タイが支那から調達予定の潜水艦、エンジン無くて建造頓挫

アジアニュース

ちょっと面白かったので取り上げておこう。

タイ、中国製潜水艦導入が頓挫 独がエンジン供給拒否

2022/4/20 18:50

タイが導入を決めた中国製潜水艦の建造が頓挫している。受注した中国企業に対して、ドイツ企業がエンジンの供給を拒否し、建造が進まないためだ。

「産経新聞」より

あーはいはい、エンジンがないと動けないもんね。支那から買おうとしたのが間違いだったねー。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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タイ、支那から潜水艦買うってよ

そもそも何故、ドイツ製エンジン?

何でこんな事になっているのか、という話なのだが、別にドイツが支那に兵器を供給しないのは今に始まったことでは無い。

タイ政府は、2017年に支那から潜水艦を導入する事を決定している。

THAI PRIME MINISTER CONFIRMS PLANS TO BUY SUBMARINES FROM CHINA

Mar 28, 2017

In a statement to the press, the Prime Minister of Thailand, Prayut Chan-o-cha, confirmed Bangkok’s plans to acquire three air-independent propulsion (AIP)-powered submarines from China.

The Royal Thai Navy (RTN) secured U.S. $383.4 million for the first S26T submarine in January. The deal, which entails three submarines, is valued at a total of $1.02 billion. The lead ship will include the cost of logistics, training, maintenance and potentially munitions, freeing the remaining two to cost less.

Prime Minister Prayut Chan-o-cha told Thai media that one of the submarines will be “a free gift.”

The S26T will be the RTN’s first submarines since the end of the Second World War. Although Thailand procured its very first submarines in 1937, it has not operated such machines for more than 50 years.

「Quwa」より

ふーん、非大気依存推進(AIP)動力の潜水艦が欲しかったんだって。

プライユット政権は支那との親和性が高い

2014年に軍事クーデターによってタイの首相になったプライユット・チャンオチャ氏は、軍人出身の首相で、国防大臣も兼務している。

その前のインラック政権では、随分と汚職が蔓延っており、再選をかけた選挙が投票に不備があったことで無効となった。その際に、陸軍司令官だったブライユット氏が戒厳令を出してそのまま政治を掌握。段階的に民政復帰をすることを約束して、首相の座に就いている。

で、2019年に民主的手続きによって下院総選挙が行われて、ブライユット氏が首班指名をうけて再び首相になっている。

過去、タイはアメリカと条約上の同盟国であったが、クーデター発生によって距離が空いてしまう。ブライユット氏は支那との関係が強かったために、潜水艦の導入にあたっても支那製を選択肢に挙げ、結果的に支那から元型(039A型)潜水艦の購入を決定している。そこで支那製の兵器を買っちゃうあたり、なかなかの度胸がある。

主機はMTU製

ところでこの元型潜水艦、なんとディーゼルエンジンとしてMTU製のエンジンを採用している。……おいおい西側のエンジン採用するとか、なかなか度胸が良いな!

実はドイツ、原則として天安門事件(1989年)以降、東側に軍事品の販売を行っていなかった。

ところが、ドイツ側がエンジン供給を拒んだことで建造が中断した。欧州連合(EU)が1989年の天安門事件以降、中国への軍事品販売を禁止する措置を取っているためだ。

米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)によると、エンジンなどは民生にも軍事にも利用できる「デュアルユース」品目のため、民生用とすれば抜け道として輸出が可能だという。しかし今回は潜水艦での利用が明確なため、ドイツ政府が輸出を認めなかったとみられる。

「産経新聞”タイ、中国製潜水艦導入が頓挫 独がエンジン供給拒否”」より

だがこのエンジン、民生とデュアルユースだったために、輸出が可能だったらしい。

多分、ドイツもこの事を黙認していたのだと思う。そうでなければ、支那が採用している元型潜水艦にMUT製の主機が公然と採用されているわけがない。しかし、トランプ政権時代にかなりこの事が問題となったせいか、急にドイツは渋るようになった。

それに加えてロシア軍のウクライナ侵攻と、ドイツのメルケル政権が終了したこともあって、このエンジンが手に入る目処が立たなくなったと言うところだろう。

支那製エンジンは如何ですか?

当然、支那としても作った潜水艦をどうするかは悩む事になる。

プラユット首相は4日、「エンジンのない潜水艦をなぜ買わなければならないのか」と不満を示し、契約破棄を示唆した。中国は中古潜水艦や中国製エンジンの提供を打診しているが、「中国製はパワーと信頼性で及ばない」(VOA)ため、タイ側は受け入れるつもりはないという。

「産経新聞”タイ、中国製潜水艦導入が頓挫 独がエンジン供給拒否”」より

支那もなかなかふざけた提案をしているものだね。

そもそもドイツ製エンジンを搭載することを条件に、タイは支那との合意を結んでいるわけで。契約が守られなければ破棄されるのも無理はない。

これに関しては、タイに同情する気にはなれないが、しかし一方で支那が本来無理筋だった話だったものを「できる」と推し進めた話だったために支那側の肩を持つ気にもなれない。

そもそも潜水艦購入に批判的な声も多かったようだが、この件でプライユット政権も批判を受けるのではないかという観測も出ている。

After assessing several proposals, the Chinese S26T was selected for being “the cheapest with the quality relatively acceptable.” Cost sensitivity was the decisive factor in Thailand’s decision.

「Quwa”THAI PRIME MINISTER CONFIRMS PLANS TO BUY SUBMARINES FROM CHINA”」より

品質と価格のバランスが良いという判断だったようなのだけれど、結果的にはダメだったからねぇ。

まあ、ご愁傷様としか。

あー、日本から潜水艦とかどうですか?品質は良いっすよ。そう簡単には売れないけれども、西側に参加するのであれば、アリなんじゃないかな。

コメント

  1. > 日本から潜水艦とかどうですか?

    無理じゃないですかねぇ。
    政治的な部分が解決しても本邦の現行モデルはタイには大き過ぎるんじゃないでしょうか。
    元級の諸元を見ると、本邦だとあてはまるのが「おやしお級」よりさらに三代下る「うずしお級」になります。
    呉にある鉄のくじら館の「あきしお」をスマートにしたかんじになります。

    今まで輸出を考えたことがないからドイツの様に大きさの種類がないんですよね。
    だからいざ輸出を、と考えても相手がいなくなってしまう。
    本邦の艦級で扱える国となると、それこそカナダとか向いてると思うんですよね。
    アプホルダー級がもう使えないのでホントに売り込みにいかないかな?

    • まあ、日本から輸出する案は、なかなか難しいのが実情ではあります。現在の体制では現実的ではありませんし。
      本気で輸出するために新たに開発する、とかでなければダメでしょうし、それには時間がかかります。

      カナダに輸出するなんて話は考えたことがありませんでした。
      あの国、イギリスから潜水艦の供給を受けていたんですねぇ。確かに、日本は本気で海外に潜水艦を輸出することを検討すべきかも?