自民党がようやく口にした「専守防衛見直し論」

防衛政策

何というか、「自民党が変わり始めた」と喜ぶべきなのか、「遅すぎる」と嘆くべきなのか。

「専守防衛」自民に見直し論 安保環境変化に対応

2022/4/12 00:29

自民党の安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)は11日の会合で、憲法9条に基づく日本の防衛姿勢である「専守防衛」について議論し、名称や解釈を変更すべきだとの意見が上がった。敵基地攻撃能力の保有についても議論され、名称案などについて意見交換した。自民は政府が年末をめどに進める国家安全保障戦略(NSS)などの改定に向け、4月末までに提言をまとめ、岸田文雄首相に提出する。

「産経新聞」より

ロシアのウクライナ侵攻によって、「自国の防衛」というのを多くの国が見直さざるを得なくなった。そのことを自民党議員も感じ取ったからこそのこのニュースなのだろうけれど、実際、ウクライナ侵攻の前からその問題はずっとあったよね。

日本はやはり分かり易い事象が発生して、外圧として変革を求められないと、変えられない国なのかも知れない。

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遅すぎた自民党

攻城戦・籠城戦

みなさまご存じの通り日本は「専守防衛」を防衛政策として掲げている。

1 専守防衛

専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう。

「令和元年版防衛白書」より

しかし、この話は掲げている当の防衛省ですら「オカシイ」と考えてるだろう。だって、専守防衛というのは所詮、夢物語なのである。守っているだけで戦える訳は無い。専守防衛とは、日本列島に引き籠もって防衛する、籠城戦をやるような事態を招きかねず、兵法的には籠城戦をやるのであれば援軍が外から来る前提でなければならない。

孫子の兵法によれば、「防御に徹する守備側を攻略することは容易ではなく、攻城は下策で最も避けるべき」と述べられてはいるが、短期戦であれば有利な戦法ではあるものの救援軍が来なければ、城内で飢え死にするしかないのもまた現実である。

そして、最悪なのが城壁を超えて飛んでくる火矢や石、砲弾などを防ぐ事が難しいケースである。

ミサイル防衛の幻想

でまあ、日本の防衛政策に戻っていくと、海を越えて飛んでくるミサイルを何とかしないとという事で、ミサイル防衛を採用している。

ただ、ミサイル防衛を突き進める上で、重要だとされていたイージス・アショアは失敗してしまった。

イメージ図02

この計画は色々と杜撰な部分があったのは事実ではあるが、この計画を中止してしまったことが正解だったかどうかは、今以てよく分からない。

ただ、現実的な事を考えると、ミサイル飽和攻撃に対処することは現状のミサイル防衛政策では実現できない。1発2発、10発くらいまでなら多分迎撃できるが、100発~200発飛んでくるレベルになるととてもじゃないが全て撃ち落とすことはできない。

専守防衛の呪い

で、「ミサイルを撃ち落とせないなら、ミサイルを撃ってくる基地を攻撃しろよ」という発想になるのは至極真っ当なことだと思う。

他の党のことは余りニュースになっていないが、自民党や日本維新の党、そして国民民主党あたりは「敵基地攻撃能力」の獲得に対して一定の理解があるようだ。

ただ、やはり自衛隊出身議員がいたり、防衛省とのチャンネルのある自民党はもうちょっとマシな議論はできるらしい。

とはいえ、とはいえである。これに対して、「意味がない」「移動車両で撃たれたら攻撃できない」という意見は出てきている。ただ、僕自身は敵基地攻撃能力の保有に意味がないとは思わないし、例え移動車両からのミサイルを迎撃出来なくても、基地のサイロから撃ってくるミサイルを潰すだけでも意味はあると思っている。

自民 いわゆる「敵基地攻撃能力」保有 政府に求める方針で一致

2022年4月12日 5時12分

自民党は、敵のミサイル発射基地などを破壊する、いわゆる「敵基地攻撃能力」について議論を行い、こうした能力の保有を政府に求める方針で一致し、国民に理解されやすいように名称を変更すべきだという意見が相次ぎました。

「NHKニュース」より

自民党が政府に「敵基地攻撃能力保有」の方向で申し入れする方針に決まったという報道もあったし、いよいよ動き出すようだ。

ただ、ここで問題となってくるのが上述した「専守防衛」という日本が掲げている防衛方針である。これが呪いのように日本政府に絡みついてくるのである。

……バカじゃないの?そんなものさっさと捨てろよ。

どっちに転んでも、力による現状変更というのは国連に「行ってはならない」と明記されている。「侵略戦争は行ってはならない」のである。だが、ロシアは国連の常任理事国でありながらも、これを侵した。

もはや、「国連が守ってくれるから、他国を攻撃する力は不要」というのは説得力を持たなくなった。よって、専守防衛の呪いを如何に打ち払うかが、日本の防衛政策にとって極めて重要なことにになる。

憲法9条の呪い

そして、この「専守防衛」の根拠としているのが憲法9条なのだが……。

専守防衛は、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する受動的な防衛姿勢を指す。その行使の態様や保持する防衛力については「自衛のための必要最小限」とされる。

「産経新聞”「専守防衛」自民に見直し論 安保環境変化に対応”」より

これが既に防衛力として成り立たないというのが、自民党での議論なのだ。

11日の会合には関係議員の他、中谷元、岩屋毅、浜田靖一各元防衛相らが参加した。近年は中国やロシア、北朝鮮など近隣国が日米のミサイル防衛突破を狙った極超音速ミサイルを開発し、専守防衛を堅持してきた日本周辺の安保環境が厳しさを増していることから、相手に攻撃を断念させるために抑止力強化が必要だとの見解で一致した。その上で「専守防衛」について、「『必要最小限』では抑止力にならず国民を守れない」とする主張や、自衛のための攻撃も含めた「積極防衛」との名称変更案が出たという。

「産経新聞”「専守防衛」自民に見直し論 安保環境変化に対応”」より

積極的に防衛をする為には、敵基地の攻撃も辞さないというのが現在の考え方で、ウクライナの事案を考えればこれは当然の帰結であると思う。

憲法関連の議論はこちらで既にやったので、ここでは割愛しておこう。

で、専守防衛の方針というのは、昭和29年、自衛隊・防衛庁の発足にあたって掲げられ、昭和45年、中曽根氏が防衛長官をやっていた時代には、防衛白書の初刊が発行されて、正式の用語として記載された。つまり、専守防衛は自衛隊設立の時からずっとそのままの方針なのである。

もちろん、自衛隊の発足にはアメリカも深く関わっていたので、この隊の方針については知っていたと思うが、黙認した。が、今やアメリカは「世界の警察」を辞め、日本には「自前の防衛力を高めて何とかしてね」と冷たく言い放った。

今のところ日米安保条約は有効ではあるが、いつまでそれが続くのかもよく分からない。それが無くなった時の事を考えていくべきなのだ。

Quadの枠組み

もちろん、無策というわけではなくて、安倍政権時代には日米豪印の協力関係「クワッド(Quad)」という枠組みを作った。残念ながら軍事同盟というところまでは行けていないが、それでもその一歩手前のところには行けたと思う。

もう1つ、オーストラリアとの準軍事同盟の締結が菅義偉政権時代に成された。

インドとの関係構築にまでは至っていないのが残念ではあるが、インドとしてもロシアとだけ関係を良好にして支那に対抗するというのは既に不足を感じている。日本が武装して同盟が結べるというのであれば、当然の選択肢として日印同盟を考えるだろう。

翻ってみると、アメリカもオーストラリアも、日本が腹を括って法整備をし、スパイ防止法なり自衛隊の軍隊化と環境整備が出来たならば、もうちょっと同盟の強化をしてくれるのだろうと思う。

そして、イギリスも、だ。

今後のことを考えると、日英同盟と言うことも考えていかねばならないと思う。

要は、日本は集団安全保障体制に移行せざるを得ないのである。そのために何が必要かは既に書いたけれども、憲法9条の改憲である。日本を守る為には改憲やむなしの状況を迎えているのだ。

専守防衛の見直しはその第一歩でもあるので、眠たいことを言っていないでさっさと見直すべきであり、その次に非核三原則の廃止。憲法改正と。

やるべき事は沢山あるね。自民党は党是である憲法改正を果たすべく、是非とも努力して欲しい。今必要なのは、日本は集団安全保障体制の獲得なのである。

追記

あー。

公明 山口代表「“専守防衛”は大事にしていくことが重要」

2022年4月12日 15時30分

歴代政権が防衛政策の基本的な方針としてきた「専守防衛」をめぐり、自民党内で解釈や名称の変更を求める意見が出ていることについて、公明党の山口代表は、「専守防衛」は戦後一貫してきた考え方で、大事にしていくべきだという認識を示しました。

「NHKニュース」より

コメントにも頂いたけど、自民党は議論を進める前に、公明党と手を切らなければダメだね。現実の見えない公明党。

話は逆なんだよね。専守防衛や憲法9条なんてものを後生大事にしてきたからこそ、日本はこんな危機に陥っているのである。国民の生命と財産を守るのが国会の存在意義だろうに。もう、公明党と手を切ったらどうかな。

夏の選挙、公明党と手を切らないなら、投票しないぜ。

コメント

  1. 我々の世代が現役のうちに、日本が攻守に両立した国防国家に脱皮することを願ってやみません。もうひとつ、自民党がするべきことは公明党との離別ですが….。

    • まさに、公明党と手を切るのは、防衛政策を真っ当にする為には必須であると思います。
      選挙前にその選択はできないと、岸田君は突っぱねるかも知れませんが。