【せめんといて!】韓国のセメント供給難で建設業界で阿鼻叫喚

大韓民国

ウクライナのせいで……、セメントが?

ウクライナ戦争余波で韓国のセメント供給難が悪化の一途

Mar 18, 2022 (Gmt+09:00)

17日、韓国忠清北道丹陽(タンヤン)のあるセメント工場前ではセメント運送のために首都圏から来た40トン級バルクセメントトレーラー(BCT)車20台が列をなして待機していた。セメントの供給まで待たなければならない時間は平均6~7時間。普段は、建設現場が多いソウル近郊の出荷基地でセメントを受けることができたが、セメントの供給混乱が1が月以上続き、BCTが先に受け取るためにセメント工場の前で長蛇の列を作ったのだ。

「THE KOREA ECONOMIC DAILY」より

記事自体は18日付けの内容だが、この話は2月末くらいから「ちょっと怪しい」という情報は出ていた気がする。

あれ、ちょっと前にも似たような話が出ていたような気がしていたけれど、アレは尿素だったな。一体、何が起こった?

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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セメントが足りないと建物が建てられない!

石炭不足が

えーと、韓国のセメント業界に何が起こっているのか?というと、どうやら有煙炭と呼ばれる石炭の一種が入手困難になっていて、その影響が出ているらしい。

ウクライナ戦争の影響で、発電やセメント生産の燃料になる有煙炭の国際価格が、トン当たり400ドル台と史上最高水準に急増し、韓国の全国でセメント供給混乱が起きている。セメント業界関係者は「セメント在庫状況がこのままだと、4月からは建設工事が中断する事態が起こるだろう」と述べた。

「THE KOREA ECONOMIC DAILY」より

はー。

ちょっと前に尿素水不足で経済がストップすると騒いでいたが、今度は有煙炭が足りないらしい。

韓国が有煙炭を買っているのはロシアからで、この供給がストップしてしまったらしいのだが、韓国のセメント業界で使う有煙炭の75%はロシア産らしい。25%はオーストラリア産なんだそうだ。

ふーん。他の国から買ったら?

有煙炭が天井知らずに高騰し、ロシア産を購入できないため、セメントの生産にも支障が生じた。セメント協会によると、双竜(サンヨン)C&E、韓一(ハンイル)、亜細亜、誠信(ソンシン)セメントなど、セメント業界全体の在庫は現在65万トンだ。このうち、長時間空気が露出して固まり、販売が不可能な「死蔵在庫」(30万トン)を除けば、事実上35万トンしか残らない。これは、普段の適正在庫量(120万トン)の30%だ。セメント業界の1日の出荷量(20万トン)基準で、残り1.5日分となる。あるセメント会社の役員は「現在のセメント価格は、トン当たり7万8800ウォン(約7800円)で、これは、有煙炭が70~80ドルの時の基準で決まっている価格」とし「現在としては、有煙炭の供給を受けても売れば売るほど損」と述べた。このため業界は、出荷制限を検討している。

「THE KOREA ECONOMIC DAILY」より

えーと、ん?「出荷制限」だと?

どうも、石炭(有煙炭)がロシア産で、それが韓国内に届かないから問題なんだ、という話だけでは無い模様。

アジアで高騰中

調べて見ると、確かに石炭の価格は上がってきているようだ。

発電用石炭、アジアで再び高騰 インドネシアの供給鈍く

2022年1月20日 20:30

アジア市場で発電用石炭(一般炭)の取引価格が再び高騰している。指標価格は年初比で3割高い。主産国インドネシアからの出荷が輸出規制で停滞し、オーストラリアやロシアなど他の生産国も供給に障害を抱えているためだ。今後も豪州の天候不順などで供給不安が長引き、スポット(随時契約)価格が高止まりする恐れがある。

「日本経済新聞」より

オーストラリア産の石炭は天候不順の影響で供給不足となっているらしく、インドネシアは輸出規制が……。

あー、これ、尿素の時と同じ話だな。

石炭価格急伸、過去最高値を更新-ウクライナ紛争で供給懸念高まる

2022年3月3日 12:34 JST

2日の取引で石炭価格が46%上昇し、過去最高値を更新した。ロシアからの供給が混乱に陥るとの懸念で、エネルギー市場の逼迫(ひっぱく)を巡る不安に拍車がかかった。

「Bloomberg」より

中国政府が電力会社に石炭備蓄を指示、価格高騰の中-関係者

2022年3月22日 12:02 JST

中国政府は電力会社に石炭備蓄の即時補充を命じた。すでに石炭価格高騰に見舞われている電力各社に対する圧力が増している。

「Bloomberg」より

去年の年末から、石炭が不足する話が出ていて、これが尿素の枯渇に繋がってしまった韓国。しかし、石炭不足は解消されないため、今度はセメント業界にも影響が出始めたよ、ということらしい。

政策の問題が大きい

が、韓国のセメント不足は、冒頭の記事の後の方に書かれているように、どちらかというと韓国政府の政策が問題なのである。

韓国政府の炭素中立政策もセメント混乱をあおった要因として取り上げられている。セメント業界が炭素排出を減らすため、緊急設備の改修·補修に入り、生産量を減らしたからだ。現在、セメント業界全体の34の焼成炉(セメント製造設備)のうち20%が稼動が止まっている状態だ。

1月27日に施行された重大災害法も供給に悪影響を与えた。セメント業界トップの双龍(サンヨン)C&Eの東海工場の小城路(ソソンロ)では2月、協力会社の職員が作業中に墜落して死亡する事故が発生した。雇用労働省は、東海工場生産の12%を担当するこの焼成炉工事に対し、作業中止命令を下した。セメントだけでなく、骨材の需給にも赤信号が灯った。1月、サムピョ産業のヤンジュ採石場で発生した死亡事故で、雇用部が骨材採取作業に対し、作業中止命令を下したためだ。ヤンジュの採石場は、ソウル都心圏や京畿北部地域の骨材需要の約20%を賄ってきた。

「THE KOREA ECONOMIC DAILY」より

そもそも、韓国のセメント業界って何か技術革新をやったとか何とか言うニュースを何処かで見た気がするんだが、アレはどうなったんだっけ。

探してみるとこんな記事だが。

韓国、日本へ事実上の対抗措置 石炭灰の輸入規制強める

2019年8月8日 21時38分

韓国環境省は8日、海外の火力発電所で使用した石炭の灰を輸入する際の検査を強化すると発表した。韓国で廃棄物の石炭灰はセメントの原料として再利用されており、日本の輸出量の9割以上が韓国向け。日本政府の対韓輸出規制に対する事実上の対抗措置とみられる。

「朝日新聞」より

韓国セメント業界 石炭灰の再利用技術開発し日本依存脱却へ 

2020.06.25 20:09

韓国セメント協会は25日、セメント原料として使われる石炭灰を再利用するための設備の確保と再利用技術の開発事業を開始すると発表した。日本産石炭灰の使用を縮小したことに伴う措置。

~~略~~

だが放射線で汚染された日本産の石炭灰が環境汚染を招く可能性があるとする懸念が提起され、昨年、政府と発電会社、セメント各社が協議体を設立し、日本からの輸入依存度を下げるための努力を続けている。

「聯合ニュース」より

あー、輸出管理強化絡みの話だったね。そう言えば、そんなニュースもあったな。けれど、「放射能で汚染された日本産の石炭灰」って荒唐無稽も良いところである。

……イヤマテ、そもそもセメントってどうやって出来るんだったっけ??

セメントの作り方

というわけで、少し復習である。

https://www.taiheiyo-cement.co.jp/csr/kankyo_figure01.html

セメントは、石灰石、粘度、珪酸原料、酸化鉄原料などを混ぜて焼成し、クリンカと呼ばれる中間物質が作られる。このクリンカに石膏を添加して粉砕することで出来上がる。

で、このクリンカなんだけど、実は石炭火力発電所の副産物として生成するんだよね。

九州電力 石炭灰の有効活用
石炭灰の有効活用についてのページです。

過去には、日本からクリンカ、上の記事では「石炭灰」として輸入して、韓国内でセメントの原料として利用していたのだけれども、その依存率は9割。ところが日本の輸入管理強化の時に韓国が反発してこれを止めちゃった。

もちろん止めるからには韓国内で作らなければならない。

そこで石炭を燃やしてクリンカを生成していたワケなんだ。ところが石炭高騰と、国内政策が混乱した異も相まって、セメント製造に深刻なダメージが、という構図なんだと思う。この辺りはしっかり因果関係が説明されていないのでハッキリしないが、そうでないと説明が付かない。

セメント排熱発電設備

ちなみに、川崎重工のプレスリリースでこんな記事を見つけたぜ。

韓国の韓一現代セメント向けセメント排熱発電設備を受注

2021年07月20日

川崎重工は、韓一現代セメント株式会社(韓国)より、同社の寧越(Yeongwol)工場(所在地:江原道寧越郡)向けにセメント排熱発電設備を受注しました。本設備は日産5,800トンのセメント製造設備2系列に設置され、出力は約22.6MWで、2022年12月の引き渡しを予定しています。

今回受注した設備は、セメント排熱回収ボイラ、復水式蒸気タービン、発電機等で構成され、セメント製造の焼成工程において発生する排ガスの熱を回収して高効率な発電を行います。

「川崎重工サイト」より

韓一現代セメントは業界大手で、トップの双竜セメントとの一位二位を争う存在である。ここが日本からクリンカを買う代わりに国内で製造する設備を買っちゃったという話。この記事では「発電設備」になっているのだけれど、石炭を燃焼する設備に対して、排熱回収のコージェネレーションシステムを構築して、更に発電を行うぜという内容だと理解出来る。

一方の双竜セメントだが……。

労働部、双竜C&Eの元請け・下請けを重大災害処罰法で立件

2022年3月2日

双竜C&Eの東海工場で、下請業者の労働者が作業中に墜落死亡した事故について、雇用労働部が元請けの双竜C&Eと下請業者の代表取締役を、それぞれ重大災害処罰法違反で立件し、元請け業者を押収・捜索した。重大災害法違反で元・下請が同時に立件されたのは今回が初めてだ。

「JOSHRC」より

あ、ご愁傷様。なお、この事件が韓国内のセメント不足に拍車をかけているというから、なんともかんとも。まあ、どちらかというと内政の問題っぽいから頑張れば解消可能だろうとは思うんだけど、石炭高騰はしばらく続くだろうし、厳しい状況が続くことは間違いがない。

冒頭の記事はちょっと前のものだが、事案が事案だけに直ぐに解消する問題とも思えない。4月になって建物が建てられないというニュースが出てこないことを願っているぜ。

そして問題は、大統領の任期終了間近のムン君がやる気がないんだよね……。きっと、心の中で「せめんといて」と思っているに違いない。え?何も感じていない可能性の方が高い?そりゃそうかもしれない。

大丈夫なのか?この大統領は。

そして、次期韓国大統領は災難だな!

コメント

  1. さらに困難に輪をかけるものとしてウッドショックがウクライナ問題でさらに尾を引く上に、ロシア産木材の供給も止まるという困った事態がありますね。
    これに関しては日本もじわじわと影響を受けるのですけども……国内の杉資源に適切な手を入れてほしいところですが、難しいでしょうしね。

    • ウッドショックですか。
      韓国メディアはウッドショックについてはさほど大騒ぎしていないようですが、ロシアから木材を随分と買っていた印象なので、今後困るのかも知れませんね。
      日本でも木材の高騰は始まっていますし、石炭の影響も出始めています。コンクリートは……、さほど問題にならないかも知れませんね。