韓国で始まる「積弊清算」

大韓民国

あー、あるある。

積弊清算せきへいせいさん」とは、意味合いとしては「積もっている弊害を清算する」という意味で、ムン君も登場した時に、大々的にこれをやった。要は前政権の否定である。

[社説]「尹錫悦派」一色の韓国検察人事、政治的中立性が心配だ

登録:2022-05-19 10:06

ハン・ドンフン法務部長官が就任翌日の18日、法務・検察の高官の人事を断行した。懸念された通り、ソウル中央地検長、法務部検察局長などの要職にいわゆる「尹錫悦大統領派」の検事たちを前進配置した。検察内外の懸念を無視し、典型的な「身内人事」を推し進めたのだ。検察の独立性と政治的中立に対する最小限の考慮すらなさそうだ。

「ハンギョレ」より

韓国の左派系新聞「ハンギョレ」は社説で「政治的中立性ガー!」と声を上げているが、これ、毎回だから。

スポンサーリンク
同カテゴリーの人気記事

この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

<同カテゴリーの人気記事>

スポンサーリンク
スポンサーリンク

繰り返される惨劇

正当性の主張

古代支那において、儒教思想に基づく王朝交代を正当化する「易姓革命えきせいかくめい」と呼ばれる理論がある。

王朝には正当性が必要であるので、「天が己に成り代わって王朝に地上を統治させる」というロジックで、君主は「天に選ばれている」という風にして正当性を主張するわけである。ところが、王朝が交代するとこのロジックがおかしな事になる。だから、旧君主は徳を失い天に見切りを付けられた、だから新たな君主が見出されたということになるらしい。

この時に「姓がわる」つまり「易姓」の革命が起こるのだというロジックなのだけれども、悲惨なことに旧君主やその取り巻きは徳を失ったことになっているので、不徳と悪逆が強調されることになって、結果的に旧支配者とそれに連なる一族は皆殺し、良くて追放という運命を辿る事になる。

韓国で言う積弊清算はまさにそういう話なのだ。

政治・社会的な重要事件が集中する全国最大の検察庁を率いるソウル中央地検長にソン・ギョンホ水原地検検事、検察人事と予算を担当する法務部検察局長にシン・ジャヨン・ソウル高等検察庁訟務部長、空席の検察総長を代理する最高検察庁次長検事にはイ・ウォンソク済州地検長が任命された。ソン地検長は、ハン長官の指揮下でチョ・グク元法務部長官の捜査を総括した代表的な「尹錫悦派」の検事だ。シン局長も、朴槿恵国政壟断特検チームで尹大統領、ハン長官と歩調を合わせた側近の検事だ。イ次長検事も、尹錫烈検察総長当時、最高検察庁で企画調整部長を務めるなど、尹大統領と近い間柄だ。一言で言って、尹大統領・ハン長官と運命共同体といえる特殊通の検事一色で法務・検察の要職を埋めたということだ。

「ハンギョレ」より

くどくどと書かれているが、要は、大統領に君臨したユンユンが取り巻きを身近に置いたということである。ユンユン派で周りを固め、ムン君派は左遷したと、まあそういう話である。

親文在寅の検事長ら大挙左遷、法務研修院に異動

記事入力 : 2022/05/19 11:57

尹錫悦政権発足後初めて、18日に発表された検察人事で、文在寅前大統領寄りの検事が大挙左遷された。

「朝鮮日報」より

こちらは朝鮮日報で、同じ事を記事にしているが、流石に「政治的な中立性が云々」とは書いてはいない。良くある話だからね。

ムン君ももちろんやっていた

ちなみに、過去の事例を1つ紹介しておこう。

元大統領逮捕、韓国「積弊清算」の底流にあるもの

2018/03/29 10:01

韓国・ 文在寅 政権が進める「積弊清算」の下で、また一人、大統領経験者が逮捕された。収賄などの疑いで今月22日に逮捕されたのは、 李明博元大統領。大統領経験者の逮捕は4人目である。繰り返される逮捕劇に対しては、政治報復との批判もあるが、それだけでは今起きていることの全体像は理解できない。「積弊清算」の底流にある考え方を知り、韓国社会の変化に目を凝らすことで、何が見えてくるのか。韓国情勢に詳しい新潟県立大学教授の浅羽祐樹さんに寄稿してもらった。

「讀賣新聞」より

ムン君は、過去に「積弊清算」を錦の御旗に掲げて、青瓦台(韓国のホワイトハウスにあたる場所)に入った。大統領経験者であるアキヒロ君を逮捕した話なんだけど、その前にクネクネも弾劾、逮捕しているので、ムン君は派手にやったと言うことだね。

なお、検察人事もそれ以外の人事もかなり手を入れたムン君である。それを知っていてハンギョレはユンユンだけ批判して「政治的中立性ガー」というのはオカシイ。

そもそも韓国に、政治的中立性など存在しないのである。「ウリ」か「ナム」しかないのが韓国という国の文化なのだから。

否定される韓国版ニューディール

さて、ユンユンは初閣議で補正予算を決定している。過去最大規模の補正予算なんだとか。

尹錫悦政権が初閣議 過去最大規模の補正予算案を決定

2022.05.12 18:29

韓国の尹錫悦政権は12日に開いた初の臨時閣議で、2022年度(1~12月)第2次補正予算案を決定した。

59兆4000億ウォン(約5兆9700億円)と過去最大規模で、新型コロナウイルスの流行に伴う防疫措置で打撃を受けた370万の小規模事業者らに600万~1000万ウォンの損失補填(ほてん)金を給付するほか、小規模事業者を対象に債務調整を含め40兆ウォン余りの金融支援を実施する。

「聯合ニュース」より

随分と大掛かりな第2次補正予算の決定をし、中小規模の事業者に対して救済を行ったなぁという印象の記事になっているが、この予算はムン君がやってきたように赤字国債を発行して対応したというわけではない。

ユンユンは、どうやら国債発行で予算を作るやり方には否定的なようで。その事は、韓国においては適切な判断(日本では違う)であると思う。しかしそうすると、何処かから予算を持って来なければならないわけで。

韓国 補正予算案財源確保へ「国防予算1500億円」減額=与野党から批判の声 

2022.05.17 17:00

韓国政府が新型コロナウイルス関連の経済対策を盛り込んだ補正予算案の財源を調達するため、2022年度(1~12月)の国防予算から1兆5068億ウォン億ウォン(約1500億円)を減額したことが17日、分かった。22年度の当初の国防予算は54兆6112億ウォン。国防部の予算から9518億ウォン、防衛事業庁予算から5550億ウォンを減額したもので、同日に開かれた国会国防委員会では野党の国会議員から「安全保障に穴を開けている」などと厳しく批判する声が相次ぎ、与党議員からも懸念を示す声が上がった。

「聯合ニュース」より

国防費をこのタイミングで減らしたのもなかなか「英断」だと思う。が、もう一つ減らされたカテゴリーがある。

来年から予算ダイエット、財政準則の導入をこれ以上先送りするな

Posted March. 31, 2022 08:40, Updated March. 31, 2022 08:40

政府は29日、来年の予算案編成の際に支出の構造調整を通じて10兆ウォンの追加財源を調達することを明らかにした。執行不振事業の削減や様々な基金の統廃合、小中高校の教育財源配分の効率化、防疫用期限付き支出の正常化の4大財政革新案で、文在寅(ムン・ジェイン)政府の拡張財政基調を正常化しようという趣旨だ。来年度の予算案で、現政府が力を入れてきた「韓国版ニューディール」や包容的先導国家転換課題を減らしたり廃棄したりするなど、財政事業の大幅な転換を予告したのだ。

「東亜日報」より

詳細が報道で出ていないのだが、かねてから予告していた「韓国版ニューディール」の大幅削減をやったようだ。その額は1兆1,000億ウォン

国防費と同等の額をカットしたようである。まあ、国防費についても韓国版ニューディールに関しても、「無駄遣い」と言っても問題無い程度にはおかしな方針だったから、まあ、英断といって良いのでは無いだろうか。

でも、前政権完全否定だな。

「ニューディール2.0」に21.1兆円 250万人の雇用創出へ=韓国

2021.07.14 13:51

韓国政府は14日、新型コロナウイルス後の時代を見据えて昨年7月に打ち出した国家発展戦略「韓国版ニューディール」をアップグレードした「韓国版ニューディール2.0」政策を発表した。

「聯合ニュース」より

ムン君は2.0にバージョンアップさせたと怪気炎を上げていただけに、哀れと言うより他ない。正直、ムン君のやりたかったことそのものが悪かったとは思わないが、特にグリーンニューディール分野の予算の大盤振る舞いは、ちょっと韓国ではダメだろうと思うものが多かったんだよね。

この記事では詳しくやらないが、積弊清算という切り方で考えれば、なる程、単純に前政権の否定なのだと。尤も、ムン君の政策が酷すぎたのも問題なんだけどね。

え?前大統領逮捕?それは今後の展開次第だけど、あるんじゃないかなぁ。

追記

バイデン氏訪韓

ちょっと筋が違うのだけれど、面白ネタがあったので追記しておきたい。これ、新しい記事西他方が良いかも知れないけれど、軽いんだよね。

議論だけ生み不発に終わった文前大統領とバイデン大統領の会合…いったい何があったのか

2022.05.19 18:02

20~22日のバイデン米大統領の訪韓日程に合わせて推進された文在寅(ムン・ジェイン)前大統領との会合が訪韓を前日にした19日に白紙となったことがわかった。

文前大統領側関係者は中央日報との電話で「バイデン大統領の訪韓期間中の文前大統領との面談ができなくなったという決定をこの日午前に米国側から伝えられた。米国首脳が初めて韓国の前大統領とまで会うのは両国の堅固な同盟関係を確認する次元でも良い前例になれたのに残念だ」と話した。

「中央日報」より

このネタは、事の発端がアメリカ大統領のバイデン氏が日本に来る前に韓国に寄るよ!というところからスタートしている。

韓国にとって、韓国大統領に就任したユンユンのところにバイデン氏が来るよ!という話は、「日本に優先してくる」という、これまでにないサプライズに盛り上がるには十分インパクトがあったようだ。

バイデン氏が訪日する理由は、QUAD会合が東京で行われるので、それに出席するためだというものである。また、これにあわせてバイデン氏発案のインド太平洋経済枠組み(IPEF)発足というイベントもあって、バイデン氏としては失敗できないところだろう。

中間選挙前に実績が欲しい

正直、アメリカにおけるバイデン氏の支持率は凋落の状況にある。アメリカでインフレが進んでいるために生活が苦しくなっている人が多いのだ。当然、リーダーシップの発揮出来ないバイデン氏に批難が向かっているというのが背景にあるのだが、中間選挙を目前にして何とか支持率を回復したいというのがバイデン氏の本音だろう。

そういう文脈で考えると、アメリカが韓国を優先して訪問するメリットはほぼ無い。

にもかかわらず韓国に先に寄る背景には、支那が韓国に粉をかけていることもあるだろうし、新政権になって「多少はマシになっているのでは」という期待があるだろう。

ただ、アメリカ国内のインフレを何とかしないと支持率は上がらないだろう。

調査は4月24~28日に実施。不支持率は2月の55%から52%に微減したが、高水準が続く。インフレには50%が懸念、44%が動転していると回答しており、インフレ対策は支持が28%、不支持が68%だった。経済政策も支持が38%、不支持が57%と厳しい数字。

「yahooニュース」より

そして、インフレ対策に対支那関税を引き下げるとか。

FRB、インフレ対応で責務果たす 対中関税引き下げ検討=バイデン氏

2022年5月11日2:28 午前

バイデン米大統領は10日、高インフレによる国民への重圧を理解しており、政権の最優先課題として、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向け取り組んでいると言明した。

~~略~~

また、最終決定はなされていないとしつつも、米国内の物価押し下げに向け、前トランプ政権下に導入された対中関税の撤廃を検討していると明らかにした。

「ロイター」より

やバイデン。

訪韓にあたって、ムン君にも会う?!

ところで、このバイデン氏の訪韓にあたって喜んじゃった人が一人。それがムン君である。

正直、バイデン氏にとって前韓国大統領と会うメリットは皆無である。北朝鮮への特使になってもらうという話も出ていたが、これもおかしな話だ。北朝鮮への特使を立てるのなら、アメリカ側の人材を用意する必要がある。北朝鮮にとって、現韓国大統領にすら信頼されていない人材と会うメリットは無いし、ムン君は在任当時から金正恩氏に嫌われていた。会うはずも無いのである。

文前大統領側関係者は中央日報との電話で「バイデン大統領の訪韓期間中の文前大統領との面談ができなくなったという決定をこの日午前に米国側から伝えられた。米国首脳が初めて韓国の前大統領とまで会うのは両国の堅固な同盟関係を確認する次元でも良い前例になれたのに残念だ」と話した。

「中央日報」より

嘘をつけ嘘を。

Q    The Korean media is reporting that President Biden will meet with former President Moon Jae-in during his visit to Seoul.  Is that accurate?

MR. SULLIVAN:  We don’t have a meeting scheduled with President Moon at this time.

Q    Have there been any discussions between U.S. officials and Korean officials about Moon Jae-in potentially taking on a “Special Envoy to North Korea”-like role?

MR. SULLIVAN:  I’m not familiar with any discussions along those lines.

Yeah.

「ホワイトハウスのサイト」より

ホワイトハウスのブリーフィングペーパーを見ると、「韓国メディアがムン君と会うって報じているけど、本当か」の問いに、「現在、その様な予定はされていない」とサリバン氏が応えている。

受け取り方によっては、このブリーフィング前に取り止めになった可能性も僅かにはある。「this time」と言っているからね。でも、続いて、「ムン君を北朝鮮への特使にする話は本当か」と聞かれて「そんなの知らん」と冷たくあしらっている。

正直、バイデン氏、ムン君に会っているような余裕は無いんだよね。実のところ、訪日の前に訪韓日程を組むのにもかなりムリムリ予定を入れた感はある。

QUADの予定を組むにあたっても、オーストラリアがかなり日程的に厳しいのに(5月21日に総選挙がある)呼びつけているから、ムン君と会って話をするような無駄な時間は無いのである。つまり、もともとそんな予定は無かったという事である。バイデン氏にメリットがないからね。それに、韓国政府としてもユンユンとしてもそんなことをされても困るだろう。完全に対立状態にあるユンユンとムン君である。バイデン氏が両方に会うというのは如何にも違和感しかないのだ。

コメント

  1. 国家予算で大量に雇っている高齢者(電気管理士など)はどうするんでしょうかね?
    積弊精算で予算を削減(解雇)すれば雇用統計などが一気に悪化するでしょうし、さりとてそのまま続ければ批判の的になるだろうし……

    • 「大量雇用だ!」といって、老人を随分と雇いましたから、アレをどうするのかはちょっと気になるところであります。
      正直、ユンユンの方針は、ムン君よりもヤバいです。
      いや、多分考え自体は真っ当なのでしょうけれど、今やると韓国は相当ヤバイ状況に。

  2. こんばんは、

    アメリカではインフレ緩和のためのFRBの利上げが話題になっていますが、いま公定歩合が引き上げられると、低迷している株式市場(&暗号通貨市場)が総崩れになると市場アナリストたちが警告しています。
    高インフレを抑え込むために、FRBは”利上げする”ので-しかも今後数度にわたって-株式市場は冷え込み、経済成長は景気鈍化によって阻害されるでしょう。

    そうなると、バイデン民主党は11月の中間選挙で負けそうです。さらに、共和党の復活によって、アメリカのウクライナ支援に影響が出るかもしれません。

    いまのバイデン氏にとって、韓国はFRBの”利上げ”ほど重要じゃないはずです。訪韓にどんな意味があるんでしょう?

    • FRBの利上げは今後も躊躇なくやられると思いますよ。
      バイデン氏は、利上げ一辺倒のようですし。
      しかし、対支那関税撤廃はやばいと思います。

      バイデン氏の訪韓の狙いは正直読めません。
      放置しても良さそうなものですが、四面楚歌の韓国にコナをかけておけば、使いやすいという読みがあるかもしれません。大抵は失敗するんですが。朝鮮半島の扱い方は、支那が一番良くわかっていますから。

      冷泉氏が、バイデン氏は支那と手を結ぶ気だ!ワクチンの製法を渡して恩を売る気だ、という大胆な予測を立てていましたが、あの方結構胡散臭い分析をしますから何とも。
      正直、支那と近づくことは議会が絶対に許さないと思うのですよ。もしかしたら、案外在韓米軍撤退の準備とか考えているのかもしれません。
      産経新聞は「日韓和解の使者になるつもりだ」という事を言っていましたが、それをやってしまうと岸田政権は保たないでしょう。

  3. こんにちは。

    易姓革命は中華の伝統ですが、してみると、共産党がパージされた際には、どんだけの積弊精算が起こるのでしょうね?

    目の黒いうちに、見てみたいものです。

    • 支那の情勢に関して言えば、習近平氏の3期目が怪しくなってきた事実はありますが、共産党がパージされることにはならないような感じではあります。
      状況は見極めていく必要がありますが、習近平氏が万が一退場したにせよ、次も共産党からの指導者選出と言う事になるはずです。
      残念な事ではありますが。