着々と準備が進むな。
プーチン氏、ウクライナ東部親露派の独立を承認 大統領令に署名
2022/2/22 06:18
ロシアのプーチン大統領は21日、モスクワのクレムリンで、ウクライナ東部ドンバス地域の一部を実効支配する親ロシア派「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認する大統領令に署名した。直後に、待機していた二つの「共和国」トップ2人と共に、両地域とロシアとの友好相互援助条約に調印した。
「産経新聞」より
クリミア侵攻と同じ手順で物事が進んでいるので、次はロシア連邦への参加だろうか。
独立とロシア連邦編入への流れ
ウクライナ東部地域
先ずは地図で場所を確認しておこう。

ウクライナ東部で、ロシアと国境を接する2地域、ルガンスク州とドネツク州を合わせてドンバス地域と呼ぶようだが、そのうちの一部がそれぞれ「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」として独立を宣言しているようだ。

クリミアの際には、住民投票によるクリミアの独立宣言 → ロシアによる独立承認と、ロシア連邦への編入という流れになる。その際に、ロシア軍がその地域を占拠して、独立反対派を一掃するという流れになるだろう。
ウクライナ側の負い目
とはいえ、ここでロシア側が主張してくるであろうロジックは、ミンスク合意に基づくものとなり、屁理屈であるとはいえ理があるので始末に負えない。
曖昧な「ミンスク合意」、ウクライナでロシアが譲らない理由-QuickTake
2022年2月19日 4:33 JST
ロシアのプーチン大統領がウクライナ国境付近に自国軍を集結させている中で、フランスとドイツは米国の支援の下、両国が関わった「ミンスク合意」の履行こそが外交的解決に向けた最大のチャンスだと主張している。しかし、この合意は複雑かつ争点も多い上に、ウクライナのアイデンティティーと主権を巡る闘いの根源に触れるものでもある。ロシア側はウクライナ侵攻の意図はないと繰り返し表明しているが、米国や他の西側諸国は攻撃の可能性があるとして警戒を解いていない。
「Bloomberg」より
Bloombergが説明しているのだが、ミンスク2と呼ばれる合意では、ドンバス地域における特別な地位(高度な自治)をウクライナ側も認めていて、独立宣言を完全に無視するという訳にもいかない。
いや、厳密に言えば高度な自治は独立を意味しないのだから、ロシアの論理は無理筋である。だが、「独立した国から防衛・治安維持を依頼された」というロジックは一見成り立っているような形に見えるのが質が悪い。
状況をさらに困難にしているのは、ミンスク合意がウクライナの憲法を改正し、ドンバス(ドネツク、ルガンスク両州)に特別な地位を与えることを規定している点だ。しかも、親ロシア派が実効支配する「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の指導者らとの「協議・合意により」行う必要があるとしている。
「Bloomberg”曖昧な「ミンスク合意」、ウクライナでロシアが譲らない理由-QuickTake”」より
そして、ウクライナはこの地域の安全保障を履行していかなければならないのだが、反政府運動を展開するテロ組織の鎮圧に手を焼いている状況にある。
これ、BBCの動画なのだが、ウクライナ政府軍がドンバス地域を空爆したという内容を、反政府勢力側の立場で報じたものである。
工作は過去も今も
ロシアとしてはメディア工作も行い、ウクライナと東部地域は対立構造にあって、ロシアが介入してこの混乱を収めるべきだという世論誘導をしているのである。
ウクライナ東部、爆発で親ロ派指導者が死亡
2018年9月1日 8:32
ウクライナ東部で親ロシア派武装勢力が実効支配するドネツク中心部で8月31日爆発があり、親ロ派指導者のザハルチェンコ氏が死亡した。ロシアは国際的なテロ事件として捜査を始めた。ウクライナ東部ではロシアが支援する親ロ派武装勢力とウクライナ政府軍の戦闘が続いている。親ロ派トップの死亡でさらに対立が激化する恐れがある。
「日本経済新聞」より
ウクライナ東部で爆発、標的は「親露派」…ロシアが軍事侵攻へ口実作りか
2022/02/19 07:17
インターファクス通信などは18日、ウクライナ東部の親露派武装集団が実効支配するドネツク市中心部で大きな爆発が発生したと伝えた。親露派の治安機関トップの車が標的になったとみられている。背後関係など詳細はわかっていないが、ロシアがウクライナへの軍事侵攻に着手する口実を作ろうとする一環の可能性がある。
「讀賣新聞」より
そして、ウクライナ東部地域でテロ活動が行われており、これがウクライナ政府軍側の工作であるような報道がなされているものの、そのことがロシアの工作である疑いがある。

この事件、さっそくロシア側に実行犯が拘束されて、犯行の手口をペラペラと喋ったと報じられているのだが、胡散臭いことこの上ないな。
拘束されたウクライナのエージェントは、ドンバスを押収するキエフの計画を明らかにした
02/19/2022 18:08 (更新:02/19/2022 20:08)
モスクワ、2月19日-RIAノーボスチ。ウクライナのエージェントがDPRに巻き込まれ、ウクライナ軍がドンバスを強制的に占領する計画について話しました、とChannelOneは報告しました。男性の名前はAntonMatsanyukで、彼は自称DPRの税関部門で働き、それ以前は共和党警察の監視部門で働いていました。DPRの国家安全保障省の工作員は、2月17日にドネツクの賃貸アパートに彼を拘留した。
「ロシアメディア」より
まあ、真実は分からないのだが、拘束するスピードも速いし、手口を洗いざらい喋るのも不自然と言えば不自然である。何よりタイミングが素晴らしいよね。
「ウクライナ当局が住民を大量虐殺」ロシアが国連に報告書を提出
2/19(土) 13:29配信
OSCE(=ヨーロッパ安全保障協力機構)のアメリカ大使は18日、アメリカ政府の分析としてウクライナを包囲する形で配備されているロシア軍が最大19万人に達しているとの見方を示し、「第二次世界大戦以来ヨーロッパで最大の軍の動員だ」と明らかにした。
~~略~~
一方、ロシアが国連に対して「ウクライナ当局が住民を大量虐殺している」とする報告書を提出していたことがわかった。これはロシアが16日にグテーレス国連事務総長と安全保障理事会メンバーに宛てて、ウクライナの戦争犯罪を申し立てた文書だ。ロシアの調査に基づいてウクライナ東部で、「ロシア語を話す民間人をウクライナ当局が根絶しようとしている」などと主張している。
「Yahooニュース」より
ロシアは「ウクライナ政府が東部地域で大虐殺をやらかしている」という報告書を国連に出していたことも分かっていて、下準備は十分念入りに行われたようだ。
そして派兵命令
で、早速「平和維持」を名目にしてウクライナ東部へ派兵が決定したらしい。
プーチン氏、ウクライナ東部へ派兵命令 平和維持を名目
2022年2月22日 7:35 (2022年2月22日 9:03更新)
ロシアのプーチン大統領は21日の大統領令で、親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の2地域にロシア軍を派遣するように国防省に指示した。平和維持が目的と主張し、ウクライナへのロシア軍の展開を正当化した。派兵命令で同国を巡る緊張は一段と高まる。
「日本経済新聞」より
いよいよヤバイ。
もはやロシアは止まらないだろう。そしてその大義名分は既に用意されているというから、困ったものである。
その上で、欧米は動かないとすると、いよいよ次は台湾だろうか。
日本国民が増すやらねばならないのは、何もやらない岸田政権のケツを蹴とばすか、辞任に追い込むことかもしれない。
しかし……、僕はこのブログで散々ロシアは侵攻しないだろうと、そのように言及してきた。だが、プーチン氏は決定してしまったようだ。お膳立てを積み上げ、北京冬季五輪終了を待ってコレだよ。
そりゃ、ロシアにとってウクライナ東部は穀倉地帯としても魅力がある。
ここ何年かは、豊作が続いたため、穀物の輸出制限措置は影を潜めていました。しかし、2020年暮れになって、問題が持ち上がります。穀物収穫は良好であるにもかかわらず、ロシア国内でパスタ・マカロニ類をはじめとする基礎食品の価格が高騰しているとして、プーチン大統領がミシュスチン首相を叱責したのです。これを受けロシア政府は、本年2月15日から6月末まで、穀物輸出に輸出関税を上乗せする方針を固めました。
「GLOBE+」より
特に、土の皇帝「チェルノーゼム」と呼ばれる黒い土壌は世界でも有数な肥沃な大地であるが、そのチェルノーゼムの3割がウクライナにあり、東部地域にもその農地が点在すると言われている。

最近疲れが見え始めたとは言われるも、まだまだその価値は健在である。そのお陰でウクライナではロシアによる大虐殺「ホモドロール」が行われた。
ロシア国内の経済の疲弊や失業率の上昇を、ウクライナを手に入れることで改善する狙いが、ロシアにはあるのかもしれない。
だが、本当にそれがロシアのメリットになるのだろうか?欧米もロシアの侵攻には手を出さないと表明してしまったことが致命的だったのかもしれない。すでに一部のロシア軍がウクライナに入ったという情報もあるようだが、未だブラフの可能性もわずかに残されている。プーチン氏、最後の揺さぶりという感じだろう。
ドイツのミュンヘンで行われた安全保障会議が真っ当に機能していれば、あるいはロシア侵攻を防ぐことが出来たのかもしれないのだが。
追記
国連安保理で緊急会合が招集されたようだ。
国連安保理、米ロ大使が応酬 ウクライナ巡り緊急会合
2022年2月22日 12:22 (2022年2月22日 13:17更新)
国連の安全保障理事会は21日、ウクライナ情勢を巡る緊急会合を開いた。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、ロシアが親ロシア派地域への軍派遣を決めたことについて「平和維持軍だと主張しているが、全くのでたらめだ」と反発した。ロシアのネベンジャ国連大使は「ロシア軍は(親ロ派地域から受けた)要請に基づいて、平和維持活動を行う」と述べた。
「日本経済新聞」より
しかし、国連の安保理は事実上この件では機能しない。
一方、ロシアのネベンジャ氏は「(欧米勢には)状況を悪化させないようにし、ウクライナに(親ロ派武装勢力が一方的に独立を宣言した)ルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国に対する砲撃や挑発をやめさせてほしい」と訴えた。
中国の張軍国連大使は「緊張をあおるような行動は避けるべきだ」と述べ、すべての関係国に自制を促した。
「日本経済新聞」より
ロシアと支那が参加しているからだ。
なんというか、犯人当事者に対処方法を相談しているような状況なので、この2カ国が拒否権を持っている限りはまともな話し合いができるとは思えない。
そして西側諸国としてもウクライナを助けることにメリットが薄いどころかデメリットのほうが大きい国が多いだけに、話は纏まる筈もない。ロシアはそれを分かってやっている辺りが非常に狡猾である。支那は台湾侵攻の為には、ロシアに味方をする選択肢を選ぶだろう。
こういったケースでは、これまでアメリカが単独で動いていたのだが……、その期待は薄そうだな。
追記2
うーん、プーチン劇場だな。
ミンスク合意は失効 ウクライナ派兵「今すぐでない」―ロシア・プーチン大統領
2022年02月23日05時58分
ロシアのプーチン大統領は22日、ウクライナ東部の紛争の解決に向けたミンスク合意は「今は存在しない」と語った。プーチン氏が明言したことにより、停戦合意の崩壊が確定した。
「時事通信」より
先ずは「ミンスク合意」は破棄されたことが確定し、ウクライナとロシアとの停戦合意も崩壊した。
22日の記者会見では「ミンスク合意はきのうの承認のずっと前から損なわれていた」と述べ、責任はウクライナのゼレンスキー政権にあると改めて主張した。
「時事通信」より
そして、そもそもこの「ミンスク合意」は「既に損なわれていた」との判断が、プーチン氏の理屈のようである。
要は、共産主義国家、或いは独裁国家との合意は指導者の胸先三寸で無かったことになるという事だね。これは日本も経験があるはずだ。ソ連との不可侵条約が破棄され、北方領土は今も占領されたままだ。日本はロシアのプーチン氏の言い分を「理解する」などということはやってはいけないんだよね。
改めて指摘するまでもない話だったが、改めて突き付けられた形だな。
ウクライナ東部へのロシア軍派遣に関しては、親ロ派と結んだ条約に「軍事面も含めて支援すると定めた条項がある」と指摘。「衝突が起きており、必要であれば義務を遂行する」と説明した。一方で「今すぐ部隊が行くとは言っていない」とも主張。「具体的な筋書きを予測するのは不可能で、現地の状況次第だ」とはぐらかした。
「時事通信」より
そして、軍事侵攻はカードとして用意したが、実際に動くかどうかは「俺が決める」とプーチン氏が言ったも同然なのだ。
コメント
大陸であれば旗がころころ変わってしまう地域というのはあるのでしょうし、ウクライナもそこを統べきれなかったというのもあるにはあるのでしょう。が、そんな面倒な地域の面倒。今のロシアにみきれるの?と、いうか、それが出来てたらそもそもソ連解体してなかったよね…と、不思議には思うところです。新ソ連復活なるのやら。
風雲、急を告げているようです。
ロシア大統領は、ウクライナがミンスク合意を破棄したと声明、ウクライナに正式にクリミアの放棄と非武装中立を要求しました。キイフのロシア大使館が文書償却を始めた由です。ロシア外務省が、次回の米ロ外相会談中止を声明しました。
ウクライナ大統領が、予備役兵(30~40万人)の特別召集を布告しました。
アメリカ大統領が、ロシアのウクライナ侵攻が始まったと声明しました。
日本国首相は、米欧の対応に従う模様です。
https://www.gov-base.info/2022/02/23/148848
木霊さん、おはようございます。
ウクライナのNATO加入阻止と東部の親ロ派政権(傀儡政権)確立が、プーチン大統領の大規模な侵略派兵の狙いと推察されます。
欧米は制裁措置を検討している様ですが、その効果の度合いをプーチン大統領に見透かされてる様な印象ですね。
いずれにせよ最悪の戦争突入だけは避けて欲しいもんです。
戦争となれば支那が台湾侵攻を狙ってくる恐れがありますから、アメリカも両面対処が難しいと思いますからね。
バイデン大統領の弱気では一致して議会を動かすのも困難でしょうし。
NATO・EU加入を希望するウクライナ国民には苦難が続きますが、今はロシアの大規模侵略を止めるのが最優先なんじゃないかな。
一番穏便な手立てがあるのかないのか素人の僕には判りませんけどね。
こんにちは。
あっちこっちのロシア大使館/領事館で機密文章の焼却が行われてるとか。
https://grandfleet.info/russia-related/will-confidential-materials-be-disposed-of-at-the-consulate-of-odessa-following-the-russian-embassy-in-the-capital-kiev/
正直な話、これは地球の裏側ですが、いつ目と鼻の先で同じ事が起こってもおかしくないんですよね……
木霊様、皆さま、今晩は
我国も気を付けましょうね。
(1)「琉球人民共和国」を作り独立を宣言させる。
(2)テロなどをやらせて、内戦状態にする。
(3)自衛隊に攻撃されているとして、【平和のために】○○人民共和国に軍の派遣を要請する。
(4)めでたく「琉球人民共和国」成立。
その昔の過激派の理論ですね。
(1)は可能かな。
(2)はムリでしょう。人が集まらない(集められない)し、武器もない。無理やり人を集めようとすると、人が集まる前に潰される。
(3)もムリ。「○○人民共和国」にとってもリスクが大きすぎる。アメリカとの戦争になりかねない。
(4)あり得ない。「○○人民共和国」の領土になるだけ。
なんですが、こんな事を考えている連中がいると思いますよ。かつての過激派は今でも「細々と」活動しているようです。高齢化が深刻だとか。
こういう連中が力をつけないような政策が必用なんですが、沖縄の場合、米軍基地が問題ですね。米軍基地があるから危険、基地があるから安全が保たれている。。。まともな議論があったでしょうか。
音楽大好きさん、木霊さん、みなさんこんばんは
>(2)はムリでしょう。
気持ちの良い想像じゃないですが、次のようなロジックで迂回されてしまう可能性も
①「琉球人民共和国」を作り独立を宣言させる。
②日本に対し、領海、EEZの大幅変更を一方的に宣言させる。
③○○人民共和国と琉球の間で、漁業、島礁・大陸棚開発の広範な協力協定を締結
— ①②③が電光石火
④○○人民共和国の数百隻の武装漁船が上記EEZに集結、「琉球人民共和国」船と合流
⑤自衛隊スクランブル
⑥自衛隊に攻撃されているとして【平和のために】○○人民共和国に軍の派遣を要請する。
— 今のロシアの動きを見ると、続きは
⑦○○人民共和国主席、軍の派遣を許可・命令
⑧と思ってたら、東京に超音速ミサイルの飽和攻撃、、、、、、、
もう敵基地攻撃能力の開発構築に何年もかけてる余裕はありません。
すぐにでもF35ベース米国核シェアリングを手始めに核武装が必要と個人的には思います。