イラン核合意が韓国を脅かす!原油代金凍結解除へ

大韓民国

このブログでも結構ネタにしてきたが、ここへ来て事態が転がり始める予感である。

「イラン核合意が実現すれば韓国内の資金70億ドル凍結解除」

記事入力 : 2022/02/19 10:13

2015年のイラン核合意(JCPOA・包括的共同行動計画)再建に向けP5プラス1(安保理常任理事国5カ国とドイツ)とイランがとりまとめた合意文書の草案に「韓国の銀行に凍結されたイランの原油輸出代金70億ドル(約8100億円)を解除する」との内容が含まれている。ロイター通信など外信各社は「イラン核合意の当事国が20ページ以上の草案内容にほぼ合意し、交渉妥結の可能性が高まった」「これに凍結資金70億ドルに関する条項が明記されている」と伝えた。

「朝鮮日報」より

お支払いはお早めにねー。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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払うべき代金の支払い

一体幾ら払えば良いのか

さて、この韓国政府の原油代金未払い問題に関しては、軽く振り返ってみておこう。

最新の記事がこれなのだが、突っ込みを入れただけで構造的な解説はしていない。

この辺りで内容の整理をしているので、興味があれば一読願いたい。

で、簡単にまとめるとこんな感じになる。

  • イランは西側諸国からの経済制裁を受けていて、韓国は経済制裁に便乗して原油輸入代金の支払いを止めてしまおうと画策
  • イランへの支払いは、アメリカの対イラン包括制裁法施行(2010年)に伴って、韓国のIBK企業銀行とウリ銀行にイラン名義の口座が作られ、そこに振り込む形で行う事となる。
  • しかし2019年、韓国政府は経済制裁を理由にその口座へのアクセスを凍結してしまう。
  • イランは代金を引き出せなくなり、70億ドル相当が未払いに。
  • 2020年、イランがぶち切れて、韓国のタンカーを拿捕。韓国に未払い原油代金の支払いを求めて、問題が表面化

報じられている内容では凍結分が70億ドルなのだけれども、韓国が当座預金に塩漬けにした間、韓国銀行が設定していた高い金利分は殆ど反映されておらず、イランはその辺りも含めて100億ドル相当の支払いを求めていると言われている。

ここで過去の記事を調べていて少しおかしな事に気がついたので、その点は少し整理しておきたい。

凍結時期は2010年か2019年か

僕が混乱したのは、ハンギョレのこの一文である。

2010年に米国のオバマ政権がイランの核開発を理由に「対イラン包括制裁法」( Comprehensive Iran Sanctions, Accountability and Divestment Act)を施行したことを受け、韓国とイランはウリィ銀行とIBK企業銀行にウォン建て口座を設けた。韓国がイラン産原油輸入代金をこの口座に預け、韓国企業がイランに輸出する物品の代金をこの資金から支払うシステムを作ったのだ。韓国のエネルギー関連企業各社が輸入するイラン産原油の代金が、韓国の対イラン輸出額より大きかったため、同口座の預金は増える一方だった。2018年にトランプ政権はイラン核合意(JCPOA)から一方的に脱退し、制裁を強化すると共に、2019年5月からはこのウォン建て決済口座に対する制裁免除の延長も米国が拒否した。当時、韓国外交部と米国国務省の交渉担当者の間では、制裁免除の延長に合意したが、トランプ大統領とポンペオ国務長官がこれを拒否したという。何の準備もなく70億ドルをイランに返す道が急に閉ざされてしまったのだ。

「ハンギョレ”[コラム]韓国にイランの凍結資金が最も多い理由とは(2021/1/12)”」より

この記事を読むと、韓国国内の口座(ウリィ銀行とIBK企業銀行)が作られたのは2010年となっていて、確かに2010年にこの法律がアメリカで作られたのは事実である。

米で対イラン包括制裁法成立 ガソリン禁輸や金融制裁強化

2010年7月2日 11:18

オバマ米大統領は1日、イランへのガソリン禁輸や金融制裁強化を柱としたイラン包括制裁法案に署名し、同法は成立した。米国独自で圧力を強め、核開発を阻止するのが狙い。大統領は「核開発、資金提供力の核心に打撃を与える」と期待を示した。イランと取引する外国企業の米国内の活動に影響を与えることになる。

新制裁法は(1)イランでの石油資源開発(2)イランでの石油精製品生産(3)石油精製品の対イラン輸出――に関与する企業を制裁対象に加え、イランで需要の大きいガソリンの禁輸措置につなげる。同時に、アハマディネジャド大統領の出身母体である革命防衛隊や、イランの銀行と取引する外資系銀行も対象とし、米金融市場から締め出す。

「日本経済新聞」より

アメリカは同盟国にもこの方針に従うように求め、日本も韓国もその当時、イランから原油などを買っていた時代だったので、原油の輸入をストップする動きに出るのは分かる。

ところが韓国は、原油の輸入を止めるのでは無く、自国の銀行に口座を作って、原油輸入代金を韓国製品の輸出実績で相殺する方法をイランに提案し、ウォン建ての口座を開設した。ここまでは矛盾がないはずだ。

で、ハンギョレでは2019年にこの口座の凍結がなされたと書かれているが、中央日報は違う。

イラン「韓国口座から資金移す」

2016.01.28 07:56

「イラン発特需」を期待していた国内の企業と政府が伏兵にあった。複数の政府関係者によると、イラン側は経済制裁のため2010年から国内の銀行口座で凍結されていた石油輸出代金を本国に移すという意向を表した。

この口座は2010年にウリィ銀行と企業銀行に開設されたイラン中央銀行の韓国ウォン口座で、その間、国内企業のイラン輸出入代金の精算に使われてきた。

政府関係者は27日、「対外資産凍結措置が解除され、イラン側が口座にあった資金の一部を国内に移したいという意向を表したのは事実」とし「政府はひとまず引き止め、韓国ウォン決済口座を維持しようと伝えている」と述べた。

「中央日報」より

ここでは2010年から銀行口座が凍結されたと書かれているのである。これはハンギョレと矛盾する内容に思えるが……、整合性が合うように考えるとこんな話になるのではないだろうか。

銀行口座の開設は経済制裁逃れか

つまり、韓国のウリィ銀行とIBK企業銀行にイラン向け口座が作られたのは2010年で、この口座からの現金引き出しは当時から出来なかった。中央日報はこれを凍結と表現しているが、輸出代金の相殺(イランからは原油を、韓国からは機械製品などを)には使う事が可能だった。

2019年にはこの方法も使えなくなって、これをハンギョレが凍結と表現していると。

2016年に対外資産凍結措置の解除(2015年7月のイラン核合意に基づく措置と考えられる)に伴う口座の移動の申し出(多分、イランはウォンではなくドルで支払えと要求したと考えられる)があったが、これを韓国側は却下。2019年に事態が悪化して拗れることになったという感じかな。

イラン「韓国が原油輸出代金の未償還時には提訴…米韓は主従関係」猛非難

2020.07.20 10:11

イラン外務省は、米国のイラン制裁により韓国の都市銀行が凍結したイラン産原油輸出の代金に関連して「韓国がイランの外交的努力にも関わらず、負債(原油輸出代金)を返さなければイランは韓国を提訴する場合もある」と明らかにした。

~~略~~

韓国は米国の承認の下、2010年からイラン原油の輸入代金をIBK企業銀行とウリィ銀行に開設されたイラン中央銀行の口座を通じて、ドルではなく韓国ウォンでの決済ができるように措置を取った。

しかし、昨年9月に米国政府がイラン中央銀行を特別指定制裁対象(SDN)で国際テロ支援組織(SDGT)として制裁水準を引き上げながら、取引口座も同時に凍結しながら韓国ウォンでの取引が難しくなった。

韓国政府は米国・イランとの協議を経て、今月5月から医薬品や医療機器など人道的な品目に限定して同口座を通したイラン交易手続きを再開した。

「中央日報」より

と、この記事でもそんなことが読み取れる。

アメリカの要求した経済制裁を迂回するような2010年の韓国側の措置は、結果的に韓国を苦しめることになったと。ただ、この方法に大きな問題が生じたと考えられるのが、日本の輸出管理の強化である。

中央日報の「韓国ウォンでの取引が難しくなった」という表現には違和感があるのだが、ここに日本の輸出管理強化によって、フッ化水素の横流しが出来なくなったと考えると辻褄が合うわけである。

尤も、この時期にイランが核濃縮の度合いを高める話はあったものの、核濃縮などに使うフッ化水素そのものの純度は低くて良いらしいので、想像の域を出るものではない。だが、韓国がイランや北朝鮮へのフッ化水素横流しをやっていた可能性があるのは以前から指摘されているし、後ろ暗い部分があったのも事実だろう。

何故ならば、実はこんな記事が。

米、日韓企業への支払い許可 イランの凍結資産利用

2021年07月15日10時13分

米国務省当局者は14日、イランに対し、米国による制裁で日本と韓国で凍結されている資産を使い、滞っている日韓企業の輸出品に対する支払いを認めていたことを明らかにした。

AFP通信などによると、トランプ前政権が2018年にイラン核合意を離脱し、制裁を強化する前に行った対イラン輸出について、日韓企業は、米国の制裁対象になっているイランの口座から支払いを受けることができる。

「時事通信」より

日本と韓国では凍結されたイラン名義の資産が存在したが、制裁強化前の対イラン輸出についてはこの資産から相殺しても良いよというアメリカからのお墨付きがあったのである。

日本の方は15億ドル相当と額が小さかったこともあって、これは問題にならなかった。ところが、韓国の方は70億ドル分そっくり残ったままだということになる。2018年以前は韓国製品がイランに売れなかったんだねぇ。今もそうかも知れないが。

こうした話があったので、人道支援でマスクを送るとか、救急車を送るとか、おかしな話が出てきていたんだな。

イラン核合意の再締結で何が起きるか

で、冒頭の話に戻るのだが、イラン側からこんな要求があったそうだ。

韓国とイランが事務協議、原油輸入再開や資産凍結解除巡り

2022年2月17日11:54 午前

韓国外務省は16日、イランと事務レベルの協議を開き、同国産原油の輸入再開と、韓国の銀行にあるイラン資金の凍結解除について話し合ったと明らかにした。

韓国の銀行にある約70億ドルのイラン資金は米制裁の影響で凍結されており、イランは繰り返し解除を求めてきた。

韓国は声明で、ウィーンで開かれているイラン核合意の再建交渉がまとまり次第、凍結資産の移転など制裁関連の問題が解決することに期待を伝えたと説明。イラン側は凍結資産の問題を早期に解決する重要性を強調したという。

「ロイター」より

交渉は難航しているものの、欧米との合意が為されれば、韓国国内の銀行のイラン資産凍結は解除される方向になるので、即刻支払えという事になるのだろう。

ただ、記事には指摘されてはいないのだが、果たして韓国の銀行口座に70億ドル相当の現金は残っているのだろうか?イランとしてはドルで寄越せ!ということになるのだろうから、韓国側としても対応に苦慮しそうではある。

ハードカレンシーに認定されるほどに使い道があれば別だが、イランがウォンを貰っても使い道がないからね。 

そうだとすると、韓国が使えるドルがあるかどうか?という問題が出てくる。ウォンは韓国の銀行にはあるかもしれないし足りなければ刷れば良いのだが、ドルはというとそういうワケにも行かない。

韓国の外貨準備高4615億ドル 3カ月連続で減少

2022.02.07 06:00

韓国銀行(中央銀行)が7日発表した1月末の外貨準備高は4615億3000万ドル(約53兆1700億円)で、前月末に比べ15億9000万ドル減少した。

「聯合ニュース」より

額面道理の外貨準備高があれば良いのだが、韓国の発表している外貨準備高はジャンク債を多数含んでいるといわれており、現金での用意はあまりないのではといわれている。この辺りは蓋を開けてみないと分からないが、イランに巨額のドルを支払うなんて事になると、韓国市場に少なくないインパクトを与えるだろう。

だって、本当に支払えるのであれば、上に出した2016年の記事の時に支払う事が可能だったはずなのだ。しかしそれをしなかったという事は、口座を移したらヤバい状況だったのだろうと予想できる。

まあ、韓国の財閥系企業を叩けば70億ドルくらいは出てくるかもしれないので、本気を出せば支払えるものなんだろうけれど、今のムン君がそれを出来るかというと、無理だろう。

新大統領がその能力があるかどうかで、今後の韓国の行く末が決まって行くのかも知れない。少なくとも「支払いません」という事はできなくなってしまうからね。なかなか重い宿題をイランから課されているが、それでも韓国大統領になりたいものだろうか?

コメント

  1. こんにちは、

    イラン「さあ払え今払えすぐ払え!」
    韓国「チョッパリ!話があるニダ!徴用……ミツビシ……」
    日本「お話しは国際法廷でどうぞ」

    こんな感じですかね?

    • 恐ろしいですねぇ。
      韓国は果たしてどこからお金を調達するのか?

  2. 文政権発足後、首席補佐官が密使としてUAEに派遣されたことがありました。件の原発建設が滞っていたので、UAEが文政権を呼びつけた、と言われていました。
    李政権で締結されたUAEとの原発輸出契約には付帯条項(密約)があって、韓国軍によるUAE軍の軍事教練やイラン-UAE紛争時の韓国軍の自動参戦などが約定されていたと、ハンギョレや朝鮮日報(いずれも英字版)が暴露記事で詳報していました。
    (ちなみに、韓国軍部隊は現在もUAEに駐屯しUAE軍に軍事教練をしています。文大統領は最初のUAE訪問時にその駐屯軍を慰問しています。)

    さて、イランがサウジとUAEとは敵対関係にあり、イエメンのフーシ派にサウジとUAEへ越境攻撃させていることは周知の事実です。そのイランに韓国にデポされた原油代金70億ドルが返還されることをUAEは望まなかったでしょう。
    おそらく、UAEは韓国の密使にイランへの原油代金の支払い引き延ばしや現物での決済を要求したのではないかと。その見返りに、原発建設遅延(当時計画より2年遅延)に対する韓国へのクレームを取り下げがあり、またそれが昨年にあった韓国からイランへの、マスクや救急車による現物決済の提案という頓珍漢な話の出処だったのではないかと疑っています。

    当の李明博大統領も、イラン制裁や原発輸出がこんなトラブルにつながるとは思いもしなかったでしょう。ちなみに、文大統領は先月UAEを訪問した際、滞在先のアブダビでイエメンからロケット砲の洗礼を受けていました。何をかをいわんやでしょう。

    • そんな事がありましたねぇ。
      確か、ムン君が勝手に前政権での約束を反故にしようとしたから、呼びつけられたという状況だったような。
      そうだとしたら情けない理由ですね。

      UAEだって後ろ暗い部分のある国家です。一筋じゃいかないでしょうよ。

  3. 木霊さん こんにちは
    かの国が素直に払うかな、と思ったら案の定予防線満載ですね。「期待を伝えたい」というのは米国に対してのことで、また「米国様がー」という言い訳を繰り出す気が透けて見えます。核合意交渉もすんなりまとまるともまだおもえず、前途洋々、ではなく前途多難と見ます。
    イランの凍結資産は全体で200億ドルとも言われ、彼の国で35〜45%となればイランも激おこでしょう。日本も15億〜30億と言われていますが、機会ある度に支払っていて、残りは日銀にリザーブされているとか。かの国はまだ市中銀行にありそうですから、保全にも問題があるのかなと。
    70億ドル相当のウオンが売られると、一気にウオン安が進む可能性があり、それも嫌がる一因でしょうね。またドル売り介入用に債券を現金化すると、金利上昇局面でもあり、手持債券の含み損が顕在化(確定)するのではと思います。あれやこれやですんなりいかないのでは、と考えます。

    • 韓国側の立場で考えれば、イランへの支払いを実行するには色々と制約が多い上に、微妙な問題が絡む可能性があります。
      「慎重に物事を進めたい」という風に主張したくなる気持ちは分かります。
      ただ、これまで散々放置してきて、「支払わない」では、流石に誠意がなさ過ぎます。
      この問題は、まだまだ揉めそうですよ。すんなり返すわけにはいかないのですから。