軽い話題としてちょっとだけ触れるつもりで書き始めたのだが、少々まとまりが悪く長い文章になってしまった。
とはいえ、今後の電力安定供給に関わる話でもあるので、少し丁寧に書いておきたいと思う。
ごみ焼却発電の電力で水素を製造 日立造船がスイスで製造施設を建設
2022年04月15日掲載
日立造船(大阪府大阪市)は4月12日、同社100%子会社でごみ焼却発電施設の設計・建設・メンテナンスなどを手がけるHitachi Zosen Inova(スイス/HZI)が、スイス北部のごみ焼却発電施設に水素の製造施設を建設すると発表した。6月に着工し、2023年春の本格稼働を予定している。
「環境ビジネスオンライン」より
引用した記事にあるゴミ焼却発電施設というのは、特に新しい技術ではない。それが何故、今更こんな話になっているのかと言うところが興味深い。
記事では、日立造船という会社がスイスにゴミ焼却発電施設を納入したというだけの話を報じている。
スイスで太陽光発電
水上発電も
スイスの発電割合は、水力(59.9%)、原子力(33.5%)、火力(2.3%)といった感じになっていて、水力発電偏重である。日本とはずい分違う印象だが、自然環境的に雪解け水を利用できる水力発電を増やした方が合理的なのだろう。
が、「温暖化の影響で氷河が溶け出して心配」という話もあって、水力発電一本槍の現状に不安を抱いているようだ。温暖化しているかどうかは議論の余地があるとは思っているが、環境の変化が起きていることは事実だろう。
そんな中で注目されているのが「太陽光発電」である。またか……。
湖に浮かぶ水上太陽光発電、スイスアルプスで初の試み
2020/11/06 08:57
スイスのアルプスで、高山地帯では世界初の水上太陽光発電所が稼働を開始した。業界の専門家は、この技術が世界の太陽光発電産業の1つの柱になりえると期待を寄せる。
「swissinfo」より
どういうことかというと、こういうことだ。

雪解け水が作る池などがあっちこっちに出来るので、その水面に太陽光発電パネルを浮かべて発電をするのだそうだ。実際、この手の工夫を活かして、太陽光発電も僅かではあるが伸びている。

なんと、全体の4%を締めている!……うんまあ、あんまり向いていないんだよね、スイスに太陽光発電は。何しろ、日照条件が宜しく無い。
電気を貯めておくことは難しい
ちょっと前には、日本でも「電力が足りない」と騒ぎになった。
【速報】“使いきれない電力”で大規模停電のおそれも…東北電力が初の「出力制御」
4/10(日) 11:12配信
東北電力は10日、再生可能エネルギーの発電制御を一時的に求める「出力制御」を初めて行いました。九州電力・9日の四国電力に続いて全国で3例目となります。
電力は発電量と使用量を一致させる必要があり、そのバランスが崩れると大規模停電になる恐れがあります。
「テレ朝NEWS」より
ところが、今度は「出力制御」の為に太陽光発電で発電された電力の買い取り拒否である。
太陽光発電絡みのニュースだが、この出力制限の問題は割と深刻な問題なのだ。供給される電力は需要量に比して多くても少なくても都合が悪い。ある程度のバッファはあるが、必要とされる分だけ供給する必要がある。
電池に相当する設備がなければ、商用の太陽光発電を増やすべきではないと、僕は考えている。あれは単なるオマケくらいに考えるべきだと思う。
じゃあ、どうしたら良いかというと、原発の再稼働である。それについては別の記事でも触れている。
ちょっと前には電力需要が供給能力を上回って、一歩間違えればブラックアウトするような事態となっていた。この時は何とか凌いだのだが、根本的に現在の日本のエネルギー政策は間違っている。何が間違っているかと言えば、未だに原発を再稼働する前提で予定が組んであるのだ。
もちろん、再稼働すればいいとは思っているし、それが簡単な解決策ではあるのだが、なかなか動かすことが難しい事情がある。
であれば、次善の策を用意するしかないのだが、これが上手くいっていない。火力発電に頼りっきりで、世界的なエネルギー資源供給の不安定化が様々な要因で起こっている現状に対応しきれていないのだ。
それもこれも、電気を貯めておくことが困難であるという事実が足を引っ張っているのだ。
揚水発電の可能性
使い方
なお、現状でも揚水発電のような方法での蓄電方法というのはそれなりに可能性がある。実はスイスでも結構デカいヤツを導入している。ここからは外国の事例で言及するのは難しいので、日本の国内の話で少し説明していきたい。
と、その前に揚水発電について簡単に説明しておく。ちょっと前にも触れてはいるんだけどね。

ザックリした説明をすると、電気を使って上の調整池に水を汲み上げておいて、電気を使うときは下の調整池に水を流して、その勢いを利用して電力に変換する。つまり、これ、電力を位置エネルギーに変換して保存し、位置エネルギーを電力に変える発電方法なのである。総合効率は65~75%程度で電力は溜めておくために目減りするデメリットはあるが、いつまででも溜めておけるというメリットはある。

そんな訳で、太陽光発電を行って余った電力を使って上の調整池に水を貯めておくことで、足りないときに発電をすることができる。
そして、揚水発電のもう1つのメリットは、発電量の調整が可能だということである。水力発電もある程度の調整は必要だが揚水発電は0~100%の間の好きな発電量を設定可能であるというところが素晴らしい。まあ、水が蒸発したり雨水が溜まったりと、多少調整を必要とする要素はあるのだが。
揚水発電所の設置の難しさ
さて、こんな素晴らしい発電方法ではあるが、位置エネルギーを溜めておくために必要な大きさの調整池を用意する必要があって、適切な場所を確保することはなかなか難しい。
また、人工の池を作る必要があるということは、自然環境を変化させる可能性があり、環境的にも配慮する必要がある。
また、人工の池を作る必要があるということは、自然環境を変化させる可能性があり、環境的にも配慮する必要がある。よって簡単には大規模な揚水発電所を作る事が出来ないのは事実ではある。また、大規模な貯水施設は山間地にしか作れないという制約があるため、送電ロスなどの問題もあって効率的な揚水発電所がどれだけ確保出来るかということもある。
尤も、既存の溜め池など利用可能な場所はそれなりにあるようなので、設置可能な場所があれば作れば良いと思う。
そして、大規模な貯水施設を作らないという発想であれば、マイクロ水力発電のカテゴリーにはあるがビルなどに揚水発電の要素を取り入れる事は有用ではある。オフィスビルなどは常に水を使う要素があって、態々屋上階まで水を汲み上げて使っている。この水を位置エネルギーと捉えれば、そのエネルギーを発電に使うという発想に転換すれば、既存の施設を使って発電可能となる。ある程度改造は必要だろうけれども。
実際に上水道と下水道が完備されている地域であれば、マイクロ水力発電を行う余地がある。もちろん、水圧の設計などやり直さなければならないけれども、そうした施設で発電を行う事は可能だ。

また、これは東京都の地価調整池なのだけれども、台風の季節に都内で水が溢れないように使っている施設であり、大抵の時期は単なる空洞となっている。こういった施設を利用してもそれなりの発電が可能となる。本来の機能を損なってはならないが、ずっと遊ばせておくのも勿体ない話なので、利用する事を考えるべきだろうと思う。
二次電池での蓄電はコストがかかるが
テスラ社の試み
アメリカ企業テスラが手掛けている蓄電池事業の1つに大型蓄電施設がある。
テスラ、北海道に日本初の蓄電池発電所「北海道・千歳バッテリーパワーパーク」を建設
2021年8月19日 11:21
テスラは8月19日、グローバルエンジニアリング、エネ・ビジョンと協働し、大型蓄電システム「Megapack(メガパック)」を使った、電力卸市場、需給調整市場、容量市場へ参加する日本初の蓄電池発電所「北海道・千歳バッテリーパワーパーク」の建設を発表した。稼働開始は2022年夏頃を予定していて、システム規模は1523.8kW/6095.2kWhとなっている。
これまでテスラは、世界各地で多くの蓄電池発電所プロジェクトへ参画しているが、日本の蓄電池発電所には初めてのメガパック導入となる。今後は日本でも容量市場や需給調整市場の開始に合わせた蓄電池発電所への展開を加速していくとしている。
「Car Watch」より
ちょっと前に話題になったこのニュース。北海道に大規模な蓄電池発電所を建設したというニュースがあった。

こんな施設を作って電力を蓄え、必要に応じて販売すると言うような事を考えているようだ。
メガパックの特徴は、筐体に「蓄電池」「パワーコンディショナー」「温度管理システム」「制御機構」がすべて内蔵されているオールインワン製品で、現地での施工は電源とLANケーブルを接続するだけと、作業が少ないことで施工期間も短く、品質も安定していること。また、蓄電池、パワーコンディショナーなどのハードウェアだけでなく、システム設計、試運転、カスタマーサービス、ソフトウェアまですべてを提供することで、シンプルかつスムーズな設計と導入が可能となるという。
「Car Watch」より
ここのシステムの規模は1523.8kW/6095.2kWh程度ではあるが、もっと大規模な施設もあるようだ。
アメリカ カリフォルニア州 モスランディングに建設中の世界最大級の182MW/730MWhのメガパックシステム。ピーク用天然ガス発電所の代替として設置され、容量市場への参加も予定。
「Car Watch」より
182MWというと、こちらの記事で紹介したHTTRの小型実験炉の出力が30MW程度だったはずなので、そこそこの出力と考えて良いだろう。
Megapackの「発電コスト」は規模にもよるために非公開ではあるが、「発電」とはいえ一度発電した電力を溜めておく施設である為、蓄電して電力を放出する為にかかるコストは単純にプラスされる。
ただし、エネルギーの分散供給をできるというメリットを上手く利用すれば、他の発電システムを動かさなくても良いタイミング(足りない電力を発電させるために稼働させるという意味)を作る事が出来る意味で、トータルで考えるとコストを引き下げる結果にできるとされている為、システムに組み込んでこそその効果を発揮出来るタイプの設備ではある。
NAS電池
実際にこの様な事を考えているのはテスラだけではない。
日本ガイシ、工場の余剰電力を売却 NAS電池活用
2022年3月14日 19:30
日本ガイシはグループ4工場の電力需給をまとめて管理して余った電力を売る仕組みをつくる。自社製品の大型蓄電池「NAS電池」と太陽光発電設備、電力消費の予測システムを組み合わせ、再生可能エネルギーを効率的に使う検証をこのほど始めた。NAS電池の用途や販路の拡大につなげる。
「日本経済新聞」より

NAS電池とはナトリウム・硫黄電池の商品名であり、鉛蓄電池に比べて体積・質量が3分の1程度とコンパクトとなる一方で、常温で運転できない為に常に、ヒーターによる加熱と放電時の発熱を用いて、作動温度域(300 ℃ 程度)に温度を維持する必要があるという制約を抱えている。産業界での利用は可能だろう。
このパッケージで600kW/4,320kWhの出力があるようだ。
この手の設備を再生可能エネルギー発電と併用することで、ある程度の発電量調整が可能となるだろうと思われる。発展途上の電池技術ではあるが、しっかり利用できれば後述する電力供給の安定性に資すると思われる。
太陽光発電を今後も増やしていくのであれば、間違い無くこの手の設備とセットで備えられる事業者に限定すべきだろう。
太陽光発電のデメリット
出力調整の出来ない欠陥発電方法
晴れている時しか発電できない太陽光発電だが、電力が本当に必要になるのは曇っていて寒いときなので、必要な時に発電できないという困った発電方式ではある。
よって、太陽光発電をするのであれば、充電施設とペアにして運用することは必須だ。だが、現状でそうした義務を課す形になっていないため、送電事業を行う事業者は発電事業を行う事業者に対して「安定した電力供給」を妨げる要因が発生した場合には、その原因を排除する事のできる権利を付与されている。それが「出力調整」という名前の買い取り拒否なのである。
この話は、風力発電にも同じことが言える。
出力の調整が難しいという点では原子力発電もそのような欠点を持っているが、原発は発電タイミングを予測し易いため、同列に扱うべきではない。
自然の力を利用して発電するということは、発電量が予測しづらいという欠点を必然的に抱えるという意味なのである。
出火すると消火が難しい
太陽光発電のデメリットとして数えられるのが、出火時の対応の難しさだ。
千葉・水上メガソーラー火災、破損原因は「揺動による応力集中」、京セラTCL報告
2020/02/06 18:42
経済産業省は2月5日、新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ(WG)の会合を開き、台風15号で破損事故を起こした「千葉・山倉水上メガソーラー発電所」に関し、発電事業者の京セラTCLソーラーから事故原因の調査内容、分析結果などに関して報告を受けた。同社からの報告は今回で3回目。
「メガソーラービジネス」より
台風が原因で水上に設置したメガソーラーが破損した事案だが、この時は出火までしてしまった。


違う角度からの写真だが、同じ場所での事案である。原因は引用した記事を読んで頂ければ分かるのだが、施工上の問題があったといわれている。ただ、出火してしまった結果、これを消火する事が難しくて長時間燃え続けた。池の真ん中まで消化剤が届かなかったことと、漏電のリスクがあるために池の中い入って消火することも難しかったことがあるようだ。

こちらはアスクルの物流倉庫火災で、こちらも消火に難航した事案である。なお、この際には誤tweetが出回って「太陽光パネルがあると消火できない」などという話がまことしやかに言われたけれども、そんな事実は無い。
上にも書いたが、漏電によって感電するリスクがあるのは事実だが、それに注意すれば放水による通常の消火方法で消火が可能である。
山間部での崖崩れを誘発
更に、こんな事件があった。
これは表向きは民間企業の乱開発による土砂崩れ誘発なのだが、山頂付近にあった太陽光発電パネルの存在が少なからず影響していたという噂もある。
その原因追究は、もはや難しい状況になってしまっているようだが、あれからどうなったんだろうね。
ともあれ、全国に危険な箇所のある太陽光発電の施設は多数あって、これについては建設基準を改める動きもあるのだけれど、基準を守って建設されたか否かは出来上がってからはチェックが難しい。建てられてしまった設備に関しては今後の課題となるだろうと思う。
そういえば、過去にも太陽光発電のデメリットに関しては同様に纏めているね。重なっている部分もあるが、一読頂けると有り難い。
既に忘れ去られ始めているが、支那がウイグル人を使って太陽光パネルの材料となる鉱物などを採掘していた事から、太陽光発電の推進に疑問符が付いていた時代があった。それも、そんなに昔の話ではないのだ。それも思い出すべきだと思うよ。
リサイクルに手間がかかる
そして、太陽光発電パネルのリサイクルにも問題点を抱えている。

パネルが複合素材となっているため、リサイクルにはそれなりに手間がかかる。
未だにしっかりとしたリサイクルのルートが確立していない事も問題なんだけどね。
太陽光パネル“大廃棄時代”がやってくる
2022年1月14日 19時16分
再生可能エネルギーの代表的な存在、太陽光発電。
日本の太陽光発電は10年前から急速に拡大し、中国、アメリカに次ぐ世界第3位の規模を誇ります。
ただ、太陽光発電に使われるパネルには寿命があるって知っていますか?その寿命は20年から30年。
迫り来る、太陽光パネルの“大廃棄時代”にどう対応すればいいのでしょうか。
~~略~~
太陽光パネルは厳しい自然環境にも耐えられるよう頑丈に作られているため、リサイクルのための分解には手間や費用がかかります。
このため、廃棄する際には多くが埋め立て処分されているとみられています。
「NHKニュース」より
リサイクルをやっている業者はいるし、そのノウハウを使って効率的にリサイクルを行っている事実はあるんだけど、同じタイミングで大量に採用した結果、同じタイミングで大量に廃棄される可能性は高い。

ただでさえ手間のかかる太陽光パネルのリサイクルだが、大量に廃棄品が出てくると対応出来なくなって積み上がる結果になるだろう。
なお、太陽光発電のデメリットを中心に取り上げたが、もちろんメリットがあるのは事実だ。
大切なのは電力の安定供給
太陽光発電は不安定
上に散々発電の「不安定さ」について言及してきたので、今度は少し違う観点から言及したい。
中国の「上海電力」が岩国でメガソーラー事業! 地元民は激怒、負担は国民へ
2022/4/8
脱炭素社会へ向けた再生可能エネルギー普及のために、全国各地では大規模太陽光発電所(メガソーラー)と大型洋上風力発電の設置が進んでいる。再生可能エネルギーとは、石油やガスなどの化石燃料と違い、半永久的に利用できる自然エネルギーのことを指す。発電時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーであるため、地球温暖化の抑制にもつながるとされている。
~~略~~
昨年、中国に本社を置く上海電力の日本法人「上海電力日本」がメガソーラーの事業会社を224億円で買収していたことが分かった。
「現代ビジネス」より
先日こんなニュースが流れて騒ぎになった。この記事は2つの観点から太陽光発電についての批判を展開している。1つは外資に太陽光発電所が牛耳られていて、支那の子会社という位置づけになると、ただでさえ不安定な電力供給が更に不安定な話になる。政治的な理由でね。
外資に対して補助金を出し、外資に対して日本人の家庭から再エネ割賦金を必死に納めているのだから、笑えない冗談である。
太陽光発電パネル設置を義務化する愚考
エネルギー安全保障の観点からも、もちろん心配になる。
新築住宅に太陽光パネル メーカー義務化、条例改正へ―東京都
2022年04月09日20時32分
東京都は、住宅メーカーなどを対象に、新築物件の屋根に太陽光パネルの設置を義務付ける新制度を創設する。全ての住宅への一律設置を課すのではなく、事業者単位で目標を設定して達成を求める方針。住宅分野の脱炭素化が目的で、都の検討会で制度の導入時期など詳細を詰め、今秋以降に関係条例の改正を目指す。
「時事通信」より
何処かの知事は、新築物件の屋根に太陽光パネルの設置を義務づけようとしているけどねっ!これ、請負業者と繋がっていないとしたら、一体何を考えているのかという話になる。
何より、不安定要因を増やす結果になるのが問題である。
ゴミ焼却発電施設
発想は古いがそれなりに有効
と言うわけで、日本国内で太陽光発電のシェア拡大というのは、マズイ面も結構あるわけだ。当然、外国、冒頭に紹介した国、スイスでも同じである。
一方で、発電方法を偏らせると、そのマズイ面がクローズアップされてしまうので、色々な発電手法を組み合わせるという事は有効だと思う。太陽光発電がそのうちの1つだ、という事であればアリだろうが、それを意図的に増やすとデメリットもクローズアップされてしまうとその様に思うワケだ。
そこへいくと、ゴミ焼却発電は面白い。ゴミ焼却施設というのは、現代人が生活する以上は必ず必要となる。程度の差はあれど、特に都市部ではゴミが沢山出てしまうのである。

だから、ゴミ焼却施設に発電設備をくっつけておけば、ゴミを燃やす熱で発電が出来て一石二鳥である。ついでに、排熱を利用した暖房なども考えれば良いだろう。コージェネレーションというヤツだ。
この排熱利用はバカにならなくって、ゴミ焼却施設を人里離れた場所に作る事は多いが、寧ろ街中に作って排熱も利用するという考え方の方が良いと思う。街中だとゴミ処理に付随する問題も当然発生するワケではあるが、設計次第で問題は緩和出来る。
こういう所にこそ人類の英知を使ってはどうか。
実績は多数ある
この記事に出てくる日立造船は、この手の設備を作るのが得意らしく、ちょっと調べたら他の実績もあった。
英国 ロンドン北部のごみ焼却発電プラント建設工事において、主要機器を供給
2022年02月17日
日立造船株式会社の100%子会社で、ごみ焼却発電プラントの設計、建設、メンテナンスなどを手がけるHitachi Zosen Inova AG(スイス、以下、HZI)は、英国の建設会社であるAcciona Industrial UK Limitedが廃棄物処理機関のNorth London Waste Authorityより受注した英国 ロンドン北部のごみ焼却発電プラント建設工事において、火格子やボイラーなどの主要機器の供給を行います。
本プロジェクトは、英国 ロンドン北部のエドモントンで1971年より稼働しているプラントの建替工事であり、HZIは火格子やボイラーなどの主要機器を供給します。稼働後は、年間最大70万トンの一般廃棄物が処理され、最大12万7,000世帯分にあたる電力・熱・温水が生成される予定です。また、埋め立て処理と比較して21万5,000トンのCO2削減効果が見込まれています。
「Hitzのサイト」より
HZIの海外実績は553施設。国内でも510施設。世界で合計1063施設の実績があるというから、なかなかのものである。

こうした技術は、どんどん輸出して欲しいところだ。
もちろん、これ1つで電力不足が解決したりはしないのだが、どうしたって現代社会ではゴミ焼却施設は必要なのである。それの熱を使って発電して、安定的に電力を作り出せるのであればそれに越した事は無い。ゴミは毎日出るものだし、ついでに発電するのであれば燃料費はかからない。
太陽光発電とある意味発想は同じ
太陽の光を利用して発電をする。屋根の上に発電施設を載せておけば、使わない太陽光エネルギーで発電をするという事になって、家庭で利用可能な電力を増やせるという意味で、一般家庭に普及させるという流れは悪い話ではないと思う。
「太陽光パネルの蓄電池から火が…」住宅を焼く火事 ケガ人なし<福島県福島市岡部>
2022年4月19日 火曜 午後5:03
火事があったのは福島県福島市岡部の住宅で、4月19日午後1時すぎ住民から「太陽光パネルの蓄電池から火が出て、建物に燃え移りそうだ」などと、消防に通報があった。
「FNNプライムオンライン」より
ただ、リスクも当然あるので、その辺りは技術革新で何とかして頂きたいところ。
発火で火災恐れ、住宅用蓄電池ユニット1万4千台 オムロンが無償交換発表
2021年11月19日 20:18
制御機器大手のオムロン(京都市下京区)は19日、自社で取り扱う住宅用の蓄電池ユニットが発火する恐れがあるとして、無償交換すると発表した。販売済みの対象製品は約1万4800台に上る。消費者庁は同日、人に深刻な危害を及ぼす可能性がある「重大製品事故」として公表した。
2017年6月~19年9月に製造された蓄電容量6・5キロワット時と9・8キロワット時の2種類。オムロン子会社が韓国のLGエナジーソリューションから輸入し、太陽光発電の蓄電向けで供給している。オムロンのほか東芝と長州産業(山口県山陽小野田市)の「CICソラトモ」ブランドでも販売されている。
「京都新聞」より
ちょっと、電池の選び方にも注意しなければならないのだけれども、さておき、今後はもうちょっと安全な蓄電池が作られて、家庭に設置されるようになれば、太陽光発電パネルの設置というのも選択肢としては採りやすくなるとは思う。
でも、メガソーラーテメーはダメだ。
太陽光発電の一番のネックは、面積あたりの発電量が極端に少ないことである。確かに利用できていない太陽光を利用する姿勢は素晴らしい。が、如何せん発電効率が悪いので、広大な敷地に太陽光パネルを敷き詰めるような事態を想定しなければならない。
コメント
こんにちは。
ごみ焼却発電もそうですがゴミ埋立地から発生するメタンガス発電なんかももっと効率的に有効利用して欲しいものですね。
あと東京都が太陽光発電の設置義務を検討してますが太陽熱温水設備を積極的に採用してほしいものです。
熱交換効率がバツグンにいいのと設置コストも撤去コストもいいので財政にもやさしいと思うのです。
まあトレンドに流された政策なので製造から廃棄までの全体を見据えたCO2総排出量なんかを考えていないと思っておりますが。
色々な発電方法がありますから、有力そうなのを色々試すのはアリだと思うんですよね。
そして、ご指摘の太陽熱温水設備って、僕も「ありだな」と思っているやつの1つなんですよね。ちょっと屋根の上に重い水を載せるというのが少々個人宅には抵抗があるわけですが、熱交換公立はぶっちぎりで良いというのはまさにその通りで、流行が廃れて最近は見ませんが、勿体ないですよね。