インド首相のモディ氏、安倍・菅両氏と面会していく

インド

ちょっと象徴的な出来事があったので、軽く触れておきたい。

安倍・菅両氏、モディ首相と面会 安倍氏は日印協会長に

2022年5月24日 19:00

自民党の安倍晋三元首相は24日、都内のホテルで来日中のインドのモディ首相と面会した。日米豪印4カ国による「Quad(クアッド)」などが話題にのぼった。菅義偉前首相も同日、モディ氏と会った。

安倍氏は日印間の友好親善活動を進める日印協会の会長を前任の森喜朗元首相から引き継いだ。森氏も同席し、会長の交代を報告した。

「日本経済新聞」より

Quadの会合のために訪日したインド首相のモディ氏だが、安倍・菅両氏に面会をしたというニュースが報じられた。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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インドの狙いとは

インドはアメリカと組むのに心理的抵抗があるようだ

インドのこれまでの動きを見ていくと、「大国としての自負」らしきものがある様で、支那と付き合うのもアメリカと付き合うのもロシアと付き合うのも、「それなりの距離を置く」というスタンスが見てとれる。

そこが、支那にとっての「付け入る隙」とも言えるのだが、支那としてもインドとは軍事的に衝突することがあり、国境付近で睨み合いが続いている相手でもある。

一方で、インドとアメリカとの間の関係は、ロシア製兵器を多数インド軍が使っていることと、NPTに加盟せずに独自の核兵器を保有していることなどから、アメリカにとっての味方という印象ではない。

結局のところ、インドは独自に防衛なり貿易なりそういった方針を決定していきたいのであり、何処かの国と一緒にベッタリというのは好まないようである。

対ロシアで注目、インド「非同盟」の複雑な立場

4/16(土) 6:32配信

世界には約200の国があるが、「大国」と呼ばれる国はごくわずかである。大国の条件は、他国の圧力や影響によって自国の政策を変えることがない、逆に他国に対して影響力を行使し地域や世界の秩序を作りだすことができる国だ。冷戦時代のアメリカとソ連、現在のアメリカや中国が該当するだろう。

~~略~~

冷戦時代にアメリカ、ソビエト連邦、いずれの側にもつかない「非同盟勢力の雄」を標榜してきたインドの外交は、今日も特定の勢力に与しない「戦略的自律性」が特徴だ。ロシアに対する今回の対応もその延長線上にある。しかし、もはや「大国途上国」を卒業する日は間近となっている。インドが大国への道を着実に進もうとしていることは明らかで、ウクライナ戦争に対する対応もその布石だろう。

「yahooニュース」より

インドの戦略を理解して、アメリカも割り切った付き合いをするつもりはある様で、科学技術に関する協力など幅広い分野で関係を持とうとはしているらしい。

ただ、感情的な部分は別。

4月11日にオンラインで行われたアメリカのバイデン大統領とインドのモディ首相の会談は国際社会における今のインドの位置を象徴的に示していた。バイデン大統領がインドの対応について強い不満を持っているのは明らかだったが、それを口にすることは極力抑えた。

「yahooニュース”対ロシアで注目、インド「非同盟」の複雑な立場”」より

アメリカは、世界の警察は辞めても、世界のリーダーで居続けられると勘違いしているようなので、面白くないのは事実だろう。

インドとしても、アメリカの軍門に降るつもりは毛頭無いようだ。

安倍氏と面談

さて、そんな時に「日本」でQuad首脳会合が行われ、「日本」でIPEFの発足が発表された。

IPEFに台湾は当面加わらず 米大統領補佐官が明らかに

2022年5月22日 21時59分

米国が23日に協議の開始を発表するインド太平洋地域の新たな経済枠組み(IPEF)に、台湾が当面は加わらないことがわかった。サリバン米大統領補佐官が22日、明らかにした。台湾のIPEF参加には米国内に待望論があり、台湾自身も前向きだった。ただし、実現すれば中国の反発は必至の情勢だった。

「朝日新聞」より

本来、IPEFの趣旨からすれば、台湾をIPEFに組み込まないのは片手落ちとも呼べる状況だ。特に半導体関連のサプライチェーンを組み上げるためには、台湾抜きと言うことは考えにくい。

ただ、台湾という国も「独立」を明言できない事情がある。「そもそも独立している」という考えもあるようだが、支那と事を荒立てることはしたくないのが台湾の本音でもあり、状況的にはウクライナに近いものがあるだろう。IPEFはNATO程強固な集団安全保障体制を構築できていないし、今後も難しいのだが、台湾をIPEFに加えることで、にわかに他の加盟国の危険を高めるリスクを孕んでいる。ウクライナがNATOに加盟が難しかったように、台湾も容易にIPEFに入ることが出来るとは言えない。

そのようなIPEFの緩さと、IPEFの規模感。Quadの緩さとQuadの規模感を現状のような感じにするためには、台湾をここに関与させることは難しい。多分だが、インドがその何れにも加盟する条件に台湾のことは含まれていたのだろう。

翌日に否定こそしたが、アメリカ軍は台湾有事において「動く」とバイデン氏が言及し、これは3回目の失言だと言われているが、僕自身は確信犯であろうと考えている。つまり、台湾に対する曖昧戦略を維持しつつ、これまでよりも影響力を高めるために牽制をしたというのが実情だったのだと、そんな風に思う。そして、そこが限界であったとも言える。

安倍元首相、日印協会会長に就任 モディ氏から謝意も

2022/5/24 20:42

自民党の安倍晋三元首相は24日、日本とインドの交流発展を目指す財団法人「日印協会」の新会長に就任すると発表した。現会長の森喜朗元首相から引き継ぎ、6月9日に就任する。

「産経新聞」より

安倍氏がモディ氏と直接面会した理由は、表向きは「日印協会」の新会長に安倍氏が就任する為に、その挨拶ということになっている。

もちろん挨拶は必要だったと思うのだが、このタイミングを狙ったのはわざとだろう。モディ氏は安倍氏とのパイプを維持したかったし、安倍氏もモディ氏との関係を深めたかった。日程のことはそうした両者の思惑が一致した結果だとそう思う。

これが「政治」というヤツなんだろう。

菅氏も面談

ちなみに、モディ氏は菅氏とも面談している。

インド・モディ首相と安倍元首相・菅前首相それぞれ会談 強固な信頼関係構築へ

2022年5月24日 火曜 午後8:52

安倍元首相と菅前首相が24日、日本を訪問中のインドのモディ首相とそれぞれ会談した。安倍・菅両氏が創設や開催を主導してきた日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の日本開催を評価し、モディ首相の来日を歓迎した。

首相経験者が相次いでモディ首相を出迎える厚遇の背景には、クアッド創設を巡り、インドが当初、枠組みへの参加に難色を示した経緯もある。首相経験者も含めた良好な関係を構築することでより強固な信頼関係を構築したい考えだ。

~~略~~

菅氏も「こういう状況下のなかでクアッドが対面で開催できたことはよかった」と強調した。

「FNNプライムオンライン」より

安倍氏の後を継いだ菅前首相も2021年9月にアメリカで、対面で初めて開かれたクアッドに出席し、中国に対抗するための連携強化や途上国へのワクチンの安定供給など、新型コロナウイルス対策での連携を確認した。

「yahooニュース」より

興味深いのは、菅氏のモディ氏との面談は、安倍氏とは別に行われた点だ。おそらく、モディ氏を歓待するという理由があったのは間違い無かろう。

インドは前述したように独自路線を採りたいのであって、アメリカと付き合うにしても、その関係は一定の距離を置いておきたいという狙いがある。

それなら安倍氏と菅氏は同席で面談すれば良いのに、個別にやったと言うところに菅氏に対するリスペクトも感じる。序でだとしてもしっかり会っておきたいということなのだろうね。

日印首脳会談

令和4年5月24日

5月24日、岸田文雄内閣総理大臣は、日米豪印首脳会合出席のために訪日中のナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)との間で、迎賓館において、午後6時20分から約70分間、首脳会談を、また、午後7時44分から約50分間、夕食会を行ったところ、概要は以下のとおりです。

「外務省のサイト」より

もちろん、仮に形式的であったとしても、モディ氏は安倍・菅両氏の前に現首相の岸田氏と会談をしているワケで、岸田氏とモディ氏の会談内容を見るに、「幅広い分野」について協力を、という感じの余り踏み込んだ感じのしない内容となっている。

敢えて言えば、高速鉄道関係の話が出ていることは評価すべきかも知れない。

その後で、日本の政治に影響のありそうな二人としっかりコネクションを確認したところに、モディ氏の強かさを感じる。これで71歳なのだが、アメリカ大統領は79歳だからなぁ……。未だ若いと言えるかも知れない。

結局、インドの狙いはアメリカとの付き合いを日本を挟んでワンクッション置いた付き合いにしたいというのが本音のようだ。それが、安倍氏や菅氏のような属人的な繋がりによる形だというのは少々不安定ではあるが、今後日本がインドとの関係を深めるためには、日印協会のような公益財団法人や或いはもっと民間レベルの付き合いも含めて関係強化を図っていくしかあるまい。

日本としては、インドが日本との関係を深める気があることをチャンスと捉えて更なる関係強化を図るべきだろう。良くも悪くもインドも日本のシーレーンに大きく関係する国である。そして、幸いなことにインドは「民主主義の看板」を掲げている、支那よりも付き合いやすい国だ。

少なくとも決めたルールは重んじてくれる気配があるしね。

コメント

  1. こんにちは。

    こういう、西側と南側の齟齬の緩衝材としての役割こそ、日本がすべき仕事なのだと、最近思うようになりました。

    ※どっかの半島国が同じようなことを「バランサー」とか言ってやろうとして、単なる蝙蝠野郎になってましたが。
    ※劣化過激化した中華文明の末裔では、そりゃそうだろうと。

    議会制民主主義かつ資本主義国だが西側(≒キリスト教圏)とも違う、アジア人種だが南側とも違う、しかし、双方と相応に理解しあえる、独立した文化圏として。

    同じ理由で、西側とロシアの仲立ちも、多少なりとも出来るはず、だと思っているのですが……ロシア側が今、それどころじゃないですからね……

    • 日本は日本の立ち位置を深く理解して動くと良いと思うんですよね。
      実際にその事を期待して、ドイツやフィンランドからトップがきて、アメリカが来て、インドも来て。
      愚かしくも「和を以て貴しとなす」という精神を貴ぶ日本です。流石に少年漫画のように敵を仲間に入れろという話ではなく、同じ志を持った仲間を大切にしろという話でして。
      今回の様な機会は大切にしたいですよね。