ウクライナ危機とポーランドの憂鬱

ロシアニュース

ロシアの野望によってウクライナの内戦が激化する様相を呈しているが、本日はそれに関連したポーランドの問題について焦点を当ててみたい。

ポーランドへ避難民100万人流入か…ロシアがウクライナ侵攻なら

2022/02/20 05:00

ウクライナの隣国ポーランドはウクライナから避難する人たちの受け入れ準備を始めている。現時点で国境に混乱は起きていないが、有事に100万人が流入するとみられている。

「讀賣新聞」より

何故、ポーランドの話なのか?ということなのだけれども、それはまず地図を見てから説明したい。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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ウクライナ危機は飛び火する

ポーランドはウクライナの隣国

先ずはGoogleさんから地図を拝借。

その上で、塗り分けした地図も紹介。

ポーランドの位置は、こんな感じになっている。

ポーランドは、NATOに加盟していて、同じ色で塗ったリトアニア、ラトビア、エストニアもNATOに加盟している。NATO(北大西洋条約機構)は相互防衛に合意した国々の集まりであるため、何処かの国が侵略されれば参加国は自動的に参戦が決定する仕組みになっている。

そして今、ウクライナもNATOに加盟しようとしている。

ウクライナのNATO加盟 欧米に「棚上げしたい」本音も見え隠れ

2022年2月19日 19時30分

ウクライナ情勢をめぐり、ロシアが緊張緩和の条件として要求するのが北大西洋条約機構(NATO)の拡大停止の確約だ。反対の構えの欧米は、19日の主要7カ国(G7)外相会合でも、ウクライナの主権尊重を訴えた。ただ、ウクライナの加盟は進展してこなかった問題で、棚上げしたいとの本音も見え隠れする。

「朝日新聞」より

ロシアが懸念しているのは、まさにウクライナのNATO加盟であり、ウクライナがNATOに加盟してしまうと、ウクライナ東部の問題はNATOの問題となってしまう。

そんな国が隣国にあるのがポーランドなのである。

移民受け入れ

さて、そんな感じでNATO加盟国のポーランドは、ウクライナからの移民を受け入れる意向を出している。

ウクライナからの避難者もゼロではない。近くのホテルでは、前日に入国したオレクシイ・コルジュさん(28)が滞在していた。「先が見通せず不安なので、しばらくポーランドで様子見したい」と言う。ウクライナ出身の支配人オクサナ・イェンドラスさん(40)は、「もしもの時は同胞を迎え入れたい。米国大使館からも米国民の受け入れ要請があった」と明かす。

露軍のウクライナ侵攻時には、ポーランドには避難者が殺到する可能性が高い。マチェイ・ウォーシック内務副大臣は1月、「最大100万人を受け入れる準備をしなければならない」と地元ラジオで発言した。

「讀賣新聞”ポーランドへ避難民100万人流入か…ロシアがウクライナ侵攻なら”」より

ポーランドの人口は約3,827万人(2020年末:ポーランド中央統計局)で、首都ワルシャワの人口は約179.4万人である。

100万人のウクライナ人を受け容れると言うことは、何を意味するのか?中東から移民を受け入れるケースのように、文化の違いが問題となる可能性は少ないが、ロシアからのスパイが紛れ込む可能性があるため、治安的に不安が膨れあがる事は間違いあるまい。

ポーランドとウクライナは比較的仲が良い。従って、移民受け入れを拒否するという選択肢は無いのだが、しかしいきなり人口が数%増えてしまう、首都の人口に匹敵するような移民を一体何処に受け入れるのか?という話が出てしまう。

ロシアの隣国日本

ウクライナはロシアに国境を接する国だが、日本もまた同じ立場にある。海がある分マシなのだが、他人のフリをして傍観していられるような状態でないのもまた事実である。

ロシアは、NATOに隣国が切り取られて、勢力図が書き換えられることを嫌がっている。

ウクライナ危機は、決して日本にとっては他人事ではないのである。

ウクライナ問題で認識共有 日ポーランド防衛相

2022年02月21日21時16分

岸信夫防衛相は21日、ポーランドのブワシュチャク国防相とテレビ会議形式で会談した。両氏はウクライナ情勢について、「国際社会全体にも影響を及ぼすグローバルな問題で看過することができない」との認識で一致。岸氏は日本政府による邦人保護の取り組みを説明し、ウクライナの隣国であるポーランド政府の支援を求めた。

「時事通信」より

その事を理解しているであろう防衛大臣の岸氏は、このタイミングでポーランドの国防相との会談を行っている。もちろん、それが必要だからこそ「連絡を密にとるべきだ」と、その様に考えたのだろうと思う。

そして、日本政府にとっての悩みは邦人保護問題である。

しかし、言うだけはタダなのだが、ポーランド側からしてみれば日本の実行力がどこまであるのか?ということは疑っているだろう。日本の資金力には期待しているかも知れないが、やはり有事において「手を貸してくれる勢力」である必要はあるのだ。

両氏は会談に先立ち、防衛協力・交流を強化する覚書に署名した。

「時事通信”ウクライナ問題で認識共有 日ポーランド防衛相”」より

日本がより国際社会から信頼を得るためには、防衛協力が何処まで出来るのかを明確化する必要がある。もちろん、気軽に「手を貸すよ」と言えないまでも、万が一の時には手を貸してくれる味方だとアピールすることは極めて大きな意義がある。

そして、親日国であるポーランドの信頼を失わない為にも、日本政府は強いメッセージを出すべきなのだが、トップが岸田氏では期待薄である。

ウクライナが陥落すると防波堤はポーランドに

日本にとって韓国がそうであるように、ポーランドにとってはウクライナが共産主義国家に対するバッファゾーンとして機能している。まあ、韓国よりもウクライナの方が余程信頼できる国なので、同列に扱ってはいけないのだが。

この事は、実はロシアにとっても同じであり、隣国が全てNATOに加盟してしまうと、プーチン氏にとっては都合が悪い。

となると、落とし所としてはウクライナのNATO加盟棚上げ辺りだろうと西側諸国は思っているだろうし、ウクライナの件は内戦扱いで傍観するという事になりそうである。

十数カ国の政府、ウクライナ退避を自国民に勧告 ロシアも大使館縮小

2022年2月13日

ロシアがウクライナ国境沿いに部隊を集結させる中、12日までに十数カ国の政府が、ウクライナから直ちに退避するよう自国民に勧告した。ロシアも同日、駐ウクライナに駐在する大使館員の数を縮小すると発表した。ジョー・バイデン米大統領は同日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で会談し、ロシアがウクライナに侵攻すれば、ロシアは「素早く厳しい代償」を払うことになると警告した。

「BBC」より

西側諸国はというと、いち早く、12日の時点でウクライナからの避難勧告を出している。この避難勧告も、ロシア側にとってはプラスに働いたと思われる。諸外国の国民がいなくなった結果、ウクライナにとっての「盾」の枚数が減った事を意味するからだ。同時に、アメリカはこんな対応をとった。

領事業務も13日から停止されるが、ポーランド国境に近い西部の都市リヴィウへ「少人数の領事担当」を移動させ、「緊急事態に対応」するという。米政府はさらに、ウクライナ兵を訓練していた米兵150人も「念のため」に退避させた。

「BBC”十数カ国の政府、ウクライナ退避を自国民に勧告 ロシアも大使館縮小”」より

この対応が、ロシアに対して「アメリカはやる気がない」ということをアピールする格好の材料となったことは疑い様が無い。もちろん、駐留米兵が戦闘力としてカウントすべきでない人材であることは理解出来るが、「念のため」に退避してしまえば、ロシアにとってはやり易くなる。

つまり、ポーランドにとって、こうした一連の動きは国益にとってマイナスなのである。そして、ポーランドにとってロシアの脅威は身に染みて理解しているところなので、NATO加盟国であるとはいえ、「本当に守ってくれるのか」と不安に思うのも無理はない。

そして、そういう時にこそ外交的に力を発揮して、日本政府が平和維持に貢献できたのであれば、ポーランドの信頼は更に高まるだろう。つまり、国益に資するのだ。

では、何ができるのかといえば、アメリカを動かすことである。そのために台湾有事に積極的に日本が動くというアピールをすることも吝かではないし、それは以前書いた様に日本の国益にも資するのである。

国際的危機は、実は複雑に関連しているのである。

コメント

  1. こんにちは。

    岸田もバイデンも、本当に外交センスがないというか、戦術戦略に疎いというか。
    外国在住の自国民の保護は大事ですが、外交官と軍人を退避させたら、そりゃ当事国から見たらGoサイン出したとしか見られないでしょうに。

    といったところですが、当方もお花畑なので、どうしても理解出来ない事があるのです。

    どうして、戦火を交えて、住民に憎悪の種をまいてまで、力尽くで占領したがるのか。
    帝国主義の時代ならまだしも、今のご時世、独立国同士なら経済協定なり貿易の契約を結んで、明朗会計いつもニコニコ現金払いで手握りした方が絶対に得だと思うわけです。
    ※その意味で、経済的な侵略と言えなくもないけれど。
    実際問題としてそれをやっているのがわれらが日本国と中東との関係ではないかと思っていて、欲しいもの(油←→製品)は互いに金で買う、互いに潤う、この関係が一番だと。

    まあ、やらずぶったくりで全部欲しい、というのも理解出来なくはないですが、それをやるメリットとデメリットを秤にかけると、後世に遺恨を残す事も含め、デメリットが大きいと思うんですが……遺恨を残さないための根絶やし作戦やってる赤い国も(ごく近所に)ありますが。

    ※余談ですが、この理屈から言って、日本国から見て朝鮮半島を武力で攻略するメリットは皆無どころの騒ぎじゃない、のに、彼の国はそれでギャーギャー騒ぐのがにんともかんとも。
    ※西側連合の一員として、しかしながら日本国は、対露という意味では強固なアメリカとの橋渡し役としての「ガス抜き」の位置でもある気がするので、ある程度三味線弾くのはやむを得ない(逃げ道用意しておかないと相手も捨て鉢になる)、とも感じてます。けれど、それ以上に独仏が骨抜きにされてて役に立ってないんですよね……

  2. なにがどうあれ、始まってしまいましたね。弱腰でしてやられたのか、それとも泥沼に引き摺り込んだのか。