアップされるのかなぁ。

    • 再生可能エネルギーは地雷が多いので、果たして覇権争いというような展開になるのか。
      石炭火力発電はそこそこ有望っぽいんですが、完全に悪者です。作為的なものを感じますなぁ。

  2. こんにちは。

    神奈川県の三浦半島に、風力発電のペラが回ってた公園がありまして。
    子供が小さい頃、そこにドライブがてらお弁当食べに行くのが割と楽しくて好きだったのですが。
    ずいぶん前に撤去されました。

    老朽化が主原因とのことですが、コストも見合わなかったのではないかと。
    そもそもが実験設備だったらしいですが。
    http://www.city.miura.kanagawa.jp/kankyou/wind_power.html

    ……と思ったら、今年から再建されて再稼働始めたようで。

    >ヨーロッパには台風やハリケーンのような強風が吹き荒れる事が少ない

    欧州では、風車の敵はラ・マンチャの男くらいですからねぇ……これからますます強力化する台風で吹っ飛ばないことを祈ります。

    • 風力発電も「全てがダメ」という積もりは無いんですけど、もうちょっと効率などをしっかり考えて運用できるものを選んでいって欲しいと思います。
      ……とはいえ、ご紹介頂いたサイトでも、データを見るに、定期的に発電量が少ない年度があって、どうやら故障などによって止まっている期間が影響しているようですね。
      安定的な発電手段とは言い難いというのが実情なのでしょう。