ロシア軍の民間人虐殺の実態が報じられる

ウクライナニュース

あまり記事として記録したい類のニュースではないが、これで世界はさらに混沌の度合いを増すだろう。

首都周辺で民間人410人の遺体収容 ウクライナ検事総長

2022年4月4日 9:43

ウクライナのイリーナ・ベネディクトワ(Iryna Venediktova)検事総長は3日、国営テレビで、首都キーウ周辺のロシア軍から奪還した地区で計410人の民間人の遺体を収容したと明らかにした。

 キーウ全域は先週末、ロシア軍から解放された。ウクライナ側は、ロシア軍がキーウ北西のブチャ(Bucha)で「意図的なジェノサイド(集団殺害)」を行ったと非難している。

「AFP」より

このニュースによって、ロシアの戦争犯罪がまた1つ追加された。共産主義の国では割とありがちかもしれないが。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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第二次世界大戦後のルール

戦争犯罪

「戦争犯罪」とは、狭義には第二次世界大戦の後に決められた国際法に反する非道な行為を行った個人又は組織に課せられる罪である。

ニュルンベルク裁判(1945年11月20日 – 1946年10月1日)で決定された3つのカテゴリー。

  • a項-平和に対する罪(侵略戦争あるいは国際条約、協定、誓約に違反する戦争の計画、準備、開始、あるいは遂行、またこれらの各行為のいずれかの達成を目的とする共通の計画あるいは共同謀議への関与)
  • b項-戦争犯罪(戦争の法規または慣例の違反。この違反は、占領地所属あるいは占領地内の一般人民の殺害、虐待、奴隷労働その他の目的のための移送、俘虜または海上における人民の殺害あるいは虐待、人質の殺害、公私の財産の略奪、都市町村の恣意的な破壊または軍事的必要により正当化されない荒廃化を含む)
  • c項-人道に対する罪(犯行地の国内法の違反であると否とを問わず、裁判所の管轄に属する犯罪の遂行として、あるいはこれに関連して行われた、戦争前あるいは戦争中にすべての一般人民に対して行われた殺害、せん滅、奴隷化、移送及びその他の非人道的行為、もしくは政治的、人種的または宗教的理由にもとづく迫害行為)

大雑把にこの3つにカテゴライズされるが、この中のいくつかは裁判以前、つまり第二次世界大戦より前に定められた項目でもある。ただし、日本は新たに追加された項目に対して遡及的に裁かれているんだけど。まあ、それはドイツも似たようなものだ。

ただし、見せしめのように裁かれた日本やドイツの話はさておき、それ以降の世界においては、これらの項目を守ることが合意され、これを破った場合には国連軍が動いてその被害を阻止、或いは抑制することになっている。次の大戦を起こさないために、というのは世界各国の願いだったにも関わらず、だ。

まあ、表向きはそのように定められてはいるが、結局のところ国連という組織の欺瞞によって、これが有効に機能したことはないのである。

西側諸国の建前と本音

そんな訳で、アメリカを始めとする西側各国は、今回のロシアの所業に対して、立場的にも異を唱えざるを得なかった。

米 「ロシア軍 戦争犯罪行った」と声明 責任追及する考え強調

2022年3月24日 11時40分 

アメリカのブリンケン国務長官は23日、声明を発表し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍について「戦争犯罪を行った」として、アメリカ政府として公式に戦争犯罪と見なすことを明らかにしました。

「NHKニュース」より

正直、近代にアメリカがやらかした事を考えれば、他人のことをどうこういう資格はない程度にはアメリカもやらかしている。割りと「お前が言うな」状態ではあるのだ。

だが、今回のロシアのそれは、西側各国にとっては許容できない内容だ。「力による現状変更」それをロシアは実行した。

そこを許してしまうと、武力を以て国境線を変え、戦火拡大を招くことになる。よって、軍隊を出すことはしなかったけれども、それでもその罪を追求せざるをえない。

一方、ロシアは、というとウクライナは他人事ではないのだ。切実なる問題なのである。ウクライナが落ちれば次はバルト三国、そしてその次はドイツだ。それ故にドイツは豹変せざるを得なかったし、永世中立を掲げるスイスですらロシアを批判する側に回った。ヨーロッパでの地位を譲るつもりのないイギリスは当然として、フランスもイタリアも、本音ではロシアに楯突く気はなくとも、第一次世界大戦、第二次世界大戦と戦火の渦巻いた時代の記憶は、そう簡単に消えはしない。特に、ポーランドやオーストリアといった小国には死活問題である。

そんな訳で、西側諸国による経済制裁は発動し、ロシアはこれに対して「非友好国」と認定する形となった。最早、世界はウクライナ侵攻前には戻れないのである。そこまで世界秩序は損なわれてしまった。

ウクライナ侵攻

そもそも、2014年のクリミア侵攻の時点で既に、ロシアは経済制裁の対象になるような事をやらかした。しかし、あの時はロシアは「民主的な手続き」を偽装して、一見平和的にクリミア半島を掌握した。

だが、それに追随しようとしたドンバス地域は内戦状態に陥り、ウクライナは長く苦しむことになる。ロシアからの影響力工作によってウクライナは掌握される直前になったと、ロシアはそう考えていた。だからこそ、プーチン氏は今度もクリミア侵攻と同じような状況を作り出して、今度はウクライナ全土の掌握が出来ると思っていたのである。

当のウクライナはその事態を想定していて、多大な戦力差があったにせよ必死に抵抗し、2月24日から1月以上もの時間をかせぎ、ついにはキーウ周辺を奪還するところまで押し戻すことに成功した。

が、キーウ近郊の町ブチャがウクライナ側に戻ってきたとき、ソレは徹底的に破壊されつくしていた。もはや「町」の機能を果たせないほどの状況になっている。そして、もっと凄惨な事が行われていた。

これは、ISWの2月25日時点の評価である。首都キーウの直ぐ側までロシア軍の勢力は迫っていて、ロシア軍の電撃作戦は成功したかに見えた。そして、この時点でブチャはロシア軍の占領下にあったのである。

ウクライナ「キエフ州全域を解放」 280人の遺体埋葬

2022年4月3日 4:29 

ウクライナのハンナ・マリャル(Ganna Maliar)国防次官は2日、同国軍がキエフ州全域をロシア軍から奪還したと発表した。

 ウクライナを侵攻したロシア軍はこれに先立ち、首都キエフ近郊の主要都市から撤退。マリャル氏はフェイスブック(Facebook)に、「イルピン(Irpin)とブチャ(Bucha)、ホストーメリ(Hostomel)とキエフ州全域が侵略者から解放された」と投稿した。

「AFP」より

そして4月2日になって、ようやくこの地域からロシア軍はいなくなった。ウクライナ軍が奪還に成功したのである。

たぶん、至る所に破壊された車両がある道を通ってブチャの町に入った時にはそんな悲惨な光景が待っているとは思わなかったのだろう。だが、冒頭に紹介したような惨劇を見ることになる。

空襲

そして、ソレは多分、ブチャだけに留まらない。

ウクライナ要衝オデッサで空爆

2022年4月3日 14:10

ウクライナ南部の黒海(Black Sea)に面する要衝オデッサ(Odessa)で3日朝、空爆があった。

 アントン・ゲラシチェンコ(Anton Herashchenko)内相顧問はメッセージアプリのテレグラム(Telegram)に「オデッサが空から攻撃された」と投稿。「複数の地域で火災が報告されている。ミサイルの一部は撃墜された」と説明した。

「AFP」より

空襲を受けているのはオデッサだけではなく、ウクライナ各地でそうした惨状が見られているのだと思われる。

多数の民間人遺体…露側反論“ウクライナのねつ造”

2022.04.04 12:01

ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊の町では、民間人とみられる多くの遺体がみつかり、衝撃が広がっています。欧米諸国はロシア軍による戦争犯罪だと非難の声を強めています。

ロシア軍が撤退したキーウ近郊のブチャでは徐々に被害の状況が明らかになり、民間人とみられる多数の遺体が路上に放置されていました。

~~略~~

一方、ロシア国防省はウクライナ側によって作られた映像だと主張し、虐殺行為を否定しています。

「YTV NEWS」より

ロシア側はウクライナ側の主張を全て否定し、ウクライナの自作自演だと断じている。どこの国がそんな主張を信じるのかは知らないが。

犯した罪は償わされる

さて、ロシアはどう言い繕っても言い逃れができない事をやらかした。

「侵略戦争」「誓約に違反する戦争の計画、準備、開始」「一般人民の殺害、虐待」「非人道的行為」この辺りまでは証拠付きできっちりと裁かれることになるはずだ。残念なことに、西側諸国のほぼ全てがロシアを断罪する気でいる。

今のところロシアの肩を持つのは支那と北朝鮮だが、中立を主張するインドと我関せずの立場をとる中東やアフリカ諸国の立ち回りによっては、或いはロシア救済の道はまだ残されている可能性はある。

「ロシア即時撤退を」国連決議141カ国賛成、5カ国反対

2022年3月3日 2:07 (2022年3月3日 8:09更新)

国連総会は2日の緊急特別会合で、ロシアによるウクライナ侵攻に「最も強い言葉で遺憾の意を表す」とする決議を日本や米国など141カ国の賛成多数で採択した。ロシアに対し「軍の即時かつ無条件の撤退」を求めたうえで、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認の撤回も要請した。ロシアやベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの5カ国が反対し、中国やインドなど35カ国は棄権した。

「日本経済新聞」より

ただ、ロシアの即時撤退決議に反対した5カ国以外は、ロシアの肩を持つかは怪しい。3月3日の時点でこんな情勢なので、キーウ近郊のブチャの惨状などが次々と明らかになれば、ロシア側に回るという選択肢を考える国は少なくなる。

そして、対ロシア経済制裁の余波に巻き込まれたくないと考える国も多いだろうと思われるので、結果的に、世界の地図は書き換えられることになるだろう。そうなった時に、その次の展開はどうなるのか。

ロシアと同じことをやろうとしている支那は、どんな判断をするのだろう。

ロシアは後に引けない

だからこそ、ロシアはもう進むしか無い。

Rosdeputyは、ウクライナの例に従って、カザフスタンを「非難」および「非軍事化」するよう促した

日付:10:25、26-03-2022

モスクワ市議会に座っているロシア連邦共産党(KPRF)のセルゲイ・サボスチャノフ副議員は、ウクライナの例に続いてカザフスタンの「非ナチ化」と「非軍事化」を求めた、と当局は報告している。

「ウクライナの非軍事化と非ナチ化は、ウクライナ、ロシア、そしてヨーロッパ全土の人々の持続可能な安全を確保するでしょう。ウクライナに加えて、ロシア連邦の安全を確保するためのより完全なプロセスについては、バルト諸国(リトアニア、ラトビア、エストニア-KazTAG)、ポーランド、モルドバ、カザフスタンを非ナチ化および非軍事化ゾーンに含めることが適切であると考えています。 」Savostyanovによって署名された文書は言います。

「KazTAG」より

これなんか、なかなかシャレにならないニュースなんだけど。

追記

ロシア側の、「ウクライナ側の捏造だ」「撤退時にはなかった」というちょっと無理のあると思われる主張が証拠付きで否定されている。

Satellite images show bodies lay in Bucha for weeks, despite Russian claims.

An analysis of satellite images by The New York Times rebuts claims by Russia that the killing of civilians in Bucha, a suburb of Kyiv, occurred after its soldiers had left the town.

When images emerged over the weekend of the bodies of dead civilians lying on the streets of Bucha — some with their hands bound, some with gunshot wounds to the head — Russia’s Ministry of Defense denied responsibility. In a Telegram post on Sunday, the ministry suggested that the bodies had been recently placed on the streets after “all Russian units withdrew completely from Bucha” around March 30.

「NY times」より

3月9日から3月11日までの衛星画像と、4月1日に撮影された地上の映像を照合した結果、ウクライナ側の主張に確認がとれたのである。

どういった内容かはニューヨークタイムス紙を読んで頂きたい。

コメント

  1. そういえば、ベラルーシは結局参戦しなかったようですね。数少ない批難決議反対国からすらも、見放されつつあるのか、或いは…
    ドンバス地域をウクライナが守りきったとしても、そこを中心に各地でロシア系住民の排斥でも起これば、順序は逆になりますが、プーチンが主張した通りの世界が出来上がってしまう可能性。戦後のハンドリングをミスれば、プーチンの行為を事後正当化してしまう可能性すらもあるのが、なんとも暗鬱であります…

    • ベラルーシはロシアに対する軍事支援はしているようですが、兵を出すトコロまでは至らなかったたということでしょうかね、「近く参戦」と報じられていましたが。
      一方で、ウクライナもこのまま国土を守り切ったとしても、ロシアと隣接する国であるという事実は変えられません。
      もはや変えられない変革が起こり、ロシアもウクライナもそれを受け入れなければならないわけですが、今回の記事では世界も他人事ではないよという話を書かせて頂きました。分かりきったことではありますが、理解出来るかどうかと言うのはまた別なんですよね。
      戦後のハンドリングのシビアさは西側諸国にも要求されている状況ですね。

  2. ブチャでの民間人虐殺疑惑に対して、ロシアUN大使がうっかり失言してしまったようです。
    https://twitter.com/KS_1013/status/1511349745108885514?cxt=HHwWlIC9ib6lsvkpAAAA

    本国の利益代弁者たらんとしても、自国の兵士たちによる民間人虐殺は余りにもショッキングなため動揺してしまい、”隠しておきたい”ことがついつい口から表に出てしまったのでしょう。

    • なんというか、「単純な言い間違い」とするには間の悪い感じの返答になっていますね。
      ロシア語と日本語は違う感じかもしれませんが、ロシア軍が到着する前になかったのは当たり前。しかして、ロシア軍が去ったあとにあったのであれば、それはもう自白したも同然と。
      統率の取れないロシア軍が、色々やらかしたというのは説得力のある話。
      そして「やらなかったこと」を証明するのはとても難しいですね。何しろ、死体はあったのですから。

  3. こんにちは。

    問題は、そのような「戦争犯罪国」を「常任理事国」から外す手段がほぼ皆無、という、国連の制度上の問題点にあるわけですね……
    国連そのものをガラガラポンしないとどうにもならないかなこりゃ。

    • 流石に、人権理事会からは外されたようですけれど、安全保障理事会での立場も怪しいですよね。
      これ、ロシアが戦争を続ければ続けるほど立場は悪くなりますから、現状が続けばあるんじゃないでしょうか。
      ただ、人権理事会からの理事資格停止決議ですら、半数は反対(正確には反対24+棄権58)で、賛成93が何とか上回った程度の状況でした。安全保障理事会のほうは、天秤がどちらに傾くやら。取り敢えず、証拠固めはしっかりとする必要があるでしょう。