ロシア、国連人権理事会の理事国資格が停止される

ロシアニュース

剥奪ではなく停止か。

国連人権理事会 ロシアの理事国資格停止の決議を採択

2022年4月8日 10時18分

ウクライナの首都近郊などで多くの市民の遺体が見つかったことを受けてアメリカなどはロシアの国連人権理事会の理事国としての資格を停止するよう求める決議案を国連総会に提出し、採決の結果、93か国が賛成して採択されました。

「NHKニュース」より

興味深い内容だが、ロシアのやったことを考えれば生ぬるい処分ではある。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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人権理事会の資格

資格停止

さて、国連人権委員会といえば、日本人にとっては「胡散臭い」という印象を持つ人もいるだろう。それが多数派とは言えないまでも、あのクマラスワミ報告を出した機関であるといえば、それなりの数の人は納得されるのではないだろうか。

「クマラスワミ報告」でピンとこない方のために、少しそれについて説明しておきたい。クマラスワミ報告は国連人権委員会の決議(1994年3月4日)に基づき、スリランカ出身の女性、ラディカ・クマラスワミ氏を特別報告者に任命して、その調査結果を委員会に報告させた内容である。

ところがこの報告の中身の正確性にはかなり問題があった。

これは、当時の日弁連が海外調査特別委員に任命された戸塚悦朗(内縁の妻に韓国の元挺対協所属の研究者がいて、日本の国益に反するロビー活動を積極的に行った人物として知られる)などの働きかけがあったことが関係していると思われ、報告書の内容についても、朝日新聞社が「虚偽であった」と認めて記事を削除した吉田証言を根拠とする内容があったり、自称慰安婦の方々の証言に基づく内容があったりと、

千田夏光、吉田清治、吉見義明など、事実に基づかない内容を事実として取り扱ったジョージ・ヒックスの著作物”The comfort women”からの引用を多数していたりと、事実に基づかない内容が散見されるのである。

日本政府も1996年に、その内容について「極めて不当」「無責任で予断に満ち」「歴史の歪曲に等しい」「受け入れる余地は全くない」などとした反論文書を作成して国連人権委員会に提出する。が、何故かすぐに撤回してしまった。

が、後に、クマラスワミ氏本人に、人権人道大使だった佐藤地氏から吉田証言が虚偽であると朝日新聞が認めた事実をもって吉田証言の引用部分撤回を申し入れているが、拒否されている。

とまあ、問題のある報告書をそのままにしている程度の機関である。

そんな機関での理事資格停止が、何の意味を持つのかというと……。

ニューヨークの国連本部で7日、国連総会の緊急特別会合が開かれ、ウクライナの首都近郊のブチャなどで多くの市民の遺体が見つかったことを受けて、アメリカなどが提出した決議案の採決が行われました。

決議案は「ロシアによる重大かつ組織的な人権侵害に強い懸念を表明する」としていて、ロシアの国連人権理事会の理事国としての資格を停止するよう求めています。

~~略~~

国連人権理事会の理事国の資格が停止されるのは、2011年に反政府勢力を武力で弾圧していたカダフィ政権下のリビアが停止されて以来、2例目です。

「NHKニュース”国連人権理事会 ロシアの理事国資格停止の決議を採択”」より

リビア、何か困ってたっけ??

賛成93、反対24、棄権58

そんなわけで、今回の国連人権委員会の理事資格の停止というのはパフォーマンス程度の意味は無いのだけれど、これに反対する理由もないとは思う。

採決の結果、欧米や日本など合わせて93か国が賛成し、ロシアのほか中国や北朝鮮など24か国が反対、インドやブラジル、メキシコなど58か国が棄権し、棄権と無投票を除いた国の3分の2以上の賛成で、決議が採択されました。

「NHKニュース”国連人権理事会 ロシアの理事国資格停止の決議を採択”」より

で、反対した国、棄権した国に関して少しスポットを当てていこう。

ウクライナのキスリツァ国連大使の演説のあと発言したロシアのクズミン国連次席大使は決議案について「現地の実際の人権状況と何の関係もない。ねつ造された資料や演出された映像、フェイクに基づくわれわれへの誤った侮辱を拒否する」と述べ、強く反発しました。

「NHKニュース”国連人権理事会 ロシアの理事国資格停止の決議を採択”」より

ロシアの主張は何とも荒唐無稽だが、これに乗ったのは支那、ベトナムなどの「ウクライナの人道状況の改善を求める決議」には棄権した18カ国に加え、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、シリアの5カ国などである。

棄権した58カ国は、提出された証拠について「客観性が欠けている」といった理由により、棄権した模様。

このうちブラジルやメキシコ、それにUAE=アラブ首長国連邦など39か国は先月、ウクライナの人道状況の改善を求める決議には賛成しましたが今回は棄権に回りました。

その理由についてブラジルの国連大使は演説で、国連人権理事会でウクライナの人権状況を調査する委員会の設置が決まったことに言及し「調査委員会による独立した、客観的な調査が極めて重要だ」と述べ、人権理事会による調査の結果を待つべきだという考えを示しました。

「NHKニュース”国連人権理事会 ロシアの理事国資格停止の決議を採択”」より

ここにはインドも含まれていて、「ブチャでの多くの民間人の殺害は深く憂慮すべきもので、私たちはこれを明確に非難する」と避難する一方で、「ロシアと対話する」という方針を示した模様。

インドの立場として、ロシアからの兵器を多数使っている実情があるのと、支那と対抗するためにロシアとの関係が重要であるということがあるため、「理事資格停止」という強い措置に賛成することは出来なかったのだろう。

即日脱退

で、ロシアの決断は、自ら脱退を宣言することだったようだ。

国連人権理事会 資格停止のロシア、自ら脱退宣言

2022/4/8 09:19(最終更新 4/8 11:38)

国連総会(193カ国)は7日、ウクライナ情勢をめぐる緊急特別会合を開き、国連人権理事会(47カ国)でのロシアの理事国資格を停止する決議案を賛成多数で採択した。賛成は日米英仏など93カ国、反対は中国など24カ国、棄権はインドなど58カ国。反発したロシアは人権理事会を即日脱退すると明らかにした。空席を埋める選挙が行われる。

資格停止は、国連安全保障理事会の常任理事国では初めて。クズミン国連次席大使は採択後「理事会は、自分たちの日和見主義的な目標を達成するために悪用する国家グループに独占されている」と述べ、脱退を宣言。資格停止は将来的な復帰の可能性も残されていたが、自らその道を断った。

「毎日新聞」より

自ら脱退宣言ですか。

いやー、この流れ何処かで見たことがあるよね。

この記事でも取りあげた昭和7年の松岡洋右のやり方を彷彿とさせるな。ただ、人権蹂躙するロシア軍と非常に人権に気を遣っていた旧日本軍を一緒にされては困るが。

また、立場としても資源のない日本に比べて、掘れば売るほど資源のでてくるロシアとは随分と違う。

なお、この「脱退宣言」は有効か?というと、ちょっと怪しい。

ウクライナのキスリツァ国連大使は、報道陣を前に「解雇後に辞表を出すことはできない」とロシアの主張を一蹴。「(採択の)結果には満足している」とも語った。ゼレンスキー大統領もツイッターに「ロシアによる侵略への処罰だ。連帯に感謝する」と投稿し、総会の決定を歓迎した。

「毎日新聞」より

実際は解雇されたわけではないのだが、資格停止処分が決定した後の「脱退」は有効性について疑いはあるかもしれない。ちょっと詳しくはどのような規定になっているのか分からないのだけれど。

支那の判断

ちなみに反対に回った支那だが、こんな事を言っていたようだ。

中国の張軍国連大使は「人権問題の政治化や道具化」につながると反対を唱えた。

「Bloomberg」より

いやー、困るよね。「人権問題の政治化や道具化」は。支那にとっては。藪をつついて蛇を出すことになりかねない支那にとって、これに賛成してしまうと今のやり方を改めねばならなくなる。つまり、習近平を否定する事に繋がるので、出来る訳が無い。

今回は、支那はロシアの側に立って発言はしているが、どうすべきかはちょっと迷っている可能性はある。

ウクライナ危機で中国政府は大ショック、庶民はロシア応援【コメントライナー】

2022年04月03日09時00分

中国の一般の庶民は、ウクライナのことをあまり知らない。逆にロシアは身近な存在である。中国の公式メディアやインターネットのSNSでは、ウクライナが米国を中心とする先進国の手先となって、ロシアを追い詰めているから、ロシアは反撃しているといわれている。民衆の間では「ロシア、頑張れ」の声が上がっている。

~~略~~

これに対して、駐米中国大使の秦剛氏は、米CBSの番組に出演した時、中国はロシアに軍事支援をしていないとコメントした。このコメントから中国はロシアへの軍事支援による代償を十分に認識していることが分かる。

もう少し時間がたって、ロシアの敗戦がはっきり見えれば、中国は自然にロシアと距離を置くようになると思われる。

中国経済が先進国に依存しているのは明白な事実である。それを無にしてロシアと同盟を組むことはあり得ない。ただし、米国から経済制裁を受けているのは事実であり、中国政府は米国に対する警戒も強めている。

「時事通信」より

利に聡い支那にとって、ロシアとの距離の取り方を図りかねているのではないか?という観測は出ている。

今回のロシア侵攻は、短期決戦で決着が付くだろうという予想が出ていたとされている。北京冬季五輪終了直後にロシア侵攻が実行され、これは支那が「北京冬季五輪開催中は侵攻を止めてくれ」と懇願したからだと言われており、パラリンピック前の侵攻を認めたのは、パラリンピック開催前に決着が付くとロシアも支那も考えていたからだとされている。

だが、そうはならなかった。それどころかロシア兵器の優秀さが否定されてしまったことに、危機感を受けている可能性もある。まあ、ロシアに攻め込まれたウクライナもロシア兵器を使っていて、現状は西側の兵器も随分はいってきているとは言え、ロシアの兵器が完全に否定されたとは言い難いけれども。

ロシアよりも支那に対して大きなダメージ

そんな訳で、今回の人権理事会の理事資格停止、理事会からの脱退はロシアは今更何か変わるとも思えないが、支那にとっては、未来の自らの処遇と重なって見えたに違いない。

支那もロシア同様に資源がそれなりに国内にある国なので、引き籠もればある程度戦える。そういう意味では、国際社会から切り離されても生きてはいけると思うのだけれど、富裕層はロシア以上に外国の製品が好きなので、強い批判を受ける可能性は高かろう。

故に、支那共産党にとってロシアの今回の失敗によって、自らの手足を縛られる思いでいるかもしれない。

コメント

  1. 木霊さん皆さん こんばんは

    >支那もロシア同様に資源がそれなりに国内にある国なので、引き籠もればある程度戦える。
    >そういう意味では、国際社会から切り離されても生きてはいける

    ここだけ、支那にロシアにしてるような経済制裁は無理です。

     支那はGDP世界2位で貿易シェア世界1位の国ですから、今回の対ロシア経済制裁と同じことすれば先に潰れる国多数。

    支那に対しては経済制裁で対ロシアと同じ手は使えない。ことは認識しておくべきでは?

    • 確かに、ご指摘の点は事実でしょう。
      そもそも多くの国が支那との貿易に依存する実態がありますから、アメリカですらロシアと同じ金融制裁という事に、いきなり踏み切るのは難しいでしょう。
      ただ、多くの国と同調して支那を経済的に締め出す方向に動き、支那との取引部分を他国が穴埋めするような動きとなれば、時間をかければ不可能とまでは言えないと思います。可能性は極めて低いでしょうね。そして、時間をかければ支那は対策をうってきますから、有効な手とも言い難い。

      そんな訳で、ご指摘の様にロシアと同じ様な事を支那に対して行う事は困難だという事になりますよね。