【ウォン】基軸通貨入りの資格と想定される経済効果

大韓民国

ちょっと前の記事だが、こんな面白い記事が韓国のメディアで紹介されていた。「基軸通貨入りの資格」ねぇ。

韓国全経連「ウォン、基軸通貨の資格十分…編入時には113兆ウォンの経済効果」

2022.02.14 06:54

ウォンが国際通貨基金(IMF)の基軸通貨に編入できる資格を備えたとの主張が出された。ウォンが基軸通貨になれば長・短期的経済効果は112兆8000億ウォン(約10兆8528億円)に達し、89万2000人の雇用を創出できると予想した。

「中央日報」より

基軸通貨が何なのかも理解していないんでは?

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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妄想もここまで来るとヒドイ

基軸通貨入りの条件

基軸通貨は、国際通貨と呼ばれる通貨の一種で、国際取引や為替取引に使われる通貨であり、かつ、以下の条件が必要だと言われている。

  • 軍事的に指導的立場にあること(戦争によって国家が消滅したり壊滅的打撃を受けない)
  • 発行国が多様な物産を産出していること(いつでも望む財と交換できること)
  • 通貨価値が安定していること
  • 高度に発達した為替市場と金融・資本市場を持つこと
  • 対外取引が容易なこと

現状でこの条件を満たせる通貨は、USドル、ユーロ、人民元、日本円、そしてイギリス・ポンドだと言われている。

ただし、2016年にSDR(特別引出権)の構成通貨に加えられた人民元は、閉鎖的な為替市場やコントロールされた金融・資本市場が問題視されてきた経緯があり、SDR価値バスケットに加えられているものの、次の見直しの際にその座に留まれるかどうかは怪しい。

が、IMFについての黒い噂もあって、これすら金の力で解決した疑いはある。

中国に便宜疑惑のIMFトップ 理事会が続投支持

2021年10月12日 12:05

国際通貨基金(IMF)は11日の理事会で、ゲオルギエバ専務理事の続投を支持すると決めた。同氏が世界銀行の首脳時代にビジネス環境に関する報告書で中国の評価を引き上げるよう内部で圧力をかけたと指摘した法律事務所の調査結果について「不適切な役割を果たしたと決定的に証明するものではない」と結論づけた。

「日本経済新聞」より

尤も、疑いがあるだけで、証明されたわけではないのだが……。

また、このSDR価値バスケットに加えられることと、基軸通貨として扱われることはイコールではない。従って、アフリカ大陸にある経済規模の小さい国への経済的侵略を行い、人民元の国際取引を無理矢理増やしたからといって、基軸通貨の地位が得られるかというとちょっと怪しい。

デジタル人民元を発行して、貿易決済をデジタル人民元で行おうという試みも、そうした地位の危うさと関係しているのだ。人民元を使って大口の国際取引をしたいと考える人は少数派である。それは、リスクが高いからである。

人民元が加われるなら、ウォンもニダ!

さて、人民元が加われるなら、ウォンも基軸通貨に!という野望を抱くのは結構である。

全国経済人連合会は13日、IMF執行理事会が今年検討する特別引き出し権(SDR)通貨バスケットにウォンが編入される可能性に対する報告書を出した。SDR通貨バスケットに編入されれば国同士の貿易や資本取引で一般的に通用する通貨である基軸通貨と認められる。現在基軸通貨にはドル、ユーロ、円、ポンド、人民元の5つがある。

~~略~~

全経連はウォンが基軸通貨になれるという根拠に、▽韓国の経済的地位▽IMF設立目的と合致▽世界5大輸出大国▽ウォンの国際取引の割合上昇▽韓国政府のウォン国際化に向けた努力――などを挙げた。

「中央日報”韓国全経連「ウォン、基軸通貨の資格十分…編入時には113兆ウォンの経済効果」”」より

ただ、為替操作の疑いの強い国家がこれ以上SDR価値バスケットに加わると、国際金融取引が混乱しかねないし、「通貨の安定性」については極めて怪しい。

だいたい、韓国政府が努力しているからって、ウォンが国際化するかといえば、そんなことは無いわけで。

政治力を行使して、IMFにねじ込み、SDR構成通貨に割り込もうという意気込みは分かるが、人民元同様、国際社会で「使い勝手が悪い」と判断されてしまえば、基軸通貨を自称するだけということになる。

この辺りの事は、新宿会計士さんのサイトで詳しく説明されているので、そちらを参照頂ければと思う。

https://shinjukuacc.com/20220214-04/

この手の説明は僕の手には余る(涙)

ただ、韓国のロジックが人民元がSDRに指定されたのだから、ウォンだって指定されれば基軸通貨になる!というものであるとすれば、それは因果律が逆であることは、僕も指摘することは可能だ。

外国為替市場でのウォン取引の割合も2%で2015年に人民元がSDRに編入された当時の人民元水準である2.2%に近接した。韓国政府は通貨スワップ拡大、域外外国為替市場なども検討してきた。

「中央日報”韓国全経連「ウォン、基軸通貨の資格十分…編入時には113兆ウォンの経済効果」”」より

通貨スワップ拡大について胸を張っているのだが、この通貨スワップは短期的に結んでいるだけに過ぎない協定で、通貨の安定性を意味しない。

米韓通貨スワップ協定は終了

ちなみに、聯合ニュースではこんな報道があった。

韓米の通貨スワップ協定 今月31日で予定通り終了予定

2021.12.16 09:09

韓国銀行(中央銀行)は16日、米連邦準備理事会(FRB)と結んでいる通貨交換(スワップ)協定が、満了日の今月31日で予定通り終了する予定だと明らかにした。

「聯合ニュース」より

しかし、この「通貨スワップ」という言葉は実は適当では無い。

韓国銀行、米FRBとの為替スワップ契約期間を12月31日まで延長

2021年06月21日

韓国銀行(中央銀行)は6月17日、米国連邦準備制度理事会(FRB)との600億ドル規模の2国間為替スワップ契約満了日を、現行の2021年9月30日から同年12月31日に延長したと発表した(注)。

「JETRO」より

こちらの記事にもあるが、為替スワップのことを指しているのだと思われる。正直、これらの概念を僕が正確に理解しているかというと、恥ずかしながらそうでは無いので違いを解説するのは止めておくが、何れにしても終了してしまった事実は変わらない。

この他にも韓国は複数の国との通貨スワップ協定を結んではいるのだが、通貨安定に意味があるのかどうか。

韓国はスイス、米国、カナダ、中国、オーストラリア、マレーシア、インドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)とそれぞれ2国間通貨スワップを結んでいる。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)と韓中日3カ国の間では、アジアの金融協力の枠組み「チェンマイ・イニシアチブ」のマルチ化(CMIM)が発効している。

「聯合ニュース」より

米国との為替スワップは終了してしまったし、それ以外の国の通貨はハードカレンシーではない。韓国はドルが欲しいので、通貨の安定という意味ではかなり脆弱な体制と言える。

つまり、複数の国との通貨スワップ協定を結んでいるから「安定した通貨だ」というのは詭弁なのである。

その他にもSWIFTデータにウォンが出てこないという恥ずかしい事実もある。SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication SC)とは、銀行間の国際金融取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するため、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピュータと通信回線を利用して伝送するネットワークシステムであり、参加銀銀行の間でウォンが国際金融取引に使われていれば当然データに載ってくるハズなのだ。

しかし、ウォンは上記20位には出てきてはいない。過去7年分のデータにも同じ事が言えるのだとか。

ウォン決済の事例

なお、以前こんなニュースを扱った。

そう、イランから原油を買っていながら、その代金を支払わなかったアレである。

この時、イランは韓国国内の銀行に口座を持っていて、ここに韓国がお金を振り込んで原油代金を支払う構図だったが、この口座を凍結したことでイランは代金の取得が出来なくなってしまったという事があった。事態は未だ継続中だ。

ここで不思議に思われた方もいると思うが、イランは本来米ドルを直接払って貰えば良かったはずなのだが、何故か韓国との取引では韓国の銀行口座からお金を引き出す形で代金の支払いを受けていた。

僕は韓国の銀行にドルの形で預金されていて、イランはそれを引き出していたと勝手に考えていたのだけれど、普通に考えれば韓国の銀行に預けられているのはウォンだろう。

これについても、新宿会計士さんのところで面白い仮説が紹介されていた。

https://shinjukuacc.com/20210105-02/

要は、イランと韓国が結託して、おかしな取引をしていたのではと言う疑いがあるという事だ。逆に言えば、こんなおかしな事をやらない限りは、国際的にウォンでの取引を行うメリットはないということを意味する。

韓国の財政事情

韓国メディアがアホな事を言い始めた理由は、韓国の経済の先行きが怪しいからである。

韓国、昨年の財政赤字30兆ウォン台の見通し…総支出600兆ウォン「過去最多」

2022.02.17 14:51

昨年、韓国政府の総支出が過去最大規模の600兆ウォン(約57兆7000億円)台と集計された。

総支出が総収入を上回り、財政赤字は30兆ウォン台に及ぶものと推定された。経済が回復し、総収入が大幅に増加したが、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)対応のために支出はさらに増えたためだ。

17日、企画財政部が発表した「2月の財政動向」によると、昨年の年間財政収入は7月の2次追加補正予算(514兆6000億ウォン)に比べて55兆4000億ウォンほど多い570兆ウォン水準と推計された。

このうち、国税収入が344兆1000億ウォンで、追加補正予算より29兆8000億ウォン増えた。就業者数の増加と不動産市場の好調の影響で所得税が14兆6000億ウォン増加し、景気回復が続き、法人税と付加価値税も同時に増えた。

「中央日報」より

韓国は今、武漢ウイルス感染症の感染拡大真っ只中なので、この財政赤字は更に膨らむ可能性が高い。この記事を読んでいるとなかなか威勢の良い事が書かれているが、土地バブルリスクまで考えるとなかなかヤバい状況である。

ウォンがハードカレンシーになれば一発逆転!とか、そういう発想なのかも知れないが、新宿会計士さんではないけれども、それは因果律が逆なのだ。国際的に使われるようになってから、ハードカレンシーと認められるのであって、逆はない。

底まで追い詰められているということかもしれないけれども。え?底を突き抜けたらどうなるか?

……どうなるんでしょうねぇ。良くも悪くも今度はIMFの手には負えないと思うんだけど。

追記

流石に、韓国のメディアでも突っ込みが入った様だ。

ウォン、国際決済割合20位に入れないのに…「基軸通貨」めぐり大騒ぎ

2022.02.23 06:57

21日に開かれた大統領候補テレビ討論で出た与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補の「基軸通貨国」発言がオンラインコミュニティとソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで話題になっている。

李候補は適正な国債発行規模を議論している際に「基軸通貨国と非基軸通貨国の違いがわかるか」という野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補の質問に、「当然わかっているが、韓国も基軸通貨国に含まれる可能性が非常に大きいといえるほど経済が堅固だ」と答えた。

「中央日報」より

なる程、この話の発端は大統領候補の寝言だったのですな。

それにしても、中央日報は酷いな。だって、冒頭の記事だって中央日報のソースなんだぜ?分かっているのならば、解説で否定しておけよ。

基軸通貨になるには世界的に信頼して使えるよう価値を認められなければならない。そのため該当国の経済力だけでなく、政治力・軍事力まで反映される。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、1月の国際決済通貨の割合はドルが39.92%、ユーロが36.56%、ポンドが6.30%、元が3.20%、円が2.79%の順だった。ウォンはマレーシア・リンギットの0.36%、南アフリカ・ランドの0.28%、メキシコ・ペソの0.20%などにも押され20位にも入らなかった。

「中央日報”ウォン、国際決済割合20位に入れないのに…「基軸通貨」めぐり大騒ぎ”」より

冒頭に紹介した記事では韓国全経連が「ウォンは基軸通貨になる資格があるニダ」と主張したとだけ報道しているが、少し考えれば無理なことくらい誰でも分かる。

今回の記事にあるように「世界的に信頼して使えるよう価値を認められなければならない」と、一言書いておけば、SWIFTの順位を引用するまでもなく、「ちょっとないな」という印象を与えられるはずだ。

SWIFTのデータは完全にダメ押しだ。そして、SWIFTのデータだけでも「信頼がおける」基準にならないところが、この話のキモなのである。何しろ、順位だけなら「人民元」の方が「日本円」よりも上だ。だが、ハードカレンシーと呼ぶには色々と条件が足りていないのが現状なのである。

何にせよ、ウォンは国際決済にも利用されないって事なんだけどね。

コメント

  1. まず韓国ウォンが欲しい、と手を挙げている国があるか?
    - No.
    基軸通貨になれば、これだけの経済効果がある、とする主張は、
    獲らぬ狸の皮算用というもの。
    「ウソつき韓国経済」を知っている人からすれば、韓国ウォンを
    買うことは、倒れるビルを買うようなものだろう。

    • 嘘をつき続けることで本当にするという、そうした手法なのかも知れません。
      まあ、国内はだませても国外がだませるかどうかは、また別問題なんですけどね。