ロシア主導の軍事同盟でも足並みの乱れ

ロシアニュース

集団安全保障条約(CSTO)は1992年5月15日にロシア・アルメニア・ベラルーシ・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの6カ国が調印した軍事同盟である。

露軍事同盟に足並みの乱れ 首脳会合で侵攻めぐり批判も

2022/5/17 19:36

ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)の首脳会合は16日、モスクワで共同声明を採択し、閉会した。会合では異例のロシア批判やウクライナ侵攻の早期終結を促すような発言が出たほか、共同声明にも侵攻を直接支持する文言は記載されず、足並みの乱れを示唆。友好国の結束を図ったロシアの思惑は外れ、かえって求心力の低下を露呈した。

「産経新聞」より

ロシアにとって、CSTOは過去の栄光であるワルシャワ条約機構の再現を願うものでもあったのだろう。

スポンサーリンク
同カテゴリーの人気記事

この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

<同カテゴリーの人気記事>

スポンサーリンク
スポンサーリンク

集団安全保障体制とは名ばかり

CSTOは過去の栄光?

ワルシャワ条約機構は、北大西洋条約機構(NATO)に対抗して作られた軍事同盟で、ソ連をはじめとして、ブルガリア、ルーマニア、東ドイツ、ハンガリー、ポーランド、チェコスロバキア、アルバニア(モンゴル、北朝鮮はオブザーバー)という、多数の国からなるユーラシア大陸を覆いつくす規模の同盟関係にあった。

で、加盟国内で単役の互換性を持たせるなど、軍事活動の円滑化を図り、ソ連で開発された兵器が次々と広められていった。ソ連にとっては一大経済圏という位置づけでもあった。

しかし、ソ連崩壊と共にワルシャワ条約機構は消滅。

ソ連の後継者を名乗るロシアにとって、どうしてもワルシャワ条約機構のような軍事同盟を作って、国際的な影響力を高めることが必要だった。

そんな理由もあって、1992年5月15日に、旧ソ連の構成国6カ国が調印して、集団安全保障を目指した軍事同盟を築き上げる。この時調印したのは、アルメニア、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンであった。

そして、翌年にはアゼルバイジャン、ジョージア、ベラルーシがこれに加わり、条約は1994年に発効している。

ソ連とは何だったのか?

ここで考えて欲しいのは「ソ連とはいったい何だったのか?」という事である。ロシア革命によって生まれた社会主義国家は、複数の共和国からなる連邦国家の体をとっていたが、実際には高度な中央集権的な国家であり、政治・経済はすべてモスクワに集約され、ソビエト共産党による一党独裁体制が長く続いた。

言ってみれば、強力な独裁体制によって無理やりに経済力・軍事力を引き上げた国家であり、「力こそ全て」のロシアと、寄らば大樹の陰というその他大勢の共和国の集まりだったわけだ。

ところが、ソ連は宇宙開発でアメリカに後れを取り、経済も科学技術も衰退し、政治的な行き詰まりを見せていく。ソ連最後の共産党書記長だったミハイル・ゴルバチョフは、ソ連の政治腐敗は一党独裁による政治的硬直が原因だと考えて、情報公開と民主化を推し進める。しかし、独裁を長らく続けてきた社会主義国家が、情報公開して民主化というのは実に筋の悪い話である。

何故なら、独裁時代に散々人民を粛正しまくり、その犠牲者数は何と1億人を超えるというから、情報開示をすれば色々な不都合な歴史が掘り起こされてしまう。更に、西側の自由の風を人民たちが知ってしまったのが不幸の始まりだった。血塗られた中央集権国家は求心力を失って脆くも崩壊した。

ロシアがこの「求心力」の復権を願ったものの、それは経済と軍事に裏打ちされたもので、その両方共がソ連の残りカスであれば、求心力など生まれないのである。

金の切れ目が縁の切れ目。多くの共和国は西側に走った。

結果、CSTOもぽろぽろとそのメンバーが欠けていき、具体的にはアゼルバイジャン、ジョージア、ウズベキスタンがCSTOから去っていった。

こうした惨状を背景に、「強いロシア」を夢見るプーチン氏が、NATOを敵視するのは実に当たり前のことなのである。

プーチン氏の健康不安

真偽のほどは不明だが、プーチン氏に健康不安があるという話は、色々なところから出てくるようになった。

英MI6の元スパイ、プーチン大統領は「不治の病か、末期状態」かなり深刻な病気と指摘 英報道

[2022年5月17日13時7分]

英国の情報機関MI6の元スパイで、トランプ前米大統領とロシアの関係を示す報告書を作成したことで知られるクリストファー・スティール氏が、ロシアのプーチン大統領はかなり深刻な病気だと英スカイニュースに語った。2006年から09年までロシア部門のトップを務め、90年代にはモスクワで3年間スパイ活動をしていたことでも知られるスティール氏は、「何の病気なのかははっきりしていないが、不治の病か、末期状態か、それともなんであれ、そのような状態であることは確かだ」と匿名の情報源の話として語った。

「日刊スポーツ」より

この話も怪しげな情報筋からのネタなのだが、公開されているプーチン氏の動画を見てもやや怪しい言動が目に付くのは事実だ。

そもそもロシア人男性の平均寿命は68歳と短いことで知られるが、プーチン氏は69歳とそれを超えており、年齢的にもそろそろ怪しい。何かと裸になって「力」を誇示するプーチン氏だが、ちょっと無理をし過ぎたのかもしれない。

こういった健康不安や、独裁者プーチン氏の後継者不在の状態というのも、求心力の低下を招いている。残り少ないCSTOのメンバーも、生き残りを模索し始めたというわけだ。

プーチン露大統領は公開された会合冒頭の演説で、「ウクライナではネオナチと反露主義が横行し、米欧も奨励している」と主張した。だが、ベラルーシのルカシェンコ大統領を除き、各国首脳から同調する発言は出なかった。

アルメニアのパシニャン首相は、係争地ナゴルノカラバフ自治州をめぐり2020年に起きたアゼルバイジャンとの紛争の際、「CSTO諸国はアルメニアと国民を喜ばせなかった」と指摘。アルメニアに実効支配地域の多くを放棄させる条件で停戦合意を仲介したロシアを批判した形だ。

「産経新聞」より

まだ、表立って批判という感じではないが、各国とも批判を織り込んだ発言をしているようだ。CSTOの会合でも、各国の賛同が得られなくなりつつあるというわけだ。

金の切れ目は縁の切れ目、という話に通ずるが、それはソ連も同じだったね。

コメント