脅しがきたな。
ロシアがガス供給停止、欧州「脅迫」と反発 対応協議へ
2022年4月28日8:17 午前
ロシアがブルガリアとポーランドへのガス供給を停止したことを受け、欧州側は「脅迫」と反発し、協調して対応する方針を示した。
「ロイター」より
そして、どうにもやばい雰囲気である。これ、核攻撃も視野に入れているんじゃないだろうか。
戦況は更に緊迫している
ルーブルでの支払いを求めるロシア
しかし、どうなのよ、これ。
ロシアのエネルギー大手ガスプロムは27日、ルーブルでの支払いがなかったため両国へ供給を完全に停止したと説明した。ロシアのプーチン大統領は「非友好国」に対して、ガスの支払いをルーブルで行うよう要求している。
「ロイター”ロシアがガス供給停止、欧州「脅迫」と反発 対応協議へ”」より
この「ルーブルで支払い」を要求した意味は、外貨をガスプロム系の銀行に振り込めという意味である。そして、ルーブルを使うということで、ルーブル暴落を食い止める効果も狙っていると考えればイイだろう。
しかし、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まり、世界の経済制裁が発動する前までは、ルーブルでの支払いは求められていなかった。したがって、ルーブルでの支払いを求められた両国、ブルガリアとポーランドは、ロシアとの契約はユーロでの支払いが許容されていたはずである。
つまり、ロシア側のこの要請は、契約違反になる。
もちろん、契約の後であっても両社の合意があればルーブルでの支払いは問題ない。
ガスの支払いをルーブルで行うことに同意した国の数には言及しなかったが、欧州の他の顧客はガスの供給が通常通り行われていると述べている。
「ロイター”ロシアがガス供給停止、欧州「脅迫」と反発 対応協議へ”」より
問題なのは、ルーブル支払いを強要することである。
ガス供給停止は春を待って
しかし、ロシアがこのタイミングを待ってルーブルでの支払いを求めた理由は、憶測になるが、春になったからなんだろうね。冬だと人死にが出かねないので反発も強烈になる。
春を待った理由は、ブルガリアとポーランドの対応が過激にならない様にするためだろう。ブルガリアとポーランドにウクライナでの戦争に参加されたら目も当てられない。

これは毎日新聞が作成した図だが、ブルガリアやポーランドの先にもロシアからガスを買っている国がある。よって、ガス供給停止というのは容易ならざる手段ではあろうが、ロシアは「やる」といってら実現はするだろう。
ヨーロッパ各国が一斉に反発した理由は、当たり前だろうね。しかし、ロシアもヨーロッパ各国からの反発までは織り込み済みであると思う。
戦火拡大のリスク
こうした「ガス供給停止」のカードをロシアが切ったということは、戦火拡大の覚悟があるという意味でもある。ロシアにその能力があるかないかといえば、僕は無いと思う。
しかし、ロシアは能力の有無に関わらず動く気配は既にある。
また、ウクライナでの紛争は隣国モルドバに拡大する懸念が高まっている。モルドバ東部の親ロシア派が支配する「トランスニストリア地域」の当局は27日、弾薬庫がある国境沿いのコバスナ村に向けウクライナ方面から発砲があったと明らかにした。
「ロイター”ロシアがガス供給停止、欧州「脅迫」と反発 対応協議へ”」より
国境沿いへの発砲という所までには動いているし、プーチン氏だけではなくて閣僚も核兵器の使用を口にしている。
ロシア外相「排除する立場」核兵器使用する可能性ない
2022/04/26 12:58
ウクライナ東部での戦闘が激化するなか、ロシアのラブロフ外相は核戦争の深刻な危機があるとしたうえで、ロシアはこの危機を「排除する立場」だと発言しました。
ラブロフ外相は、25日放送のテレビインタビューで「核戦争は深刻かつ現実的なものだ」と述べました。
そのうえで「私はリスクを高めたいとは思わない」と話し、ロシア側から核兵器を使用する可能性はないと強調しました。
「テレ朝ニュース」より
このニュース、テレ朝ニュースは「ロシア側から核兵器を使用する可能性はない」と説明しているのだけれど、ラブロフ氏はそうはいっていない。寧ろ「使うぜ」と言っている。
ロシア外相、核戦争の危険性は「現実」
2022.04.26 Tue posted at 12:28 JST
ロシアのラブロフ外相は25日、ロシアが核戦争のリスクを減らそうと努力していると主張した。しかし、ラブロフ氏は、核戦争の危険性については「現実」のものとの見方も示した。ロシアメディアとのインタビューの中で語った。
ラブロフ氏は、核戦争の危険性について、「それは現実で、過小評価できない」と述べた。
「CNN」より
CNNで伝えるニュアンスは、「使いたくは無いが、使わざるを得ない事態を迎えるリスクは低くない」と言っている。つまりこれはラブロフ氏の脅しだ。
実際に、イギリス外相はラブロフ氏から脅されたという認識を示している。
テレ朝の偏向報道にも困ったものだが、ロシアの「カード」としての「核兵器使用」は現実のものだよというのが国際的な解釈である。
日本は原発を再稼働へ
再稼働は世界にもアピール
そういうリスキーな状況似更に進んでいる状態なので、じゃあ、日本は原発の再稼働をしましょうという話をしたい。
ところで、実はこのロジックでお話をしている方は何人もいて、僕が読んでいる所でも2箇所。


最近よくこのブログでも言及することの多い、新宿会計士さんのところと、池田信夫氏のアゴラの記事だ。後者は日本の経済の話になっているので直接的な解ではないのだけれど、ロジックは一緒である。
つまり、日本が沢山天然ガスを買ってしまうと、ヨーロッパが買う分が減ってしまって価格上昇を招くので、原発の再稼働をして天然ガスの購入量を減らして、価格上昇を緩和し、その結果、日本経済への良い影響と、ヨーロッパにも良い影響があるという話になる。
ロシア原油輸出に急ブレーキ、買い手つかず
2022 年 4 月 27 日 10:34 JST
ロシアはこのほど大量の原油を入札にかけたが、買い手がつかず失敗に終わった。国営石油大手に対して近く発動される制裁措置が足かせとなっており、ロシア経済の屋台骨であるエネルギー業界は苦境に追い込まれつつある。
「WSJ」より
幸いにも、ロシアへの世界的な経済制裁はそれなりに影響が出ているので、日本が原発の再稼働をすることで更に天然ガスの買い手を少なくすることが出来るという経済制裁的な効果も期待ができる。
石炭火力発電所を増やそう
正直、既に欧州ではSDGsファッションは流行の中心から外れてしまい、そこから撤退しようとしている国が増えている。
日本に難題、石炭火力「30年廃止」 G7環境相会合声明原案
2022年4月26日 6時00分
来月下旬に予定される主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合に向け、議長国のドイツが各国に示した共同声明の原案が25日、わかった。温暖化対策として、2030年までに各国内の石炭火力発電を廃止する方針などを盛り込んでいる。石炭火力を30年時点でも活用する計画を持つ日本は反発している。
「朝日新聞」より
朝日新聞は、未だ遅れた発想での議論をしているのだが、欧州だって出口戦略を迷っているのは事実なのだ。そこへ「石炭火力30年廃止」とか周回遅れも良いところである。
CO2大幅減の石炭火力発電、広島で最終実験始まる
2022年4月19日 19:41
中国電力とJパワーが共同出資する大崎クールジェン(広島県大崎上島町)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は19日、二酸化炭素(CO2)の排出を大幅に減らせる石炭火力発電の実現を目指す「大崎クールジェンプロジェクト」の最終段階の実験を始めたと発表した。
「日本経済新聞」より
大崎クールジェンといえば、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実験をやっているところで、上手く行けば二酸化炭素排出量の9割カットが実現できる。
つまり、新しい技術を実用化すれば、世界中あっちこっちに埋蔵されている石炭で発電が出来て、二酸化炭素の排出量も大幅に削減が可能なのだ。

具体的にいこう。二酸化炭素排出量で攻撃されがちな石炭火力発電だが、一般的な石炭火力発電では実は天然ガス火力の2倍弱の二酸化炭素排出量があるのは現実だ。
ところが、IGFCでは9割二酸化炭素がカットできるので、天然ガスコンパインドよりも二酸化炭素を出さない事になる。

これはサステナビリティJAPANというサイトが示しているグラフで、IGFCの第一段階目のIGCC(IGFCは第三段階目)では従来の7割弱という状況だったが、IGFCなら従来の1割という。
時代は石炭火力発電だった?!
何処まで実現できるかは分からないのだが、日本の目指している方向を示して、寧ろ石炭火力発電を推すくらいの勢いで世界にアピールすべきだろう。
そのためにも再稼働して時間を作ろう
というわけで、いつもの時間稼ぎ論である。
直ぐに出来る日本経済への処方箋としても優秀だし、世界に貢献というアピール材料としても優秀である。序でに言えば、放射性廃棄物の量は再稼働によっては殆ど増えない。
燃料となるウランの買い付けだけは多少苦労しそうだが、天然ガスや石油を輸入するよりは電力への影響が緩やかである点も優秀である。
もちろん、良いことばかりでは無い。3.11の惨劇を経験したことは事実であるしリスクがないなどということは言えないのだが、一方で、それまでの50年間無事故だったのも事実ではある。
時限的な措置で再稼働して、次の発電手段を確保するという話は何度もしたので諄く書くつもりは無いけれど、この危機は日本の直面する危機でもあるのだから、英断をすべき時である。
岸田首相の原発再稼働発言、国が前面に立ち国民の理解得るため=経産相
2022年4月28日9:47 午前
萩生田光一経産相は28日の閣議後会見で、岸田文雄首相の原発再稼働に関する発言について「国が前面に立って国民に呼びかけ、理解を得るための一環」と述べた。
「ロイター」より
政府は決断しようとしてはいるんだけど、岸田氏の判断は遅いんだよな。必要なのは今なんだけど。
コメント
こんにちわ
ロシアからポーランドへの天然ガス供給停止についてですが、ポーランドは数年前から独自に対策を打っていて、ノルウェー → (デンマーク →) ポーランド直通の天然ガスパイプラインを建設中です。今秋には開通し、完全開通は年明けとのことです。
https://ca.finance.yahoo.com/news/norway-poland-gas-pipeline-ready-201505794.html
このパイプラインの輸送能力は年間100億立方メートルで、それはポーランドの年間消費量の55%に相当し、ロシアからの年間輸入量に匹敵します。ポーランド政府は建設を急ぎ、前倒して開通させるそうです。また、EUはポーランドとブルガリアへ天然ガスを融通する措置を取るとのことです。
ポーランドの強かさは、日本には真似できないレベルですね。岸田政権は国内外の諸問題に対して明確な方針を示そうとせず、お茶を濁すばかりですが、それは日本国民の期待に背いていると思います。個人的には、7月の参院選ではかなり厳しい結果が出るとみています(マスコミ発表の政権支持率を信じてはダメ)。
調べてみると、確認されている天然ガス埋蔵量は、中東やロシアに集中していますが、天然ガス自体は石油よりも世界に偏在しているようで、トルコなどは手に入れられる目処を立てているようですし、ヨーロッパにもそこそこありそうな感じです。
じゃあ何故今まで調査し・掘らなかったのか?といえば、採掘コストの問題が1つと、環境への影響の問題が1つ。要は、環境左派グループを説得するだけの材料が今までは無かったのだけれど、不覚にもプーチン氏がその材料を提供してしまった格好ですね。
全てを賄うことは難しくとも、ある程度賄えれば天然ガス価格にも影響してきますから、意味はあるんでしょうね。