間違っているぞー、タイトルが。
韓国代表団が萩生田経済産業相と面会 日本の対韓輸出規制など協議
2022.04.25 19:39
韓国の尹錫悦次期大統領が日本に派遣した「政策協議代表団」が25日、萩生田光一経済産業相と面会し、2019年に始まった日本の対韓輸出規制強化などについて協議した。
「聯合ニュース」より
日本は韓国に対する輸出規制なんぞしていない!なんというか、最初から間違っているのだが、どうなっているのやら。
曲解にも程がある
輸出管理強化は適性である
勝手なことを言っているなぁ。
経済産業相の萩生田氏は、きっちり相手を黙らせるべきだと思うんだ。
代表団の団長を務める次期与党「国民の力」所属の鄭鎮碩国会副議長は、面会後記者団に対し、「輸出規制問題など懸案があるが、新たなスタートラインから両国の互恵的な未来を切り開くため、問題を賢明に解決するために努力しようと(萩生田氏に)申し上げた」と説明した。
「聯合ニュース”韓国代表団が萩生田経済産業相と面会 日本の対韓輸出規制など協議”」より
韓国側が好きなことを言っているが、「輸出規制」などは日本側は行っていない。
輸出管理、双方の立場説明 萩生田経産相、韓国代表団と会談
2022年04月25日20時17分
萩生田光一経済産業相は25日、韓国の尹錫悦次期大統領が派遣した「政策協議代表団」と会談した。経産省によると、日本が2019年に韓国向け半導体材料の輸出規制を強化したことに関し、双方が従来通り自国の立場を説明した。
日本は軍事転用への懸念が拭えないとの理由で韓国への輸出管理強化を発動した。これに韓国が世界貿易機関(WTO)に提訴するなどして両国関係が一段と悪化。輸出管理に関する対話が途絶えている。
「時事通信」より
萩生田氏は「輸出管理」の適性化を行っているのであって、韓国における管理がしっかりなされていなかったからこそ、韓国に対する輸出管理の体制見直しを図るしかなかったのである。断じて「規制」ではないよ。
ところが、この件に関する対話は今以て行われてはいない。韓国にはやる気がないというわけだ。
WTOへの提訴
それどころか、いきなり世界貿易機関(WTO)に日本を提訴する始末である。
これを受け韓国政府は同年9月、対韓輸出規制強化を不当として世界貿易機関(WTO)に日本を提訴した。
「聯合ニュース”韓国代表団が萩生田経済産業相と面会 日本の対韓輸出規制など協議”」より
この時の言い分がまた凄かったので、当時の記事を引用しておこう。
韓国、日本をWTO提訴 半導体の輸出管理めぐり
2019年9月11日 9:36 (2019年9月11日 11:52更新)
韓国政府は11日、日本の韓国に対する半導体材料など3品目の輸出管理厳格化措置は元徴用工問題での報復であり不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。7月に同措置を発動した日本は安全保障上の適切な対応と説明してきた。日韓の主張は平行線のまま解決を探る2国間対話を欠いており、国際機関の枠組みで正当性を争うことになる。
韓国産業通商資源省の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が11日、ソウル市内で記者会見して明らかにした。日本の輸出管理厳格化は「最高裁の強制徴用判決と関連した政治的動機で、わが国を狙った差別的な措置だ」と提訴理由を説明した。
~~略~~
これに対し韓国政府は日本の措置で自国企業が深刻な被害に直面しているとしたうえで、「WTOの基本原則である差別禁止や最恵国待遇の義務に違反する」(兪本部長)と主張。輸出管理厳格化措置の導入は政治的な理由と断じ、「貿易規定を公正で合理的に運営しなければならない義務にも抵触する」とも訴えている。
「日本経済新聞」より
記事を今読んでも、「話にならない」というのが正直な感想である。「輸出管理厳格化措置の導入」が政治的な理由であったことは事実であるが、別に差別的な取り扱いをすることを目的としたわけではない。
そもそも、この輸出管理の枠組みは、この時に厳格化したのではないのだ。ただ、韓国の輸入品取り扱いに関して、不透明な部分が多く、この点の説明を求めた時に、韓国側は無視をして年単位で音沙汰がなかった。このため、説明が出来ないのであればカテゴリーを変更するしかないという事で、結果的に韓国の待遇は悪化した。……自業自得なのである。
最恵国待遇
ここで、韓国が主張している「最恵国待遇」ということなのだが、多分、高校の社会の授業(多分公民)で学んでいるはずなので、少し思い出してみたい。
いずれかの国に与える最も有利な待遇を、他のすべての加盟国に対して与えなければならないという最恵国待遇原則(Most Favoured Nation Treatment = MFN 原則)は、WTO協定の基本原則の1つである。
最恵国待遇原則の下では、例えば、WTO加盟国の A国が、B国(WTO加盟国であるかどうかを問わな い)との交渉において、製品αの関税率を 5%に削 減すると約束した場合、この関税率は5%国以外のす べての加盟国に関しても適用されなければならな い。つまり、ある国が一定の問題に関して他の諸国に最恵国待遇を与えるということは、その問題 についてそれらの諸国を平等に扱うことを意味し ている。
「経済産業省の資料」より
先ずは原則的な話だ。
定義通りであれば、確かに、「他国に設定している待遇を韓国にも適用すべき」という主張は正しい様にも思える。しかし、これはあくまで原則であって、例外規定はもちろん存在する。
そうでなければ、最近、ロシアに対する最恵国待遇の撤回を日本の国会が決めているが、これは条約違反という事になってしまう。
ロシアの最恵国待遇撤回 改正法成立、水産物の関税上げ
2022年4月20日 11:45
ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁を強化する改正関税暫定措置法と改正外為法が20日午前の参院本会議で可決、成立した。貿易上、優遇してきたロシアの最恵国待遇を取り消し、魚介類や木材などの品目の関税を上げる。米欧と協調し、ロシアへの制裁の実効性を高める。
「日本経済新聞」より
これは一体どう言うことなのだろうか?
何事にも例外はある
原則があれば例外も当然ある。
(a)関税同盟・自由貿易地域(GATT第24条):特定の条件を満たせば、特定国同士での待遇設定が可能である。
(b)授権条約:一般特恵制度ともいうが、開発途上国の輸出所得の拡大や開発の促進を目的とした特別措置の設定が許されている。
(c)特定加盟国間における多角的貿易協定の不適用:マラケシュ協定の定めにより、WTO協定の不適用が認められる。
(d)その他の例外:公徳の保護、生命又は健康の保護のためなどに必要な措置についての一般例外(GATT第 20条)及び安全保障例外(GATT第21条)は、最恵国待遇義務にも適用がある。
色々挙げたが、今回の例外適用は(d)の安全保障例外だろう。
安全保障貿易管理
この安全保障例外というのがどんなものかというと、安全保障貿易管理と言う概念で説明されている。
安全保障貿易管理とは、国際社会における平和と安全を維持するため、武器そのものを含め、軍事転用可能な民生用の製品、技術などが、大量破壊兵器の開発を行っている国家やテロリスト(非国家主体)の手に渡らないよう、輸出規制を行うことを指します。
その重要性については、インドやパキスタンの核実験、中東を始めとした世界の各地で勃発する紛争や戦争、ソ連邦解体に伴う核流出の懸念などを受けて国際的な認識が高まっています。しかし、より真剣な対応を迫られることとなった契機が、2001年に米国で発生した9.11同時多発テロであり、その後の欧州、中東等で続発した爆破テロ、更には、リビアの核開発とそれを支えた「核の闇市場」の露見でした。
2002年の一般教書演説において、当時の米・ブッシュ大統領は化学・生物・核などの大量破壊兵器を手に入れようとする国家やテロリストを国際社会から排除すべく、対テロ戦争の継続を宣言し、特に北朝鮮など3カ国を「悪の枢軸国」と名指しして、連邦議会に訴えました。国連安保理でも1540決議が採択され、大量破壊兵器やその関連物資の不拡散のための措置が加盟各国の義務となったほか、先進国首脳会議(G8)でも毎年のように不拡散のための声明等が出されました。我が国においても2002年から、従来の規制に加え大量破壊兵器等不拡散のための「キャッチオール規制」が導入され、各企業における自主管理体制の徹底が一層強く求められるようになったのです。
「安全保障貿易情報センターのサイト」より
これに韓国が引っかかったと言うことなんだな。
「キャッチオール規制」という「大量破壊兵器等不拡散」を各国に義務づける方針を採ることで、テロとの戦いなどの一助としているわけだ。
いくら自由貿易が大切だと言っても、そりゃ、無秩序に大量破壊兵器が拡散されてしまえば、多くの国は困る訳だ。実際に、アメリカやロシア、支那など積極的に兵器を輸出する国はあるわけで、中東などは武器が供給されるから争いが終わらないという側面は確実に存在する。
だからこそ、国が責任を持って輸出したものに関しては使い道を監視し、問題があれば対応しましょうと言うことになっている。
日本は韓国について、輸出令別表第3の国・地域(グループA)から、輸出管理レジームに参加し、一 定要件を満たす国・地域(グループB)に変更し、更に例外「韓国向け3品目」を除くという適用にしている。理由は上述した通り、信用が出来ないからだ。
経産省によると、萩生田氏は会談で「健全な日韓関係は地域・世界の平和と安定、繁栄を目指す上で不可欠だ」と、関係正常化に向けた対話の重要性を伝えたという。
「時事通信”ロシアの最恵国待遇撤回 改正法成立、水産物の関税上げ”」より
したがって、この部分、萩生田氏の発言は、時事通信が言及するような「関係正常化に向けた対話の重要性を伝えた」というよりは、「きちんと輸出管理しろ」「日本からの問い合わせにはきちんと応えろ」という事を伝えた様に思われる。
韓国は優遇に値しないと、それだけの事なのだ。
韓国向け3品目
さて、韓国向け3品目なのだが……。
韓国向け半導体素材3品目、輸出管理強化 「ホワイト」国除外も
JULY 1, 201912:36 PM
経済産業省は、韓国への半導体材料3品目の輸出について、7月4日から契約ごとに審査・許可する方法に切り替える。また、韓国に関する輸出管理上のカテゴリーを見直し、手続き簡素化の対象国である「ホワイト国」から外す方向で政令改正の手続きに入る。いずれも同省が1日午前に発表した。
同省は、元徴用工訴訟を巡る外交関係を背景に韓国との信頼関係が崩れ、輸出管理上の「不適切な事案」が発生したことを理由に挙げている。ただ、何が不適切な事案に当たるのかは、明らかにしていない。
今回の措置では、エレクトロニクスや半導体製造用の材料で日本製品のシェアが高いフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について、包括輸出許可制度の対象から外し、個別に輸出許可申請を求める。
これまでは3品目に関する韓国への輸出手続きでは、簡略化する優遇措置が採用されていた。
「ロイター」より
実はこれ、報道にも問題があるのだが、一般的には実に大きな誤解を生じていて、韓国はその誤解を利用して騒いでいる。
しかし実際にリスト規制対象として許可対象とな るのは、レジストでは、極めて波長の短い紫外線(極 端紫外線)を使う「EUV」用などに限られ、現在、 半導体の量産で使われているものは非該当で許可対 象ではない。数量ベースでは、1%にも満たないごく わずかな量である。
また、同協会が「フッ化ポリイミド」として発表 している品目は、(注 2)にある HS コードで調べる と、ポリイミドフィルム等全体のものとなっており、 ミスリーディングとなっている。現在量産されてい る有機 EL パネル等に広く使われているポリイミド フィルムは非該当だから許可対象ではない。フッ化 ポリイミドは、次世代のフレキシブル・ディスプレ イ等の新しい用途に使われるものであり、ポリイミ ド全体から見れば、やはりごくわずかな量である(半 導体向けの高純度の「フッ化水素」は、ほぼ全量が 許可対象となる)。
「cistec」より
日本が除外3品目と指定したのは、基本的には国際レジーム合意によって規定されたスペックを対象にしたリスト規制品目に基づいており、「差別的な取り扱い」というのは恣意的な誤解、或いは曲解である。
最恵国待遇をむしろ堅持すべき
寧ろ、韓国だけ甘くするというのは、最恵国待遇に反する行為となる。故に、日本はこの部分で譲ることは出来ないのである。
萩生田氏はその辺りの事について懇切丁寧に説明したのだろうか?
そもそも問題となった高純度フッ化水素のうち一部は、支那にある韓国企業の工場で使った。本社で一括購入をしたという説明を報道で行っているのだが、これは本来規定違反である。このような運用をされる限りはグループAに分類することはできない。
ちなみに、制度の内情を言えば、韓国はグループBの中でかなり配慮をされた位置づけにあり、書類もグループAなみに簡素化されているという。
韓国側は好きなことを言っているが、「輸出規制」などは日本側は行っていないというのが現実である。もちろん、韓国側に言い分はあるだろうから、対話をやって摺り合わせをすれば良いのだろうけれど、輸出管理は内政であり、国際的な基準に準じた判断をしている以上は、文句を言われる筋合いはないぞ。
コメント
木霊様、皆さま、今日は
未だに理解できないのは、韓国は何故この件に拘っているのか、という点です。韓国企業は従来どおり(ホワイト国から除外される以前と同じように)操業しているではないですか。ならば、この件は韓国企業にとってさほどの障害ではないはずです。事務が面倒になったとか、納期が長くなったなどはあるでしょうけどね。
私としては
・格下の日本が・・・という感情論
・偉大なる将軍様に差し上げる物がなくなった。
・○国や□国に高値で輸出して暴利を貪る事ができなくなった。
くらいしか思いつきません。
何年前だったか・・・に物品がどのように使われたかのチェックの会合を韓国がパスしたわけですが、その時点で「問題がない」事を示せばよかったわけです。でも、韓国はそうはしなかった(パスした)。という事は、「問題がない」を示す事ができない、あるいは「資料がない」から、となってしまいます。いずれにしてもアウトですよね。
僕の憶測に過ぎませんが、この輸出規制に韓国が拘っている理由は、「精神的勝利」というヤツでしょう。
韓国は、領土的に殆ど意味のない竹島に拘って、かなりの費用をかけて人員を駐在させています。軍事訓練をやるにしても不適当な海域ですが、敢えてあの辺りに拘っています。同じ事なのではないでしょうか。
それは、「格下の日本」というか、「日本=絶対悪」という構図を崩したくないという本音の上にある話であり、常に「兄の国」でなくてはならないからだと思いますよ。生産性はありませんが。
実際にご指摘の通り、2019年のカテゴリー変更は、貿易的にはたいして影響がないのです。寧ろ「ホワイト国から外された」という事の方が大きなダメージだったのではないでしょうか。
戦略物資とは言え、横流しして得られる利益がさほど多かったとも思えませんから、精神的な部分のダメージが尾を引いているのかと。
もう一つは、噂レベルではありますが、高純度のフッ化水素は核実験には欠かせず、それを中東に持ち込んで外交ツールにしていた可能性はあります。こちらはさほど高純度ではなくとも問題無さそうなので、あくまでも噂レベルですが。