フランスの大統領選挙、マクロン氏再選でNHKが真っ青

欧州ニュース

余り注目していなかったが、フランスの大統領選挙が24日行われ、現職のマクロン氏が再選を果たした。

フランス大統領選挙 現職マクロン大統領が再選

2022年4月25日 8時44分

ウクライナ情勢への対応などが争点となったフランス大統領選挙の決選投票で、現職の中道、マクロン大統領が極右政党のルペン前党首を破り、再選を果たしました。

「NHKニュース」より

対抗馬が、極左勢力のマリーヌ・ル・ペン氏だったので、ひとまずは良かったと言えるだろう。え?「ル・ペン氏は極右じゃないか」って?うーん、報道では極右政党「国民連合」の党首だったと報じられてはいるね。

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フランス大統領選挙

大統領候補マリーヌ・ル・ペン氏

親露政策

さて、何故「ひとまずは良かった」と書いたのかというと、マリーヌ・ル・ペン氏の方針が、親露政策を推進するというものだったからだ。

私が大統領なら「NATOの指揮出る」「ロシアと接近」 仏ルペン氏

2022年4月15日 0時30分

フランス大統領選の決選投票(24日)に進んだ右翼「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏が13日に記者会見を開き、北大西洋条約機構(NATO)をはじめとした外交政策について説明した。フランスはNATOの指揮系統から外れると訴えた上で、NATOがロシアと接近するべきだとの考えを示した。

「朝日新聞」より

大統領になった暁には、NATOから離反してロシアと接近するというから、彼女の方針はちょっと理解がし難い。

ルペン氏は「フランスの軍隊を、フランスの主権によらない指揮系統には置かない」と語った。NATOでは米軍の司令官などが加盟国による合同軍を率いており、そうした軍事機構からフランスは脱退するとの考えを示したものだ。

「朝日新聞”私が大統領なら「NATOの指揮出る」「ロシアと接近」 仏ルペン氏”」より

ル・ペン氏の思想としては、フランス軍の指揮権がNATOに握られる事が嫌だという、そういう話なんだろうと思う。

ルペン候補、NATOとロシアの「和解」提案 仏大統領選

2022年04月14日08時53分

フランス大統領選で現職エマニュエル・マクロン氏との決選投票に進んだ極右政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン党首は13日、自身が当選すれば北大西洋条約機構(NATO)とロシアの関係強化を支援すると述べた。

~~略~~

今回の選挙戦ではより穏健なイメージを打ち出そうとしているルペン氏は記者会見で、ロシアのウクライナ侵攻が終わればNATOとロシアは「戦略的和解」に至るべきだと述べた。

「時事通信」より

ただ、ロシアが「和解」をするに適切な相手かというと、どう考えてもそうではないように思う。フランスはロシアと国境を接していない為に、ドイツやその他の国を挟んでロシアとの関係改善を狙えば、国益に適うと云うことなのだろう。

反ユダヤ主義、反イスラーム主義

ル・ペン氏がNATOから離れたいと考えている理由の1つだと考えられるのが、反ユダヤ主義や反イスラーム主義に関連しているようだ。

フランス国内に、イスラームを信仰するムスリム移民が多数入ってきたことと関係して、この主張は一定の理解を得られているようで、イスラーム過激主義者の活動に苦しめられてきたフランス市民にしてみれば、「そうだそうだ」と思える事なのだろう。

実際に、2015年末にはパリ同時多発テロ事件が発生していて、その問題の深刻さが伺える。

ちなみに、彼女の父親ジャン=マリー・ル・ペン氏は、反ユダヤ主義者で、ナチスのユダヤ人虐殺を「第二次世界大戦史の末梢事」と発言するなど、政治にユダヤ人支配が浸透していることを憂慮していた。彼の過激な思想は、一部の人々にしかうけなかったようだが、娘のマリーヌ・ル・ペン氏が唱える反イスラーム主義はより多くのフランス人に受け入れられている。

フランスの国是である「自由・平等・博愛」を牛耳るような発言ではあるが、しかし、フランス人にとっての「自由・平等・博愛」はフランス人に適用される事柄であって、外国までその枠を広げることが、フランス人にとって幸せなことかについては、確かに議論の分かれる所。

対テロリズム姿勢

実際に、マリーヌ・ル・ペン氏がこの国是について問題視する事件があって、それがシャルリー・エプド襲撃事件(2015年1月7日)である。この事件では、週刊風刺新聞「シャルリー・エプド」の本社にイスラム過激派のテロリストが乱入、編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官ら合わせて12人を殺害した事件であった。

フランスでは、この事件を「表現の自由に対する挑戦」という風に捉え、問題視された。尤も、日本人の感覚からすればシャルリー・エプドのやった事そのものは余り褒められたやり方とは言えないとは思う。随分と皮肉の効いた風刺がを出していたからね。

過激に見えるものの一定の理はある

とまあ、そんな文脈で考えると、フランスで移民政策が進んだ結果生まれた犠牲者達はマリーヌ・ル・ペン氏を支持するというような事も不思議ではなく、かなりの支持を集めていた。

そして、ロシアとの関係を深めるという発想も、フランスの独立性を高めるという考えを下敷きにすれば「戦略的な和解」をしたいという発想にいたるのも、何となく理解は可能である。

フランス大統領選挙は24日決選投票が行われ、内務省によりますと、どちらかに投票した人のうち ▽現職の中道、マクロン大統領の得票率が58.55%、 ▽極右政党のルペン前党首が41.45%で、マクロン大統領がルペン氏を破って再選を果たしました。

「NHKニュース”フランス大統領選挙 現職マクロン大統領が再選”」より

そうした背景を考えれば、現職のマクロン氏がかなり苦戦を強いられたというのも分かる。

ロシアがあんなことをやらなければ、今回はマクロン氏の再選は危なかったのではないだろうか。

ただ、ロシアのウクライナ侵攻はマクロン氏にとってプラスだけに働いたというわけではない。

今回の選挙では、新型コロナウイルスの感染拡大への対応など5年間の実績に加え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、EU=ヨーロッパ連合が結束して対応することなどを訴え、支持を集めました。

しかし、ウクライナ情勢を受けて燃料価格をはじめとした物価が高騰するなか、生活向上などの対策を訴えたルペン氏が急速に支持を伸ばし、地方の低所得者層の不満の受け皿になったと見られています。

「NHKニュース”フランス大統領選挙 現職マクロン大統領が再選”」より

燃料の高騰や、それに引き摺られて物価の高騰などを招いたことが、マクロン氏にとっては不利に働いた。ロシアとの戦略的和解は、短期的にはフランスにとってのメリットに繋がる可能性はそれなりに高いからね。

そんな訳で、進歩派を左翼、保守派を右翼と呼ぶのであれば、現状を変えようとしているマリーヌ・ル・ペン氏は寧ろ過激な左派という感じ(ムッソリーニーなども左派に分類されるようになっている)なんだけど。多分、国粋主義の傾向が強いので極右分類としてあるのだろうけれども。

青くなったNHK

マクロン氏の公約

さて、こんな感じでフランス大統領にマクロン氏は再選し、それをNHKはニュースとして伝えているのだが、内心はあまり嬉しく思っていないだろう。何故なら、マクロン氏は選挙公約でこんな事を言っていたからだ。

フランスで公共放送受信料の撤廃へ、マクロン大統領が選挙時の公約果たす

2022年05月13日 12:30

フランスでは、テレビを所有している人は年間138ユーロ(約1万9000円)の受信料負担義務がある。この受信料は、総額で年間30億ユーロ(約4000億円)以上となり、公共放送の「フランス・テレビジョン」「ラジオ・フランス」「アルテ(独仏共同出資のテレビ局)」などに分配される。これまで、受信料は住民税とともに徴収されていたが、フランスでは2023年から住民税が撤廃されるため、今後の公共放送受信料のあり方が議論となっていた。

受信料撤廃後の各放送局は、民営化とはならず予算は国家予算で補填されるという。マクロン大統領が選挙期間中の3月7日に公共放送受信料撤廃の公約を発表した際には、野党などから「国家予算での運営になれば、政権の意向が反映される」と、放送の公共性が担保できないなどの批判が出ていた。

「SAKISIRU」より

フランス公共放送受信料廃止の公約、コレがマクロン氏の口から出ていたことは、イギリスBBCの前例があったからだと思われる。が、実際に公共放送受信料金というのは、かなり大きなものであるのは事実だ。

それはNHKの受信料を負担する日本国民にも理解できるところだろう。

少なくとも、どの国でも公共放送に対して漫然とお金を支払い続ける事に疑問を持つ層がいることは確実で、イギリスに続いてフランスもこの流れが加速すると、NHKとしてもかなり苦しい選択を迫られることは確実だ。

NHK職員の平均給与

実際に、NHKの給与はかなり高額に設定されている。

職員の年収はどれくらいか

大卒モデル年収では、30歳で530万円、35歳で661万円(2020年度)です。 管理職については年俸制となっており、2020年度の基本年俸は、全国職員の場合、913.6万円(D1(課長クラス))、1,173万円(D5(部長クラス))、1,428万円(D8(局長クラス))などとなっています。

「NHKのサイト」より

コレを見て「民間企業とさして変わらないのでは」という印象を抱かれる方も少なくはないと思う。

NHK職員の平均年収【1054万円】初任給・給与システムを完全解説

2022年03月24日2022年04月13日

NHK(日本放送協会)が公表している財務データを参照して、平均年収を算出いたしました。 日本のテレビ事業の根幹を担うNHKの給与状況をご覧ください。 ※NHK全体の人件費を職員数で除算。

「年収ガイド」より

ところが、NHKの人件費を職員数で割ると、平均年収1054万円という数字になる。かなりの高収入といえるのではないだろうか。

正直云うと、NHKは組織が巨大になり過ぎた。その巨大組織を高額収入で維持しているのだから、公共料金はかなり高く設定する必要があるという事になる。今や、「公共放送」の設立目的は終わりつつあるのだから、このままで良いのか?という疑念が生じるのは無理からぬ事。

この事情はイギリスやフランスでも同じだと思われる。

この件で出羽守(「イギリスでは~」、「フランスでは~」と外国の事情を鑑みずに、事例を紹介する人のこと)が出てくる可能性は低そうだが、そもそもNHKの在り方は問い直すべき時期に来ているのだ。こういう時こそ、外国の事例を参考にすべきでは無いのか。

出羽守にならずとも、NHKに関する問題点は数年前から盛んに取り上げられている。巨大利権団体NHKの存続が、日本国民にとって利益になるのかは、今一度問い直すべきだ。

コメント

  1. こんにちは。

    >フランス人にとっての「自由・平等・博愛」はフランス人に適用される事柄であって、

    当方がおフランスを、というか、欧米全体を好きになれない理由が、この「自分達のダブルスタンダードは是」という思想が染みついている事です。

    スポーツや貿易におけるルール変更などもそうですが、以前、会社の先輩に、「英語のフェアは平等を意味しない、自分に有利の意味であって、アンフェアは自分が不利の意味」と聞き、なるほどと思った次第。

    そのような思想なので、EUという巨大な社会実験も、日本やアメリカという貿易上の敵や、今回のロシアのようなパブリックエネミーが居ればこそ結束しますが、中共のように味方のふりして浸透して根冠を引っこ抜く相手の場合には、内部崩壊しかかっていたと、そのように今なら思えます。

    ルペン氏の言い分も分からないではないのですが、それにしても、ロシアを持ち出すにはタイミングが悪すぎましたし、そもそも持ち出す相手が筋が悪すぎましたね。

    • マリーヌ・ル・ペン氏の思想には賛同は出来ますが、流石に「ロシアと組む」と思われる発言は良くなかったでしょう。
      いや、国防的にアリだと思うのですが、あまりにも高利主義というか。

      しかし、マクロン氏ではフランスを良い方向に導くのは難しいでしょうから、今後フランスも色々と大変だとは思います。
      フランスの路線は、かなり危ない橋ですからねぇ。

  2. 『極左勢力のマリーヌ・ル・ペン氏』
    との断定!ありがとうございます。
     お陰ですっきりしました。

     最近ネットでロシアの銀行からの融資で活動している人物という噂は別にしても
     ソ連復活を目指すプーチン・ロシアを擁護してりゃ、右じゃない、極左だ。それを
    『極右政党のルペン前党首』
    は、ねぇだろうよと、憤慨していました。
     

    • 欧州では「極右認定」では既にないようですよ。
      そして、定義を考えてみれば、やはり保守とは言い難いのですから、極左の方がしっくりきます。
      尤も、極右でも極左でも似たようなものではあるんですけどね。やっていることは大差ありません。