タイ政府が大麻の栽培を認める新ルールを作り、家庭に無料配布

アジアニュース

タイへんだー。

タイ政府、大麻草100万本を全土の世帯に無料配布

2022.05.12 Thu posted at 14:10 JST

タイ政府は家庭での大麻栽培を認める新ルールの制定を記念して、6月に大麻草100万本を全土の世帯に無料で配布する。保健相がフェイスブックへの投稿で明らかにした。

タイのアヌティン・チャーンビラクル保健相は8日の投稿で、大麻草を自家栽培の作物のように育ててもらいたいと表明した。

「CNN」より

タイ政府は一体何を狙っているのか。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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大麻に纏わる誤解

日本における大麻の扱い

タイの話題を扱ったのには理由がある。別に寒いギャグを仕込みたかったからでは無い。断じて!

……さておき、動機はこちらの記事に起因している。

神事用大麻農家に三重県が高額フェンス設置を指導 厚労省は厳格規制転換も通知が徹底されず

2022年4月9日 11時31分

三重県南伊勢町で神事用大麻の再興に取り組んでいる農業法人が、連作障害を避けるために昨年までとは別の場所での栽培免許を県に申請したところ、高額な費用がかかるフェンスや電気柵などの設置を求められていたことが分かった。農業法人は新たな場所での栽培を断念。厚生労働省は昨年9月以降、免許申請時に農家に過度の負担を強いないよう、2度にわたって都道府県に通知していた。

「東京新聞」より

このニュースを取り上げる前に「大麻」とは一体何で、どうして騒がれるのか?について少しだけ説明しておきたい。

大麻取締法

第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

第二条 この法律で「大麻取扱者」とは、大麻栽培者及び大麻研究者をいう。

 この法律で「大麻栽培者」とは、都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で、大麻草を栽培する者をいう。

 この法律で「大麻研究者」とは、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用する者をいう。

第三条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

 この法律の規定により大麻を所持することができる者は、大麻をその所持する目的以外の目的に使用してはならない。

「e-GOV」より

日本において、大麻は、所持、栽培、譲り受け、譲り渡し、研究のために使用の何れも原則禁じられている。例外規定として、「大麻取扱者」に認定された方だけが、所持等をすることが可能としている。

大麻やマリファナといえば、かなり有名な「麻薬」である。麻の利用は、布にしたり葉を乾燥させて粉にし、経口摂取する嗜好品や薬用として利用する事が知られている。

ただし、鎮静薬や睡眠薬としての薬効よりも、嗜好品用として使われて社会問題に発展した国もあり、次第にヨーロッパを中心に非合法化された。ただし、一部の国では合法化され、世界のトレンドとしては僅かに合法化の方向に傾いているようだ。

こんな感じの状況で、「青」は合法または一部合法、「オレンジ」は非合法だが非犯罪化、「ピンク」は非合法だが法的強制力無し、「赤」は非合法となっている。

日本においては、昭和5年頃から「麻薬」として取締りが始められて、昭和20年には全面栽培禁止となり、今に至っている。

ただ、そもそもの「麻薬」の「麻」の字は、本来は「痲」という字をあてていたのだけれども、常用漢字にするにあたって「麻」を使うようになった。

この結果、神事で使う「大麻(おおぬさ)」が、大麻と混同されるようになってしまった。ここでは同じ字をあてるのは紛らわしいので、敢えて断らない場合には全て大麻(たいま)の事を指しているモノとする。

麻薬としての大麻

そもそも大麻はなぜ法律で取り締まられるのかと云えば、アサ(大麻草)の花冠や葉にカンナビノイドと呼ばれる物質を豊富に含み、その中でも特にテトラヒドロカンナビノール(THC)と呼ばれる物質が、有効成分となって人体に作用する。

具体的には、THCが人体の内部にあるカンナビノイド受容体に結合することで、アルコールに似た酩酊感・倦忘感を感じると云われている。

この効果を高めたものが麻薬と呼ばれる非合法薬なのである。

ただ、様々な研究によって薬効が期待できるという事になっているので、研究まで禁止するのはやり過ぎだという意見はあるようだね。

実際に、WHOは2016年に規制の降格を勧告している。

日本臨床カンナビノイド学会 / m3.com学会研究会
日本臨床カンナビノイド学会は、カンナビノイドに関する研究を推進し、知識の交流を通じて日本の医療・福祉に寄与することを目的としています。  世界で注目をされ研究が進むカンナビノイドについて日本でも研究を進めていくために、医療従事者を対象とした本学会を2015年9月に設立。現行法上の制限があるため、CBDに関する...

この決定は、各国投票を通じて行われているので、世界的なトレンドもこれに沿ったものとなっているのだろう。

厚生労働省など政府機関は禁止する

世界的なトレンドと違うのが厚生労働省の見解なのだが、この見解が正しいかどうかは、個人的には少々怪しいと思っている。

今、大麻が危ない!
薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ

ここに書かれている事を否定する研究も存在するし、WHOも見識を改める方向に舵を切っている。まあ、WHOが常に正しいとは限らないのだが、日本では少々騒ぎすぎのように思われる。もちろん、使用を推奨しようという気はさらさら無いが、有効性を確認する研究が出来ない環境を続けるのは宜しく無いだろう。

その最たるものが、上で取り上げた東京新聞のニュースなのだ。

厚労省は昨年まで神事用大麻についても栽培を厳しく規制していたが、含まれる幻覚成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」が極めて微量であることから方針を転換していた。しかし、三重県は今も規制の基本を「外部から隠す」ことに置いていて、県薬務課の川端清史課長補佐は「法律上は(THCの)濃度に関係なく規制対象になっている」と話す。これに対して厚労省の関係者は「弾力的な対応を求める通知の趣旨が理解されていない」と指摘する。

「東京新聞”神事用大麻農家に三重県が高額フェンス設置を指導 厚労省は厳格規制転換も通知が徹底されず”」より

厚生労働省も流石に「やり過ぎた」と考えて、神事用の大麻(おおぬさ)に関しては規制を緩和する方向に軌道修正をしたのである。

ところが、三重県は頑固に「法律で規制されている」と言い張るわけだ。

確かに、法律にはTHC含有量で取り扱いを変えてはいない。でもそれ、昭和23年制定の法律による話だぜ。流石に現代の常識が通用しないほど古い話だ。

大麻使用の罰則化を検討 厚労省の有識者検討会はじまる

2021年1月20日 18時20分

近年、若い世代での乱用が懸念される大麻など違法薬物の対策について話し合う厚生労働省の有識者検討会の初会合が20日、開かれた。

~~略~~

検討会は薬学や法学の専門家ら12人で構成される。今後、海外で使われている医療用大麻の扱いについても議論する。

「朝日新聞」より

政府も重い腰を上げて、「使用」に関しての罪の適用を検討すると共に、医療用大麻の取り扱いを検討するという方向で調整を始めている。

過剰な取締りと栽培農家の消失

そもそもこの問題、かなり長期間放置されてきた。

もはや、栽培面積は減少し、栽培者も殆どいなくなった状況なのだけれど、神社で使う大麻(おおぬさ)の需要は一定数ある。現状では足りない部分は化学繊維を使ったり輸入に頼ったりしていると云うが、神事に使う分くらいOKにすれば良いのだ。

日本人が知らない「大麻」が違法薬物になった理由

2021/05/31 14:00

明治時代以降、海外産の繊維の輸入が増えるに従って、国内産の大麻の生産量は落ち続けていました。しかし、政府は1942年に原麻生産協会を設立し、麻類の増産奨励を行っています。長野県大麻協会が発行した『大麻のあゆみ』には、太平洋戦争当時、全生産量の90%が軍需用だったと記録されています。

~~略~~

しかし、日本人はこの時点でもまだ戦前と同様、「マリファナとはインド大麻(※1930年に制定された麻薬取締規則において、日本の大麻(繊維型)と区別するために、海外の大麻(薬用型)が「インド大麻」として規制された)のことであり、農作物としての大麻は無関係である」と考えていました。そのため1946年春から夏にかけて、例年どおりに大麻の栽培は行われていました。

「東洋経済」より

そもそも日本国内で栽培されている品種は、殆どTHCを含まないという事実がある。

しかも、日本はマリファナ成分のTHCが0.3%以下という産業用の品種であっても、薬物乱用防止の観点から都道府県の知事免許の交付を受けて栽培することが極めて難しい。

「日本臨床カンナビノイド学会」より

現在、栃木県などで積極的な品種開発がなされていて、「とちぎしろ」という品種はTHCを除外するために品種改良されて含有量0.2%以下を実現している。

純国産ヘンプ!?日本が誇る無毒大麻「とちぎしろ」

2020.03.15 2020.01.29

日本でも少しずつ認知を高めているCBD。そのCBDの多くはヘンプ(Hemp)から抽出されます。実は日本でもヘンプは少なからず栽培されています。今回は日本のヘンプ「とちぎしろ」についてご紹介いたします!

~~略~~

「とちぎしろ」は別名、無毒アサ・無毒大麻と呼ばれています。「とちぎしろ」の特徴は、大麻の成分で精神活性作用のあるTHCの含有量が0.2%と低く、世界的なヘンプ(産業用大麻)の基準であるTHC含有量0.3%以下にも対応する数値となっています。

「GrassRoots」より

もともと、日本原産の大麻草はTHC含有量は1%以下と少なく、これを更に改良してほぼ含まれないというレベルにまで改良を進めているのだ。

しかし、「割に合わない」として栽培量自身は増えてはいないようだ。その要因となっているのが三重県の事例にある様な行政の不理解である。

グリーンラッシュ始まる

合法大麻ビジネス

さて、そういった現状が日本ではあるのだが、折々触れているように世界では少々状況が異なる。

日本が「大麻解禁」を検討し始めた深刻な理由とは

2021.9.9 4:00

日本では非合法薬物として禁止されている大麻だが、世界はいま、「グリーンラッシュ」と呼ばれる「合法大麻」ビジネスが活況を呈している。

合法大麻は使途によって、病気の治療に使用される「医療用」、繊維や建材、食品などに使われる「産業用」、そして「嗜好(しこう)用」に分かれるが、北米や欧州、アフリカ、中南米、アジアなど世界各国はこれらを続々と解禁・合法化し、経済成長しているのである。

「DIAMOND online」より

世界47カ国が合法化し、医療用大麻の利用促進の方向に舵を切っている。冒頭に紹介したタイ政府の取り組みだが、2019年から合法化したタイはよっぽど儲かったのだろう。各家庭で「作れ」と配布を決定したと言うのだから、なかなか凄いな。

食品や化粧品への利用も進む

こうした流れは、飲料や化粧品などにCBDと呼ばれる成分を入れて良いという規制緩和と共に更に加速しているようだ。

大麻に関する自治体の条例も緩和されている。飲料メーカーや化粧品会社は昨年、消費者製品への使用が認められたことを受け、大麻や大麻から抽出されるCBDという成分を使った製品を相次ぎ発売していた。

「CNN”タイ政府、大麻草100万本を全土の世帯に無料配布”」より

今後、こういった市場は広がっていくのだろう。

CBDに危険性はある?大麻由来成分の持つイメージを徹底調査!

2021年8月30日 09時54分

多忙な毎日やコロナ禍の生活で日々溜まる一方のストレス。

そんな環境の中で今、大注目の成分「CBD」を知っていますか?株式会社麻田製薬が去年2021年9月から販売開始したCBDのサプリメント「THE CBD」も販売開始後の継続率が約93%を超えるほどのご支持をいただいております。

~~略~~

麻の成分の中の主要な成分として「CBD」と「THC」と呼ばれる2種類の化合物が存在します。

CBDは心身共に整えてくれ、ストレス軽減作用などの多くの作用が期待されています。WHO(世界保健機関)もCBDの安全性を認めております。

一方で、THCは「ハイ」になるといった向精神作用をもたらし、日本では所持することが制限されています。

□CBD CBD(別名:カンナビジオール)は安全性の高い成分として知られ、ストレスや痛みの緩和やリラックス効果などが期待させている化合物。医学の分野においても治療効果が期待され今大注目。

□THC THC(別名:テトラヒドロカンナビノール)は人をハイにさせる陶酔作用をもち大麻草の葉や花穂から抽出される精神活性のある化合物。

「PR TIME」より

実際に日本国内でも、その市場は広がっているらしい。

CBDを含有する製品について|麻薬取締部ウェブサイト
目指すのは、安全な日常と健やかな社会。THE NARCOTICS AGENT 麻薬取締官

麻薬取締部の見解でも、カンナビジオール(CBD)は大麻取締法に抵触しないという見解を出している。とはいえ、「大麻の茎や種子の部分から抽出したCBDオイルの使用のみに限られている」という縛りはあるようだね。

大麻由来CBD、健康被害も 「美容効果」とブーム―違法成分混入、厚労省警戒

2022年02月12日13時43分

「カンナビジオール(CBD)」と呼ばれる大麻草由来の成分が入った輸入健康食品や化粧品が急速に広まっている。不眠改善、鎮痛作用といった効果があるとされるが、健康被害の相談も増加。違法な大麻成分の混入例も相次ぎ発覚し、厚生労働省が警戒している。

「時事通信」より

とはいえ、注意しないとTHCが混じっているケースがあるらしく、実際に健康被害にあった人もいると報道されている。

世界で利用が広がる大麻草由来商品

とまあ、そんな訳で、タイは積極的に栽培に乗りだし、日本国内でも対策を迫られているという状況だ。

国外の流通量が増えれば、どうしたって「使用」についての取り扱いについて法整備しなければならなくなる。その結果、医療用は医薬品に加工したものであればOKという流れになりそうだ。

しかし、そもそも大麻草の利用は、葉や茎、花だけではなくその実にも利用価値がある。ご存じの通り、麻の実は七味や鳥の餌などにも使われていて(昔、インコを飼っていたことがあったが、零れた餌から植物が生えてきたことがあった。通常は加熱されていて発芽することは無いはずなのだが、昔は加熱が不十分なこともあったらしい。親が気が付いて早々に処分したが、厳密に云うとアレは逮捕案件だよね)食用としても結構優れていることが知られている。

取締りや切り分けは難しいとは思うが、世界の趨勢から見ても法整備していないとヤバい状況にはなっている。そして、個人的にも神事用のアサくらいは確保して然るべきと思うのである。気分的に、大麻(おおぬさ)は外国製というのは有り難みがない。知らなければ問題無いのだろうけれど、知ってしまった以上は、栽培環境の整備くらいやっても罰は当たらないと思うんだ。

コメント

  1. こんにちは。
    「大麻合法化!」って吹け上がってた芸能人他の集団が、本邦にも居たように記憶します。
    またぞろ動き出して、そっちの利権にたかろうとする虫が湧かなければいいのですが。

    • いましたねぇ。
      思わず、ドラマ「相棒」を思い出してしまいますが。

      とはいえ、変な虫が湧くにしろ、議論は必要だと思います。
      好むと好まざるとに関わらず、海外ではそういう風潮になっていますから。